2018年04月03日

機密を続々廃棄する政府

【<特定秘密>「1年未満」省庁が廃棄 政府にチェック要求】
 衆院の情報監視審査会は28日、昨年分の調査報告書を大島理森議長に提出した。重要な情報を指定している特定秘密文書にもかかわらず、保存期間を「1年未満」の扱いにすることで各省庁の判断だけで廃棄している現状は問題だと指摘し、政府内にチェック体制をつくるよう求めた。
 報告書によると、内閣官房、警察庁、防衛省など6省庁は2016年の1年間に特定秘密文書44万4877件を廃棄していた。いずれも保存期間1年未満だった。廃棄した文書の多くは、衛星写真など原本のある文書類の写しや暗号関連文書だったが、2万8272件は「別の文書に同様の情報が含まれる」ものの、写しではなかった。
 保存期間が「1年以上」の特定秘密文書を廃棄する場合には、政府内の独立公文書管理監と内閣府による二重のチェックを受ける。一方、「1年未満」は所管する省庁の判断で廃棄できる。
 審査会の会長の額賀福志郎・元財務相は1年未満の特定秘密文書の廃棄について「廃棄の際に一般の公文書と変わらない扱いになっており、特に慎重な判断がされていない可能性がある」と指摘した。
 報告書は特定秘密文書について(1)1年未満にできるのは別に原本のある文書の写しに限定し、それ以外の文書を1年未満にする時には省庁の内規に明記すること(2)1年未満の文書を廃棄する時も独立公文書管理監が検証・監察するよう運用を見直すこと−−を政府に求めた。
 ただ、独立公文書管理監が室長を務める内閣府情報保全監察室の担当者は取材に対し「権限以外のことはできない」と消極的な姿勢だ。政府の運用基準は1年未満のチェックを管理監の権限として明示していないが「独立公文書管理監は、必要があると認めるときは、特定秘密を含む資料の提出・説明を求めることができる」との記載もある。
(3月28日、毎日新聞)

法案審議中から懸念されていた「特定秘密の大量廃棄」が現実のものとなっている。
省庁は自分たちが所管する秘密文書について、一定のガイドラインはあるものの自分で保存期間を定められるので、これを「一年未満」にしてしまえば、実質「廃棄し放題」にできる。
もともと例外的運用を目途に設定されたルールが、拡大解釈されて一般化してしまうのはままあることだが、これは当初から指摘されていたものなだけに、「そんな使い方をされるとは思ってもみなかった」では済まされない。
むしろ一般公文書でも、「一年未満の特定秘密」に指定することで、廃棄することが可能になるだけに、いま問題になっている森友や加計関連文書もいくらでも廃棄することがルール的には可能になってしまっている。
自衛隊の日報が「保存期間一年未満」とされて、大量に廃棄され、海外派兵の実態が検証できなくなった問題が発生したのは、つい先日の話だ。
機密指定は数十年に及び、場合によっては永遠に秘匿され、後日研究者や市民が検証することすら許されない。現状ですら、外務省は北方四島をめぐるソ連とのあらゆる外交文書の開示を拒否しており、沖縄返還はおろか日米安保やサンフランシスコ講和条約をめぐるあらゆる密約文書の類は米国の公文書館で公開されているものでも、日本の外務省は「存在しない」と今日に至るまで秘匿を続けている。あらゆる密約文書を廃棄してきた外務省の行状を考えれば、この手の機密文書はあっという間に廃棄され、痕跡も残されない可能性が高い。
集団的自衛権と秘密保護法

NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の調査によれば、外務省が廃棄した文書は1997年度には約200トンだったものが、2000年度には約1280トンも廃棄されている。これは情報公開法の施行を前に、公開すると不都合が生じるであろう情報が記載されている公文書を急いで廃棄したと見て良い。また、2010年12月23日の朝日新聞によれば、沖縄返還交渉の過程で交わされた外務省の機密電報3通が焼却処分されていたことが、外交文書公開で判明している。この電報は沖縄返還をめぐる密約に関係するものである疑いが濃い。特定秘密に指定され、存在するかどうかも一般国民には分からない文書が、秘密指定解除される前に廃棄されたとしても、誰も確認できない仕組みであることを肝に銘じておくべきだ。
秘密保護法は修正後成立へ

44万5千件もの特定秘密が公表されないまま廃棄されているということは、その数だけ政府が国民・納税者に報告できない悪事・腐敗を抱えていると考えて良い。

この問題の背景には、首相と政権党に権限を集中させた結果、政府、官邸、政権党の癒着構造が強化されてしまったと同時に、国会でも政権党が絶対多数を有して少数野党からの追及が困難になって、行政に対するチェック機能や行政内の内部告発機能が機能しなくなっていることがある。
その政権党にしても、先の総選挙で自民党が得た1800万票に対して、野党第一党の立憲民主党は1100万票を得ているが、その議席数は300 vs.50と全く民意を反映しておらず、相対多数票を得た自民党が国会で絶対多数議席を持ち、その公認権は総理・総裁一人に帰属しているため、誰も逆らえない、要はチェック機能が働かない状況が現出している。
まさに先に挙げた足立先生の指摘が現代日本で生じているのだ。
皇帝への権力集中は、社会統治者集団としての官僚の独自性を消滅させ、彼らは皇帝の私的隷属者に成り下がっていく。皇帝の意を代行する最高の私的隷属者である宦官の下に、権力は集中することになる。(中略)明代に典型的に見られるようになった皇帝への権力集中と、行政の無責任化・統治能力の低下とが、じつは表裏一体の関係にある……
足立啓二『専制国家史論−中国史から世界史へ』(筑摩書房)

政治と政府に対する信頼失墜、そして民意を反映しない選挙制度は、今後急速に国政選挙の投票率を下げて行くものと見られる。戦後民主主義は遠からず終焉を迎えることになりそうだ。
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2018年03月27日

国会議事録も改ざん

【自民・和田氏の「政権おとしめる」発言、会議録から削除】
 自民党は20日、参院予算委員会理事会で、和田政宗参院議員が19日の委員会で、財務省の太田充理財局長について「民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めており、増税派だからアベノミクスをつぶすために、安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁をしているのか」と述べた発言の一部を会議録から削除するよう求め、了承された。
 発言について、19日の理事会で野党が「公僕への侮辱」と抗議していた。これを受け、和田氏が削除することに同意したという。20日の衆院財務金融委では、「部下が辱めを受けたことに抗議すべきだ」とただした希望の党の大西健介氏に対し、麻生太郎財務相が「その種のレベルの低い質問はいかがなものかと、軽蔑はします」と和田氏を批判した。
 自民党は、渡辺美樹参院議員が過労死の遺族が出席した13日の予算委中央公聴会で、「週休7日が人間にとって幸せなのか」などと述べた発言についても削除を求め、了承された。渡辺氏は遺族から抗議を受け、謝罪。自ら会議録からの削除を求めたという。
(3月20日、朝日新聞)

いやいや、そんな簡単に議事録を改ざんしちゃあダメだろう!
確かに、議事録は速記したものを原稿化した上で議員に送られ、言い間違えや数字の間違えなどを訂正、承認を受けて議事録に登録される。

国会の議事録は、本ブログでもたびたび引用しているが、ある法律が立法化される過程で、何故それが提起され、立法府においてどのような疑問や問題点が指摘され、提案者(日本では主に政府)がどのように答弁したかを明らかにすることで、意思決定過程の検証を可能にするためにある。ソ連共産党もスターリン期などの一部の時期を除いて政治局の議事録が存在するからこそ、後世の検証が可能になっている。

【参考】
・治安維持法は言論弾圧法ではなかった?!
・また発見!
・ソ連のアフガニスタン介入における意思決定過程
・「プラハの春」−ソ連の対応と誤算

議事録を何でも修正可能にしてしまえば、いくらでも改ざんできることになり、歴史的検証に耐えるものではなくなってしまう。従って、明らかな言い間違えや数字の間違えなどを除いて、たとえ名誉毀損の内容であれ、いかなる削除も許されるべきでは無い。むしろ、「不適当」な内容の質問や答弁を残すことにこそ、議事録の意味があるからだ。

今回の議事録改ざんが政党間の合意の上でなされたことは、国会の自殺行為であり、日本の統治システムがもはや歴史的検証にすら耐えられないレベルにまで堕していることを示している。
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2018年03月24日

口封じ用の退職金?

【佐川氏の退職金4999万円】
 財務省の矢野康治官房長は20日の参院財政金融委員会で、今月9日に辞任した佐川宣寿前国税庁長官の退職金が規定により約4999万円になることを明らかにした。学校法人「森友学園」への国有地売却問題に絡む懲戒処分に伴い、約66万円が減額される。現時点では支払われていないが、決裁文書をめぐる改竄(かいざん)問題の調査で、追加の懲戒処分が下されれば、さらに減額される可能性もある。
 民進党の古賀之士氏への答弁。佐川氏の勤続年数は36年で、退職理由は「自己都合」扱いとなっている。
 佐川氏は9日付で辞任し、「行政への信頼を損なった」として「減給20%、3カ月」の懲戒処分も受けた。財務省は、佐川氏辞任後の12日に文書書き換えを認めており、麻生太郎財務相は、今後の調査結果次第で、佐川氏に追加の処分を下す考えを示している。
(3月21日、産経新聞)

こんな時にわざわざ退職金額が「公表」されてしまうのは、どう考えても「退職金はほぼ満額出してやるから、余計なことはしゃべるなよ」という口封じだよなぁ。どこまでも腐りきってる。

それにしても、森友問題の本質は「自民党と官僚がグルになって国有財産をオトモダチで山分けしていた」ことにあるはずなんだけど、いつの間にか公文書改ざんに集約されてしまっているような。野党も目先のことしか見えていない。
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2018年03月22日

五輪にかこつけてデモ禁止へ

【東京都迷惑防止条例改正に「懸念の声」】
 2年後に迫る東京五輪、パラリンピックの開催に向けて、東京都議会では迷惑防止条例の改正案が22日、委員会採決される。改正案の主なポイントは「盗撮」と「つきまとい行為」の規制強化だ。盗撮行為については、学校や会社のトイレ、住居などでの盗撮を取り締まりの対象に加えるとしている。つきまとい行為については、新たに「住居などの付近をみだりにうろつくこと」「名誉を害する事項を告げること」などが規制対象に加えられる。これらはストーカー規制法で禁じられている行為だが、条例の改正案では恋愛感情がなくても“悪意”があれば規制できる。ただ、つきまとい行為については、政治家への批判や市民運動、取材活動の規制につながるのではないかという懸念の声が上がっている。小池都知事は16日の定例会見で「基本的には乱用されない」と強調した。
(3月21日、テレビ朝日)

小池東京都知事が、五輪にかこつけてデモや集会の取り締まりを可能にする「迷惑防止条例」改正案を提出している。弁護士会や市民団体からは、本条例を悪用してデモや集会を取り締まることができるとして批判を強めている。

その意図するところは、「悪意の感情」により反復して、「名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状況に置くこと」を行ったものを、告訴なく処罰することを可能にするというもの。
結果、アベ総理やコイケ知事に対する「悪感情」を露わにした非難の声を「繰り返し」上げた場合、裁判を経ずに行政罰(1年以下の懲役又は100万円以下)を科すことができるようになる。労働組合が組合員を集めて、会社の前で社長を非難した場合も、同様のことが起きるだろう。SNSなどのネットで、ある商品を非難して不買運動を展開した場合も、「迷惑」と判断される可能性がある。

本条例の恐ろしいところは、警察(警視庁)の解釈、裁量の余地が大きすぎるため、「何をして悪意ととるか」は全て警察の判断に委ねられている点にある。
戦前期において、国民を恐怖のどん底に突き落とした治安維持法も、二回の改正を経て、当局の解釈、裁量の余地が拡大された結果、当初の目的だった共産党を超えて、労働組合、合法社会主義者、社会運動家、反戦運動家、宗教家など広範囲に適用されるところとなった。
小池知事の「基本的には乱用されない」という説明も、治安維持法と全く同じだ(「基本的に」という前提条件が付いている時点で、治安維持法よりタチが悪いかもしれない)。
思索の自由を許して置かぬければならぬと云ふ御議論に対しては、私も全然同感であります。而して現内閣は思想の研究に付て、圧迫的方針を採って居るや否や云ふ御問に対しては、決して左様な考えはありませぬ。言論文章の自由は何処までも害せないやうにせぬければならぬと云ふのは現内閣の心掛けておる所であります。唯々しかしこれには一定の制限があります。国体を破壊しても、経済組織の根本を破壊しても、言論文章は自由であるといふことでは国家の治安を保つことはできませぬ(拍手)。それであります故に言論文章の自由は何処までも尊重致しますけれども、その害毒最も甚だしきものは取り締まって置かなければならぬと云ふのが、今日この治安維持法を提出した所以であります。

俗の言葉で申し上げれば此法律は無政府主義、共産主義を取締る法律であると言っても宜しいのであります。

世聞にはこの法律案が労働運動を禁止するがためにできるやうに誤解しておる者があるやうであります。此法律が制定されますと、労働者が労働運動をするについて、何等かの拘束を受けると云ふやうに信じて居る者があるようであります。斯の如きは甚だしき誤解であります。労働者が自己の地位を向上せしめるが為に労働運動することは何等差支えないのみならず、、私共今日局に当たって殊に内務省はその所管の省でありますが、左様な事に向かっては何等拘束を加へると云ふ考えを持たぬのであります。
(1925年2月19日衆議院本会議における若槻内相の答弁)

この時同じく本田義成議員が警察による乱用の恐れを指摘したのに対して、川崎卓内務省警保局長は、「乱用など云ふことは絶対にない」と断言している。

そもそも迷惑防止条例は、1964年に開催された東京五輪に際して、暴力団の介入や浸透を防ぐことを目的に制定されただけに、暴力団が衰退した今、権力の矛先が労働組合や市民運動に向けられるのは、彼ら的にはごく自然な流れなのかもしれない。オリンピックがその理由に挙げられる点も、恐ろしいほど酷似している。

日本はまた一歩、中国・ロシアに近づくようだ。さっさとリベラリズムやデモクラシーを僭称するのは止めれば良いのに。
posted by ケン at 11:18| Comment(2) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月16日

ニッポンスゴイ!天皇だけじゃ無い:どこまでも無答責の大日本

【<笹子トンネル事故>前社長ら過失問えず 全員不起訴へ】
 9人が死亡した山梨県大月市の中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故で、甲府地検は、業務上過失致死傷容疑で書類送検された管理会社「中日本高速道路」と保守点検を行っていた子会社の両社長(当時)ら8人全員を不起訴とする方向で東京高検などと調整に入った模様だ。ただ、不起訴後に検察審査会の議決で強制起訴される可能性も残っており、地検は遺族の処罰感情も踏まえ、最終的な結論を出すとみられる。
 送検されたのは、中日本高速の金子剛一前社長と「中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京」の岩田久志前社長ら当時の両社役員4人と点検担当者ら4人。中日本高速側が2012年9〜10月に実施した点検で、コンクリート製の天井板を固定していた、つり金具の最上部のアンカーボルトの緩みを見逃し、同年12月2日に発生した天井板崩落事故を招いたとされる。捜査関係者らによると、捜査で崩落はボルトの脱落が原因と判明した。
 一方で、施工段階ではボルトの強度が劣化する心配はないと考えられていた▽施工ミスでボルトの強度が当初から不足していた▽劣化を判断するのに有効とされていた、ハンマーで不具合を調べる打音検査は精度に限界があった−−ことも明らかになった。検察側は、事故約2カ月前の最後の点検に絞って過失が問えるかを検討。その結果、8人はボルトの劣化が進行しているとの認識が薄かったとみている模様だ。
(3月14日、毎日新聞)

【エレベーター事故無罪 「責任誰が…」遺族ら無念】
 エレベーター保守点検会社の3人を逆転無罪とした東京高裁判決。秋葉康弘裁判長が判決理由を読み上げる間、市川大輔さんの母、正子さん(66)はノートにメモをとりながらハンカチで目元を押さえた。閉廷後は東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、「息子に報告できない」と悔しさをにじませた。
 事故発生から11年余り。正子さんは行政や業界に原因究明を呼びかけてきた。国土交通省が再発防止策を打ち出すなど安全対策が前進する中で言い渡された無罪判決に、「これでいいのか。息子の命は誰が責任をとってくれるのか。問題は何一つ解決していない」と不満を口にした。
 会見に同席した前川雄司弁護士は判決が「点検時に異常が発生していた証拠がない」とした点に触れ、「いつ異常が発生したか、刑事裁判では分からずじまい。多くの問題を積み残したままの判決だ」と批判。中村雅人弁護士は「事故では点検時の記録がきちんと残されていなかった。記録があれば原因に迫れたはずで、万が一事故が起きたときの原因究明ができるよう、記録を詳細に残すことを業界全体に広げるべきだ」と語った。
(3月15日、産経新聞)

大日本帝国は、当時欧州で主流だった君主無答責原則を導入、同憲法第三条に「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」が明記された。これによって、天皇は統治権、立法権、軍事権、外交権などありとあらゆる権力を一手に有していたにもかかわらず、一切の責任が問われることがない無答責を定められ、さらに不敬罪が設定されて、過酷な国民弾圧の手段とされた。この君主無答責原則は、戦争裁判にも適用され、日本の侵略戦争によって300万人以上の自国民と、アジア太平洋地域では少なくとも2千万人以上の戦没者を出したにもかかわらず、昭和帝は起訴すらされず、かつ天皇の地位を保持した。

この君主無答責原則は、日本では国家全体にまで拡大適用され、戦前は中央政府も地方自治体もいかなる賠償責任も刑事責任も問われることは無かった。まさに統治者にとって理想的な環境にあったと言える。

この原理は戦後一度は否定され、連合国占領下で「国家賠償法」が制定、国または地方自治体による公権力行使の責任が認められ、被害が生じた場合には賠償責任が問われるところとなった。
ところが、実際の法律の運用では、閣僚を含む公務員個人が責任を問われることはなく、国賠訴訟で国側が敗訴したいくつかの判例は補償金を出すのみに止まっている。
確かに戦前と比較すれば進歩しているものの、公権力を用いて悪逆非道の限りを尽くした公務員や政治家個人の責任はいまだに問われないままにある。

微量の放射能を含めれば、全世界70億人を被ばくさせ、国内で16万人以上の避難者を出し、一歩間違えれば国土の半分が居住不能になるところだった東電福島第一原発事故に際しては、国側も東電側も誰の責任も一切問われていない。政治家、高級官僚、企業幹部の無答責原則が貫かれた結果、日本の核政策は継続されるところとなっている。

こうした無答責原則は、原発推進に限らず、貧困が蔓延する中で3兆円を使ってのスポーツ大会やカジノ解禁、核の脅威を無視した北朝鮮に対する先制攻撃の検討、あらゆる腐敗の蔓延となって、日本を蝕んでいる。

なお、イギリスは1947年に国王訴追法を制定、君主無答責原則を放棄している。日本は新憲法で「国民主権」を規定したものの、権力者の無答責原則は実質的に維持されている。人民主権への道のりは果てしなく遠い。
posted by ケン at 12:46| Comment(3) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月15日

勝ち馬は危険がいっぱい

【立民の地方議員急増…統一地方選へ駆け込み入党】
 立憲民主党の地方議員が急増している。6日の常任幹事会で67人の入党が承認され、計185人となった。来年春の統一地方選を見据え、駆け込みでの入党が相次いでいるためとみられる。
 67人の内訳は、北海道37人、神奈川県19人、東京都7人などとなっている。2月20日時点では118人だったが、2週間で1・5倍以上に増えた格好だ。福山幹事長は7日の記者会見で、「統一地方選を立憲民主党の公認、推薦で戦ってくれる方が、一人でも増えるよう広く全国的に呼びかけていきたい」と強調した。
 2月に投開票された東京都日野、町田両市議選では擁立した候補が上位当選しており、党関係者は「選挙に強いイメージが定着すれば、今後も他党からの移籍が増えるのではないか」と期待している。
(3月7日、読売新聞)

この期間に行われた自治体選挙で立憲民主党から候補者たちがことごとく上位、それも5位以内で当選したのを受けて、来年春に行われる統一自治体選挙に向けて雪崩現象が起きそうな勢いになっている。
これは2009年夏の総選挙で大勝した民主党が、翌10年の参院選に向けて候補者を公募したところ1000人以上も集まってしまい、選別が難しくなってしまったケースに似ている。維新の会が立ち上がったときにも、立候補希望者で溢れかえったことがある。

