2019年09月10日

ポーランドがドイツに賠償請求?

【ポーランド侵攻から80年、復活するドイツへの戦後賠償要求の動き】
 第2次世界大戦の口火を切ったナチス・ドイツによるポーランド侵攻から1日で80年を迎えた。だが、ナチスによる爆撃の音は、80年が経過した今も両国の戦後賠償論争の中にこだましている──。
 隣り合わせの両国はここしばらく、北大西洋条約機構(NATO)、そして欧州連合(EU)の同盟国として、第2次大戦のページをめくったようにも見えていた。
 しかし、2015年のポーランド総選挙でその様相ががらりと変わった。与党となったEU懐疑派の右派政党「法と正義(PiS)」は、EUやドイツとの関係を政治的駆け引きの道具として利用し、また戦後賠償に関する論争も再開させたのだ。
 ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は先月、「ポーランドはいまだ適切な補償をドイツから受けていない…第2次大戦でわが国は600万人の国民を失った。大きな補償を受け取った国々よりもその数はずっと多い」と発言していた。
 2017年、PiS党首のヤロスワフ・カチンスキ氏はこの問題を再提起した。それ以来、議会の委員会が戦時中のポーランドの人的・物的損失の規模について見直す分析を行ってきた。
 その規模については、大戦直後の1947年に行われたポーランドの算出額を上回り、現在の換算で約8500億ドル(約90兆円)に相当すると、PiSのアルカディウシュ・ムラルチク議員は語る。
 AFPの取材に応じた同議員は「第2次大戦が終わって随分たつが、ドイツは自らの過去を反省していない。ドイツは法の支配による民主的な基準を守り、人権を尊重することよりも、自国の予算の安定を気にかけているのだ」と述べた。
(9月2日、AFPより抜粋)

すでにギリシアがドイツに対して同様の賠償請求を行っているが、隣国のポーランドが公式に賠償請求するとなると、他国の追随も起こりうるだろう。バルト三国やウクライナ、チェコ、旧ユーゴ諸国など、可能性を考えれば枚挙にいとまが無い。あるいはフランスやイタリアですら、「やっぱ俺も納得いかん」となるかもしれない。
これが本格化すれば、EUなどひとたまりも無さそうだ。
もともとEUは、二つの世界大戦を繰り返さない理念の下に始まったものであり、歴史問題を蒸し返し始めると、ドイツ人ですら「ヴェルサイユ条約が〜〜」「ドイツ分断が〜〜」と始めてしまう恐れがあり、もはや理念崩壊だ。

ギリシアの場合、ドイツは1960年の多国間戦後補償解決の一環としてギリシアに対しても一定額を払っており、「解決済み」としている。これはやや日韓の問題と似ている。

ポーランドの場合はより厄介で、保守系議員たちは「共産党政権が行った東ドイツとの合意は、ソ連の強要によって傀儡政権が行ったものであり、何重にも違法」という主張を行っている。確かに全否定できないところが厄介なのだが、これを認めてしまうと、東欧諸国やウクライナ、ベラルーシ、バルト三国も、「じゃあ、俺も」となるだろう。ウクライナとベラルーシはソ連の構成国だが、「ソ連加盟は強要されたものであって違法」と言い出せば終わってしまう。
厄介のは、西側自由主義史観ではそれを認めざるを得ないところにある。「ソ連=独裁=悪」という史観に立てば、共産党政権や一党独裁自体が市民の合意なくして成立した不法の政権であって、それに強要された契約はすべて不成立であると言われれば、それを否定するのは難しいだろう。

さらに難しいのは、仮にドイツに対して賠償請求を行った場合、「じゃあロシアに対してはどうなるんだ?」という意見が必ず出てくることだ。ポーランドやバルト三国などの場合、いわゆる「往復ビンタ」状態になり、それが被害を拡大させた原因になっているだけに、ソ連の後継であるロシアに対して賠償請求しないとなれば、異論が出るのが自然だろう。
そうなった場合、またぞろドイツとロシアに「なんだ貴様は!」と言われ、両国で対ポーランド感情が急悪化することは間違いないだろう。

どう見ても理性的には得策ではないと思われるが、より過激な主張をした方が(デモクラシー的に)票を集めてしまうところが非常に危険になっている。この点、今の日韓も同様で、より激しく相手を罵倒した者が喝采を浴びる状態にまで来ている。

世界はより不穏で不安定な時代に突入していきそうだ。
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2019年09月01日

青瓦台「米軍基地早期返還」を要求

【青瓦台、NSC会議後に「米軍基地早期返還」を公に要求】
 青瓦台(韓国大統領府)は30日、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長の主催で国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、竜山など米軍基地26か所の早期返還と平沢基地(キャンプ・ハンフリーズ)への早期移転を積極的に推進したいと発表した。青瓦台がNSCまで開いて在韓米軍基地の「早期返還」を公に要求するのは異例と評されている。韓日軍事情報包括保護協定(GCOMIA)破棄決定の後、米国政府は公に不満を表明してきており、韓国政府はハリー・ハリス駐韓米国大使を呼んで「自制」を要求した。こうした韓米対立の状況での米軍基地早期返還要求は、米国に対する公の圧迫措置と解釈されている。
 青瓦台はこの日、NSCの後に出した報道資料で「在韓米軍再配置計画に基づく早期返還を積極的に推進することとした」として、「竜山基地返還手続きは今年中に開始し、基地返還が長期間遅れている原州、富平、東豆川地域の4基地は最大限の早期返還を推進することとした」と発表した。
 青瓦台は仁川市富平のキャンプ・マーケット、江原道原州のキャンプ・ロング、キャンプ・イーグル、そして京畿道東豆川のキャンプ・ホビー射撃場の名前を具体的に挙げつつ「基地返還が長期間遅れていることにより社会的・経済的困難が生じている」とも主張した。米軍が当初合意した日程の通りに基地を移転せずにいることから、移転ができるだけ速やかに実現するよう措置を取りたいという意味だと解されている。青瓦台の関係者は「韓米合意に基づく平沢基地への移転を、定められた手続きどおりに推進しようというもの」だとして、「米国側に事前通知を行った」と語った。
 一部からは、韓国政府がGSOMIAをめぐる韓米対立や米国の急激な防衛費分担金引上げ要求に対する反発で「米軍基地早期返還」を要求したのではないか、という見方も出ている。青瓦台は、このところ韓米対立の状況について「同盟より国益が優先」とコメントしてきた。
 シン・ウォンシク元合同参謀本部次長は「米国が抗議すると分かっていても今回のような措置を取った」として、「GSOMIA破棄後に米国が反発したことを受け、むしろこのチャンスに対立角をはっきり立てようとしている」と語った。だが青瓦台の関係者は「返還が予定されていた米軍基地80カ所のうち、これまでに54カ所が返還されて26カ所が残っており、進め続けてきたことに速度を付けたいという意味」だとして、「GSOMIA終了決定などとは全く関連がなく、別の韓米の安保懸案とも関係ない」と語った。
 安全保障の専門家らは、竜山の韓米連合司令部の本部まで平沢に移転した場合、ソウルなど韓国首都圏の防衛戦略は弱体化しかねないと懸念してきた。
(8月31日、朝鮮日報)

冷戦の最前線は日本海へ」の補足情報。
繰り返し説明はしないので、本文参照。
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2019年08月24日

香港軍事介入の現実味

ソ連学徒から見たXG問題」の続編。
基本的なスタンスも背景事情も特に変わっていないのだが、情勢が悪化、緊迫感を増しており、軍事介入の現実味が増している。
全体主義を知らず、大国を知らず、戦争(軍事)を知らない日本人の大半は「まさか武力行使は無いだろう」と考えているのではないか。
この点、ソ連、ロシア、中国に住んで生活していたケン先生は異なる見解を持っている。

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これは香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」8月15日の記事。
同紙は中国政府が公式発表できない本音をこっそり西側に伝達するために使うメディアで、全体主義研究者的には超萌えるネタである。
こういう「裏と表」の使い分けについても理解できないと、ロシアや中国のことは理解できない。ロシアや中国については、「にわか」「なんちゃって」研究者あるいはウォッチャーがまったく機能しないのはここにも一因がある。

本記事には、中国人民大学のアメリカ問題専門家で、国務院のアドバイザーを務める時殷弘教授のインタビューが掲載されている。
同教授は、軍事介入について「まだその時期には至っていないが、暴力が続けば状況は変わる」と答えつつ、同時に「軍の直接介入は中国にとってコストが高過ぎる。あらゆる手段が尽きた場合に初めて発動される」とも述べ、現時点では政府が介入に慎重であることを示唆している。

これは1968年の「プラハの春」に際して、ソ連のブレジネフ政権が当初示していたスタンスと全く同じだ。香港との境界にあたる深圳に軍が集結しつつあるというのもよく似ている。
当時、ブレジネフ政権は、東側全体に与える影響を考えれば、軍事介入は「最後の最後の手段」であり、当事者による解決を望んでいたが、チェコスロヴァキア共産党が内部崩壊して意思決定ができなくなり、市民の暴走が止まらなくなって、体制瓦解とワルシャワ条約機構からの離脱が現実的なものとなったため、介入に踏み切っている。
ブレジネフ政権はチェコスロヴァキアの改革を全否定していたわけではなく、それが経済改革や部分的改革に留まる限り、自主性を認める方針を持っていた。この点、現在でも西側諸国で信じられているような「改革を認めないため軍事介入した」のではない。

香港に至っては現時点で中華人民共和国の一部であり、その主権は中国にあって、行政権の一部を自律的に運用できる一国二制度があるとはいえ、あくまで香港問題は中国の国内問題である。この点は、チェコスロヴァキアの件よりも厳しいことを示している。

その中国にとって最大の脅威は「中国の分裂」である。
中でもセンシティブになっているのが新疆ウイグルとチベット問題で、多民族国家である中国にとって分離独立の主張は国家の危機に直結する。
この点、日本人にはイメージしづらいだろう。仮に沖縄が独立したとしても、日本本土はほぼ影響ないわけだが、中国の場合、一カ所で分離独立を認めてしまえば、内蒙古、雲南、東北部、その他諸々で同様の主張が起こり、収拾がつかなくなる恐れがある。ソ連崩壊の経緯を見れば、その危惧は極めて現実的なものだ。

香港の場合、民族問題では無く、政治的な理由から「自由と民主主義を実現するための独立」であるだけに、共産党統治の正統性をも脅かしている。そもそも香港で一国二制度が認められたのは、1990年代に中国の国力がイギリス一国に対してすら劣っていたため、英国の「条件付き返還」に応じざるを得なかったという屈辱に起因している。つまり、現代中国にとって非常に大きな恥辱なのだ。
さらに言えば、香港問題で譲歩した場合、台湾の独立派を有利にしてしまうこともあって、中国政府内では治安関係者や軍部などの強硬派を抑えるのに一苦労していると推測される。

香港問題については触れてこなかったトランプ大統領も、13日にはツイッターで懸念を表明したが、実は同日、楊潔チ政治局員がポンペオ国務長官と会談したという。恐らくは、軍事介入の可能性についても言及がなされたと考えられ、内政問題であることも強調しただろう。
もっとも、米国側としては米中のパワーバランスの変化を少しでも遅延させることがアメリカにとっての利益であり、そのためには中国政府に香港に軍事介入させ、国際的非難と経済制裁を食らわせ、あわよくば一帯一路政策を失敗にまで追い込むことが「ベター」と考えるかもしれない。
それは日本政府にとっても同じであり、だからこそ香港の運動家を陰で支援しているわけだが、中国からすればそれこそが「外部勢力による干渉」「帝国主義の再来」となり、軍事介入を正当化させる根拠となる構図にある。

香港側の事情で言うと、運動家の中心メンバーがすでに亡命あるいは逮捕拘禁されている中で、運動の統制がとれなくなっているのが実情で、米英日などの支援もあって、ますます運動を先鋭化させてしまい、収拾がつかなくなっている。香港政府としても、誰と話せば収拾できるのか分からない状態が続いている。
事態が混沌を深める中で、収拾に向けた方策も展開も見通せず、事態は軍事介入に向けて凝集しつつある。香港市民も中国政府も望まないのに、米欧日政府が大喜びする展開である。
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2019年07月30日

アメリカで死刑再開

【米連邦政府、死刑執行を16年ぶり再開へ】
 ウィリアム・バー(William Barr)米司法長官は25日、連邦政府が16年間にわたり停止していた死刑執行の再開を決め、殺人罪で有罪となった死刑囚5人の刑執行日を設定したと発表した。
 死刑執行の再開は、暴力犯罪に対する処罰の厳格化を求めたドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の要請に応じた形。バー氏は米連邦刑務所局(Federal Bureau of Prisons)に対し、死刑執行の再開に向け、薬物注射による刑執行の新手順制定を指示した。バー氏は声明で「司法省は法の支配を守る。われわれには、犠牲者とその家族のために、司法制度が言い渡した刑を執行する義務がある」と説明した。
 米国では昨年25件の死刑が執行されたが、これらはすべて州レベルで有罪となった死刑囚に対し州当局が執行したものだった。一方、連邦レベルの死刑囚については、執行方法や使用薬物をめぐる議論や、バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領の消極的姿勢により、2003年を最後に刑が執行されていなかった。
 米NPO「死刑情報センター(Death Penalty Information Center)」によると、米国には連邦レベルの死刑囚が62人おり、この中には2013年に3人が死亡したボストン・マラソン(Boston Marathon)爆破事件で有罪判決を受けたジョハル・ツァルナエフ(Dzhokhar Tsarnaev)死刑囚や、2015年にサウスカロライナ州チャールストン(Charleston)の教会で黒人9人を殺害した白人至上主義者のディラン・ルーフ(Dylann Roof)死刑囚が含まれている。
 連邦刑務所局はバー氏の指示を受け、5死刑囚の刑執行日を設定。5人はいずれも、被害者に子どもが含まれる残忍な殺人事件で15年以上前に死刑判決を言い渡されていた。
(7月26日、AFP)

自由貿易と自由・人権は冷戦期から現在に至るまで西側自由陣営の正当性を示すイデオロギー的根幹だった。
死刑廃止についても、不完全ながら人権擁護の象徴の一つで、EUにおいては加盟の条件にすらしたほどだった。
この点、死刑を人道的制度(少なくとも人道には反しないという理解)とする日本政府は例外的存在であり、その根拠の一つは「(宗主国である)アメリカで廃止されていないから」だった。
あのロシアですら、欧州評議会への参加を理由に、1996年以降、死刑の執行を停止している(日本では意図的に報道されないが)。

アメリカにおいて、まして連邦レベルで死刑を復活させるということは、保護貿易の推進とともに自由民主主義の自己否定でしかない。
アメリカは、自らの意思で自らが掲げてきたイデオロギーを否定しつつあるが、これはソ連が社会主義を否定するのと同じことであり、社会と政治制度の根幹理念を否定するものとなろう。
その影響は当然日本にも及ぶと考えられ、司法行政の非人道化・権威主義化が加速するものと推測される。
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2019年07月15日

ジョージア問題でも反露報道?

【露 ジョージア直行便運航停止 抗議運動に対抗】
 ロシアは8日、自国に対する抗議運動が続くジョージア(旧グルジア)との間で直行便の運航を停止した。更にロシア議会がジョージアへの制裁を検討するなど、両国間で緊張が高まる恐れも出ている。
 ジョージアでは6月中旬、ロシアの下院議員が国会議長席で演説したことがきっかけとなり、現政権がロシアへ融和的だとの批判が広がり、抗議運動も始まった。直後からロシアは自国民の安全確保を理由にして、直行便を停止する方針を警告していた。
 両国は2008年に武力衝突し国交を断絶した。ただし国民の往来は活発で、年間100万人を超すロシア人が主に観光目的でジョージアを訪れている。ロシアはジョージアの観光業を揺さぶり、抗議運動を断ち切りたい狙いとみられる。
 一方でジョージアのテレビ局では7日、司会者がプーチン露大統領を侮蔑する発言をした。ロシア下院は自国がジョージア産ワインの主要輸出先である点を踏まえ、禁輸措置を検討。多くのジョージア人がロシアに出稼ぎに来ていることから、ジョージアへの送金停止も提言した。ただしプーチン氏は9日、侮蔑への報復制裁には反対する考えを示した。
 ロシアは08年にジョージアと武力衝突した後、同国内の南オセチアとアブハジアに軍を駐留させている。一方、ジョージアでは現与党「ジョージアの夢」が12年に実権を握って以来、ロシアへの敵対的な政策は影を潜めた。そのためジョージア国内では現政権とロシアへの不満と反発が募っている。
(7月9日、毎日新聞)

記事の通り、ロシアーグルジア(ジョージア)間の緊張が高まっている。
問題はいつものことながら、マスゴミがポジション・トークを行い、公平性を自ら損ねている点にある。

ジョージアの大衆に反露意識が高まり、政府に対してより強硬な姿勢をとるよう街頭活動が繰り返され、現地のマスコミも煽り気味に報じている。
それだけにロシア人が観光気分でジョージアを訪れるのは危険であることは明白すぎるわけで、政府が直行便の運行停止措置をとるのは、国民の安全を図る上で当然すぎる話だ。にもかかわらず、「ロシアは自国民の安全確保を理由にして」という表現を使うことは、あたかもロシア政府が他に意図を秘めて、敢えて「自国民の安全確保」を表面的理由に据えているかの印象を植え付ける意図があるとみるべきだろう。ここは、平板に「ロシアは自国民の安全を確保するため」と書けば十分なはずだ。仮に他の意図があるにせよ、それは読者が判断すべきものであって、勝手に報道側が十分な根拠も無く書くべきことでは無い。

また、ネット報道では「プーチン氏は9日、侮蔑への報復制裁には反対する考えを示した」とサラッとではあるが、大統領が経済制裁に反対の意思を示したことが書かれているが、7月10日の本紙朝刊にはこの部分が削除されているという。
現実には、ロシア下院でジョージア批判が高まり、全会派が対ジョージア経済制裁の導入を支持。これに対して、プーチン大統領は、「ジョージア国民に対する敬意」を理由に挙げつつ、ジョージアに対する経済制裁に反対を表明している。
Я бы не стал этого делать именно из уважения к грузинскому народу", − сказал глава государства журналистам.
(7月9日、ノーヴォスチ通信)

プーチン氏が反対したことを書かなければ、ロシアージョージア関係が「行き着くところまで行く」と読者に判断させることになるだろう。

日本のロシア報道は意図的に虚偽報道あるいは事実の隠蔽が行われているが、外務省の指示なのか、あるいはマスゴミ側の忖度なのか。いずれにしても、日本の報道は全く信用ならない。
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2019年06月24日

今度は機械翻訳?外信は仕事しろ!

【北方領土引き渡す計画なし=首脳会談前にけん制−ロシア大統領】
 ロシアのプーチン大統領はロシアが実効支配する北方領土について、日本側に引き渡す計画はないとの認識を示した。国営テレビが22日放映のインタビューの内容をサイトで公開した。
 最近、取材で現地を訪れたという質問者が「子供たちはロシア国旗を掲げていた。(今後ロシア国旗を)降ろさざるを得ないということはないか」と聞くと、プーチン氏は「そのような計画はない」と応じた。
 大阪市で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせ、29日に予定される日ロ首脳会談を前に日本側をけん制したと言えそうだ。
(6月22日、時事通信) 

【Путин заявил об отсутствии планов передачи Южных Курил】
Москва. 22 июня. INTERFAX.RU - Россия не намерена передавать Южные Курилы, заявил президент РФ Владимир Путин.
"Таких планов у нас нет", - сказал он в интервью программе телеканала "Россия 1" (ВГТРК) "Вести в субботу с Сергеем Брилевым", вышедшей в эфир на Дальнем Востоке.
Так Путин ответил на вопрос, не придется ли спускать российский флаг, поднятый на Южных Курилах.
Глава государства подчеркнул, что правительство намерено развивать эти территории.
"У нас существуют целые большие программы развития Дальнего Востока, включая Южные Курилы, - отметил президент. - Эти программы будут реализовываться - и по развитию экономики, рыбной отрасли, других составляющих. Мы будем развивать там инфраструктуру".
Япония претендует на четыре южных острова Курильской гряды - Итуруп, Кунашир, Шикотан и Хабомаи, ссылаясь на Трактат о торговле и границах 1855 года. Позиция Москвы состоит в том, что Южные Курилы вошли в состав СССР по итогам Второй мировой войны и российский суверенитет над ними, имеющий международно-правовое оформление, сомнению не подлежит.
В феврале этого года ВЦИОМ проводил опрос жителей на островах Кунашир, Шикотан и Итуруп, задавая им вопрос - должна или не должна Россия, по их мнению, передать Южные Курилы Японии. По данным организации, подавляющее большинство людей заявили, что острова, на которых они живут, должны оставаться территорией России.
(6月22日、インテルファクス通信)

プーチン大統領が「そんな計画は無い」と言っているのは、「(南千島の子どもたちが)ロシア国旗を掲げるのをやめざるを得なくなるのか?」という記者に対する質問に対する答えである。
「平和条約締結を締結して、条文通りに北方領土を引き渡す」云々については、全く触れていない。
これは明らかにマスゴミがプーチン氏の発言の述語を恣意的に解釈して報道している。

まして「29日に予定される日ロ首脳会談を前に日本側をけん制したと言えそうだ」など何の関係も無い。
報道ベースは、日本で言えばタレントがやってるユルユルの「なんちゃってニュース」番組であり、普通にロシアに住んだことのある人間なら「国内向けのサービスね」と思う話で、真面目に受け取る方がおかしい。
言うなれば、安倍首相がY本芸人の出演する番組で発言したことを、恣意的に解釈して大々的に報道するようなもので、正規の訓練を受けた報道人が行う報道とはとても思えない。

時事も共同も幹部と記者を総入れ替えした方が良いのでは無いか?

【6月26日、追記】
肝心なことを書き忘れてたが、「旗を降ろす」云々の話は択捉島の小学校を例にした話。徹頭徹尾「平和条約締結後に二島引き渡し」を主張するソ連・ロシアが、「択捉島でロシア国旗を降ろし、日本国旗を掲げる」計画などそもそも立てるわけも無く、プーチン氏も「何を馬鹿げた質問を」くらいにしか思っていないだろう。
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2019年06月21日

フランスで引き込もり対策に志願奉仕制度?

【仏、16歳の制服集団生活「国民奉仕」を試行 応募は定員の倍以上】
 フランス政府は16日、15〜16歳の約2千人を対象に「国民奉仕制度」を試験的に開始した。集団生活を通じて、国民意識を高めるのが狙い。テロや災害に備えた危機対応教育も行う。
 参加者は2週間、制服で合宿生活し、武器を使わない軍の野外訓練、福祉施設での奉仕活動や救助訓練に従事する。朝は国旗に敬礼し、国歌を斉唱。夜は討論会に参加し、社会の課題を話し合う。携帯電話の利用は夜の自由時間に制限される。
 制度導入は昨年、マクロン大統領が提唱した。今回は任意だが、2千人の定員に約5千人が応募したという。国民教育省のアタル副大臣は16日付仏紙で「若者は自宅にこもりがち。未知の世界で人格形成する機会を持つのは重要だ」と意義を訴えた。
 政府は、来年は参加者を4万人に増やし、2026年までに16歳以上の国民を対象に、参加を義務付ける方針。実現すれば参加者は毎年約80万人で、約15億ユーロ(約1800億円)の経費がかかるという。
(6月17日、産経新聞)

仏大統領選の結果を見て、「リベラル派の勝利」「若者に期待」などと言っていたフランス・クラスタは前に出ろ!

ケン先生の評価とどちらが正しかったかは、読者の皆さんの判断を仰ぎたい。
マ氏の政策は、オランド氏の新自由主義路線を加速させるだけの話で、基本路線は従来のものを踏襲している。その意味でル氏の敗戦の弁は正しい。新自由主義路線は、さらなる移民や外国人労働者を呼び込んで、国内の労働条件を悪化させ、経済格差や地方の疲弊を加速させる可能性が高く、同時にフランスのドイツ従属(欧州銀行への従属)を強める結果にしかならず、「反EU」「排外主義」「保護貿易」支持層を増やすのは間違いない。EUというのは、域内での経済的自由を保障する一方で、地域の経済的自立を保障せず、かといって日本の地方交付金のような域内の格差を是正するシステムも無いだけに、圧倒的に「強い者が勝つ」システムで、敗者を救済する術を持たない。
つまり、「親EU」のマクロン氏の政策は、「敗者」を増やすと同時にフランスが弱者を救済する術を持たない(経済自律性の放棄)ことを宣言するものであり、構造的に「反EU」の支持層が増える形になっているだけに、ルペン氏は勝負を急ぐべきでは無かった。
(フランスは今日もグダグダ、2017.5.11)

仮に為政者が歴史に学んでいても、国民の熱狂に抗して冷静を保つよう訴えるのは難しい。国家権力は、暴力の独占によって成り立っているが、その暴力は国民の生命と財産を守ることを前提としている。言い換えれば、国家は暴力装置を独占する権利を有する代わりに、国民を保護する義務を負っている。故に、テロルによって国民が害されると、国家は義務を怠ったことになり、権力の正統性が揺らぐことになる。結果、国家は暴力を行使してテロルを弾圧するほかなくなるわけだが、弾圧対象をテロリストだけに絞るのは難しく、社会全体に対して統制が強化されることになる。監視カメラ設置を支持する国民が圧倒的に多いことに象徴されるように、国民も統制強化と暴力行使を望む傾向が強まる。
(フランスも社会統制強化へ、2017.7.9)
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