2020年02月14日

『彼らは生きていた』


『彼らは生きていた』 ピーター・ジャクソン監督 英(2018)

「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が、第1次世界大戦の記録映像を再構築して製作したドキュメンタリー。第1次世界大戦の終戦から100年を迎えた2018年に、イギリスで行われた芸術プログラム「14-18NOW」と帝国戦争博物館の共同制作により、帝国戦争博物館に保存されていた記録映像を再構築して1本のドキュメンタリー映画として完成。2200時間以上あるモノクロ、無音、経年劣化が激しく不鮮明だった100年前の記録映像にを修復・着色するなどし、BBCが保有していた退役軍人たちのインタビューなどから、音声や効果音も追加した。過酷な戦場風景のほか、食事や休息などを取る日常の兵士たちの姿も写し出し、死と隣り合わせの戦場の中で生きた人々の人間性を浮かび上がらせていく。


第一次世界大戦の記録映画を最新技術で着色すると同時に、読唇術をもって登場人物の台詞まで再現した労作。当時のモノクロフィルムの恐ろしいまでのシャープさに驚かされる。彩色も非常にナチュラル。記録映画なので、内容自体は退屈なところもあるが、作り物ではない、当時の生の映像と証言は非常に貴重。惜しむらくは人の入りが良くないようで、早々に終わってしまう可能性があること。

15歳で軍に志願し、連隊本部で年齢を聞かれ、「15歳です」と答えたところ、「15歳では志願は受け付けられんな、でもう一度聞くが、年齢は?」と聞き返されるなど、非常に生々しい。
他にも「早く志願しないと戦争が終わってしまう」とか「戦争が終わって帰国したら、今までどこに行ってたんだ?と言われた」とか、当時の人々の貴重な生の証言を聞くことができる。
映像的にはマークT戦車の質感が素晴らしく、動いてるだけでも感動物だし、音の再現も半端ない。

決して「面白い」わけではないが、他では得られないものがある貴重な作品である。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

 どうも、ケン先生。

WW1以前を評して「戦争に名誉があった時代」なる表現をした
人いました。
WW2以後の戦後秩序で生きてきた私にとっては
「戦争は問答無用の殺し合い、禄なもんじゃねー」の一言に
尽きるのですが、やはり「世代や時代の断絶」で
戦争にロマンを感じてしまう人達ってWW1以前の時代にも
一定数存在していたのですかね。

 やはり、戦争体験は「正確に」後世に伝えないといけませんね。

Posted by ムラッチー at 2020年02月14日 20:16
戦争にロマンを感じる人はいつの時代もいるわけで、むしろその残酷さが強調されるようになったのは、総力戦と塹壕戦が行われた第一次世界大戦からだと思います。

この「正確」というのがくせ者で、経験者の主観によって捉え方は全く異なるし、客観的すぎると「ただの数字」になってしまったりと、色々難しいわけです。
Posted by ケン at 2020年02月16日 15:31
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