2016年02月20日

英国の夢 ラファエル前派展

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「リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展」 Bunkamura ザ・ミュージアムにて 3月6日まで

ラファエル前派展は毎年のように開かれているが、やはり見に行ってしまう。今回は、リバプール美術館所蔵作品群ということで、初来日の作品が多く、興味深いものがある。リバプール美術館と言っても、立派な建物が三つもあり、その3館全体を指している。19世紀のリバプールは造船業を中心に工業化の最先端を行っていただけに、その繁栄の象徴と言える。ラファエル前派もまた、19世紀末に最盛期を迎えただけに時期的にマッチングしており、非常に良い作品がそろっている。ミレイ、ロセッティ、ムーア、バーン=ジョーンズ、ウォーターハウスらの図版では見たことのある作品が見られるので、「おぉ、これもある!」と驚かされる。
ケン先生的には、大所ながら、ミレイの「いにしえの夢─浅瀬を渡るイサンブラス卿」「春(林檎の花咲く頃)、バーン=ジョーンズ「フラジオレットを吹く天使」、ウォーターハウス「デカメロン」あたりが見応えがあった。こってりした色合いと服の質感、そして物語性がたまらない。全体の配置やセンスも好印象。

Bunkamuraミュージアムの良いところは「程よい大きさ」にあり、気軽に見に行ける点がお気に入り。もう一回見に行っても良いくらいデス。
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2016年02月14日

ダンス☆ダンス☆ダンスール

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ジョージ朝倉先生の新作『ダンス☆ダンス☆ダンスール』は、バレエ男子が主人公ということで注目中。朝倉先生はぶっ飛び具合が魅力なんだけど、今のところまだ抑えられている模様。いつ破綻するかドキドキなんだよね。作品の構成としては、ダンス漫画の王道を行っている。
ジョージ先生、期待してマス!

自分にも男の子がいたらバレエを習わしていたと思うだけに、思うところも色々。
『テレプシコーラ』は以前意を決して読んだところ、あまりの重さに心が折れて、今回某お姉様から「読了命令」が下されて再挑戦。
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2016年01月28日

黒猫・白猫

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『黒猫・白猫』 エミール・クストリッツァ監督 セルビア(1998)

クストリッツァ映画祭に行く。3週間あると日程も調整しやすくて良い。観たのは『黒猫・白猫』。

名作『アンダーグラウンド』が、外国で絶賛を浴びたのに比して、旧ユーゴ国内では「プロパガンダ」などと批判を浴び、ショックを受けた監督が起死回生の一本として発表した作品。
ジプシーのチンピラ親子を主人公に、マフィアの親分との騙し合いを交えながら、そのいい加減な生き様と恋と結婚を描くドタバタ・コメディー。
相変わらずのハイテンションとブラスバンドで、ノリで一気に2時間が過ぎてしまう。ジプシーとマフィアという点で、暗いイメージを抱いてしまうが、全体の雰囲気は底抜けに明るく、どこまでも人間を肯定している。映画のセンスやノリの点で、日本の故・岡本喜八監督に近いイメージだが、岡本監督がニヒルなのに対して、クストリッツァ監督は悲劇を描いてすら最後には人間を肯定するところが決定的に異なる。かと言って、ハリウッド映画のような嘘くさいハッピーエンドでもないところが良い。
ジプシー音楽を基調としたブラスバンドが、ところかまわず(意味不明に)鳴りまくるのも監督の「仕様」のようだが、このハイテンションとスピードがたまらない魅力になっている。逆を言えば、そこがダメだと2時間見るのは厳しいかもしれない。
数人の役者を除いて、素人のジプシーを役者にしながらも、結婚式のシーンには一カ月もかけるなど、非常に強いこだわりがコメディー映画を超えた「厚み」を醸し出している。
ジプシーの人たちがしゃべるセルビア語はさすがに聞き取りにくかったなぁ。
『アンダーグラウンド』が名作すぎるので、比較は厳しいが、単体として十分高く評価できる作品である。
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2016年01月11日

【宣伝】クストリッツァ映画祭−ウンザ!ウンザ!クストリッツァ!

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名作『アンダーグラウンド』で知られるセルビアのエミール・クストリッツァ監督の映画祭が、1月23日から2月12日まで恵比寿ガーデンシネマで開かれる。6本の作品を3週間回すのだから、劇場で観るまたとない機会だろう。
上映作品は『ジプシーのとき』(1989)、『アリゾナ・ドリーム』(1992)、『アンダーグラウンド』(1995)、『黒猫・白猫』(1998)、『SUPER8』(2001)、『ライフ・イズ・ミラクル』(2004)。
『黒猫・白猫』は確定だな。『ジプシーのとき』も観てみたいなぁ。
地方でも開催されるみたいなので、是非どうぞ!
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2016年01月09日

押井はやっぱ押井だった−ダメな2本を連続で

以下、ネタバレあり。要注意。

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『東京無国籍少女』 押井守監督 日本(2015)

昨夏のロードショー時に見ようかと思ったまま忘れていたところ、同志に指摘されて思い出し、DVDを借りて見た。レンタルなんてシステムも間もなくなるんだろうなぁ。
「押井映画だからな」と期待しないで見たら、やっぱり残念だった。
例のごとく、現実と妄想が混濁する世界を描くが、現実に戻るのはエンディングの時だけ。押井映画の面白さは、「現実と妄想の狭間・揺らぎ」にあったはずだが、本作は殆ど妄想の中で終わってしまっている。引き戻された現実も何だか陳腐だし。
映画の宣伝は「衝撃的なラスト15分」となっているが、それまでの70分間がいかにもダルいシーンが延々と続くので、往年のヤクザ映画のような「来るぞ来るぞ」というテンションが上がっていく感覚も無く、唐突にアクションが始まる。何だか「70分ガマンできたね、御褒美あげるよ」という感じ。
アクションは、国産品としては「十分」だが、香港映画やタイ映画を見慣れたものからすれば、「良く頑張りました」というレベル。確かに清野菜名氏はがんばっていて、不満は無いのだが、何と言うか押井氏の「女子高生に銃剣戦闘やらせたらカッコイイんじゃね?」がミエミエなのだ。ロシア語、ロシア兵、ロシア製兵器、ロシア軍糧食とロシアづくしなところも趣味なのだろうが、ロシアでなければならない理由が分からない。
まぁ「やっぱりこんなものか」という話。

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『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』 押井守監督 日本(2015)

実写版パトレイバーは、「がっかり」が分かっているだけに避けてきたのだが、この期に「毒を食らわば皿まで」と思い見てみることにした。でも、やっぱり残念だった。
こちらは、押井色丸出しではなかったものの、実写でなければならない理由がサッパリ分からない。劇場版アニメが名作だっただけに、さらにガッカリ感が大きい。まぁアニメを見たのは20年前なので記憶が美化されている可能性は否めないが。
本作も相変わらず冒頭から中途までのダラダラ感がハンパ無いし、銃撃シーンは尺が長い割に日本クオリティ。レイバーは整備不良で3分しか動かず、そのレイバーで戦闘ヘリと戦うとか、無理矢理な設定だらけ。演出も演技も、アニメをそのまま実写に転じたものみたいで、違和感ばかり覚える。
敵であるテロリストの目的も行動原理も不明だし、その正体すらあやふや。まぁ押井氏的には、「テロリストなんだから理解できないのは当然」ということなんだろうけど、攻殻機動隊の非押井作品が名作なのは、敵方の目的や行動原理がしっかり設定されているからではなかろうか。戦闘ヘリ一機で「首都住民1000万人が人質に取られた」と大騒ぎする点も、分からないではないが、「何だかな〜」と思ってしまう。
見所は、太田莉菜氏のロシア語とアクションくらいなものか・・・・・・
とりあえず劇場版アニメでお口直ししなければ!

【追記】
日本では何故アクション映画が撮れないのだろうか。とりあえずドイツ人の監督にドイツ・クオリティで、『激動の昭和史 沖縄決戦』をリメイクしてもらうところから始めるべきだ!
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2016年01月07日

ロシアン・スナイパー

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『ロシアン・スナイパー』 セルゲイ・モクリツキー監督 ロシア・ウクライナ(2015)



この年末年始はまとまって休めたので、録りためたアニメや借りてきたDVDをまとめて見ることができた。その中でもわざわざ「外した」一作を先に紹介する辺り、我ながら自分の「ロシア帰り」的な屈折を覚える。
本作は、二次大戦における女性狙撃兵として、「戦果309人」を上げてソ連邦英雄となったリュドミラ・パヴリチェンコを主人公に据えている。邦題を見ると、『アメリカン・スナイパー』のパチモンにしか思えないので失敗だろう。とはいえ、原題は「Битва за Севастополь」(セヴァストポリの戦い)であり、これはこれで「クリミア戦争?」と勘違いしてしまうので、名付けに苦労はしたのだろう。でも、この邦題は無い。

何がダメかと言えば、ロシア映画なのに本作が「ハリウッド」になってしまっている点だ。回想に始まり、回想と本編を繰り返しながら、現在(作品上の)へと繋がる展開、ムダに力点が置かれている恋愛シーン、やたらと派手なCGもさながら、全体的に「こんな凄い人がいたんですよ、感動ですよね」みたいな「感動の押しつけ」。「これじゃない〜」観がハンパ無いのだ。
ソ連・ロシア映画の特徴は「低感動」「地味」「自虐的」であるだけに、「ロシア人がハリウッド映画撮れば受けること間違いない」と勘違いした結果であることが丸わかりなのだ。

確かに個々の戦場描写はなかなかリアルだが、「リアル」を意識しすぎて皆「どこかで見たような」映像になってしまっている。また、CG映像も良く出来てはいるのだが、どうしても「一狙撃兵の話にそこまで派手なCGが必要なの?」と思ってしまう。要は描写過剰、演出過多なのだ。高度な撮影技術や映像をつなぎ合わせれば良い作品ができるわけではない、という一つの例かもしれない。演技的に悪くないだけに惜しいものがある。本作と比較すると、『ホワイトタイガー−ナチス極秘戦車・宿命の砲火』の方がロシア映画の伝統を引き継いでいる点でよほどマシだったと言える。そもそも「ロシア人と英雄(ヒロイズム)」という組み合わせにも違和感があり、そのロシア人が「英雄の悲劇」を描こうとした点も失敗の理由だったかもしれない。
とはいえ、『戦争は女の顔をしていない』を読んだものとしては、女性兵士の戦場参加というものがどのようなものであったかを視覚的に確認する素材として評価したいとは思う。

もう一つ、ウクライナ内戦(休戦)中のこの時期に、ウクライナ女性を主人公に「セヴァストポリ要塞戦」を舞台にした作品がつくられた背景を考えると、やはり「ロシアとウクライナは一つなんだ」というプロパガンダ性が透けて見えてしまう。この点も「何だかなぁ〜」と思わせる一因になっているようだ。
色々と「残念」な作品である。
posted by ケン at 12:40| Comment(4) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月03日

【宣伝】シュヴァルツェスマーケン アニメ版

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ケン先生の超お気に入りラノベ『シュヴァルツェスマーケン』がついにアニメ化。1月より放送開始とのこと。



架空の1983年の東ドイツを舞台とし、東西対立も健在だが、「人類に敵対的な地球外起源種」通称BETAが中央アジアに大気圏降下して侵攻を開始、すでにユーラシア大陸の大部分が制圧され、ソ連政府はシベリアに退去、西方ではすでにポーランドまで蹂躙されているという設定になっている。
圧倒的なパワーと物量を誇るBETAに対抗できるのは戦術機と呼ばれるロボットだけで、主人公たちは東独有数のエリート中隊のパイロットを務める。その中隊の通称が「シュヴァルツェスマーケン=黒の宣告」であり、常に最激戦区に投入されるが、任務を優先するために平気で友軍を見捨てる「死神」の悪評が高い。そのパイロットたちは「反党・反国家分子」疑惑のあるものたちで構成されており、政治将校とシュタージ(秘密警察)から厳しく監視されている。しかも、西ドイツからの亡命パイロットを受け入れることになり、ますます厳しい立場に置かれることになる。
真っ当に戦っても進攻を食い止めるのがやっとというBETAと対峙しながら、隊内では政治将校に監視され、部隊としてはシュタージから疑いの目を向けられ、基地内のどこにいても密告と盗聴の危険にさらされている。これ程までにハードな設定はラノベはもちろんのこと、他でもなかなか例がない。とある評者は「心折設計」と呼んでいたが、まさに言い得て妙だ。
市民監視が常態化している東独社会の描かれ方は、ソ連帰りの私から見て、ラノベという要素を除外してもまず及第点を与えられるだけに、相当に重い話になるはずだが、全体主義を知らない現代日本人が見てどこまで理解できるか、不安と同時に興味深いものがある。同時に、厳しい政治的統制下で圧倒的な的を前に不可能な任務を強いられる軍人、というシチュエーションも、超萌え(燃え)るだろう。ただ、東独の軍服ってちょっと残念だからなぁ、そこはどうクリアされるのだろうか。

キャラクター原案は、ラノベ同様CARNELIAN氏のようだが、ラノベよりも少女漫画化というかハード化しているようだ。「トータル・イクリプス」が最初の2話を除いて残念な出来になってしまっただけに少し恐いものはあるが、そこは期待して待ちたい。
アニメを見る前にラノベで予習するも良し、アニメを見てからラノベで復習するも良しだ。

【追記】内田先生ごめんなさい。ゲームは買って「積んゲー」状態になってます。。。

【参考】
『シュヴァルツェスマーケン』全7巻 原作:吉宗鋼紀 著者:内田弘樹 ファミ通文庫
・シュタージあるいは特高の終焉について 
・善き人のためのソナタ 
posted by ケン at 13:01| Comment(2) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする