2017年03月06日

どこまでも人に金を出さない国

【ボランティア数百万人…障害者支援で政府計画案】
2020年東京五輪・パラリンピックに向け、障害者が暮らしやすい社会の実現を図るため、政府が策定する行動計画案の概要が19日、分かった。障害者や高齢者を支援するボランティアを20年までに全国で数百万人育成することなどが柱だ。行動計画案は障害者への考え方を変える「心のバリアフリー」と、障害者や高齢者に配慮した「ユニバーサルデザイン」の街づくりの2本立て。20日に関係閣僚会議を開いて正式決定する。安倍首相は会議で、政策立案段階から障害者に参加してもらい、必要な法改正を行うよう指示する。
(2月20日、読売新聞)

もはやボランティアというよりも勤労動員色が濃くなっている。そもそも障害者を支援するボランティアを「オリンピックに向けて」育成するという説明からして意味不明だ。五輪が開催されなければ不要だったのだろうか。
すでに記事にしているが、東京五輪では外国語通訳もボランティアで賄おうとしており、どこまでも正当な報酬・対価を払わずに人に労働力を提供させようとする、政府・五輪委員会の醜悪なる姿勢、あるいは収奪の意志が見て取れる。

巨大な祭典は、祝祭によって市民の不満を逸らすことと、巨大な公共投資によって景気増大を狙うことを目途とする。東京五輪はもともと支持者が3〜4割程度しかいなかったものを、広告会社などを利用した情報操作によって6割程度に水増しすることで強行しているだけに、「市民の不満を逸らす」目的は十分には成立しがたい。自民党や霞ヶ関は後者の名目にかこつけて腐敗・汚職の機会を設けて自己利益の拡大に努めている。巨大な五輪施設の建設には、全く金に糸目を付けずにつぎ込む一方で、運営要員にはまったく利益配分するつもりがないところからも、連中の狙いがどこにあるか分かるだろう。

この結末はハッキリしている。五輪用に建設される巨大施設は、他に転用する術が無く、何の生産にも寄与しないまま、遊休施設となる。しかも、維持費や解体費ばかりが巨大な負債として残される。市民はただ無給のボランティアとして動員されるだけで、後日、巨大な財政赤字が増税あるいはインフレとなって、市民生活を直撃するだろう。まさに末期のローマである。

自民党員と官僚ばかりが肥太って、市民はひたすら収奪される。にもかかわらず、自民党が支持されるのだから、もはや破断界は免れないだろう。まぁ、民進党も五輪を支持している時点で選択肢すら無いわけだが。
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2017年03月02日

FBやらずば殺られなかった?

【フェイスブックが命取りか=工作員が利用の可能性−正男氏暗殺】
 マレーシアで暗殺された金正男氏について、フェイスブックを利用していたため、北朝鮮の工作機関に居場所を突き止められた可能性があるとの見方が浮上している。英BBC放送やデーリー・メール紙などによると、正男氏は死亡時に所持していた旅券の名義と同じキム・チョルという名前でフェイスブックに登録。ホテルやカジノのそばに立つ自らの写真などを投稿していた。また、ジュネーブのインターナショナルスクールに通った経験があり、マカオ在住と記載。好きな歌手として五木ひろしさんを挙げていた。韓国の元情報当局高官は北朝鮮専門ニュースサイト「NKニューズ」に対し、「殺害の恐れがあった人物とは思えないほど隙のある行為。油断が死につながったのかもしれない」と指摘している。
(2月17日、時事通信)

まさに「キジも鳴かずば撃たれまい」を地で行く話。
画像や地図の検索精度が格段に上がったことで、いつ誰がどこで何をしているのか、わざわざ「ビッグ・ブラザー」を使わずとも、普通にSNSをチェックしていれば分かるようになっている。それだけに、稀にならともかく、「どこで何を食べた」とか「子どもと何をした」などという写真をネットにアップするのは、虚栄心を満たすだけで自分や家族の安全を犠牲にしていることに留意すべきだろう。
正男氏については、以前より治安関係者から「リスク管理が甘すぎる」と指摘されており、同時に北朝鮮当局などから暗殺の対象にされているという噂も流れていただけに、ハナから「カモネギ」の状態にあった。ただ、中国国内で暗殺すると、中共のメンツが潰れてしまうだけに、外交関係的に影響の小さい外国を狙っていたものと思われる。

本件に限らず、IT時代は利便性とプライバシーがトレードオフの関係になっている。伊藤計画的に言うならば、ある自由は他の自由を犠牲にすることで成り立っている。ネット通販で欲しいものを買うのは非常に容易かつ便利だが、趣味や消費傾向、あるいは住所や銀行口座、カード番号などが知られてしまい、あまつさえ「ビッグデータ」などとされて勝手に資本や国家に利用されてしまう。逆にネット時代にプレイバシーを守ろうとするなら、ネットに一切アクセスせず、監視カメラの視界外を歩かなければならない。
現実には個々人がバランスを考えながら取捨選択してゆくのだろうが、「水は低きに流れる」で、どうしても利便性に流れやすい。結果、人間は利便性の快楽に包まれつつ、急速に自由を失いつつある。

文学的に言うならば、正男氏は仮想空間に生を求めた結果、物理空間で抹消されたのである。
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2017年02月28日

ヤクニンに例外を認めるとロクなことにならない話

長時間労働も公文書廃棄の問題も、実は同じ根を抱えている。
例えば、労働基準法は32条で、
「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない」
「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない」

と定めており、このままにしておけば何の問題も起きなかったはずだが、以下に延々と例外事項を設けることで無限地獄を可能にしてしまっている。
【36条】「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。」

自衛隊の日報破棄問題も同じだ。公文書管理法は第5条で、
行政機関の職員が行政文書を作成し、又は取得したときは、当該行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。

としている。また、第8条では、
行政機関(会計検査院を除く。以下この項、第四項、次条第三項、第十条第三項、第三十条及び第三十一条において同じ。)の長は、前項の規定により、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。この場合において、内閣総理大臣の同意が得られないときは、当該行政機関の長は、当該行政文書ファイル等について、新たに保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。

として、容易に廃棄できないように規定している。ところが、同7条(行政文書ファイル管理簿)には、
行政機関の長は、行政文書ファイル等の管理を適切に行うため、政令で定めるところにより、行政文書ファイル等の分類、名称、保存期間、保存期間の満了する日、保存期間が満了したときの措置及び保存場所その他の必要な事項(行政機関の保有する情報の公開に関する法律 (平成十一年法律第四十二号。以下「行政機関情報公開法」という。)第五条 に規定する不開示情報に該当するものを除く。)を帳簿(以下「行政文書ファイル管理簿」という。)に記載しなければならない。ただし、政令で定める期間未満の保存期間が設定された行政文書ファイル等については、この限りでない。

とあり、防衛省はこれを盾にして「南スーダンの日報は保存期間1年未満の行政文書ファイルなので、公文書管理法8条の規定は該当しない」と強弁している。だが、7条で書かれていることは「行政文書ファイル管理簿」についての話であり、「政令で定める保存期間一年未満の文書だから自由に廃棄できる」などという解釈は、ルールの恣意的な解釈で、これを認めれば「何でも保存期間一年未満にしてしまえばOK」というルールの穴になってしまう。
こういうことを平気でやるのが、日本のヤクニンなのだ。

ヤクニン(ルールブック)に「例外」とか「等」を許すと、まずロクなことにならない。
長時間労働問題は、「例外を規制しよう」などというワケの分からない議論をしているからこそ、まとまるものもまとまらないのである。
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2017年02月27日

「約束の国」に向けてまた一歩

【大阪・森友学園 寄付募った名称は「安倍晋三記念小学校」】
 小学校用地として取得を望んだ国有地が隣地の「10分の1」という破格の安値で払い下げ――。不可解な国有地売却問題が浮上した学校法人「森友学園」(大阪市)が問題の小学校設立の寄付を呼びかけた際、ナント「安倍晋三記念小学校」なる名称を用いていた。「1口1万円で寄付を呼びかけられたのは、2014年のこと。森友学園がちょうど大阪府に小学校の新設認可を申請していた時期で、経営する『塚本幼稚園幼児教育学園』の園児の保護者に、ゆうちょ銀の払込取扱伝票を何度も配っていました」(保護者のひとり)
 伝票(写真)には「安倍晋三記念小学校」の文字がしっかりと記されている。この幼稚園は園児に「教育勅語」を暗唱させる“愛国教育”で知られる。「14年4月には安倍首相の妻、昭恵夫人が訪問。園長が『安倍首相ってどんな人?』と問いかけると、園児が『日本を守ってくれる人』と答える姿を見て、いたく感動したそうです」(関係者)
 その後、昭恵夫人は、問題の「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長の座に納まっている。森友学園には「安倍晋三記念小学校」という名称で寄付を募った経緯を繰り返し問うたが、「担当者不在」を理由に実質、取材拒否だ。学園の籠池泰典総裁は、日本最大の右翼組織「日本会議」の大阪代表・運営委員。総裁が幼稚園のHPに掲載した「インターネット上での当園に対する誹謗・中傷記事について」と題する声明文には、こんな表現がある。〈専門機関による調査の結果、投稿者は、巧妙に潜り込んだK国・C国人等の元不良保護者であることがわかりました〉〈日本精神をとりもどすためにも、(中略)断固として立ち向かう所存です〉ぜひとも調査結果を公開して欲しい。
(2月15日、日刊ゲンダイ)

安倍晋三記念小学校」、ロシア語にすると、"Частная школа имени Абэ Синзо"だが、私立なところが今ひとつピンとこない。まぁこの調子で「稲田朋美記念陸軍士官学校」とか、「世耕弘成記念原子力発電所」とかつくられ続ければ、かなりソ連っぽくなってくるな(爆)

【<厚労省>保育所 3歳以上に国旗や国歌の文言】
 厚生労働省は14日、保育所に通う3歳以上の幼児に対し、国旗や国歌に親しむことを求める文言を初めて盛り込む保育所保育指針改定案を公表した。同日文部科学省が公表した幼稚園の教育要領案に表現を合わせた形だが、保育所は学校教育法に基づく施設ではなく、保護者から幼児を預かる福祉施設のため、過度の押しつけにつながる可能性があるとの懸念が出そうだ。
 保育所保育指針改定案には、国旗について「保育所内外の行事において国旗に親しむ」、国歌については「正月や節句など日本の伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうたや日本の伝統的な遊びに親しむ」という表現が盛り込まれた。国旗は現行の幼稚園の教育要領、国歌はこの日公表された教育要領案と同じ表現となっている。
 保育指針改定案はパブリックコメント(意見公募)を実施し、18年度から施行する予定という。厚労省は改定について、「幼稚園と保育所の一体化を進めており、文科省の教育要領の見直しに合わせた。国旗掲揚や国歌斉唱を強制するものではない」と説明している。幼稚園は学校教育法で義務教育前の教育を担う場、保育所は児童福祉法で保護者に代わって保育する場とそれぞれ位置付けられており、本来の目的は異なっている。
(2月14日、毎日新聞)

いずれは保育所でも、国歌斉唱時に起立しなかった保育士を追放したり、保護者を糾弾したりということになるのだろう。反政府、反体制の親を持つ子どもは育児サービスすら受けられなくなることを意味する。

先の記事も合わせて、いよいよ「約束の国」が近づいてきたぞ。惜しむらくは、「パンの値段は50年間不変」ではなく、「ブラック企業にもしっかり補助金」というディストピア度の高さにあるわけだが。これは、社会主義を実現するために権威主義化を図るのでは無く、社会保障を放棄するために権威主義化を図るところに起因しているのだろうと推察される。
posted by ケン at 12:20| Comment(5) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月20日

封建制下での兄弟殺しは当たり前

【金正男氏暗殺 亡命政権構想引き金か 脱北者らの擁立を警戒】
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の親族を擁立して亡命政権を樹立しようという動きが北朝鮮国外であり、当局が国外に住む親族への監視・警戒を強めていたことが16日、複数の消息筋の話で分かった。マレーシアで殺害された異母兄の金正男(ジョンナム)氏(45)が亡命政権を計画する脱北者と接触していたとの情報もあり、加担を疑われて当局に暗殺された可能性がある。
 「『北朝鮮亡命政府』金平一(ピョンイル)擁立の声高まる」。こう書かれたビラが1月1日、韓国から北朝鮮に向け、風船で飛ばされた。在英脱北者団体が仕掛けたものだ。正恩政権崩壊後を見すえた亡命政権構想は、昨年ごろから米国や欧州の一部脱北者団体の間で持ち上がったという。
 金平一とは、金委員長の叔父の金平一駐チェコ大使(62)のことだ。金日成(イルソン)主席の息子という北朝鮮国内で絶対視される「白頭血統」を持つことから、亡命政権の首班として目をつけられたようだ。平一氏は、金正日(ジョンイル)総書記との後継者争いに敗れ、約30年間、東欧の大使を転々としてきた。
 正恩政権は以前から平一氏を警戒し、2014年末に監視のため、秘密警察、国家安全保衛部(現・国家保衛省)幹部をチェコに派遣していた。ただ、平一氏は目立った反応を示さず、昨年には、平壌に一時帰国し、大使館業務の改善を訴えるなど正恩政権に恭順の姿勢を見せているという。
 亡命政権構想の動きを受け、北朝鮮の治安当局内では、平一氏らの排除を主張する強硬論も台頭していたと伝えられる。
 脱北者団体関係者が次善の候補として接触したとされるのが正男氏だ。だが、平一氏と違い、正恩政権からの再三の帰国指示にも従わず、殺害されるに至ったとみられている。
 北朝鮮情勢に詳しい李英和(リ・ヨンファ)関西大教授は「亡命政権は構想にすぎないが、北朝鮮当局が過剰反応し、暗殺につながった可能性がある」と分析する。1月中旬には、金元弘(ウォンホン)国家保衛相が解任されたとされるが、正男氏と脱北者との接触を察知し、報告することを怠った責任を問われた可能性も指摘されている。
(2月17日、産経新聞)

「弟が兄をとか怖い」なんていっている人は自国の歴史を見直した方がよい。
古くは壬申の乱(叔父と甥)、奥州合戦(頼朝と義経)、観応の擾乱(尊氏と直義)に始まり、江戸期には徳川吉宗や井伊直弼による兄数人の毒殺疑惑がある。宇喜多直家の弟忠家は、兄が死ぬまで、自分はいつ殺されてもおかしくないと怯えながら暮らしていたという。
近年でいえば、昭和帝は秩父宮がいつクーデターを起こすか常に警戒し、何とか遠隔地に追いやろうとしていた。
封建制や王政に対するイメージが貧困すぎるのだろう。

現代の立憲君主国で兄弟争いが生じないのは、君主に実権がなく、「自由を謳歌した方が楽」という風潮が普遍化しているためだ。君主が財産と権力を一手に持ち、自由などどこにも存在しない時代には、「王になるか、臣下として犬のように生きるか」の選択肢しかなかった。
同時に、王侯貴族にとって自らの地位を脅かす最大の脅威は外敵ではなく身内だった。親族は「血が繋がっている」だけで継承権を持ち、怪我や病気で容易に死に至る保健衛生水準も相まって、権利を獲得するには外敵を排除、略奪するよりも身内を罠にはめて殺害する方が効率的だった。日本でも、『太平記』などを読めば、「それしかない」くらい親族間の争いしか存在しないことが分かる。戦国期でも、美濃斉藤家や尾張織田家の内戦は凄まじいものがあった。それ故に、中世には後継者が決定した瞬間、他の兄弟は全員殺害あるいは国外追放という事例が数多く存在した。
今日にあっても、より立憲的で民主的な平成帝と浩宮に対し、日本会議などが自衛隊と組んで秋篠宮を担いで「王政復古」クーデターを起こす可能性は「ゼロ」とは言えないだろう。

北朝鮮は、王制を地で行っているだけの話であり、我々はもっと想像力を働かせる必要がある。
posted by ケン at 12:35| Comment(0) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月14日

自衛隊日報廃棄と公文書管理法について

【<南スーダン日報>1カ月、防衛相に連絡なし】
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊施設隊が、首都ジュバで大規模な戦闘が起きた昨年7月7〜12日にまとめた日報を3カ月足らずで廃棄していた問題で、これらの日報が存在していたことが6日、分かった。防衛省統合幕僚監部が同日、明らかにした。
 日報は、ジャーナリストの布施祐仁さんが2016年9月30日に情報公開請求したところ、防衛省が同12月2日付で「既に廃棄」と回答していた。神奈川新聞社の取材に対し、統合幕僚監部は「(廃棄を理由に不開示決定したが)その後再度、日報存否の範囲を広げて探索したところ、当初の探索範囲の外である統合幕僚監部(東京都新宿区)において日報が見つかった」と説明した。情報公開請求があれば応じる、としている。統合幕僚監部は当初、「報告を終えた時点で使用目的を達することになり、報告の終了をもって廃棄とした」と説明していた。
 これを問題視した自民党行政改革推進本部長の河野太郎衆院議員(15区)が防衛省に文書管理の改善と、日報を再度探すよう求めていた。統合幕僚監部は河野議員に対し「電子データとして日報が残っていた」と説明。廃棄した、としていた日報全てが「残っている」と答えたという。南スーダンでは16年7月7〜12日かけて政府軍や反政府組織による大規模な戦闘があり270人以上が死亡、非政府組織(NGO)の施設が襲われ女性職員がレイプされたり、略奪されたりした。日報にはこのときの自衛隊の対応についても記載があるという。
(2月6日、神奈川新聞)

公文書管理法ができた理由(立法根拠)の1つは、対テロ戦争支援でインド洋に派遣された海上自衛隊の補給艦「とわだ」が「誤って」航海日誌を裁断機に掛けて処分していた事件にあった。その後、防衛省でもIT化が進んで、南スーダンの日誌も電子データで「発見」されたわけだが、電子化されている以上、物理的理由から廃棄処分する理由は存在しないはず。そして、防衛省側の説明は、「随時発生し、短期に目的を終えるものは1年未満に廃棄可能」という同省の「文書管理規則」に依拠していた。法律がザルなのか、運用者に法治主義が徹底されていないのか、追及すべき点は色々ある。
とわだ事件の報告書には以下のようにある。
【再発防止策】
このような問題点を踏まえ、今後、かかる誤りを二度と繰り返すことがないように、防衛省における文書管理が関係規則類に従い適切に実施されているかを確認するため、平成19年10月10日付けで、防衛省・自衛隊の全組織を対象に、行政文書(行政文書ファイルとして約220万件)の管理状況の調査を実施しているところ[資料6]であり、この調査結果を踏まえ、チェック体制の強化、文書管理に関する教育の徹底、規則類の見直し等の改善措置を今年度末を目途に講じる。

今回の事件は、10年前に「講じられた」はずの文書管理システムの改善が全く機能しておらず、かつ法律では無く省庁規則の例外規定を恒常的かつ広範に適用することで、自衛隊・防衛省が「不都合な事実」を大規模に隠蔽することを可能にしていることを示している。確かに公文書管理法は第5条で、
行政機関の職員が行政文書を作成し、又は取得したときは、当該行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。

とあるように、保存期間を「一年未満」にしてはならないとはしていない。だが、同時に第8条で、
行政機関(会計検査院を除く。以下この項、第四項、次条第三項、第十条第三項、第三十条及び第三十一条において同じ。)の長は、前項の規定により、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。この場合において、内閣総理大臣の同意が得られないときは、当該行政機関の長は、当該行政文書ファイル等について、新たに保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。

と定めているように、行政文書を廃棄するためには、防衛大臣の了承と総理大臣の同意が必要であり、同時に同法は、施行令、規則、ガイドラインいずれの段階でも、行政文書の廃棄について例外的な取扱いを一切認めていない。つまり、当該日誌の廃棄には稲田大臣の了承と安倍総理の同意が法律上不可欠なわけで、これを議会で確認、追及しなければ、問題の本質を突くことにはならないだろう。
なお、行政文書の定義は、防衛省が自ら以下のように述べている。
行政文書とは、防衛省の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録を含む)であって、職員が組織的に用いるものとして、防衛省が保有しているものをいいます。また、「組織的に用いる」とは、作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該行政機関の組織において、業務上必要なものとして、利用又は保存されているものを意味します。
防衛監察本部「コンプライアンス・ガイダンス」
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2017年02月10日

増える難民申請

【難民申請1万人超…就労目的の「偽装」が大半か】
 昨年1年間の難民認定申請数が、1982年に統計を取り始めて以降、初めて1万人を超えるのが確実となったことが、関係者の話でわかった。大半は就労目的の「偽装申請」とみられ、法務省が2015年9月に始めた偽装申請対策の効果が十分でない実態が、改めて浮き彫りになった。日本の難民認定制度は10年3月の運用改正で、申請6か月後から一律に就労できるようになった。このため、就労目的の偽装申請が急増。10年に1202人だった申請数は11年以降、過去最多を更新し続け、15年は7586人に上った。昨年は9月末時点で既に7926人。関係者によると、申請はその後も増え続け、年間で1万人を突破するのは確実だという。一方、昨年9月末時点で6人(15年は27人)だった認定数は大幅には増えない見通しで、申請数の増加が真の難民の審査に遅れを生じさせている可能性がある。
(1月26日、読売新聞)

申請者の就労が許されたのは、申請者に対する生活支援に限界があり、長期間に及ぶ審査の間は「自分で稼いでください」という目的だったが、これが悪用される形になっている。

この傾向は欧州でも同じで、欧州の場合は「シェンゲン」も相まってシェンゲン圏内で難民申請してしまえば、圏内のどこにでも行けて一定の就労も可能になるため、難民希望者は圏外での難民申請を拒み、「いかに圏内に入るか」ばかり考える。結果、ハンガリーのように「難民防止フェンス」を設置するという話になっている。現実には、「圧倒的多数の経済難民の中に少数の政治難民がいる」状況なのだが、欧州はリベラリズムの建前上、これを否定できない。だが、東欧諸国からは「リベラリズムなんぞクソ食らえだ!」と言われている。

日本の場合、欧州とは事情が異なるが、就労目的者が増えているという点は変わらない。大きく異なるのは、難民として入国するのではなく、一般的なビザで入国して難民申請する点にある。
難民申請が急増したのは、就労に関する運用変更が直接の原因ではあるものの、急増した申請者の大半は留学生と外国人技能実習生と見られており、もともと就労目的で入国したものの、待遇や労働条件が劣悪であるため、「難民就労」に切り替えているものと推察される。例えば、留学生の実態を無視して「30万人計画」を強行した結果、就学目的外の者が流入している。技能実習生の場合、劣悪な実習環境から5年間で1万人以上が失踪しているにもかかわらず、実習対象を増やし制度拡大が図られている。

要は、留学生の数を絞って、技能実習制度を廃止すれば、少なくとも急増した分の偽装申請は抑止できるはずだ。何のことは無い、自業自得の話なのだが、究極的には「移民を認めるのか、認めないのか」というところに繋がってゆくだろう。

【参考】
問題は奴隷制度そのものに 
無理目の外国人看護師・介護士 
posted by ケン at 12:13| Comment(0) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする