2017年11月27日

三分裂の後始末・続

【民進東北、中ぶらりん 野党再編見通し立たず各県連に焦燥感】
 民進党を取り巻く野党再編の見通しが立たず、東北の各県連に焦燥感が漂っている。地方組織の存続は決まったが、希望の党や立憲民主党、無所属議員との連携は宙に浮いたまま。2019年の統一地方選や今後の国政選挙に向けた足場固めに不安を募らせる。
 「希望が現れ、戦いは混迷を深めた。小池百合子代表でなければ勝てた」。13日、山形市であった非自民系の無所属参院議員の政治資金パーティー。民進山形県連の吉村和武幹事長は小池氏を痛烈に批判した。
 10月の衆院選で、希望から立候補した山形2区の前議員近藤洋介氏が議席を失い、県内は民進系衆院議員が不在となった。近藤氏の処遇は党本部の決定待ち。吉村氏は「既存の組織を強化するしかない」と話す。
 青森は1〜3区に希望から立った全員が落選した。民進県連内には復党を促す声があるものの、奈良祥孝幹事長は「希望で戦った候補がすぐ民進に戻るのは有権者に説明がつかない」と苦しい胸の内を明かす。
 田名部定男代表は総支部長の擁立を探るが、「今の民進に新たな候補が来る保障はない。希望との合流でイメージは悪化し、人材が奪われた」と漏らす。
 秋田県連は10月末、沼谷純代表が離党する意向を表明。「選挙結果が思わしくないから党を存続すると言っても理解は得られない。筋を通したい」と言う。
 希望で比例復活した緑川貴士氏は、月内にも地盤の大館市に支部を設置する構えだ。民進の秋田市議は「希望との対立は避けたい」と戸惑いを見せる。
 「どのような形で総支部を立て直せばいいか分からない」と吐露するのは、岩手県連の佐々木朋和幹事長。3日の常任幹事会は岩手1区から希望で5選した前県連副代表階猛氏の穴埋め人事を先送りした。希望、立民との連携の在り方を示すガイドラインの策定を党本部に求める。
 福島県連は今月上旬、無所属で9選した玄葉光一郎氏(福島3区)が代表辞任を表明。県連は24日の会合で後任人事を協議する。亀岡義尚幹事長は「地方議員を中心とした体制の在り方を含め、話し合いを進める」と述べ、希望、無所属議員との連携も模索する。
 宮城は東北で唯一、立民から立候補した岡本章子氏が比例復活した。地方組織発足の見通しが立たず、民進仙台市議の事務所を間借りする状態が続く。
 民進県連の地方議員は共同歩調を取る考えを確認しているが、立民への合流を探る動きもある。村上一彦幹事長は「一人でも飛び出すと組織が崩壊する。行動を共にすることを優先したい」とけん制する。
(11月20日、河北新報)

民進党が四分五裂した状況を良く伝える良記事。
参議院民進党と無所属化した民進党籍の衆議院議員が「進むも地獄、引くも地獄」になってしまった上、連合から「民進党を残せ」という強い圧力がかかって、「何も選択しない」現状維持を決したことが、何を引き起こしているか、よく分かるだろう。

今回の総選挙で、連合は総評系が立憲、同盟系が希望を支援する傾向が見えたものの、同じ総評・同盟系でも立憲と希望の両候補を支援したケースも散見された。結果、労組が推薦した候補が立憲、希望、民進の三箇所に分かれてしまい、一箇所に戦力を集中できなくなっている。
また、同盟系労組は「希望は次の選挙をまともに戦えない」とは思うものの、かといって「改憲反対、原発ゼロ、安保・治安法制反対、TPP反対」の立憲を支持するという選択肢はなく、「立憲を潰した上で、民進と希望を合流させる」方針を採るものと見られる。
総評系組合もアジール(避難所)的に立憲民主党をつくったものの、総評系単独で維持できるはずもなく、緊急避難的には「仕方ない」としても、将来の展望があるわけでもなかった。

立憲は先手をうって、地方組織をつくり、一般党員や次期選挙の立候補希望者の入党を進めることが肝要だが、連合・希望・民進残存者などがこぞって妨害しているのが現状だ。希望・連合・民進からすれば、「立憲の一人勝ち」を阻止するのが勝利条件であるため、あらゆる手を打って妨害するのが、「ゲーム的には正しい」選択となる。

立憲はとにかく財政難で、衆院の落選者に活動費を出したり、統一自治体選挙や参院選の候補者に公認料を出したりすることすらままならない状況にあり、兵糧攻めされると、どこまで持ちこたえられるか分からない。
posted by ケン at 13:40| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月15日

立民は失速中

この週末で各メディアが支持率調査を行っている。括弧内は前回比。
【NHK】
自民 37.1(+4.3)
立民  9.6(+3.0)
KM  5.2(+0.9)
希望  3.2(-2.2)
NK  3.1(-0.3)
民進  1.3(+0.3)
維新  1.1(-0.6)
社民  0.6(±0.0)

【朝日新聞】
自民 37(-2)
立憲 12(-5)
希望  3(0)
KM  3(-1)
NK  3(0)
維新  2(0)
社民  1(1)
民進  1(+1)
支持政党無し 30(21)

相変わらず自民党がダントツで、内閣支持率を含めて選挙後に支持率を上げる傾向にある。
とはいえ、KMと維新を除く野党も20%前後を取っているので、自民党が圧倒的に見えるのは、少数野党が分裂していることが大きいとも言える。また、民進党は分裂前には5〜7%しか支持率が無かったが、三分裂後には合計すると15%以上になるので、「分裂して支持率が2倍以上になった」と強弁することも不可能では無い。
全体的には、朝日新聞の数字が示すとおり、もともと無党派だったものが選挙に際して立憲民主党を支持、選挙後に無党派に復帰しつつあると考えるのが妥当かもしれない。

自民党が固定的な支持を得ているのに対し、立憲の支持は無党派に支えられた脆弱なものであると言えるだろう。
本来であれば、立憲は総選挙で盛り上がった熱を利用して、大々的に党員募集をかけ、党組織を拡大すべきだったが、いかんせんにわか作りの政党で、政党職員すらいないという状況の中、機を逸しつつある。せめて外注してでも、ネット上で党員登録するシステムを提供できなかったのか、悔やまれるところだ。もっとも、党規約や党員の権利、あるいはそもそもどのような党組織や理念をめざすのが決めないで、党員だけ集めてみたところで、結局のところトップダウン型の組織になって人が離れてゆくだけなので、どのみちダメだったかもしれない。

現状では、立憲は三分裂の影響と連合の妨害もあって、当面、党組織づくりには難航するとみられる。また、イデオロギーや理念を整備する余裕も無く、国会対応と次の選挙準備で手一杯な状況が続きそうだ。結局のところ、党員も党組織も無い議員政党であるが故に、「上から下をつくる」ことは難しいのだろう。このまま行けば、民主党の二の舞となりそうだ。
posted by ケン at 12:10| Comment(2) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月08日

野党第一党が三分裂しただけ

【民進、再分裂含み=共産との連携めぐり】
 民進党の新代表が無投票で大塚耕平氏に決まったのは、リベラル系の一部が選挙戦回避に動いたためだ。衆院選で露呈した共産党との連携の是非をめぐる亀裂が、参院側に及ぶのをひとまず防いだ格好だ。だが、潜在的な対立が続くことに変わりなく、民進党は再分裂含みで再出発する。
 大塚氏を代表に押し上げた原動力は、参院に多くの組織内議員を有する旧民社党系グループだ。連合と同様、共産党との連携には否定的。大塚氏は記者会見で、共産党との協力に関し、「なかなか難しいという意見がこれまであった」と指摘。立憲民主党、希望の党との関係については「等距離だ」と述べたものの、党内では憲法改正を掲げる希望寄りとの見方が支配的だ。
 共産党との連携を容認するリベラル系議員には、蓮舫元代表を推す動きがあった。大塚氏が党運営の主導権を握れば、地方組織や100億円超とされる党の資金が希望に移るとの警戒感からだ。蓮舫氏に近い議員は「大塚代表になれば左派切り捨てになる」と語っていた。
 ただ、リベラル系も一枚岩ではなく、選挙戦突入を懸念する向きもあった。7月の東京都議選敗北で引責辞任した蓮舫氏の再登板に「国民の理解が得られない」(中堅議員)との声が上がったことも踏まえ、リベラル系の一部は蓮舫氏の推薦人確保に協力せず、結果として同氏は出馬を断念した。
 大塚氏は31日の両院議員総会で「皆さまと共有したいことは次の衆院選で(民進、立憲、希望)3党を中心に政権交代を実現するという目標だ」と述べ、結束を呼び掛けた。だが、会見で2年後の参院選に民進党公認候補を擁立するか問われると「確定的なことを言う段階ではない」と言葉を濁した。今後の焦点は、執行部人事に移る。大塚氏の敷く布陣次第では、いったんは抑えた確執が表面化する可能性もある。 
(11月1日、時事通信)

希望の党が大敗したことで、参議院民進党は合流を断念したものの、かといって立憲民主党と合流するわけでもなく、現状維持という選択になった。
今度代表になった大塚氏は、もともと強い合流論者で、総選挙の直前まで左派切りと希望合流を主導した、いわば「戦犯」の一人だったはずだが、どのような党内力学が働いたのか不明だが、新代表に選ばれている。

大塚氏は主に同盟系労組の組織内議員に担がれたと見られるが、その思惑は「希望は遠からず解体するので、希望議員を民進党に再統合するために、ハコを残しておく必要がある」というものだと推察される。
だが、現実には民進党の支持率は1%を切るような有様で、仮に希望が解党されたとしても、支持率が戻るという保証は無い。むしろ立民が最大野党として認知され、政策の対立軸も明確に打ち出すと期待される以上、民進党は「終わった党」と見なされる可能性が高い。

単純に次の選挙(統一自治体選と参院選)を考えた場合、「立憲民主党で出たいですか、それとも民進党で出たいですか?」と立候補希望者に率直に尋ねれば、大半の者は(今回支援しなかったものでも図々しく)「ぜひ立民から出たいです」と言うだろう。

また、大塚氏と連合の狙いは「立民潰し」にもある。民進党に残った総評系やリベラル系の議員を拘束して、立民への移籍を封じることが目的で、これにより立憲民主党は参議院に勢力を持てず、人員的にも資金的にも困窮することになる。国政政党としては、片肺での飛行を続けるような話で、いわば兵糧攻めのような状態に陥る。
もっとも、参議院は参議院で、民進党のままではまともに選挙にならないので、どこかの段階で突破口をつくる必要があるが、今のところ何のメドも立っていないと思われる。

いずれにせよ、いましばらく主要野党は分裂したままとなり、自民党と霞ヶ関はウハウハな状態が続くものと見られる。「野党の数が増えて説明や交渉の手間が増えて大変」という声は聞かれるものの、贅沢な悩みだろう。
posted by ケン at 12:35| Comment(2) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月02日

三分割の後始末

【民進、職員も分裂…立民・希望が引き抜き活発化】
 民進党が立憲民主党、希望の党に分裂したことで、約80人の民進党職員が混乱に巻き込まれている。民進党は当面の存続が決まったが、野党再編の行方が定まらず、職員らの将来も見通せないためだ。一方、党勢拡大を図る立民、希望は民進職員の引き抜きを活発化させている。野党第1党となった立民は30日、国会近くの民間ビルに党本部を開設する。年内に支給される政党交付金を原資に、職員確保など態勢の拡充を図る方針だ。現在は議員秘書らが党の資料作りなど事務局機能も兼務しており、専従職員はいない。衆院選では、民進の選対職員や参院議員秘書が実動部隊となった。
(10月29日、読売新聞)

前原氏の構想では、ごく一部の議員を除いて全党あげて希望の党に合流する予定だったが、小池氏の「排除」と立憲民主党の結党が起こり、希望が立民に敗北するという番狂わせに終わり、「全党あげての新党移行」は頓挫した。
その結果、少数野党だった民進党が、立民、希望、民進の三党に割れてしまった。自民党や霞が関官僚からすれば、「もう自民党の一党独裁で良くね?」と思ってもおかしくない惨状である。

参議院議員や地方議員などが取り残されている民進党は、選挙結果を見て希望への合流を断念したものの、連合系議員の反対もあって立民への合流も決められず、完全に宙に浮いてしまっている。

民進党のパトロンとも言うべき連合は、総評系が立民、同盟系が希望を支援したものの、どちらも組織決定と動員が間に合わず、不十分な形に終わった。そして、立民と希望の双方に組織内議員がいる形となり、今後の対応が難しくなっている。
連合内では希望に対する嫌悪こそ広がっているものの、かといって同盟系労組としては、改憲、安保法制、TPP、原発などに反対する立憲民主党を支援するのは「あり得ない」選択であり、連合としてはもはやいかなる組織決定もできない状態に陥っている。結果、「当面は民進党のまま」という判断に落ち着いているようだが、民進党のまま次の統一自治体選挙や参院選を戦えるはずもなく、「その場凌ぎ」でしかない。
ちなみに世論調査では、民進党の支持率は1%を下回っており、仮に連合が総力をあげて参院選を支援しても、比例区の当選は2〜3もいるかどうか、という話でしかない。政治的には、連合はすでに詰んでいると言える。後は、政治関与から手を引くか、総評系と同盟系に再分裂するか、くらいの選択しかないだろう。

記事の話をすれば、本来は民進党本部も希望に合流する手はずだったが、これが頓挫したことで、本部の人員も宙に浮いている。民進党本部は残っているものの、死に体になってしまっている。一部の党職員は、立民の呼びかけに応じて退職、立民本部に入っているものの、立民は立民で政党交付金が入ってくるまでは借金で成り立っている状態であり、しかも参議院議員がいないので総勢で50人足らずの小所帯なので、あまり大勢の党職員を抱えるわけにもいかない。

他方、希望は現時点でも党本部を置いておらず、国会議員を50人も抱えながら、党本部すら無い状態にある。党本部機能が無いということは、党員を募集したり、地方議員を擁立したり、あるいは党の政策をつくって宣伝するといった機能が無いことを意味する。
そもそもどのような政党で、どのような立ち位置で続けるのかという方針も無いため、決済する機関も存在せず、政党組織としての体を全く為していない。
聞くところでは、民進党本部職員に身の振り方のアンケートをとったところ、7割が立民を希望した一方、希望を志望したものは一人もいなかったという。

以上の点からも、自民党と霞ヶ関からすれば、「弱い敵をさらに分割してやった」という意味で「圧勝」だったことが分かるだろう。
posted by ケン at 12:39| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月01日

立民攻撃はまだ序の口

【立憲民主党・初鹿明博議員、「週刊文春」がセクハラ疑惑報道…直撃取材に「覚えていない」】
 1日放送のTBS系「ビビット」(月〜金曜・前8時)でこの日発売の「週刊文春」が報じた立憲民主党の初鹿明博衆院議員(48)の「わいせつ疑惑」を特集した。
 初鹿議員は、妻と3人の子供がいる。文春は、初鹿議員がある会合の2次会後に支援者の女性とタクシーに同乗し、キスを迫るなどのわいせつ行為に及んだなどと報じている。番組では、「週刊文春デジタル」が初鹿議員を直撃した映像を放送し、初鹿議員は「それは知らないですけど」「あんまり覚えていない」「酔っ払っていたから分からない」などと答えていた。
 番組では独自に同議員の事務所に取材したが「現時点で何も言うことはありません」とのコメントを発表していた。
 立憲民主党では、先週発売の「週刊文春で」で今回の衆院選で初当選した青山雅幸議員(55)のセクハラ疑惑を報じており、2週連続のスキャンダル報道となった。
(11月1日、スポーツ報知)

青山氏に続いて2週連続のスキャンダルとなったが、ネタはまだまだあるとのこと(蛇の道は蛇)。大ネタの代表疑惑は「いざ」という時に取っておくものと見られるが、それを除外しても当分は困らない程度に小ネタはあるという。

いまや野党と言っても、希望は半分死に体の上、政策的には自民党と変わりなく、維新も衰退傾向にある。結果、主な野党は立民とNKだけであり、NKは破防法を適用すれば良いだけなので、いつでも「処理」できる。そのため、自民党と霞ヶ関はいまや立民こそが唯一の脅威と認識しているものと見られる。

もっとも立民は立民で、旧民主党らしい「脇の甘さ」があり、候補者不足から誰彼かまわず公認出しているところもあるので(公認申請を断った例もあるというが、本部機能が無いため、審査する術も無い)、洗いざらい調べられたら、まだまだ出てくるだろう。
記事の件でも、「覚えていない」などという不誠実な対応をとっている時点で、危機管理に難があることを示している。こうした点でもなかなかに厳しいものがある。
posted by ケン at 12:52| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月31日

第48回衆議院総選挙を分析する

突然の解散からすったもんだした挙げ句、フタを開けてみれば与野党の議席はほぼ変わらだった。巷では「こんなに笑えるものなら、東京五輪なんかやめて総選挙を10回やれば、10回楽しめて費用は3分の1だ」とまで言われている。今回の総選挙も、従来同様、小選挙区制の特徴が強く出る結果となったので、全容を見てみよう。

まず小選挙区。自公合わせた得票は2733万票で、得票率は49.3%。対する野党は2809万票で、50.7%。獲得議席は、与党226に対し、野党63。与党は49.3%の得票で議席の78.2%を占めたのに対し、野党は50.7%の得票で21.8%の議席占有率となっている。
次に比例区(得票数、得票率、議席)。

自民:1856万票 33.3% 66
KM: 698万票 12.5% 21

立民:1108万票 19.9% 37
希望: 968万票 17.4% 32
NK: 440万票 7.9% 11
維新: 339万票 6.1% 8
社民: 94万票 1.7% 1


比例は与党46%に対して野党54%となっている。与党の合計は2562万票に対し、野党五党の票は2949万票と上回っている。だが、獲得議席は与党87に対し、野党89で、これはブロック別であることや、立民が東海ブロックで候補者不足となり、1議席分を自民に譲ってしまったことが影響している。

比例区のみを見た場合、自公は過半数を有しておらず、希望ないし維新と連立を組まなければ政権を維持できない構造になっている。だが、小選挙区を合わせると、議席占有率は67.3%となり、3分の2を超す勢力になる。

小池都知事は、こうした勢力図を見越して、賭けに出たわけだが、7月の都議選の成功体験が仇となり、排除した者たちが結成した立憲民主党の逆撃を食らって大敗した。結果として敗北はしたものの、「自民の優勢は選挙制度によるもので、決して盤石では無い」という小池氏の認識自体は正鵠を射ていた。

また、NK党は本来禁じ手である「下院選挙における選挙協力」を行った結果、前回の比例区704万票から440万票へと激減(62%)させ、議席も21から11へと半減させている。同じ流れで社民党も前回の131万票から94万票へと減らしている(71%)。これらの減らした票の大半が立民に流れていると見られるだけに、旧式左翼は合流論で行くか、共闘から距離を置いて独立路線で行くか、厳しい選択が迫られそうだ。

立民は立民で、ある種の純化路線を採ることで人気を爆発させたが、それだけにウィングを広げる可能性(選択肢)に乏しく、現状以上の支持が得られるのか、一から党組織を再建できるのか、課題が山積している。

自民党と霞ヶ関からすれば、「弱い敵をさらに分割してやった」という意味で「圧勝」だったと言えるだろう。

【参考】
自民党は勝利したのか:47回総選挙の結果を分析する
posted by ケン at 12:22| Comment(4) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月30日

前途多難の立民

【政調会長に長妻氏=青山氏は党員資格停止へ―立憲民主】
 立憲民主党は26日の執行役員会で、辻元清美国対委員長の政調会長職兼務を解き、長妻昭代表代行の兼務とするなどの執行部人事を決定した。党本部を東京都千代田区平河町のビル内とすることも決めた。一方、同党は週刊誌で女性問題が報じられた青山雅幸衆院議員(静岡1区)について、無期限の党員資格停止処分とする方針を固めた。同氏は立憲の会派からも外れる。26日に決定した執行部人事は次の通り。
 選対委員長 近藤昭一副代表▽総務委員長 佐々木隆博副代表▽国対委員長代理 山内康一衆院議員▽幹事長代理 阿久津幸彦元首相補佐官。 
(10月26日、時事通信)

当選直後に週刊誌スキャンダルで議員一人が離脱、同時に問題児の入党を認めるというスタート。セクハラ疑惑の弁護士については辞職勧告も検討されたが、比例ブロックに余裕がなく、他党に議席を渡すことになるため、今回の措置となったようだ。週刊誌報道だけでここまでやるのは過剰反応とも思えるが、事実性の高さと世論頼みの脆弱性を考慮しての判断だと思われる(第二弾が用意されているとも聞く)。
今回無所属で出た問題児の当選後入党も、様々な爆弾を抱えているだけに、不安要素ばかりだ。
そして、某週刊誌は公安の協力を得ながら、代表とその元秘書であるH議員の角丸疑惑を準備しているという。
さらに言えば、国会運営の要に当局のコラボを据えている辺り、「大丈夫なわけが無い」レベルにある。

無所属との統一会派も当面は見送るようだが、これも世論からの野合批判を恐れてのものだろう。現実には国会対策上、会派は少しでも大きい方が議会運営に力を発揮するので、技術的には「統一会派を組まない手は無い」くらいの話なのだが、風頼みで勝利してしまった手前、そうも行かないのだろう。だが、現実には無所属と希望が統一会派を組んでしまえば、立民の野党第一党など意味を失ってしまうだけに、非常に危うい選択となっている。

立民は参議院議員を一人しか持たないため、当面は民進党の参院会派と連携するのだろうが、やはり他党は他党であるためスムーズには行かないだろう。同時に、自治体議員も一人もいないだけに、いかに地方組織を組んで地盤を作ってゆくのか、課題は山積みだ。まずは2年後の統一地方選と参院選に焦点を定め、体制をつくってゆくことになるだろうが、それだけの全国組織を作れるのか疑問は多い。

そして、NK党との関係。今回の総選挙、立民は総評系組合の支援を受けて戦えたものの、組合側はNK党との協力に対し非常に否定的だ。一方、NK党はNK党で「大義」を掲げて野党共闘を行ったものの、現実には自党の議席を半分にするという「大敗」となった。今後は党内から「社民(立民)主要打撃論」が噴出するものと思われ、どこまでそれを抑えられるか、党内クーデターが起きるのか、予断を許さない。
フランスでも、共産党は大統領選では「不服従のフランス」のメランション候補を支援したが、総選挙では選挙協力せず独自に戦った。下院選挙における過剰な選挙協力は、自らのアイデンティティを否定することにしかならず、非常に難しい。日本のKM党が自民党との協力関係を続けられるのは、自らの中道・宗教社会主義路線を放棄したからに他ならない。

こうして俯瞰してみると、立民の立場は、「とりあえず金ヶ崎は凌いだものの・・・・・」という「信長最大の危機」ばりに危ういところにあることが分かろう。
posted by ケン at 12:47| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする