2019年12月27日

中国の大学は急速劣化中??

中国に来てまだ一年と一学期しか経っていないのだが、学生の質が急速に劣化している気がする。
去年の卒業生、今年の四年生と三年生を比べても、日本語の出来が年々悪くなっている。
試験は科目が変わらない限り、試験内容は前年に準拠して作られるため、難易度はほぼ変わらない。そのため、平均点の低下は、学生の出来が悪くなっていることを示している。もちろん、私の教え方がより下手になっている可能性もあるのだが、普通は一年目より二年目の方が向上しているはずだし、私自身もそう思っている。

先輩の先生によれば、実態はもっと深刻で、科目と教授内容は同じ場合でも、試験内容も年々簡単にせざるを得ない状況にあるという。これは中国においても、日本の大学と同じで、ほぼ落第者を出さないシステムになっているためだ。事実としては、合格するまで何度も試験することになるので、教員の方が面倒になり、追試を非常に簡単なものにするためだ。

同僚の先生に言わせると、「今年の四年生で一番良くできる学生の日本語レベルなら、数年前には一クラスに4、5人はいた」とのこと。仮にこの言葉をそのまま受け取らずとも、平均水準が低下していることは間違いない。
これだけなら、自分の大学の水準(偏差値)が低下して、学生の質が低下しただけとも考えられるが、他の大学の先生と話していても大なり小なり同様のことが起きているので、全国的な現象であると考えられる。

これにはいくつかの原因が考えられるが、最大の原因は1970年代の日本同様、「豊かになったから」なのだろう。景気こそ若干悪化傾向にあるとは言え、中国の就職状況は特に都市部では悪くなく、学生は「必死にがんばって競争に勝つ」必要は無い。そもそも日本企業への就職を望む学生が減っている上、さらには留学希望者も減っており、「こんなレベルで?」という学生が公費留学を決めている有様にある。

もう一つは、これも日本の1970〜80年代と同じで、「受験疲れ」に起因する大学の遊園地化にある。中国の場合、日本よりもはるかに受験熱が過熱しており、特に高校の三年間は寮に缶詰状態で勉強三昧させられるそうなので、大学に合格すると気が抜けて、何もしなくなってしまう者が続出するという。学生はほぼ全員「大学は楽園のようだ」と述べている。
つまり、あまりに勉強を強制されてきたため、自主的に勉強する習慣が無く、自発的に勉強あるいは学問する意欲に欠けている可能性がある。

三つ目は、語学の価値低下である。AIの普及などにより、言語教育の価値は低下の一途を辿っている。中国の場合、十年前であればN1(日本語能力試験1級)を持っていれば、「就職は引き手数多」だったというが、今では「数多あるスキルの一つ」になってしまっているという。これには、「中国人は試験と漢字に強いため、能力試験の合格率が高い」という要素もあるのだが、それを差し引いても、外国語能力の価値は低下傾向にあると言えるだろう。そのため、やる気のある学生はどうしても語学外のスキル(資格)獲得を優先させる傾向があり、能力の高い学生でも語学の優先度を下げる傾向が見られる。その結果、「そもそも日本あるいは日本語が好き」という学生以外は「試験に合格する程度で良い」という判断になっているようだ。

さらに中国の場合、入学試験の成績順で志望学科に「配属」されるため、外国語学部日本語科の場合、そもそも日本語科を志望しているのは2〜4割程度という有様で、「本当は語学なんてやりたくなかった」という学生が山ほどいる。そのため、どうしてもクラスの士気も低めになってしまうのだ。20年前なら、それでも皆真面目に勉強していたのだが、裕福に育った小皇帝たちは「じゃあ、もういいや」となってしまうようだ。

しかし、10年かけて質が低下していくならわかるが、目に見えて低下するというのは、どう考えるべきなのだろうか。これ以上レベルが下がると、ケン先生としても教えるのが苦痛になってくるかもしれないし、難しいところである。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 教育日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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