2020年08月06日

松村昌廣『米国覇権の凋落と日本の国防』

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松村昌廣 『米国覇権の凋落と日本の国防』 芦書房(2015)

米国上がりの右派の研究者だが、必ずしも親米ではなく、本文で「押しつけ憲法」と言ってしまうビミョーなところはあるものの、それ以外はむしろ中立的で、自主防衛を重視するスタンス。
それも、「中国の経済発展は2030年頃にストップして停滞期に入るから、米国が衰退する中で、そこまで持ちこたえられる自律的な軍備と戦略を」という主張が、ある意味現実的で興味深い。
その裏には、米国覇権が凋落する中で、中国の拡大主義を逆に利用して自主独立を図ろうとする意図が透けて見えるが、方向性は異なるものの、改憲論者として共感できる部分は少なくない。

鳩山政権に対しても否定的では無く、普天間問題などを引き継がなかった麻生政権にも罪があるとし、また在沖米軍基地の再編が進まない背景に、米軍内における空軍と海兵隊の対立や安保戦略をめぐる内部対立があるとする。
一方的に鳩山政権を叩く親米右派が多くを占める中、独自の評価軸を持ち、様々な提案も現状を打破する上で、興味深いものが多い。

外交官や自衛官上がりを含めて親米右派の大半は、「いかにしてアメリカのコミットメントを維持し続け、その軍事力をもって中国に対抗する」という冷戦思考から一歩も出ていないだけに、片務的な同盟のコストが上昇し続け、「国際協力」と称して自衛隊の海外派遣が際限なく拡大していく現状があるわけだが、右側から一石投じているところが心地よくもある。
【目次】
第1部 東アジアの安全保障環境―日米同盟対中国のパワー関係を焦点に(人口動態がもたらす中国の凋落と過渡期の対処策
米国の相対的凋落と日米同盟の強化)
第2部 米国の対中防衛・軍事戦略(「エアシー・バトル」構想の限界と含意
錯綜するオバマ政権の対中戦略論)
第3部 南西諸島の地政学的重要性と基地問題(米海兵隊普天間基地問題
自衛隊による下地島空港の活用に備えよ)
第4部 日本の防衛・軍事戦略(「動的防衛力」構想の含意と課題
次期戦闘機の調達機種提案)
第5部 戦略策定を阻む国内イデオロギー闘争(「国家安全保障戦略」の評価と課題)
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 学問、文学、教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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