2019年12月07日

観桜会追及で全く支持上がらない野党

【内閣支持率は軒並み減少、政党支持率は変化なし 11月世論調査まとめ】
 11月中に行われ、有効回答数や回答を公開している報道機関10社の世論調査の結果をまとめ、比較しました。なお、各社の調査日や手法は異なるため、あくまでも参考値としてご覧ください。
 まず、内閣支持率は、前回10月の調査より軒並み減少する形となりました。
個々の調査を見てみると、前回の調査から支持率が上昇したのは時事通信の調査のみで、前回10月11-14日より4.3ポイント上昇の48.5%になりました。それ以外の調査においては、すべて支持率が低下しています。
 特に減少の幅が大きかったのは日本経済新聞・テレビ東京の調査で、前回10月25-27日の調査から7ポイント減少の50.0%となりました。また、読売新聞・日本テレビ(前回は10月18-20日実施)、産経新聞・フジテレビの調査(前回は10月19-20日実施)も、それぞれ前回から支持率が6ポイント減少する形となっています。読売新聞・日本テレビは55.0%から49.0%に、産経新聞・フジテレビは51.1%から45.1%になりました。
 内閣不支持率は、支持率の低下と連動するような形で、時事通信を除くすべての調査で上昇を見せています。
唯一不支持率が減少した時事通信の調査は、前回から3.6ポイント減少の29.4%になりましたが、毎日新聞では前回10月26-27日の調査より5ポイント上昇の35.0%、産経新聞・フジテレビでは前回より4.7ポイント上昇の37.7%になるなど、多くの調査である程度の上昇を見せることとなりました。
 一方、政党支持率に目を向けると、まず与党である自民党の支持率は、全体を通してはさしたる変化は見られません。個別の調査に目を向けると、読売新聞・日本テレビの調査が前回から5ポイント減少の37.0%、時事通信が前回より2.6ポイント上昇の30.1%となった以外は、おおむね微差の範囲にとどまっています。
野党第一党の立憲民主党も同様で、全体を通して大きな変化はありませんでした。
(12月6日、選挙ドットコムより抜粋)

内閣支持率は下がっても不支持を10%上回る。
また、自民党支持率は37%に対して、立民は6%。立民は国民との合流によってさらに支持率が下がる見込み。これでは「疑惑隠しのための解散総選挙」をやらない手は無い。
仮にいま衆院を解散して29日投票となった場合、野党は現状維持すら困難な情勢。総選挙になれば、安倍政権は疑惑を「チャラ」にできるし、野党が不信任を出さなければ、「ヘタレ、口だけ野党」としてますます支持率を下げるだけなので、どちらに転んでもOKの「王手飛車取り」みたいな形。

野党は相変わらずヘボ将棋を打っている。
「桜を見る会」追及は戦略上避けられないものだったかもしれないが、戦術的には全くダメだったと断じるほか無い。やはり主攻勢軸は、地味でも、文科省と日米貿易協定にすべきだったのだ。
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2019年11月29日