しかし、希望者が増えれば増えるほど、「勝ち馬に乗る」便乗型が増えるわけで、「議員になりたい」者ばかりになる傾向がある。結果、そのクオリティは著しく低下することになる。
ただでさえ、政治をめぐる様々な環境が悪化し、財政的にも厳しくなり、落選時の再就職も難しくなっている中で、冷静な判断を下せるものは議員に立候補したり、政治に関わろうとは思わなくなりつつある。それだけに、いま立候補しようというものは、「人生一発逆転」を狙う傾向が強まっている。

いささか内部告発的になってしまうが、(維新もそうだったが)立民の新人議員や候補者の質は、業界歴15年のケン先生の目から見ても恐ろしく低く、それらが上位当選してしまうことは、議会制民主主義が政治家の選別機能を果たしていないことを示している。但し、議員や候補の質が下がっているのは、自民党も同じで、自民党が候補者の公募が行うこと自体、政党として自前で候補者が出せなくなっていることを示している。そもそも一週間やそこらの選挙期間で、候補者の政治的素質を見極めろという、選抜システム自体に無理があるのだが。
いずれにせよ、「立民だから」「維新だから」というだけで投票するのは、自らの主権をドブに捨てて、後で議会政治に対して怨嗟を募らせるだけになりかねないので、重々戒めて欲しい次第。
posted by ケン at 12:24| Comment(4) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月14日

国家ぐるみで文書改ざん

【<森友文書改ざん>新たに1件 財務省、3年前にも削除】
 財務省は13日、公表済みの14件約300カ所の文書改ざんとは別に、新たに1件の決裁文書の改ざんを確認したと明らかにした。14日に国会に報告、職員の処分も検討する。森友学園への国有地貸し付けに関する文書に添付した資料を近畿財務局の職員が決裁後の2015年6月に抜き取り削除した。時期などが違うため、財務省は一連の改ざん問題と関連ないとみている。
 賃料設定方法に関する新たな改ざん文書は森友学園が15年6月に近畿財務局に情報公開請求。財務省の考え方を森友学園に知られることを恐れた職員が抜き取ったとみられる。情報公開請求に都合の悪い書類を公務員が隠したもので、ずさんな公文書管理が改めて問われる。
(3月14日、毎日新聞)

財務省は省を挙げて公文書を改ざんしていた疑いが強まっている。
今のところ判明している限りにおいて、森友文書は相当詳細に交渉経緯が記載されており、通常の公文書の域を逸脱している。このことは、森友関連の交渉が「異常」であるが故に、「通常の交渉とは異なる」ことを詳細に記載する必要があったためだと推測される。同時に、「これは現場の独断では無く、上層部の指示で行ったものである」ことを証拠として残しておくことで、「尻尾切り」を避けようとする下級官吏の深謀遠慮もあったと考えられる。実際、交渉経緯が詳細に記載されていたからこそ、トップが責任逃れを行うために、改ざんを指示したものと見て良い。結果、何重にも悪事を重ね、リベラル・デモクラシーの根幹を揺るがしている。

ところが、日本の官僚は明治体制からスライドしただけの組織であるため、採用に際し、主権者である国民・人民や憲法に対する忠誠を誓う必要はなく、リベラリズムやデモクラシーの理念を熟知している必要もないため、単に組織に対する忠誠心のみが問われることになっている。政府内で公文書改ざんが大々的に行われ、検察では検事調書の改ざんが日常化していることは、この国の官僚がリベラリズムやデモクラシーに何の理解も忠誠も無いことを示している。今回の件でも、ある財務官僚が「親分(と夫人)を守るためには仕方が無い」などと言っているそうだが、その目には主権者=国民が一切入っていないことが分かる。「大臣の利益が第一」なのだろう。
にもかかわらず、表面上だけリベラル・デモクラシーを標榜し、例えば高級官僚が国連の会議で「わが国は世界一の人権大国である」などと宣言してしまうのだから、非常にタチの悪いことになっている。いっそのこと開発独裁国を自認し、欧米諸国と一線を置いてくれた方が分かりやすい。

ところで、安倍総理はいつになったら「みっともない憲法」と「インチキ裁判」の破棄・撤回を宣言して、連合国に宣戦布告してくれるのだろうか?
posted by ケン at 12:22| Comment(2) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする