2019年09月18日

無能力が閣僚の基準となる国

【今井絵理子議員が政務官に 当選1期スピード就任】
当選1期のSPEED就任。
自民党の今井絵理子参議院議員が、内閣府の政務官に内定したことがわかった。
今井議員は、人気ボーカルグループ「SPEED」の元メンバーで、2016年の参議院選挙で初当選した。
当選1期の今井議員が政府の役職に就くのはこれが初めてで、13日、女性活躍担当の内閣府政務官に正式に任命され、第4次安倍再改造内閣の一員となる。
(9月13日、フジテレビ)

これといい、小泉環境相といい、閣僚19人中13人が初入閣といい、AH「クレムリン」みたいになってきた。
能力で選抜するのでは無く、「自分の息が掛かっているヤツ」「自分の言うことを聞くヤツ」、そして「蒙昧なる国民の歓心が買える」という基準がミエミエ過ぎだ。

法律や霞が関文学が理解できるとは思えない今井氏が据えられたのは内閣府政務官だが、「女性活躍担当」ということで、これはまさに広告塔なのだろうが、実際の仕事は全て官僚に丸投げになるわけで、「おかわいそうに」という感想しか無い。が、これはまだマシだ。

小泉氏の場合、同学の者がこぞって「勉強しているところを見たことが無い」「口だけのバカ」と言うくらい、近しい者からの評判はすこぶる悪い。が、芸能人的才能だけは親譲りらしく、「小選挙区制の寵児」とも言える存在だ。これも、「環境相なら誰でも務まるだろう」という話のようで、実際、イシハラ氏の息子も同じ理由で据えられていた。当時、環境省の役人たちは「大臣が法案を見てくれない」「レクは全て秘書に対してやれと言われた」とこぼしていたが、同様の事態になりそうだ。

IT&クールジャパン担当大臣が78歳とか、「わざとやってるだろ!」と言いたくなる。

また、河野外相を防衛相に、茂木経産相を外務相にという「たらい回し」感も意味不明すぎる。だったら、そのままの方がまだマシだっただろうに。
引き継ぎをやらされる役人に同情してしまう。

それでいて、総理は総理で「改憲」を強調するわけだが、総理に権限を集中して中央突破を図ろうという話なのだろうか。まぁ国会の陣容を見てみないと分からないが、色々無理っぽいようにしか見えず、やはり「最後に閣僚ポストを大盤振る舞い」ということか、あるいは「人気取り内閣で解散総選挙」ということなのか、などと考えてしまう。
posted by ケン at 12:00| Comment(6) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月03日

「数あわせでは無い」らしい立憲と国民の統一会派

【立憲が国民との会派合流方針を了承 枝野代表「次の総選挙で大きな意味持つ」】
 立憲民主党は27日、国会内で両院議員総会を開き、国民民主党と衆参両院で統一会派を結成する方針を了承した。枝野幸男代表は総会のあいさつで、原発ゼロ基本法案など立憲の政策への理解と協力を求めた今月5日の申し入れについて「国民民主党は受け入れていただき、会派を共にするということだ」と強調した。
 総会は20日の国民との党首会談で衆参両院の統一会派結成に合意したのを受けて開催された。枝野氏は会派合流が「次の総選挙で有権者の期待と信頼を受け止める上でも大きな意味を持つ」と語り、次期衆院選での支持拡大につながることに期待感を示した。
 統一会派には衆院で「社会保障を立て直す国民会議」が参加する調整を進めているほか、参院では社民党が参加する方針だ。
(8月27日、毎日新聞)

立憲民主党は小池=前原の「希望の党」から排除された者たちが、「永田町の数あわせの論理には与さない」として立ち上げた政党だったはず。その彼らが舌の根も乾かぬうちに国民や野田一派との合流を決めたのだから、もはや末期的だ。
もっとも、その立民も原発や秘密保護法を推進していた菅直人らが一夜にして反対に転ずるなど、およそ信用に値しない連中ばかりなのだが。

立民の両院議員総会(最高意思決定機関に準じる)では、誰も反対者は出ず、事前会議でも少数の者が疑問を呈した程度だったという。
枝野代表ら執行部は、「原発ゼロや改憲反対などは絶対に取り下げず、あくまで国民が立民の軍門に降ったと解釈して欲しい」旨を述べたというが、国民側は全くそう考えておらず「合流してしまえば、連合の力で何とでもなる」というスタンスらしい。

確かに国民を放置すれば、自民や維新と手を組んだり、解党して自民に合流などロクでも無いことをしでかねないだけに、「手綱を取っておく必要がある」という立憲の考え方は分からないでも無いし、戦術的には正しいのだろう。
とはいえ、全体的にはこれで旧民進党が復活し、玉虫色の政策とスタンスしか出せず、「自民に都合の良い野党」がまた誕生しただけのことだ。
野党支持層はますます「れいわ」に流れ、旧民進は「1+1」にならずに支持低下に歯止めがきかなくなる公算が高い。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月15日

結局野合、そして「れいわ」へ?

【野田氏ら、会派合流へ立憲と協議=消費増税で溝も】
 野田佳彦前首相が代表を務める衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」は9日、国会内で総会を開き、立憲民主党から提案された会派合流に応じる方向で協議を進める方針を確認した。
 同じく合流を提案された国民民主党の動向を見極めつつ、10月召集が想定される臨時国会までに最終判断する。
 野田氏は総会後、記者団に「会派の合流に向けたプロセスに入ることで意見集約した」と説明。「野党の固まりを大きくしていくことには総論として賛成だが(合流後の会派の)運営、名称など分からない部分もある」と述べ、立憲との協議で詰める意向を示した。
 国民会議幹部は「われわれだけで立憲と組むことはあり得ない」と語っており、国民民主と歩調を合わせる考えだ。
 国民会議は1月、前身の会派「無所属の会」のうち、立憲会派に合流しなかった議員が中心になって結成した。所属議員は8人。野田氏は首相として推進した消費税増税による財政健全化を重視しており、先の参院選で「増税凍結」を掲げた立憲とどう折り合うかが課題となる。
 一方、国民民主は9日の総務会で、衆参両院での統一会派結成を条件に立憲との協議に入る方針を決めた。
 国民民主に所属する小沢一郎元民主党代表らは、2012年に野田政権の増税方針を批判して集団離党した。野田氏は「(小沢氏とは)その後もコミュニケーションを取っている」と関係修復を強調したが、野党内には旧民主党で絶えなかった内部抗争の再燃を懸念する声もある。 
(8月10日、時事通信)

「数合わせはしない」「永田町の論理から脱却する」「政策本位で闘う」などはずっと民主党の頃から立憲民主党に至るまで連中が言ってきたことだが、その全てを反故にしようとしている。

菅・野田と小沢は消費増税をめぐって対立、分裂したはずだが、増税に対するスタンスはどうなったのか。
野田は増税のスタンスを保っているが、菅に至っては増税反対を主張していると言うから、「バルカン政治家」どころか「聖戦貫徹」から「平和主義者」に鞍替えした社会党創世記の連中を思わせる。せめて「なぜスタンスを変えたのか」の説明や反省があればまだ誠意もあるが、それすら無いのだから、政治家として安倍などよりよほど邪悪である。こういう失敗者で誠意の無い連中が個人的名声や地域的人気によって何度も再選されてしまうところに、小選挙区制の弊害が見て取れる。

立民と国民、その他の分裂は基本的には政策に対するスタンスの違いに起因していたはずだ。
特に原子力・核と安全保障、そして憲法がそれだ。
「核推進」「対米軍事協力強化」「独自の軍事力強化」「憲法改正」などを志向した「希望の党」の残党が民進党の基盤を引き継いで後継となったのが国民民主党で、それに対して「核放棄」「対米軍事協力の限定(アジア志向ではない)」「軍事力強化に否定的」「憲法改正に否定的」でかつ「旧民主党のリベラル路線(ネオリベ含む)を引き継ぐ」としたのが立憲民主党だった。
そもそもどう見ても同じ政党であること自体が異常で、分裂して落ち着くところに落ち着いたはずだが、「小会派では何もできない」として議会内会派の統一を試みるのは、「数合わせ」「永田町の論理」そのものでしかない。
同一会派となった場合、同じ会派の委員が「原発ゼロ」を主張したすぐ後に、「核の再開」を要請するといった展開が必ず起こるだろう。それに対して、国民にどう説明し、誰が責任を取るのか。この一点を想像しただけでも、この連中に議席を与え議会活動する機会をくれてやること自体、避けねばならないだろう。

その場合、「どうせ政権交代の可能性の無い批判勢力というだけなら、れいわの方がマシ」ということになり、政権批判票はさらに「れいわ」に向かう可能性が高い。
まぁ20世紀の遺物のような旧民進党系列は一刻も早く消滅した方が良いとは思うが、さりとて現実性と組織を否定する「れいわ」に未来があるわけでもなく、「選択肢が無い」絶望的状況がいましばらく続きそうな気配である。
posted by ケン at 12:00| Comment(7) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月29日

立民は敗北感でいっぱい

【顔色冴えぬ立民・枝野代表 参院選終え党内から不満】
 21日投開票の参院選で議席を「倍増」させた立憲民主党の枝野幸男代表の顔色がさえない。枝野氏ら幹部が推した目玉候補が相次ぎ落選し、比例代表の得票数も平成29年の衆院選に比べ激減したからだ。強さが「張り子の虎」だったことが露呈した今、党内で枝野氏への不満がくすぶり始めた。
 「参院選では議席倍増という結果が出た。衆参両院ともに野党第一党として、さらに大きな責任を負うことになった」
 枝野氏は25日の常任幹事会で、参院の勢力が改選前の9議席から17議席に伸びたとして胸を張った。とはいえ、トップの「勝利宣言」とは裏腹に出席者の表情は総じて暗かった。
 それもそのはず。党幹部は投開票日直前、「選挙区・比例代表合計で20議席は固い」と踏んでいたが、蓋を開ければ、有名弁護士や元アイドルら目玉候補は軒並み落選。比例得票数も29年衆院選の約1100万から約316万減の約791万に落ち込み、与党の土台は揺らぎもしなかった。
 立憲民主党は29年衆院選での比例得票数と、野党で最も高い政党支持率を売りに勢力拡大を図ってきた。それだけに、中堅は「幹部は比例得票数が800万を下回ったことに衝撃を受けている。政党の地力がバレて、枝野氏の求心力は落ちていくだろう」と解説した。若手も「お偉いさん方は認めたくないだろうが、今回の参院選は明らかに負けだ」と強調した。
 野党の主役の座は、初の国政選挙で約228万の比例票をたたき出した山本太郎代表率いる「れいわ新選組」に奪われつつある。山本氏は21日深夜の記者会見で「他の野党と手を組まなければ政権交代までいけない。力を合わせていく必要がある」と述べた。
 枝野氏は選挙前まで党勢拡大を優先し、野党が一つの政党にまとまることに否定的だった。しかし、参院選での伸び悩みやれいわの躍進、国民民主党系無所属を含めれば勢力を維持したともいえる国民民主の粘りを目の当たりにし、独自路線からの転換を迫られる可能性もある。
(7月25日、産経新聞)

ケン先生が立民にいる旧知の何人かに尋ねたところでも、敗北感と執行部への不満が充満していた。
目標としていた前回衆院選並みの1100万票に遠く及ばず(投票率低下を考慮しても)、国民民主は意外と健闘してしぶとく残り、22人も候補者を出して8人しか当選させられず、供託金と経費(選挙運動の公費負担にならなかった分)だけでも1億近くなるのではないかと言われている。
立民の戦略目標を整理すると、以下のようになる。

1.1100万票以上とって野党の主導権を握る → 791万票
2.国民民主を完膚なきまでに叩いて、立国対立に終止符を打つ → 国民348万票
3.当選者のジェンダーバランスを限りなく等しくする → 比例当選8人中女性は労組の2人

このうちの一つも実現することなく終わったのだから、「俺たちは負けてない!」と強弁するのは難しいだろう。
とはいえ、立民と国民をあわせると、少なくとも比例票は前回2016年の民進党並には取っている。全体の議席では32から23になってしまい、選挙区での敗北が痛すぎる。要は弱小政党が分裂してさらに弱くなっただけだった。

立民は今回の選挙では、全く運動員を確保できず、労組の動員すら進まず、もっぱら秘書が証紙張りからポスター貼りまでしていて、「電話かける暇すらなかった」というのだから、全く組織の体をなしていなかった。
これは組織の純化を図った結果、旧民進系の自治体議員が国民や無所属になってしまったことも影響している。その後、立民は統一選挙で候補を擁立したものの、その多くは素人だったため、国政選挙についていけなかったこともある。こうした新人議員を教育するだけの組織がないため、どうにもならないのだ。
つまり、立民は候補の頭数だけ揃えたものの、手足が全く機能せず、選挙運動にならなかったようだ。

政策についても、「民主リベラル」の焼き直しと年金問題に象徴される追及型の主張ばかりで、大きな問題提起も「物語」も提示できないまま、「お前は何がしたいんだ?!」という話になってしまったところがある。
結果、「消費税廃止」「打倒安倍」と主張が非常に明快な「れいわ」に政権批判票が流れてしまった。無党派中の一定数は政権批判が激しく、劇場的なスタンスを好むものであり、それは2017年の衆院選で枝野氏が自分で起こした「風」だったはずだ。にもかかわらず、一度「勝って」しまったことで、変に政権奪取に色気を持ち、主張を「現実的」にしてしまったことも失敗の一端だった。

候補擁立過程についても、参院選選対を組みながら、実質的には「枝野=福山ライン」で決めていたことが多く、事務方も知らないうちに候補が決まっていたケースが多かったそうで、結果当初2人のはずだった「芸能人枠」が倍以上になり、秘書の間では評価の高かった奥村氏や斉藤氏が落選、「上手く使われただけ」「使い捨てかよ」などの不満が高まっている。
無駄に多く擁立した比例候補についても、党本部の職員が少なすぎて、大半の人は運動らしい運動ができず、他の議員秘書が補佐して街頭活動の調整をするだけというケースが多く、地方に行っても「行くところが無い」という状況にあったという。
要は「運動できないなら擁立するな!」という話だった。

立民内は「これではとても次の衆院選は戦えない」「次はれいわに食われるだろう」「もう終わりだ」「ケンちゃん、良いときに辞めたね」といった話ばかりで、相当に深刻である。
posted by ケン at 12:00| Comment(6) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月27日

参院選2019を分析する・下

(前回の続き)
 もう一つの問題は、比例代表の制度上の不具合である。今回の選挙から比例代表に「特定枠」制度が新設された。これは政党が当選者の優先順位をあらかじめ決めることができる制度で、特手枠に指定された候補は、個人の得票に関係なく、名簿の順に当選が決まる。但し、特定枠を設けるかどうかは政党の裁量に委ねられている。もともと参議院の比例代表制は拘束名簿式で、政党の得票率に従って名簿順に当選者が決まる仕組みだったが、2001年の参院選から非拘束名簿式が導入され、比例代表の当選者は名簿順では無く、個人の得票数に応じて順位付けされるようになった。つまり、制度改変が屋上屋を建てるように行われた結果、非常に分かりにくいシステムになってしまったのだ。
 その結果、例えば「れいわ新選組」の山本太郎候補は99万票からの個人票を獲得したにもかかわらず落選する一方、特定枠の候補者は全く選挙運動せずに(公選法で個人の選挙活動が禁止される)当選している。また、公明党の最終当選者は1万5千票余りで当選している。これは、「多数者の支持を得た者が主権の代行者となる」「複数の候補が主張を競い、有権者の選択を仰ぐ」という代議制民主主義の原理が問われる事態だと言える。

 最後になるが、今後の政局の動きにも触れておきたい。今回の選挙で与党と維新が3分の2を得られなかったこと、そして今年10月に消費増税が行われることで、今後憲法改正はますます難しくなってくるものと考えられる。また、安倍晋三氏の自民党総裁の任期は2021年の9月までで、今のところ規約で4選が禁じられているため、再選もない。そのため、安倍氏の権威は今後レームダック化し、自民党内の後継争いにシフトしてゆく可能性がある。これを回避し、総理総裁としての指導力を維持するためには、衆議院を解散して総選挙に打って出る選択肢があるが、消費増税後には景気が悪化する蓋然性が高く、非常に難しいだろう。
 野党は野党で、弱小政党が乱立する状況が続いており、自民党に対抗するだけの理念も政策も打ち出せていない。政権党に対する支持が盤石な中で、乱立する野党内で政権批判票を奪い合う構図は当分続きそうだ。中でも「れいわ」がその動きの中心となって、さらにNKや社民の票を食うのか、立民や国民と合併あるいは吸収してゆくのかがポイントとなるだろう。立民と国民はともに影響力を弱めてゆく中で、連合との関係も悪化、さらに衰退して行く可能性がある。もっとも、「れいわ」も山本太郎氏が「四番ピッチャー」を務める政党である上、理念も組織も無いので、一過性のポピュリズム運動に終わる可能性も十分にある。いずれにしても、野党側には殆ど展望らしいものが無い。
この状況は与党にとって都合が良いため、現行の衆議院の任期満了となる2021年までは、政局上の大きな変化は生じない可能性が高そうだ。

【追記】
ポピュリズムとは、既成政党が民意の受け皿になり得なくなった時に発生するもので、新たな政治運動や政党が生じて、既成政党から支持が流れる現象を指す。本来的には、価値中立的な概念だが、「既存の体制に対する疑義あるいは挑戦」という意味で、ネガティブな評価を込めて使われるケースが多い。20世紀で言えば、イタリアのファッショやドイツのナチスがそれに相当する。近年では、アメリカのトランプ大統領や、フランスにおけるル・ペン氏やメランション氏らの左右の運動、ギリシアやスペインにおける左翼運動などが挙げられる。いずれも既存の政治家やインテリ層からは酷評される傾向にあるが、「既成政党が民意の受け皿になっていない」という視点が無いと、本質を見失うだろう。

【参考】
立憲民主党の限界(2017.11.4)
posted by ケン at 00:00| Comment(2) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月26日

参議選2019を分析する・上

日本の第25回参議院議員通常選挙は、7月4日に公示され、同月21日に投票が行われた。大手マスコミは概ね「与党の勝利」または「大勝」と報じているが、本当にそう言えるのか、「勝利」の定義を含めて改めて評価する必要がある。その上で、今後の国会情勢を占ってみたい。

現在、参議院の定数は245で、このうち124議席が今回の選挙で改選となった。改選124議席の内、自民党と公明党が獲得した議席は71であり、半数の62を9議席ほど上回っている。概ねマスコミはこれをもって「与党勝利」としている。
 だが、自民党の改選議席(2013年参院選の当選者)は68議席で、これが57議席に減り、公明党は11議席から14議席に増えている。つまり、「議席を減らした」という点では「自民党が勝利した」とは一概に言えない。
 また、安倍晋三首相が悲願としている憲法改正を実現するためには、衆議院とともに参議院においても全議席の3分の2が必要で、その数は164議席である。しかし、自民、公明、改憲志向の野党である維新の合計議席は157議席で、3分の2には及ばなかった。「指導者が求める戦略目標を達成できなかった」という点でも、「勝利」と言ってしまうのは安易に過ぎるだろう。
 しかし、野党は野党で、野党側が期待したほどには得票が伸びず、野党内で政権批判票を奪い合う形となり、不満の残る結果となった。前回2016年の参院選比例代表の得票率、獲得議席と比較して検討してみよう。得票数ではなく得票率で分析するのは、投票率が異なるためである。2016年の投票率は54.7%だったが、今回は48.8%に低下しており、得票数では単純に比較できなくなっている。

 2016年の参院選で自民党が獲得した比例区の得票率は35.9%で獲得議席は19。一方、分裂する前の野党民進党の得票率は21%で議席は11だった。今回の参院選では、自民党が35.4%、19議席を獲得。公明党は前回13.5%、7議席で、今回は13.1%、7議席となっている。他方、野党では民進党が2017年に分裂、立憲民主党と国民民主党に分かれたが、立民が15.8%、8議席、国民が7%、3議席となっている。得票では旧民進党系が若干伸びたものの、議席増には至らず、自民党はほぼ横ばいに終わっている。
 
 2016年と比べて今回得票を大きく減らしたのは日本共産党で、前回の比例区得票率10.7%が9%にまで低下している。また、社会民主党も2.7%から2.1%にまで低下している。これに対して、山本太郎議員が新たに結成した「れいわ新選組」が4.6%を獲得した。山本太郎は2016年の参院選では「生活の党と山本太郎となかまたち」の一員として選挙を戦っており、参考値だが同党の比例得票率は1.9%だった。このことから言えるのは、自公政権に批判的な既存の左翼政党の票が新たに結成されたポピュリズム政党に流れたということであり、自民・公明が支持を失ったわけではないことを示している。
 以上、得票率から言えるのは、自民党と公明党は安定的に勝利したが、両党の比例得票率は48.5%と半数に満たず、政権に批判的な野党の合計得票率は38.1%に及んでおり、およそ「与党が圧勝」とは言えない結果にある。ただ、比例区と違い、選挙区は大政党に有利な制度であるため、総合獲得議席では自民党に有利な形になっている。

 選挙区を概観した場合、一人区が重要となるが、32カ所のうち野党系候補が勝利したのは10区で、2016年の選挙より一カ所減っている。北海道、千葉、兵庫、福岡の3人区では、いずれも与党が2人当選させており、与党が選挙戦を有利に進めたことが分かる。特に4人区の大阪で、政権に批判的な野党が一議席も獲得できなかったこと、また6人区の東京において立民の二人目が当選できず、維新に議席を許してしまったことは、立民にとって大きな打撃となっている。大票田の都市部において立民が十分に票を集められなかったことは、次に想定される衆議院総選挙に向けて大きな課題となるだろう。立民と国民は、比例区では分裂前の民進党と同程度の得票だったが、選挙区では2016年に民進党が獲得した32から立民と国民あわせて23議席に減少しており、党分裂による影響力低下が見て取れる。
 野党は32ある一人区のうち10カ所で勝利したものの、もともと自公の地盤が弱い東北に偏っており、野党共闘に課題を残す形となっている。

 全体的には、与党側は安定的な勝利を得たものの、「改憲に必要な参議院の3分の2を取る」という戦略目標の達成には失敗した。他方、野党は「与党に3分の2を取らせない」という目標は達成したものの、与党票を取り込んで票を伸ばすには至らず、野党内の少数乱立が災いして現状維持に留まった。
 筆者が関係者に尋ねた感触では、自民党では「厳しい情勢の中で十分健闘した」という感想が一般的だったのに対し、立民と国民では「実質的に敗北」と捉える向きがあり、当事者の主観においては概ね与党が勝利、野党は敗北という認識にあるようだ。特に立民内における敗北感は深刻なようだが、これは別途記事にしたい。

 また全体情勢とは別に、本選挙においてはいくつかの大きな問題が露呈している。一つは低投票率で、全国の投票率は48.8%と5割を切った。これは1995年の44.5%に続く低さになる。2017年の衆議院総選挙も投票率は53.7%と低く、安倍内閣と自公連立政権が長期化する中、政治的無関心層が増加、代議制・議会制民主主義の根幹を揺るがしつつある。
 参院選の公示1週間前にNHKが行った世論調査を見ると、「投票に行くか」という質問に対し、「必ず投票に行く」と答えた者は46%だった。つまり、「必ず行く」と答えた者以外は殆ど投票しなかったことになる。また、支持政党についての質問では自民党が34.2%で、自民党支持者がそのまま自民党に投票していたことが分かる。これに対して、立憲民主党の支持を明言した者は6.0%、国民民主党の支持者は1.5%に過ぎなかった。にもかかわらず、実際の投票では両党あわせて22.8%を得票しているが、これは「政党として支持はしていないが、政権党以外の投票先として他に選択肢が無く、やむを得ない」判断として、投票していることを暗示している。つまり、自民党の支持者は強い自覚を持っているが、野党は政党や政治家が必ずしも支持されていない中で、政権批判票として消極的に投票されていると言えるだろう。こうした健全な批判勢力の不在、野党の機能不全といった要素が、さらに政治と議会への不信あるいは無関心を助長していると見られる。
(以下続く)
posted by ケン at 23:00| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月04日

キワモノ化進む立民

【「立民から出馬」の市井紗耶香、憧れは蓮舫氏もイメージは山尾志桜里氏!?】
 アイドルグループ「モーニング娘。」の元メンバーでタレントの市井紗耶香が6月26日、国会内で会見を開き、7月に行われる参院選で立憲民主党から比例代表で出馬することを表明した。
 「アイドル時代とは一転、真っ白なスーツ姿で同党の福山哲郎幹事長と共に会見に登場。4人の子供を子育て中であり、様々な不便を感じたことから、子育て支援政策の拡充のために出馬を決意したことを語っています。立憲民主党からの出馬の理由については、『多様性を大切にしているところ。人それぞれ違う部分を認め合い、支え合い、尊重して助け合っていく。そういう理念に共感を持ちました』と答えていました」(全国紙記者)
 市井は1998年、14歳の時に、モー娘。第2期メンバーとして加入。後藤真希や保田圭と組んだグループ内ユニット”プッチモニ”では「ちょこっとLOVE」がミリオンセラーを記録する大ヒット。しかし2000年4月、唐突に「シンガーソングライターになりたい」と休業後、脱退。モー娘。としての活動はわずか3年ほどだった。
「ところが卒業の真相は違ったようで、2017年にバラエティ番組『じっくり聞いタロウ〜スター近況(秘)報告〜』(テレビ東京系)に市井が出演した際、16歳で卒業した時の心境について『遊びたくなっちゃったんだと思います。恋愛もしたいし』と告白。さらに今年5月に『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)に出演した際には、『初キッスは車の中』と明かし、モー娘。在籍中に少し年の離れた彼氏と”送り迎えデート”の車中でファーストキスをしていたことを自ら暴露するなど、奔放な一面がうかがえました」(芸能記者)
 2002年、「市井紗耶香 in CUBIC-CROSS」を結成しデビューするも、メンバーのギタリストと2004年20歳の時に結婚して芸能界を引退。2人の子供をもうけたが2011年に離婚。しかし翌年、美容師の男性と再婚するなど、激動の半生を送っている。
 「立憲民主党は参院選の比例代表候補の4割以上を女性にすることを目標に掲げており、それで市井にも白羽の矢が立ったのでしょう。市井は憧れの議員として蓮舫副代表を挙げていますが、どちらかといえば同党の先輩・山尾志桜里議員のように有権者から“むきだしの好奇心”を向けられているのが現状。市井のツイッターには批判的なコメントが殺到し、耐えきれなくなったのか削除したことも明らかになっています」(前出・芸能記者)
 果たして立民の“集票マシーン”となれるか。
(6月28日、アサヒ芸能)

スポーツ紙と芸能誌でしか報道されない出馬表明ってどうなの?
芸能人の政界進出を全否定するつもりはないが、市井氏の場合、中卒ということもあり、とても法案を理解して、議会で質問に立てるとは思えない。
確かに芸能人の場合、「政策は理解できなくても、台詞を覚えるのは得意」として、秘書が作った質問を見事に「演じきる」役者がいることは確かだ。しかし、それは「形」としては成り立っているが、主権者の主権代行者としては相当に疑問が残る。それは代議制民主主義の根幹に関わることだ。

学歴もそれ自体は問題では無い。田中角栄は実質中卒だったわけだし、社会党や社民党には高卒者が多かったが、多くの者が(バカにされないよう)相当に勉強していた。
昔、某党の幹事長を務められた高卒、バス運転手出身の議員の事務所に行ったことがあるが、議員室の机に整理されて置かれている資料や書籍にはどれも多くの付箋が貼られており、勉強家であることを伺わせていた。
私は社会主義者としても、低学歴・ブルーカラー層の議会進出には積極的でありたいと考えている。

だが、芸能人はどうかと言うと、かなり否定的だ。
選挙というのは、かなり芸能活動に近いものがあり、アイドル分野で「総選挙」が行われていることに象徴される。テレビに出て、街中に自分の顔のポスターを貼りまくり、街宣活動して、握手しまくるのだから、そもそも日本の選挙は一般人向けとは言えない。
それだけに「芸能人なら票が取れる」という話になりがちなのだが、これは「目的のためには手段を選ばず」に近い話だ。
これが極まってくると、アメリカ大統領やウクライナ大統領のような話になる。東京の石原氏や大阪の橋下氏もその流れだろう。
これも「脱インテリ」「反知性主義」の一環ではあるのだが、立憲民主党がそれを進んでやってしまう辺り、いよいよ日本政界の末期症状が露呈していると言えよう。
posted by ケン at 12:00| Comment(3) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする