2019年06月21日

フランスで引き込もり対策に志願奉仕制度?

【仏、16歳の制服集団生活「国民奉仕」を試行 応募は定員の倍以上】
 フランス政府は16日、15〜16歳の約2千人を対象に「国民奉仕制度」を試験的に開始した。集団生活を通じて、国民意識を高めるのが狙い。テロや災害に備えた危機対応教育も行う。
 参加者は2週間、制服で合宿生活し、武器を使わない軍の野外訓練、福祉施設での奉仕活動や救助訓練に従事する。朝は国旗に敬礼し、国歌を斉唱。夜は討論会に参加し、社会の課題を話し合う。携帯電話の利用は夜の自由時間に制限される。
 制度導入は昨年、マクロン大統領が提唱した。今回は任意だが、2千人の定員に約5千人が応募したという。国民教育省のアタル副大臣は16日付仏紙で「若者は自宅にこもりがち。未知の世界で人格形成する機会を持つのは重要だ」と意義を訴えた。
 政府は、来年は参加者を4万人に増やし、2026年までに16歳以上の国民を対象に、参加を義務付ける方針。実現すれば参加者は毎年約80万人で、約15億ユーロ(約1800億円)の経費がかかるという。
(6月17日、産経新聞)

仏大統領選の結果を見て、「リベラル派の勝利」「若者に期待」などと言っていたフランス・クラスタは前に出ろ!

ケン先生の評価とどちらが正しかったかは、読者の皆さんの判断を仰ぎたい。
マ氏の政策は、オランド氏の新自由主義路線を加速させるだけの話で、基本路線は従来のものを踏襲している。その意味でル氏の敗戦の弁は正しい。新自由主義路線は、さらなる移民や外国人労働者を呼び込んで、国内の労働条件を悪化させ、経済格差や地方の疲弊を加速させる可能性が高く、同時にフランスのドイツ従属(欧州銀行への従属)を強める結果にしかならず、「反EU」「排外主義」「保護貿易」支持層を増やすのは間違いない。EUというのは、域内での経済的自由を保障する一方で、地域の経済的自立を保障せず、かといって日本の地方交付金のような域内の格差を是正するシステムも無いだけに、圧倒的に「強い者が勝つ」システムで、敗者を救済する術を持たない。
つまり、「親EU」のマクロン氏の政策は、「敗者」を増やすと同時にフランスが弱者を救済する術を持たない(経済自律性の放棄)ことを宣言するものであり、構造的に「反EU」の支持層が増える形になっているだけに、ルペン氏は勝負を急ぐべきでは無かった。
(フランスは今日もグダグダ、2017.5.11)

仮に為政者が歴史に学んでいても、国民の熱狂に抗して冷静を保つよう訴えるのは難しい。国家権力は、暴力の独占によって成り立っているが、その暴力は国民の生命と財産を守ることを前提としている。言い換えれば、国家は暴力装置を独占する権利を有する代わりに、国民を保護する義務を負っている。故に、テロルによって国民が害されると、国家は義務を怠ったことになり、権力の正統性が揺らぐことになる。結果、国家は暴力を行使してテロルを弾圧するほかなくなるわけだが、弾圧対象をテロリストだけに絞るのは難しく、社会全体に対して統制が強化されることになる。監視カメラ設置を支持する国民が圧倒的に多いことに象徴されるように、国民も統制強化と暴力行使を望む傾向が強まる。
(フランスも社会統制強化へ、2017.7.9)
posted by ケン at 12:00| Comment(3) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんかね、そんなにリベラル派も意外に賢くなかった・・て気もします。

戦略・経済学・兵法って大事ですよね・・


感想にすぎませんが、そんな感じ。


失礼しました。
Posted by 遍照飛龍 at 2019年06月22日 20:34
訂正。

日本のリベラル派は賢くなかったってこと。
Posted by 遍照飛龍 at 2019年06月22日 20:35
状況は時代によって変化するわけですから、それに対応する必要があるわけですが、特に日本のリベラル派はイデオロギー色を嫌う割に、自分たちの主張が原理主義的になっていることに気づいていないところが、どこまでも愚かに見えます。

逆にマクロン氏のように時代に変に対応しようとすると、言ってることとやってることが全く違うキメラのような化け物になってしまうわけです。

この辺りの事情は、ロシアの二月革命で帝政を打倒しながらも、戦争を止めることができずに、支持を失ってしまったリベラル派の事情とよく似ていると思います。
Posted by ケン at 2019年06月23日 13:49
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