2020年10月13日

日本の子どもは先進国で最も不幸?

【日本の子ども、幸福度が最低水準 ユニセフの38カ国調査】
 国連児童基金(ユニセフ)は3日、先進・新興国38カ国に住む子どもの幸福度を調査した報告書を公表、日本の子どもは生活満足度の低さ、自殺率の高さから「精神的な幸福度」が37位と最低レベルだった。「身体的健康」では1位で、経済的にも比較的恵まれていたが、学校のいじめや家庭内の不和などを理由に幸福を感じていない実態が明らかになった。
 教育評論家の尾木直樹さんは、日本の学校現場を「いじめ地獄」と表現、偏差値偏重による受験競争過熱も相まって「子どもの自己肯定感が低く、幸福感が育たないのは必然的だ」と指摘した。
(9月3日、共同通信)

記事の見出しにやや難がある。最低水準なのはあくまでも「精神的な幸福度」だからだ。
同時に、むしろ「精神的」というところに日本社会の問題の本質がある。

他の先進国と同様、日本も急速に中間層が没落し、相対的貧困率が上昇傾向にあるが、外面上は豊かさを保っている。
しかし、個々人のレベルでは不安とストレスが全体的に肥大化しているように見える。
一つの証左としては、企業や公共団体における精神疾患者や過労離脱者の増大が挙げられる。
例えば、2019年のデータによると、過労死ラインを越えて働く中学校教員は約6割、心の病を患い休職している教員は全国で5000人を超えているという。

大人が過度のストレスと不安にさらされている社会で、子どもだけが幸福を感じることは無いだろう。
そして、日本の学校生活もまた地獄度を増している。
例えば、小学校における「いじめ」の認知件数は、2012年に11万4千件で「過去最多」となったものが、2019年には54万4千件を記録している。
これは「いじめが増えた」というよりも「認知件数が増えた」と言うべき話ではあるが、少なくとも減少傾向にはなく、実際にも増えている感触がある。
各種調査でも、日本の子どもの自己肯定感は他国に比して断トツに低く、自己肯定感を有している(自分のあり方に満足している)者の割合は五割を切るというデータもある。

日本の学校は、部活動と内申書に象徴されるように、教員や部活顧問を頂点とし、先輩が後輩の上に立って精神的、暴力的に支配する構造を基盤としている。
始業式や卒業式、あるいは運動会において繰り返し「練習」させられるのは、全体主義国におけるマスゲーム同様、生徒の個性を否定し、権威に従属させることを目的としている。学校行事を事前に「練習」する国は、少なくとも欧米には無い。ソ連ですら、卒業式や運動会の予行演習は無かったような感じがする。

子どもの「幸福」を「回復」したいのであれば、まずは企業における長時間労働を是正し、企業内における飲食(飲み会)を禁止、有休の完全取得を実現する必要がある。親と子どもがともに過ごす時間を増やすためだ。
また、学校では全ての公式行事と部活動を廃止、午後4時には校門を閉めて全ての生徒を下校させるべきだ。内申書は、申請によって公開する制度も必要だろう。
まずは「できること」から始めるべきだ。
posted by ケン at 12:00| Comment(5) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>まずは企業における長時間労働を是正し、企業内における飲食(飲み会)を禁止、有休の完全取得を実現する必要がある。親と子どもがともに過ごす時間を増やすためだ。

そう思えます。

そうしないと・・

>学校では全ての公式行事と部活動を廃止、午後4時には校門を閉めて全ての生徒を下校させるべきだ。

今でも「学童保育」いわれているけど、長時間労働の是正をしないと、不可能。


今の日本人に気質・価値観では難しいけど・・

でも不幸の中の幸いで「リモートワーク」が新型コロナで、その必要性と有効性を見直されてきてる。


逆に「家で両親がいて子供を見る」って文化・スキルが、70年以上の「長時間労働」で減退している。

今でも部活で「子供の面倒を見てもらわないと困る」って親御さん多すぎ・・


いろんな意味で、絶望的になります。



Posted by 遍照飛龍 at 2020年10月13日 12:31
残念ながら、一部の私立を除き、当事者である教員の大部分は教職員組合や労働問題に関心がないので、日本の学校教育が改善することはないでしょう。
使用者側にも教員の労働環境を改善するモチベーションはそもそもありませんし、教員の「働き方改革」はコロナ禍で吹き飛んでしまいました。
日本の教育関係者には「仕事を減らす」という発想が存在しないのです。
AIとオンライン授業の普及が進めば、ほんの少しはマシになるかもしれません。
Posted by 学鳩 at 2020年10月13日 20:31
ある意味、「選択と集中」によって、「子どもは学校で面倒見る」「親は会社で夜中まで働く」となってしまっているわけで、原則論がないからこそ、常にグダグダなんですよね。

教員の労働者意識の低さ、同時に市民の「教員や医者は労働者ではない」という意識の問題が解決しない限り、何も変わらないでしょう。
Posted by ケン at 2020年10月14日 10:54
ご参考までに、都立大の宮台真司教授が同じ調査を話題にされています。(「見たいものだけ見る政治」支えた国民意識 朝日新聞電子版  2020/09/14      https://www.asahi.com/articles/ASN9D36M2N9BUPQJ00V.html
 
 戦後の日本人が作ってきた政治・経済・社会・文化の完全破綻が、子供たちの意識に先行的に現れているということでしょう。私も宮台教授同様、このまま加速度的に沈んでいく以外に回復の道はないと考えています。
 菅政権が、早速に学術会議問題で安倍政権パートUぶりを示してくれたことは、大変結構なことですね(苦笑)。

 

Posted by SATO at 2020年10月14日 12:10
人は落ちぶれていく時ほど、過去の栄光にすがり、過去を持たない人は暴力的解決を望むようになります。問題は、暴力の矛先がどこに向けられるかで、現在は「自分より下」と見なしている韓国に向けられていますが、今後はどうなることやら。

反知性主義も同様で、インテリを大衆から分離して攻撃することで、大衆の支持を得るという方法論です。その行き着く先に、果たして「回復」があるのか。

まずはどこまで落ちていくのか、でしょうね。
私などはサッサと責任放棄して正解だったと思っていますが、いま政治家をやってる人の大半は本気で「自分の力で回復できる」と思っているのですから、スゴイものです。
Posted by ケン at 2020年10月15日 18:58
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