2019年11月20日

「思いやり予算」4倍増??

【米軍駐留経費、日本に4倍増の負担額を要求か…7月来日のボルトン氏】
 米誌フォーリン・ポリシー(電子版)は15日、米国のボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)が7月に来日した際、在日米軍駐留経費の日本負担額を現行の4倍に増やすよう求めていたと報じた。
 トランプ大統領は、日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国など同盟国が、米軍駐留経費の負担額を増やすべきだと主張している。記事によると、ボルトン氏は日本の次に訪れた韓国では、米軍駐留経費の負担額を5倍に増やすよう要求したという。
 防衛省によると、在日米軍駐留経費の日本負担額は、2019年度予算の歳出ベースで1974億円に上る。駐留経費の負担に関する日米間の特別協定の期限は21年3月末に切れる。米政府内には日本に大幅な負担増を求めることに慎重な意見もある。
(11月16日、読売新聞)

米誌の報道というだけなので、確証は無いわけだが、出所が出所なだけに無根拠と放置するのも難しい。
実際、トランプ氏は大統領選挙の公約にもしていたくらいの話で、むしろ大統領が言い出すのを周囲が止めているくらいの感覚で見ておいた方が良い。

まず予備知識として入れておくべきは、概算で在日米軍の総経費(作戦費を含む)は約8千億円で、うち2千億円を日本が「思いやり予算」として出しているものの、残りの6千億円は米国が負担している。つまり、「在日米軍駐留経費の日本負担額を現行の4倍」というのは、「在日米軍の経費は全部日本が出せ」というものであり、米側の主張には一定の合理性がある。

こう言うと、「米軍基地はアメリカの国際戦略上不可欠のものであって、日本を守るためだけにあるわけじゃないだろ」と言い出すものがいるだろうし、日本政府もそう主張するだろう。

しかし、例えばNATOはその規約で加盟国に対して「GDP比2%」を自国の軍事費に充てるよう努力義務を課しているが、これを満たしているのは数カ国に過ぎず、逆にアメリカはGDPの3〜4%を軍事費に充てている。
これに対して、アメリカ議会などでは「連中は米軍を当てにして、本来自国防衛力の充実に充てるべき経費を自国の経済力強化に使っている」などとする「安保ただ乗り論」が根強く存在する。トランプ氏は、これまで表に出て来なかった「安保ただ乗り論」を堂々と公約に掲げ、大統領選に勝利したという点でも、これまでに無い大統領なのだ。

この「GDP比2%」を日本にあてた場合、あと5兆円からの防衛費増が不可避となる。中国の強大化と日露交渉の停滞を考えて、これらに対抗すると考えた場合、「GDP比4%」でも足りないくらいだろう。
トランプ氏の視点で言えば、日本は本来自分で出すべき防衛費をケチって、在日米軍に自国防衛を依存、駐留費の4分の1を出すのみで、「大きな顔しやがって」ということになる。
事実、沖縄の在日米軍は先に中国に沖縄を攻撃させて、アメリカに自動参戦させるための「罠」でもあり、日本にとっては2千億円はおろか、たとえ8千億円を支払っても、「おつりが来る」存在なのだ。だからこそ、米側は大きな顔をして要求できるのである。

これを日本政府が拒否した場合、今度は「じゃあ、もっと自衛隊を中東とアフリカに差し出せ」と言うだけの話であり、それをも拒否すれば「じゃあ、俺らはハワイに帰るから、後は自分でやってくれ」と言うだけの話だろう。
いずれにしても、アメリカにとって懐の痛む話では無い。そもそも米中の勢力が拮抗する2030年代半ばまでには、在日米軍の撤退は不可避となるだけに、「話が早いか遅いか」でしかないからだ。

日本政府はあれこれ理屈を付けて「引き延ばし」にかかると思われるが、トランプ氏には通用しないだろう。
ヤクニンどもと親米論者の反応を楽しませてもらうとしよう。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
議論の場ではないと承知しているのでネタ提供的に…

・在外米軍は在外基地以外に駐屯場所はない
・駐屯地の整備と運営には莫大な経費と時間がかかり、ほぼ無理(実質植民地であるグァムですら超難航)
・したがって在外している兵力を維持したいなら外国基地は必須(しかも多かれ少なかれ安上がり)
・兵力引き上げ(解散)は米国外交への信頼を失墜させ有力な兵力を持つ中露への諸外国の接近を許す

などから、少なくとも米軍と国務省は現状維持を望んでいそうです
Posted by o-tsuka at 2019年11月21日 22:32
それはそうでしょう。何時の時代も同じですが、軍隊もまた巨大な官僚組織であって、既得権の剥奪に異常な抵抗を示すものです。旧軍にあっては中国大陸からの撤退を絶対拒否して、勝ち目のない対米戦にまで持ち込みました。

冷戦末期のソ連においても、軍と国防省は東欧からの撤退に反対し続けていましたが、ゴルバチョフの指導の下で撤退が決められました。もっとも、撤退を始めたところでソ連が崩壊してしまうわけですが。

基本的な構造は同じで、だからこそトランプ大統領が自ら吠えるわけです。
Posted by ケン at 2019年11月23日 12:21
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