2020年05月15日

ポピュリズムとしての視察

【馳元文科相へのセクハラ抗議 首相「党総裁として申し訳ない」】
 安倍晋三首相は29日の参院予算委員会で、自民党の馳浩元文部科学相が虐待被害などにあった少女らを支援する団体を視察した際にセクハラ行為があったとして抗議を受けたことに関し、謝罪した。「大変なご迷惑をおかけし、気持ちを傷つけることとなったことに対し、自民党総裁として申し訳ない」と述べた。首相は馳氏を厳重注意する意向も示した。橋本聖子女性活躍担当相は「そういった問題が生じたことに関し、男女共同参画という立場で、しっかり対応していく必要がある」と述べた。立憲民主党の蓮舫氏の質問に答えた。
(4月29日、産経新聞)

セクハラは言語道断としても、この問題の根っこにはSNSと議員の「やってる感を示したい」願望がある。
政治不信が強まり、有権者の半数が「支持政党無し」で、実際に投票率は国政で55%、地方では4割前後という中にあって、議員に対する視線そのものが冷たくなりつつある。
かつては与野党を問わず、「先生、先生」と呼ばれていたものが、昨今では飲み会に飛び入り参加しても喜ばれない状況になっている。

ただでさえ議員は、「議会がないときは何やってるの?」と聞かれがちで、実際大半の人はわからないだろう。
そこにSNSが登場し、「普段の活躍」を皆に提示できる場ができた。
ところが、投稿の大半は「地域の祭りに出ました」「卒業式で挨拶しました」「陳情を受けました」類のことで、逆に「それはおみゃあの仕事きゃ?」と言われる始末。
そこで比較的「議会外でも仕事してる」感の出る「視察」に焦点があてられ、今度は「〜を視察して、勉強させていただきました」のオンパレードと化すことになる。
議員の視察というのは、大半の受け入れ先にとっては迷惑な話で、注目されるような視察対象はどこも人手不足のところに視察要望が殺到しがちとなるためだ。逆に、公害や軍事基地など、市民が「視察に来て欲しい」というところは、ごく一部の野党議員しか来ない。
こうした結果、議員たちは「(少なくともオレは)仕事してるぜ」をアピールするために、「どこか視察先は無いか?」と秘書に探させるのが通例となっている。国会議員が自分で問題意識を持って視察を企画するケースはレアと言えるだろう。実際、視察の大半はSNSに投稿して終わりである。

「視察好き」もまた、悪しきポピュリズムの一現象なのである。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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