2020年08月21日

中華思想もいい加減にしろ〜TikTok規制について

【TikTok規制に中国政府が懸念伝える 「日中関係に大きな影響与える」】
 「TikTok」など中国製のアプリについて利用を制限すべきとの議論が日本国内で出ていることを受け、中国政府が、“アプリが禁止されれば日中関係に大きな影響を与える”との懸念を外交ルートを通じて日本側に伝えていたことがJNNの取材でわかりました。
 「TikTok」などの中国製アプリを巡っては、利用者の個人情報が中国政府に渡るおそれがあるとして、アメリカのトランプ大統領が利用禁止に言及しているほか、日本でも自民党の議員連盟が規制に向けた法整備を政府に求める方針です。
 こうした動きを受けて、中国政府が外交ルートを通じて、「中国のアプリが禁止されれば、両国関係に大きな影響を及ぼす」として、日本側に懸念を伝えていたことが政府関係者への取材でわかりました。これに対し日本側は、「国会議員の活動に政府は関与しない」と説明したということです。
(8月7日、TBS系)

私のところにも、「日本政府がTikTokやWechatを禁止したら日中関係は大変なことになる」と言ってくる「親切な中国人」がいるのだが、こればかりは、「まず中国でツイッター、Line、ニコニコ動画、Pixivなどを解禁してから言ってこいよ。中華思想はいい加減にしろ!」と思う。大アジア主義者のケン先生がそう思うのだから、他の日本人は尚更だろう。

この手の「オレのルールは世界のルール、お前のルールは興味ない」という中華式ジャイアニスムは、私が大陸に渡ってからわずか二年の間にも増長してしまっている気配がある。そして、この点こそが中国がアジアにおける覇権確立に大きな影響をあたる蓋然性がある。「力」だけで覇権を握るのは困難だからだ。
冷戦期のアメリカには「自由」、ソ連には「共産主義」の大義が、曲がりなりにも存在したが、現代中国にはパワーしか無く、その上謙譲の美徳すら失われれば、ただの暴力団となるだろう。

『史記』淮陰侯列伝が言うところの「学道謙譲」であり、それを教えることもまた私が大陸浪人となった遠因の一つでもある。
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2020年08月18日

中国政府が「でたらめな抗日ドラマ」の放送禁止

【中国政府が「でたらめな抗日ドラマ」の放送禁止】
 中国では各メディアが23日ごろから次々に、抗日戦争の歴史を歪曲したり過度に娯楽化したテレビドラマの放送が禁止されたと紹介する記事を発表した。中国ではこれまでにも、史実をねじ曲げたドラマが横行しているとの批判があった。
 中国メディアが情報の「根拠」としたのは、国家広播電視総局が2020年7月16日付で発表した「抗戦75周年を記念するテレビドラマの放送手配を行うための通知」だ。「抗戦」とは一般に、1945年まで続いた日中戦争を指す。日本では8月15日が「終戦の日」とみなされているが、中国では9月3日が「勝利記念日」とされ、各種の催しが開催される。
 国家広播電視総局の通知は、「勝利記念日」などに放送する番組について、思想上の内容や政治的意義、さらに、習近平政権が今年中に完了すると表明している「貧困の撲滅」を題材とする番組との連携も考慮するよう求めるなど、多岐にわたった内容だ。しかし中国メディアが22日ごろから盛んに発表した記事は、通達中のごく一部である「常識や社会通念に反する、歴史を勝手に解釈したドラマ化、抗戦を過度に娯楽化したテレビドラマ」の放送を禁じる部分に焦点を当てた。
中国では、あまりにも荒唐無稽な「抗日ドラマ」があるとの根強い批判があった。いわゆる「八路軍」など、共産軍に属する部隊の兵士などがあまりにも「超人的」な活躍をしたり、当時の武器装備の実情を無視しているなどの指摘だ。また、登場する中国人に「オレが日本軍を恨むのは、日本兵がオレの“祖父”を殺したからだ」というセリフがあったなどとして、個別の作品について「あまりにもでたらめ」との批判も発表された。「神劇」などと皮肉る言い方が広まったほどだ。批判の声が強かったからこそ、メディアも通達中の該当部分に特に注目したと考えてよいだろう。
なお、国際社会では多くの国が、日本側代表が東京湾に停泊した米国の戦艦「ミズーリ」上で、連合国側に対する降伏文書に署名した9月2日(1945年)をもって、第二次世界大戦終結の記念日としている。ただし、旧ソ連は戦勝祝賀イベントを開催した翌9月3日を戦勝記念日とした。中国も旧ソ連が定めた戦勝記念日を踏襲したとされる。
(7月25日、Record China)

良くも悪くもお笑いのネタだったのに。。。
「ネタ」と笑うのは日本人だけではなく、うちの学生や私の友人に言わせると、中国の若者でも本気で史実として見ている者はいないという。
逆に中国側の制作者たちは、「抗日ネタなら何をしても許される」との認識から、「本当は普通のドラマでやりたいこと(ギャグやエロ系)」を全て抗日ドラマにつぎ込んでしまった結果、今日の「惨状」が発生したという面もある。
日本人がネタ的に「表現の自由の侵害」と叫ぶのは、あながち100%間違いというわけでも無いのだ。
香港問題や米中対立などが深刻化する中で、当局は統制を強めており、ケン先生も他人事とばかりは言っていられないものがある。
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2020年08月15日

香港問題に対して本土人は?

【香港、周庭氏ら10人保釈 SNS投稿問題視か】
 香港当局は12日未明までに、国家安全維持法(国安法)違反などの容疑で10日に逮捕した香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英氏や民主活動家の周庭氏ら10人全員を保釈した。当局は今後、起訴に向けた捜査を進めるとみられる。
 周氏のフェイスブックなどによると、同氏には国安法施行後の7月以降、「インターネット交流サイト(SNS)を利用して外国勢力と結託し、国家の安全に危害を加えた」疑いが持たれている。ただ、問題となった投稿の具体的な時期や内容については説明がなかったといい、周氏は「政治的弾圧だ」と憤った。
 周氏は国安法施行直前、所属していた政治団体「香港衆志」脱退を表明。その後は目立った活動を控え、SNSでの発言も抑制気味だったにもかかわらず、当局は摘発に踏み切った。
 米国をはじめとした国際社会に対して民主派支援や中国政府への制裁を求める「国際戦線」を重視してきた活動家らにとって、SNSは「主戦場」だ。新型コロナウイルスや当局の規制強化によって、デモや諸外国訪問を通じた訴えが困難になってからは特にその傾向が強く、周氏の逮捕は他の民主派や市民に対するさらなるけん制になる。
 当局は周氏の旅券を没収、リンゴ日報によれば、同紙発行元の壱伝媒(ネクスト・デジタル)社員の一部資産が凍結された。保釈金は黎氏が50万香港ドル(約690万円)、周氏は20万香港ドル(約280万円)に上り、両氏の過去の逮捕時に比べて高額だ。
(8月12日、時事通信)

日本では反中右翼とリベラル派が奇妙な合従連衡を形成、マスゴミも同調する形で反中意識が急速に高まっている。
内政干渉を非難する中国政府に対し、日本政府はほぼ沈黙を続ける一方、一部の議員らは「内政干渉では無い」と反論している。
対ソ干渉戦争(俗称シベリア出兵)の経緯を知るソ連学徒からすると、「こいつらまたやる気か」「宣戦理由をつくる気だな」と考えてしまう。

香港問題は、「一国」を重視する中国政府と、「二制度」に重きを置く西側諸国との認識の差異に起因しているが、「一国二制度」そのものが英国による植民地支配の残滓であり、英中の国力差が無かった1980年代の返還交渉に際して、中国側が苦汁を飲んで受け入れた経緯がある。本来であれば、武力によって強奪、植民地支配した他民族の領土を返還するのに条件を付けること自体が不当かつ暴力的だからだ。
日本の保守派・帝政主義者の場合、植民地支配そのものをいまだ肯定しており、明治帝政の侵略主義も否定しているが、この連中が香港問題で二制度を支持すれば支持するほど、中国側では「日本はまたぞろ大陸進出を狙っている。香港はその最終拠点だから必死に介入しようとしているのだろう」という認識になってしまう。
私などが「いやいや、さすがに今どき大陸進出まで考えている日本人は殆どいませんよ。むしろ中国による侵略に恐怖しているくらいで」といくら説明してみたところで、「いやいや、中国は未だ後進小国で、いつ米英に侵略されてもおかしくない、日本も同調するだろう」「だからできるだけ早く橋頭堡を潰しておかなければ」くらいの反論が来てしまう。
この辺のどうにもならない認識格差は、日本ではなかなか理解されないだろうが、幕末期に「このままでは日本は欧米列強の植民地になってしまう」と日本全体がシグルイ化してしまったことを思い返してもらいたい。

全体主義学徒としてのケン先生がここで主張したいことは、日本や欧米が香港を擁護すれば擁護するほど、中国側は「やはり香港は欧米列強の大陸進出、反共の橋頭堡であり、一刻も早く潰す必要がある」という認識を加速させてしまっているというものだ。
例えば、今回逮捕された周庭氏が良い例で、日本側が「民主の女神」などと持ち上げ、国会議員らがこぞって彼女をアイドル化して、一緒に写った写真をSNSに上げている。
これについて、中国の当局者がケン先生に「意見」を求めてきたことがあるのだが、自分から「先生の意見を伺いたい」と言ってきながら、「日本政府は自分ではさすがに香港の民主化運動を支援できないものだから、野党を経由して香港の民主派を支援しているんでしょう。なかなかあざといことをしますよね」などと延々と自分たちの「妄想」を説明されてしまったことがある。
これは、ソ連や中国が直接日本の社会党を支援できないために、友好商社をつくって、その貿易差額を両党にキックバックしていた経緯が念頭に置かれている。その結果、中国側は「欧米日も同じ事をしているに違いない」と考えているわけで、少なくともアメリカは世界中で非米国の反体制運動を支援しているため、あながちウソとも言えないのだ。

そのため、日本で彼女を支援する動きが高まれば高まるほど、「こいつは相当な大物に違いない」という誤った認識を助長してしまっている。もちろん、向こうの良識派は「周などただの偶像であって、本体は別」という認識を持っているのだが、「証拠が無いこと」に加え、他国が騒ぐほど懐疑派の声が強まってしまう傾向にある。
この辺りの問題は、アメリカがイラク・フセインの情報欺瞞に踊らされた挙げ句、疑念を深め、「大量破壊兵器があるかもしれないから、先に攻撃してしまえ」と決断してしまった2003年のイラク侵攻の経緯とよく似ている。
もっとも、香港の場合、英米による反中謀略活動の拠点となっていることは間違いない(程度の問題はあるが)。

また、大陸の一般市民からすると、香港市民に同情する向きもあるが、あくまでも少数派(それもかなり少ない)に止まっており、大半は「同じ中国国民なのに、連中だけ様々な特権を享受している上、大陸人を蔑視している。いつまで買弁気取りなんだ!」という根深い不信感と差別感を抱いている。そして、こうした反香港感情が、中国政府と中共の積極的判断を後押ししている。

現地の状況と西側報道を見て、イデオロギー視点で物事を考えてしまうと、「中共ケシカラン、悪即斬」という結論にしかならない。
それは、干渉戦争への道でしかない。「シベリア出兵」が「チェコ軍団の救出」「邦人保護」「人道支援」の名目で正当化されたことを忘れてはならない。

補足しておくと、「外国勢力と結託して国家分裂策動を行った」容疑の周庭氏らは逮捕後一日で保釈されているが、日本では「コロナ渦でのプール反対」のビラをまいた高校生が逮捕されて二十日間拘留されている。

例えば、1937年に起きた人民戦線事件では、治安維持法によって、社会民主主義者、労働運動家、マルクス経済学者などが一斉検挙され、一次、二次含めて480名以上が逮捕された。ところが、起訴されたのは30人にも満たない上、法廷で有罪判決が下されたのはわずか数人に過ぎず、圧倒的多数は無罪に終わった。数件の有罪判決についても、判決が出る前に容疑者は保釈され、かつ控訴審は延期され続けたまま終戦を迎え、結審に至らずに終わった。このことは、当局が対象を必ずしも有罪にしなくとも、強制捜査や検挙、拘束することだけで、対象の動きを抑止することが可能であることを示している。もちろん、日本の現政府は人民戦線事件、横浜事件などについて違法性や非人道性を認めていない。
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2020年08月14日

ポーランド自主管理労組「連帯」結成40周年

本日はポーランドの独立自主管理労働組合「連帯」の結成40周年にあたります。西側世界では、東側における民主化運動の象徴とされ称賛されましたが、ソ連学徒としてその実態を追究しました。

ポーランド危機をめぐる経済情勢

現在も西側自由主義史観とイデオロギーをもって他国の運動や情勢を見てしまう人が多く、30年にわたってソヴィエトや全体主義を学んできたケン先生的には危惧を抱いています。
同様に、これは某同志が指摘していたことですが、MMT(現代貨幣理論)が一部でもてはやされていますが、本ポーランドのケースは一つの例証(冷笑?)になると思いますので、一度読まれた方も是非この機会に再読してみてください。
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2020年08月11日

日ソ開戦でロシア大使館ツイッターが炎上

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ロシア大使館がわざわざ日本語で挑発的な教訓を垂れてくれたおかげで、右派論壇が沸騰している模様。

ソ連学徒として踏まえておきたいのは、1.極東軍事裁判がソ連参戦の正当性を認め、日本政府はサンフランシスコ講和条約で同判決を受け入れていること、2.日ソ共同宣言でソ連は日本の連合国(日本名は国際連合)入りを認める一方、日本はソ連に対するあらゆる請求権を放棄していること。

もう一つ忘れがちな点は、日本は日露協約(1907年)で互いの領土保全と平和善隣を確約していたが、一方的に破棄して宣戦布告無しで対ソ干渉戦争(日本名はシベリア出兵、1918-22)を行ってイルクーツクまで占領していること。

右翼、帝政主義者どもが非難すべきは、サンフランシスコ講和条約と日ソ共同宣言を破棄しない現日本政府だろう(笑)
裁判記録や国際条約を読んだこともないだろう連中に言っても無駄とは知りつつも、極東軍事裁判の判決文をもう少し補足しておきたい。
『東京裁判』 朝日新聞法廷記者団編 東京裁判刊行会(1962)から引用する。
日本はソビエト連邦と中立条約を締結することに誠意をもっていなかったが、ドイツとの協定がいっそう有利であると考えたから、ソビエト連邦に対する攻撃の計画を容易にするために、中立条約に調印したように見受けられる。ソビエト連邦に対する日本政府の態度についてのこの見解は、一九四一年七月十五日に、東京のドイツ大使がベルリンあての電報の中で報告した見解と合致する。ドイツとソビエト連邦の戦争における日本の『中立』は、ソビエト連邦に対して日本自身が攻撃を行なうまでの間、ドイツに与え得る援助に対する煙幕として、実際に役立ったのであり、またその役に立つために企図されたようであった。本裁判所に提出された証拠は、日本がソビエト連邦との条約に従って中立であったどころか、その反対に、ドイツに対して実質的な援助を与えたということを示している。

日本は満洲で大規模な軍事的準備を行ない、また同地に大軍を集結し、それによって東方のソビエト陸軍の相当な兵力を牽制した。この事がなかったならば、この兵力は西方でドイツに対して用いることができたであろう。これらの軍事的準備は、ドイツと日本の政府によって、右のような意味のものと見倣されていた。駐日ドイツ大使は、一九四一年七月三日に、ベルリンあての電報で、『なかんずく、右の目的の実現を目途とするとともに、ドイツとの戦いにおいて、ソビエト・ロシアを極東において牽制する目的をもって軍備を増強することは、日本政府が終始念頭に置いているところである』と報告した。
 同様にリッベントロップは一九四二年五月十五日に、東京あての電報で、ソビエト連邦に対する奇襲攻撃の成功は、三国同盟諸国に有利に戦争を進ませるのに非常に重要であろうということを指摘したが、同時に、前に述べておいたように、『ロシアは、どんな場合でも、日本とロシアとの衝突を予期して、東部シベリアに兵力を維持しなければならないから』、ソビエトに対する戦争におけるドイツヘの積極的援助として、日本の『中立』の重要性を強調した。

これらの行為は、すべて中立条約に基く義務を無視して、また日本がソビエト連邦に対して行なおうと企てていた戦争の間接的な準備として、ソビエト連邦をドイツとの戦争で妨害するために行なわれたのであると主張された。中立条約が誠意なく結ばれたものであり、またソビエト連邦に対する日本の侵略的な企図を進める手段として結ばれたものであることは、今や確実に立証されるに至った。

私を含めソ連学徒たち(ごく少数ではあるが)が、「関特演によって中立条約は実質無効化していた」というのは、極東軍事裁判の認識であり、それは全連合国一致の見解とされた。日本はその連合国(United Nations)に加盟するにあたって、同裁判の判決を否定することなく全て受諾、許容することが求められたのである。
個人がどれだけロシアに憎悪を抱こうか勝手だが、国家間の関係は私怨だけでは保てないのである。
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2020年07月15日

ロシアが改憲して領土割譲禁止

【改憲の領土割譲禁止、プーチン氏が北方領土を示唆】
 ロシアのプーチン大統領は3日、ロシア憲法改正法案で定めた領土割譲の禁止条項を巡り、北方領土を念頭に「この条項が特別な意味を持つある地域の住民が記念碑を建てた」と意義を強調した。日ロ間の懸案である北方領土が条項の念頭にあることを強く示唆した。
 3日のテレビ会議で語った。プーチン氏が領土割譲の禁止条項を巡り、北方領土に触れるのは初めてとみられる。改憲法案は4日に発効する。北方領土の国後島では2日にこの条項を刻んだ記念碑が建てられ、ロシア国旗を手に改憲を祝う住民の姿が国営テレビで報じられた。
 会議でプーチン氏は改憲が「国民の期待に合致する」と総括した。具体的な成果として領土割譲の禁止条項を最初に挙げた。記念碑に言及し、条項が北方領土に「特別な意味」を持つとの認識を示した。条項が「一部の地域だけでなく、非常に多くの敏感なロシア領土に関係する」とも語った。
 改憲では国境画定を除き、「領土割譲に向けた行為や呼びかけを許さない」と明記した。プーチン氏が条項と北方領土との関係を自ら指摘したことで、日ロ間の領土問題の解決がさらに困難になるとみられる。
 日ロ首脳は平和条約締結後に北方領土の歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すとした1956年の日ソ共同宣言を基に、平和条約交渉を進めることで2018年に合意した。モルグロフ外務次官は2日、改憲後も日ロ平和条約交渉は「継続できる」と述べ、領土の帰属はもともと交渉の対象外だとの認識を示していた。
 改憲はプーチン氏の5選を可能にする内容を含む。4日の発効で20年に及ぶプーチン体制のさらなる長期化が正式に可能になった。中央選管は3日、1日に実施した改憲法案の賛否を問う全国投票について、賛成票77.92%、反対票21.27%の開票結果を確定した。投票率は67.97%だった。
(7月4日、日本経済新聞)
日本では北方領土と結びつけて、「日露交渉は終わった」旨の報道や有識者のコメントが流されている。専門家でも同様のコメントが散見され、絶望的な状況にある。
改憲によって新たに規定された「領土割譲禁止」の項目は、ロシアの飛び地であるカリーニングラード(旧ケーニヒスベルグ)や新たに獲得したクリミア半島などが主な対象であり、潜在的には中国から割譲要求が起こりかねない沿海州も含まれる。同様の意味では、NK党などが要求する「全千島の返還」などもこれに相当するだろう。

いわゆる北方領土問題は、1956年の日ソ共同宣言(国際条約)によって「二島を引き渡す」旨が規定されており、これは新憲法の「国境画定を除く」規定に該当すると見るのが妥当だろう。つまり、新憲法で一切の交渉が禁じられたのは国後と択捉の二島であるが、これは元々日露のパワーバランスを考えた場合、最初から交渉の余地は無い話だ(ロシア側が手放す理由が無い)。
そもそも「四島返還」は日ソ共同宣言の締結後に、アメリカの介入を受けて日本が反ソ姿勢を明確にするために強調し始めたプロパガンダであり、現在では「瓢箪から駒」となって、日本人の99%が真実を見失ってプロパガンダを信じてしまっている。

現状の東アジアの安全保障環境を考えた場合、中国と南北朝鮮と対立を抱え、根深い対アジア差別感情を抱える日本は、東アジアにおいて完全に孤立しており、にもかかわらずアメリカのコミットメントが急低下している。その中で、ロシアは資源と軍事上の問題で、協調可能な国となっているが、日本は協調を拒否して対立を選択し続けている。
安倍氏は自らの政治基盤を背景に、こうした状況の打開を図ったものの、安倍氏ですら実現できなかったことが問題なのだ。居住希望者すらいない、開発投資する余力もない北方領土返還を主張するのが空虚を通り越して愚挙でしかない。
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2020年07月11日

イダルゴ・パリ市長の公約

【仏地方選で環境派躍進 与党敗北、パリは左派維持】
 フランスで新型コロナウイルスの流行により3月から延期された統一市区町村議会選(比例代表2回投票制)の第2回投票が28日、即日開票され、気候変動問題への関心の高まりで追い風のヨーロッパエコロジー・緑の党(EELV)が躍進した。マクロン大統領の国政与党、共和国前進(REM)は各地で敗北。パリ市長は左派の現職女性が再選を決めた。地元メディアが報じた。市区町村長は議員の互選で選出される。EELVは南東部グルノーブルの市長の座を維持した上、南部リヨン、東部ストラスブール、南西部ボルドー、中部トゥールなどの都市で次々と勝利した。
(6月29日、共同通信)

6月のパリ市長選で再選を決めた社会党アンヌ・イダルゴ女史の主な政策。高校仏語レベルの意訳なので、参考程度に。相変わらずこの手のフランス語は訳しづらい。
・市場原理による都市自治の支配に反対する。民泊、ウーバー、アマゾンなど私たちの生活や労働の価値観を破壊するコンテンツと闘う。不動産投機の抑制を図る。

・公共サービスを守る。パリ水道の再公営化は公共サービスの重要性を再認識させた。自治体が関与する事業への市民参加を進める。

・国家権力が肥大化する今こそ自治体の意思表示が重要になっている。あらゆる場面における市民の意思表示と意思決定への参画を促進しするとともに、市民による監査機能の強化を模索する。

・新たな官民関係を模索し、民間部門と公共部門の再定義を図るりつつ、市場原理主義と戦い、公益と公的サービスを守り、パリ市民の高い生活水準を保障する。

「待機児童ゼロ」「ペット殺処分ゼロ」「電柱ゼロ」などのセンセーショナルな主張は、情報操作や隠蔽の温床にしかならないというのが最近の傾向。
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