野党の攻撃箇所はそこじゃない

【英語民間試験 下村氏「東大に活用するよう指導を」党内会議で】
 今月導入が延期された英語の民間試験について、東京大学は去年4月、それまでの慎重な姿勢を転換し、活用へとかじを切りました。
 今回、NHKは、その直前に開かれた自民党の会議の音声データを入手しました。そこでは大臣経験者が、東京大学に民間試験を活用するよう、文部科学省に指導を求める発言などをしていたことが分かりました。専門家は「大学が萎縮する発言だ」と指摘しています。これについて、東京大学は外部からの影響はなかったとしているほか、大臣経験者は「発言は当たり前で議院内閣制の意味も無くなる」と話しています。
大学入学共通テストの英語の民間試験について、文部科学省は今月、導入の延期を決めましたが、その決定過程などが不透明だと批判されています。
 NHKは、去年4月13日に開かれた自民党の教育再生実行本部の音声データを入手しました。この会合には、自民党の国会議員に加えて、文部科学省の幹部や、大学の関係者なども呼ばれ、英語の民間試験をテーマに意見が交わされました。
 当時、文部科学省は、民間試験を大学入学共通テストに導入すると公表していましたが、多くの大学はそれを活用するか、態度を表明せず、東京大学が去年3月に、現時点では入試に活用することは拙速だと会見で表明したことが注目を集めました。会合では、主査を務めた遠藤利明元オリンピック・パラリンピック担当大臣が、東京大学の五神真学長らが訪ねてきて、会見の内容を説明したと報告しています。
 さらに、下村博文元文部科学大臣が、東京大学の名前を挙げて、「間違ったメッセージを国民や他大学に対して、与えている。文部科学省は、よく東大に指導していただきたい」などと発言していました。東京大学は会合の2週間後に、民間試験の活用を検討すると方針を転換しました。大学入試の方法や内容は、憲法が保障する学問の自由に基づいて、大学の権限で、決めることになっています。取材に対して、東京大学は、「文部科学省や政治家からの指導や問い合わせはありません」と回答しました。
(11月19日、NHKより抜粋)

立民がダメだ(先がない)と思うのは、「桜を見る会」や前夜祭のようなブーメランにしかならないテーマにばかり食いついて、腐敗の本丸を見逃してしまう点にある。腐敗の根がより深く、より市民に実害を与えているのは、文科利権の方であり、さらには日米貿易交渉や在日米軍駐留費問題であろう。

ゲーマーに喩えるなら、全く筋違いのところを攻撃して時間と資源を食い潰してしまう下手を打っている有様だ。
素人ゲーマーは、マップ上の見た目や勝利得点の高さ、あるいは単純に攻撃しやすい場所であることなどにつられて、長期的視点を欠いた攻撃をしてしまうことが多いが、立民はまさにそれだろう。
桜を見る会などはせいぜいが助攻の対象であって、主攻勢軸はあくまでも文科省と公文書管理に絞るべきだ。そして助攻はゲリラ戦を得意とするNK党に任せるべきだろう。

そもそも園遊会や桜を見る会は、「権力への近さ」を競争させ、誇らせ、権力の藩屏を構築するための手段であり、存在自体が封建的あるいは権威主義的なものであって、自由、平等、公正の原則に反するものだ。本来は憲法原理に照らし合わせて、全て廃止するくらいの主張をしなければ、憲法原理を理解しているとは言えないだろう。安倍総理は道具の使い方がまずかっただけで、本来はその道具そのものが「悪」なのだ。

こういう点でも前の前のボスは本当に偉かったと思うが、まともな人ほど政治から遠ざかってしまう現状は本当に末期的だと思う。
同時に派手な獲物に食らいついて全体が見えなくなっている野党もまた未来が無いと言えるだろう。
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2019年11月13日

次回都知事選は衆愚政治の見本市に?

【小池氏つぶし 自民が丸川元五輪相擁立へ動きだす 来夏の都知事選】
 来夏の東京都知事選で、自民党東京都連が丸川珠代元五輪相の擁立に向けて動きだしたことが4日、分かった。東京五輪のマラソンと競歩の札幌開催を巡って小池百合子知事が「合意なき決定」と発言したことを問題視。「小池つぶし」の切り札を投入する。テレビ界出身の“女の戦い”は五輪にも負けない熱戦となりそうだ。
 小池氏はマラソンと競歩の札幌移転が決まった際、苦渋の決断であることを「合意なき決定」という言葉で表現してみせた。ここぞのワンフレーズ殺法は共感を呼んだが、五輪関係者の反感が渦巻いていた。
 「合意なき決定なんてあるわけないでしょ」と吐き捨てたのは自民党都連の関係者。ランナーの命の危険を脅かしかねない酷暑の対策は限界で、大会関係者は「札幌の話は2年前からあった。組織委は札幌移転によって、そのリスクから解放されたし、責任の所在も強引に移転を決めたIOCに移った」と指摘した。
 こうした合意形成が実務者協議で進んでいたとみられる中、「小池氏が一方的に“合意なき決定”と言ったことで台無し。個人的なパフォーマンスに走ったことで総スカン状態になった」と大会関係者はぶちまけた。組織委の森喜朗会長や橋本聖子五輪相も怒り心頭だったという。(以下略)
(11月5日、スポニチより抜粋)

スポーツ紙ではあるが、そこそこリアリティが感じられる記事。丸川女史は東大出にもかかわらず、信じられないほどの頭の悪さと教養の無さで知られるが、政治家として十分な頭脳と実績を持つ武見氏(同期の改選で同じ自民党)に比べて圧倒的な人気を誇っている。

このままいくと、小池、丸川、山本、立花・・・・・・みたいな衆愚政治の見本市のような都知事選になりそうで、「大衆の民意が有徳のエリートを選出する」という代議制民主主義の根底が否定される事態は避けられそうにない。

まぁ石原信雄が否定されて青島幸男が当選したり、明石康が否定されて石原慎太郎が当選したりした頃から変わっていないとは言えるが、一流の行政官僚が出馬していただけマシな時代だった。
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2019年11月02日

資産公開の実態

【妻クリステルさん有価証券保有、閣僚資産最多は小泉環境相…自身は「資産なし」】
 政府は25日、9月に発足した第4次安倍再改造内閣で新たに就任した閣僚15人の資産(就任時。生計をともにする家族分を含む)を公開した。同日に辞任した菅原一秀経済産業相も含まれている。
 15人の平均資産額は5107万円で、最も多かったのは、小泉環境相の2億9001万円。小泉氏は、公開済みの安倍首相と留任・横滑りの4閣僚を含めた20人の中でも、麻生副総理兼財務相(5億2303万円)に次ぐ2位。小泉氏自身は「資産なし」だったが、妻でフリーアナウンサーのクリステルさんが有価証券を保有していた。小泉氏は記者会見で、「ルールではあるが、私と結婚したことで公開しなければいけない。(妻に)申し訳ないという気持ちだ」と述べた。
 全20人の平均資産額は8272万円で、昨年10月の第4次改造内閣発足時の8911万円と比べて639万円減った。1億円を超えたのは、麻生、小泉両氏のほか、河野防衛相、安倍首相の計4人だった。
(10月25日、読売新聞)

資産公開によって「金満大臣」であることが判明してしまった小泉氏だが、実はその資産は全て妻のものだったというオチ。
国会議員と結婚してしまったが故に、自分の資産内容が公開されてしまったのは「ご愁傷様」としか言い様がないが、権力と結びつくというのはそういうことでもある。

問題はむしろ小泉氏本人の「資産ゼロ」をどう解釈すべきかという話だが、これは「資産隠し」と否定するほどのものではないと考えられる。
小泉氏は大学を出て留学の後、父の私設秘書などをやって、そのまま「世襲」しているだけに、自身で資産を作る機会は、マネーゲームでもしない限り無かっただろう。
政治家自身は、よほど大物にならない限り、その家計は「火の車」であるのが普通で、それは前経産相が自分の秘書から金を巻き上げていたことからも説明できる。まして、近年は自民党でもカネが集まらなくなっており、なおさらだ。
もっとも、小泉氏の場合、宗主国アメリカでしっかり「教育」を受けてきた米国帰りであり、あちらから裏金が出ている可能性は否めないものの、それは当然表には出ないだろう。
小泉家の資産は父が健在である以上、父の純一郎氏にあり、その資産額は10億円に上るとも言われるが、借金もあると見られ、実際のところは定かではない。

進二郎氏に話を戻すと、本人の収入は歳費と文書交通費で3400万円、その他に政治資金団体の収入(パーティーや献金など)が8千万円近くある。
確かにこれだけ見ると、「資産ゼロはあり得ない」と言われても仕方ないわけだが、自民党議員の場合、10年ほど前の平均で1億円近い年間経費がかかっており、収入が減少傾向にあるだけにどこもヒーヒー言っているのが実態だ。
進二郎氏の場合、「親の七光り」はあるにせよ、出世速度から考えて、かなり派手に活動していることは明らかで、全ての収入を活動につぎ込んでいると考えて良い。むしろ足りないくらいかもしれない。

「それでも1億超えはないだろう」

という声が聞こえてきそうだが、例えば私設秘書を年間500万円で8人雇った場合(実際はそんな高給ではないが)、それだけで4千万円がかかる。その他に地元の事務所の維持費と活動費を考えれば、すぐに1億円など飛んでしまうだろう。選挙に備えて、貯金する必要もある。
実際には、自民党議員でも秘書が十人以上いるようなところは稀になっている。

もっとも、資産公開に抜け道があるのも確かだ。
その最も有力なのは「普通預金」にするというもので、何故か普通預金は公開対象外になっている。
もう一つは名義変更で、公開対象は配偶者と扶養中の子であるため、それ以外のものに名義を変えてしまうという手法がある。大方の政治家はこれによって「資産隠し」を行い、「潔白」を主張している。

資産公開制度は無いよりははるかにマシなのだが、実態を表しているとはとうてい言えず、問題があることは否定できない。
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2019年10月31日

買収大臣が辞任

【香典で状況一変「法的に厳しい」 政権もかばいきれず】
 今月上旬に選挙区内で寄付行為を行ったとする「買収疑惑」が週刊誌報道で浮上して以来、野党から追及を受けてきた菅原一秀経済産業相が辞任に追い込まれた。
 政権は、当初報じられた菅原氏が選挙区の有権者らにカニやメロンなどを贈ったとする疑惑には、「だいぶ古い話だ」(政府高官)として問題視しない姿勢だった。菅原氏本人が「(贈った記憶は)私の認識ではない」と国会で答弁していたことに加え、贈答品を贈った時期が2006〜07年で、すでに公訴時効を迎えていたからだ。
 しかし23日になって、週刊文春がウェブサイトで、今月17日に菅原氏の秘書が地元有権者の通夜で香典2万円を渡したとする記事を流すと、状況は一変した。自民党内からも「法的に厳しい」(党関係者)として進退論が浮上。政権としてもかばいきれないという判断に傾いた。
 菅原氏は初入閣後、経産相として関西電力の役員らによる金品授受問題の対応を指揮。関電に対し、「極めて言語道断でゆゆしき事態」と語気を強め、厳正に対処する構えを見せていた。
 菅原氏は菅義偉官房長官と近いことでも知られ、菅氏を支持する自民党無派閥議員が立ち上げた「令和の会」のまとめ役を務めている。菅原氏の入閣をめぐっては、菅氏が「ちゃんと仕事をした人を評価して下さい」と安倍首相に推した経緯があった。辞任を受け、菅氏への批判が自民党内からもあがっている。
(10月25日、朝日新聞)

自分の秘書に上納金を要求する一方、有権者に対する買収を繰り返していたとみられる大臣が辞任した。
記事では、「贈答品を贈った時期が2006〜07年」となっているが、これは判明した分のみであり、証拠等がすでに廃棄されている可能性は十二分にある。
この辺も実態を解明し、「(贈った記憶は)私の認識ではない」との答弁に対して虚偽答弁であったことを突きつける必要がある。これを放置すれば、あらゆる犯罪行為が「秘書が勝手にやったこと」として言い逃れることが可能になってしまうからだ。これは言うなれば、「関東軍の暴走については、(暴走の認識がなかった)参謀総長の責任ではない」という話と同じだ。

10年以上の議員秘書歴を有するケン先生の経験では、確かに秘書が独自の判断で何かを行うことはあるものの、少なくとも金がかかわってくる話は、議員の許可無しで行うことはまず無い。これもよほど「大物」の議員になれば違ってきそうだが、それは田中角栄や小沢一郎級の話であって、99%の議員は除外される。
つまり、議員の決済無しで有権者に大量の贈答品を贈ることはあり得ない。
私の周囲でもカニやメロンはなくても、カレンダーやタオルなどを送っていたケースが確認される。

特に菅原氏の場合、判明しているのは2006〜07年となっているが、これは自民党と旧民主党の勢いが拮抗しつつあった時期で、2007年の参院選で衆参逆転が起こったことからもわかるだろう。つまり、自民党が劣勢に陥りつつあった時期に、買収に血道を上げ、当選を繰り返していたことになる。買収の効果は、今となっては確認しようも無いが、少なくともその認識は必要だろう。

こうした買収行為が時効になってしまい、そのまま大臣にまで就ける仕組みには大いに疑問がある。
結果的には、有権者を買収して大臣になったものが、関西電力の収賄問題の指揮をとる一方、野党では関電労組の出身議員が経産委員会の理事になっているのだから、取り締まる方もチェックする方も「同じ穴の狢」となってしまっているのだ。
実態としては、戦前の軍部大臣現役武官制と同様、もはや国家の公平な運営や不正チェックなどできなくなっていることの証左とみるべきだろう。

そして、明らかに公選法違反の買収行為が摘発されるのか、政権党には適用されないのか、最後まで見届ける必要がある。
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2019年10月26日

「質問漏洩」事件に見る国会の諸課題

【内部通報者の特定を要求 質問通告流出で野党調査チーム】
 国民民主党の森裕子参院議員の質問通告が外部に流出したとして、同党や立憲民主党が設けた調査チームは18日の会合で、旧民主党政権で官房副長官を務めた松井孝治氏がツイッターで公開した資料の画像に関し、省庁からの内部漏洩(ろうえい)の可能性が高いとみて、提供者のツイッターのアカウントを特定するよう内閣府に求めた。
 資料は各省庁担当者が閲覧できるシステムの画面を印刷したもので、15日の参院予算委員会で質問した議員ごとに、省庁が質問内容を把握した日時などが記されている。
 松井氏は「官僚の相当数が連休中に働いていることがうかがわれる。きちんと正規の情報を開示した方が健全だ」とのコメントとともに期間限定で公開、すでに削除されている。内閣府の聞き取り調査に対し、松井氏は「匿名アカウントから送られてきた」と説明したという。
 18日の調査チームの会合後、いずれも国民民主の森氏、原口一博国対委員長、奥野総一郎国対委員長代行が記者団の取材に応じた。森氏は「松井氏が(提供者の)アカウントをフォローしていないと情報交換できない。匿名アカウントだから知らないでは済まない」と語り、調査が必要だとの認識を強調した。
(10月18日、産経新聞より抜粋)

本件では、野党側は「質問権の侵害」と非難し、与党・政府側は森議員の「約束破りの直前通告」を非難するという形に終始、話し合いは平行線を辿っている模様。
しかし、そもそも議論の前提条件に違和感を覚える。

まず質問内容は機密情報なのか、という問題がある。
質問通告をして数日後、あるいは翌日には質問内容が明らかにされる上、細かい内容は言わず、項目だけ伝える場合もあるのに、それほど機密性が高いものなのか、あるいは機密が漏れると質問に支障が出るようなものなのか、大いに疑問がある。野党議員は「質問妨害の恐れがある」と言うが、それは妨害行為を行うものの問題であって、質問内容が明らかにされることと直接関係は無いはずだ。
実際、自治体議会では下手すると一か月前に質問通告を行い、事前にネットで質問内容が公開されているケースもある。
議会の役割は、行政権が適切に行使され、立法府で制定された法律が適切に運用されているかチェックすることにあり、質問自体は最大限オープンにすべきものだ。
逆に議員側が質問内容の秘匿性を強調する場合、その意義はどこにあるのか聞きたいくらいだ。

もう一つは、事前通告制度である。これは法律や議会規則ではなく、議院運営委員会で与野党が合意した慣例に過ぎず、あくまでも指針でしかない。つまり、義務ではない。
ケン先生が秘書をやっていた時は、「前々日の午前中」までに通告するという「ルール」を可能な限り守ってきたが、これは政権党についた場合、野党側にルールを守らせる根拠としたかったからだ。また、官僚側との信頼関係の構築という側面もあった。
これに対し、森議員や同様の手法をとる議員たちは、慣例を無視し、前日の夜などに通告、前日夜に官僚を呼び出してギリギリ問い詰めるといったことを平気でやっている。これは悪質な盤外戦術で、敢えて政府側に酷い答弁をさせて、炎上させる狙いがあるわけだが、その結果、官僚側も敵対心をむき出しにしてくることになり、キャット・ファイトのようなものになってしまう。
私の「政治亡命」がごく穏便な形になっているのは、つまらない敵対を避けてきたためと言える。
私のよく知る議員なども「昨日は(夜の)12時まで(官僚と)質問の調整をして、終電で帰った」などと誇らしげに話しているが、官僚は省庁に戻って答弁を最終的に確定しなければならないのである。某電力会社で国会担当をしていた友人などは、終電に乗って帰る途中で呼び戻されたり、夜中の2時、3時に省庁から問い合わせの電話を受けたりしていて、端から見ていて尋常な勤務環境にはなかった。皇太子妃は外務省キャリアの出身だが、やはり国会会期中は夜が明けてから帰宅して10時には出勤するというのが「当たり前」だったという。こうした結果、残業時間が150時間とか200時間を超えるケースが続出、過労死基準の3倍が「普通」になってしまっている。
「中央官庁における女性幹部登用を阻害するもの」

そして、最後に国会の議会運営そのものの問題がある。
私が10年以上議員秘書を務めている経験を顧みても、3日以上前に質問が決まっているというのは非常にレアなケースで、2日前に決まっていれば御の字で、前日というケースもままあった。審議する法案は決まっているので、先に質問を用意しておけば良いだろうという意見はよく聞かれるが、多忙な業務の中で「行われるかどうか分からない」質問内容を事前に吟味する余裕は無いのが実情だ。せいぜいのところ資料収集だけしておいて、事前に資料に目を通しておければマシという感じだろう。実際のところ、2日前に質問が決まって、それから内容を精査するのだから、なかなか詰めた質問ができない。結果として、法案を作成した官僚自身や議会調査局が質問案の作成を代行するといったことが横行している。
逆に政府側からすると、答弁作成時間が少ないため、「通り一遍」の答弁を大臣が「読み上げる」(読み上げ行為自体は規則で禁止されているが)という形式主義に陥っている面もある。

これを回避するためには、会期制を撤廃して通年国会とするか、自治体議会のようにギチギチの日程を組むか、原理的には二つの選択肢しか無いのだが、どちらも与党側に有利に働くため、時の野党が必ず反対する構造になっている。議会運営のことであるため、与党が過半数で強行するわけにも行かず、国会改革は全く進んでいない。
デモクラシーと議会政治の原理に照らし合わせるならば、会期制を撤廃して法案審議に十分な時間を割いて議論を深めるのが妥当だろう。だが、この場合、現状では内閣提出法案が次々と俎上に上り、野党の反対にかかわらず「粛々と」可決されてゆくだけになってしまう。野党側の対案ないしは修正案が同時並行で審議されるように議会規約を改正する必要がある。また、野党案は放置されたまま廃案になるか、与党案の採決時に無審議で採決されるかだけになっており、野党はただ政府案の審議を引き延ばして採決時に反対するに止まっている。
これを改善するためには、内閣提出法案の修正を柔軟にできるようにし、野党案とすり合わせ、二者択一ではなく、可能な限り両者が歩み寄って妥協できる仕組みをつくるべきだ。ただ、現状では政府は法案修正に参加できないため、「立法権への介入」にならない程度に修正協議に参加できるように配慮する必要がある。同時にこの方式を採用する場合は、現行の議員立法のハードル(衆院の場合20人、予算の伴う法案は50人)を下げる必要があろう。
ところが、法案修正の柔軟化については、霞ヶ関が強い拒否反応を示している。これは「官僚無謬論」の悪しき表れであり、行政が圧倒的に強い権威を持つ日本の統治システムを象徴するものであるだけに、三権分立の原理に従って議会として一致して対応しなければならない。
さらに言えば、国会審議による法案修正が前提となるため政権党における閣法の事前審査は自粛されなければならないし、国対での取引のような審議外での法案協議は最小限に止められなければならない。例えば、「ダウンロード違法化」法の審議においては、与野党間の内部協議で事前に調整された法案が用意され、無審議で即採決されたため、国会の議事録に一行も審議が残らない結果となっている。このことが国民の議会に対する強い不信を生んでいることに、国会議員や政党はあまりにも鈍感ではなかろうか。

要は議会制度もリベラリズムも理解していない連中が、政治を担っていることこそ問題なのだ。
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2019年09月18日

無能力が閣僚の基準となる国

【今井絵理子議員が政務官に 当選1期スピード就任】
当選1期のSPEED就任。
自民党の今井絵理子参議院議員が、内閣府の政務官に内定したことがわかった。
今井議員は、人気ボーカルグループ「SPEED」の元メンバーで、2016年の参議院選挙で初当選した。
当選1期の今井議員が政府の役職に就くのはこれが初めてで、13日、女性活躍担当の内閣府政務官に正式に任命され、第4次安倍再改造内閣の一員となる。
(9月13日、フジテレビ)

これといい、小泉環境相といい、閣僚19人中13人が初入閣といい、AH「クレムリン」みたいになってきた。
能力で選抜するのでは無く、「自分の息が掛かっているヤツ」「自分の言うことを聞くヤツ」、そして「蒙昧なる国民の歓心が買える」という基準がミエミエ過ぎだ。

法律や霞が関文学が理解できるとは思えない今井氏が据えられたのは内閣府政務官だが、「女性活躍担当」ということで、これはまさに広告塔なのだろうが、実際の仕事は全て官僚に丸投げになるわけで、「おかわいそうに」という感想しか無い。が、これはまだマシだ。

小泉氏の場合、同学の者がこぞって「勉強しているところを見たことが無い」「口だけのバカ」と言うくらい、近しい者からの評判はすこぶる悪い。が、芸能人的才能だけは親譲りらしく、「小選挙区制の寵児」とも言える存在だ。これも、「環境相なら誰でも務まるだろう」という話のようで、実際、イシハラ氏の息子も同じ理由で据えられていた。当時、環境省の役人たちは「大臣が法案を見てくれない」「レクは全て秘書に対してやれと言われた」とこぼしていたが、同様の事態になりそうだ。

IT&クールジャパン担当大臣が78歳とか、「わざとやってるだろ!」と言いたくなる。

また、河野外相を防衛相に、茂木経産相を外務相にという「たらい回し」感も意味不明すぎる。だったら、そのままの方がまだマシだっただろうに。
引き継ぎをやらされる役人に同情してしまう。

それでいて、総理は総理で「改憲」を強調するわけだが、総理に権限を集中して中央突破を図ろうという話なのだろうか。まぁ国会の陣容を見てみないと分からないが、色々無理っぽいようにしか見えず、やはり「最後に閣僚ポストを大盤振る舞い」ということか、あるいは「人気取り内閣で解散総選挙」ということなのか、などと考えてしまう。
posted by ケン at 12:00| Comment(6) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする