2017年09月05日

民進党は前原新代表に

【<毎日新聞世論調査>「前原氏に期待せず」39%】
 毎日新聞は2、3両日、全国世論調査を実施した。1日の民進党代表選で選ばれた前原誠司代表に「期待しない」との回答は39%で、「期待する」の31%を上回り、「関心がない」も24%あった。同党の支持率は5%と低迷したままで、代表交代による浮揚効果は今のところ出ていない。
 今回の調査で「支持政党はない」と答えた無党派層は50%を占めた。無党派層は前原氏に「期待しない」37%、「期待する」30%で全体の傾向とほぼ同じだった。民進支持層では「期待する」が8割に上ったが、他党支持層や無党派層には期待が広がっていない。
 前原氏は代表選で、共産党との選挙協力見直しを主張した。民進党が次期衆院選で共産党と「選挙協力をする必要はない」は63%で、「選挙協力をすべきだ」は23%だった。しかし、民進支持層ではいずれも4割台で拮抗(きっこう)。共産支持層では「選挙協力をすべきだ」が上回った。
 核開発やミサイル実験を繰り返す北朝鮮に各国がどう対応すべきかを尋ねたところ、「外交努力を強める」が61%で、「軍事的な圧力を強める」の25%を大きく上回った。安倍内閣の支持率は39%、不支持率は36%、「関心がない」は22%だった。
 今回の調査から、これまでの固定電話に加えて携帯電話も対象にしたため、8月に実施した前回調査までの数値と単純に比較はできない。前回は支持率35%、不支持率47%、「関心がない」17%だった。ただ、無党派層では不支持率46%、支持率20%と差がついており、無党派層はなお安倍内閣に批判的だ。
 内閣支持層では「他に良い人や政党がない」という消極的な理由が47%で最多。逆に不支持層では「安倍さんを評価していない」が46%、「政策に期待できない」が39%に上った。学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題などに対する批判はなお強いとみられ、支持率の大幅な回復は現状では難しそうだ。
 民進党以外の主な政党支持率は、自民29%▽公明4%▽共産2%▽日本維新の会2%−−などだった。
(9月3日、毎日新聞)

民進党代表選挙2017は、大方の予想通り、前原氏が当選した。まずは結果と、ケン先生の予想を比べてみよう。
【二次予想】
国会議員票(290P):214p、76p
予定候補票(128P):86p、42p
地方議員票(209P):123p、86p
党員サポ票(231P):110p、121p
合計(858P):533p、325p

【結果】
国会議員票(268P):166p、102p
予定候補票(126P):84p、42p
地方議員票(209P):115p、94p
党員サポ票(231P):137p、94p
合計(858P):502p、332p

最終ポイントの合計が異なるのは、国会議員と予定候補者に棄権や無効票があったため。特に国会議員の棄権3、無効票8(ポイント換算は2倍)は、離党予備軍とも言われ、なかなかに深刻な数字だ。

総合ポイント的には、誤差を前原候補で5%、枝野候補で2%に抑えているので、自己評価ながら、政治技術者としては「及第点」だろう。だが、国会議員票と党員サポーター票で読み違えがあったことも確かで、結果的に外さなかっただけとも言える。

国会議員票では、後で各陣営の秘書に予想人数を確認したところ、前原陣営で96人、枝野陣営で37人だった。国会議員は1人2票なので、前原陣営で12人からの裏切りがあり、枝野陣営では「誰が入れたのか不明」が14人もいたことを示している。私の予想はむしろ各陣営の「票読み」に近い数字で、ゲーム的に言えば「ダイスが振れた」(期待値外の数字が出た)感じなのだろう。政治的には「前原陣営でタガが緩んでいた」「前原圧勝に中間派議員に危機感が生じた」という可能性が考えられるが、現時点でそれを裏付けるものはない。

党員サポーター票については、私自身が「良心的な左派・リベラル党員はすでに離党済み」とか言っておきながら、枝野氏に高評価を付けてしまったところに原因を求めるべきだろう。とはいえ、東京の党員票を見る限り、枝野4,242人、前原3,083人なので私個人の狭いアンテナに依拠してしまったことも敗因の一つと言える。やはり全体的には、連合や国会議員の意向に引きずられるということなのだろう。
また、党員・サポーターの投票率は全国平均で40%、最高の新潟で51%、最低の沖縄で23%と非常に深刻な数字となっている。これは、まだ党員・サポーターであり続けている者の中でもすでに「党の先行きを見限った」層が急増していることを示している。

今後の展望については稿を改めたいと思うが、先に述べたように「軍拡」「社会保障」「自由」の三兎を追おうという前原氏の方針は原理的に成立しがたい。また党運営の実務と組織の制御を担う幹事長任に当選二回の山尾氏を充てようとし、後に撤回するという失態を早々に演じており、党内に人材が枯渇していること、情報・組織の統制に難があることを示してしまった。これらにより、非常に不安定な党運営や国会対応になることが見込まれる。前原体制も次の総選挙まで保つかどうか、という話になりかねない。

【追記】
今週のセンテンススプリングにY尾スキャンダルが掲載されるとのこと。こりゃダメだ。
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2017年08月30日

民進党代表選2017の終盤情勢

前原氏が圧倒的に有利と見られていたが、地方議員票や予定候補票で思ったほどには差が付かない見込みが出てきたので、予測を修正する必要がある。
前原陣営が求める「絶対的勝利」のダブルスコアにはまず届きそうに無い情勢で、大差が付くのは国会議員票だけになりそうだ。前原陣営は、最初の段階で派閥の殆どが参加した結果、無責任な寄り合い所帯となり、「圧勝モード」の中で弛緩しているものと見られる。

党内の既得権益層を代表する国会議員の大多数が前原氏を推し、同時に前原氏が保守・タカ派イメージを払拭しようとして微温的な主張を繰り返していることに、不信感が強まっているものと考えられる。
逆に枝野氏は、「辺野古の白紙撤回」「原発ゼロの前倒し」「野党共闘推進」と、普段の本人とは打って変わって非常にエッジを効かせた主張をしており、保守層や連合からは憎悪されているものの、中間層からは「自民党の対抗軸の明確化」として好意的に受け止められつつある。

国会議員票(290P):214p、76p
予定候補票(128P):86p、42p
地方議員票(209P):123p、86p
党員サポ票(231P):110p、121p
合計(858P):533p、325p


今後、国会議員票は「勝ち馬に乗る」方向に働いて前原氏に傾くことも考えられる。また、現職や元選対委員長を通じて予定候補(一人1P)に圧力をかけているとも聞くので、さらに差が開く可能性もある。ここから前原氏が引き離すか、枝野氏が差を縮めるかによって、選挙後の人事や方針に影響が出てくるだろう。また、枝野氏的には、党員・サポーター票で前原氏を上回ることができるかどうかが、影響力を残せるかどうかのポイントになってくる。
地方議員や一般党員がすでに投票を終えているが、国会議員や予定候補は1日の臨時大会で投票することになる。

【追記、8月31日】
今回と前回の「予測値」は、票読みに基づいたものではなく、業界歴15年の中堅秘書の一般的観測に基づいた推測であることを付言しておく。あくまで参考程度に。
posted by ケン at 12:39| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月25日

民進党代表選2017の中間情勢

前原氏と枝野氏に一騎打ちとなった民進党代表選挙は、当初の予想通り、前原氏が圧勝する勢いにある。票読みしたわけではないが、各種情報から推測すると以下のような予想になる。前原、枝野の順。

国会議員票(290P):216p、74p
予定候補票(128P):97p、31p
地方議員票(209P):145p、64p
党員サポ票(231P):105p、126p
合計(858P):557p、301p


今のところこのようなイメージだが、感覚的にはもっと前原氏が先行しているようにも思えるので、やや枝野氏に楽観的な数字であると付言しておきたい。つまりゲーム的には、前原陣営はダブルスコアで勝利できれば「完全勝利」、枝野氏はそれを阻止することが至上命題という具合だ。

ここまで差がつくのは、例えば国会議員票を見た場合、145人で1人2ポイント。つまり、前原派が108人に対し、枝野派は37人ということなのだが、これはA部T子、H鹿A博、K西H之らに象徴される、平素「改憲反対」「集団的自衛権反対」「共謀罪反対」のようなリベラルっぽい主張を繰り返していた議員たちの多くが前原陣営に入って気勢を上げていることが大きい。
彼らの言い分は、「このまま前原氏が圧勝したら党内のリベラル派は一掃されるから、体制内に残って仲間を助ける役目の人間が必要」「前原氏が圧勝しても、あまり右傾化しないようタガをはめる役が必要」「代表選を保守対リベラルの争いにしたくない」といったものらしい。

こうした主張はどこかで聞き覚えがあると思ったら、(未確認だが)確か蝋山正道先生が近衛首相のブレーンになったり、大政翼賛会から出馬されたことを戦後追及されて、「野に下って沈黙して嵐が過ぎ去るのを待つよりは、体制内に入って少しでも社会主義的政策に誘導したり、同志を救ったりする方を選んだ」旨の弁解をされていた。
だが、高貴なる蝋山先生であればこそ信用できる言葉であって、自分の当落しか考えていない「エリートの尻尾」連中の言葉を鵜呑みには出来ない。
とはいえ、今では連合も「いかに政府、自民党に協力して、わずかなりとも正社員の権利を擁護してもらうか」を大方針に据えていることを考えれば、「もはや大勢は決したのだから抵抗するだけムダ」という連中が増えるのは当然なのかもしれない。背教者の大半が東大エリートであることを考えれば、エリートのひ弱さとも言えそうだし、エリートばかりを議員候補にしてきた民主党・民進党の限界とも言える(故に私も見限ったのだが)。

すでに前原陣営は圧勝を前提に人事をめぐってつばぜり合いが繰り広げられていると聞く。同時に「枝野陣営についたものは除名しろ」「党人事から一切排除せよ」という要求が選対幹部に上げられているという。
一部の議員はSNSで「仲良し選挙」を強調しているが、それは前原陣営内で「排除の論理」の圧力が高まっていることの証左なのだ。つまり、前原陣営についた穏健派が必死に党内融和の演出を行わなければ、党の一体性が保てなくなっているのだ。

ケン先生に言わせれば、分かりにくいあの連中に比べれば、「積極的に軍部の戦争に協力することで社会主義を実現する」と明確な方針を立てた、戦前の社会大衆党(麻生・浅沼派)の方がよほど共感を持てる。たとえ現代にあっても、「権威主義体制への貢献をもって社会主義政策(労働者、社会的弱者の権利保障)を実現する」という論理(仮説)は、少なくとも机上では成立するだろう。つまり、連中の罪深さは、「前原氏は保守では無い」「左右の対立では無い」と強調しつつ、自分はちゃっかり翼賛体制に参加している点にある。この辺も、「軍部にも話の分かる者はいる」「国際緊張が高まる中、国内で対立している場合じゃ無い」として、結局のところファッショ体制に参画してしまった戦前のインテリ・リベラル層と恐ろしく似ている。
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2017年08月24日

総選挙2017はアリか

【衆院選「10月22日」臆測=野党再編に先手の見方】
 小池百合子東京都知事に近い若狭勝衆院議員が年内の新党結成に動きだしたことを受け、次期衆院選について「10月22日投開票」との臆測が広がっている。安倍晋三首相が新党をめぐる野党再編などに先手を打ち、勝負を仕掛けてくるとの見立てだ。今のところ、観測の域を出ないが、今後、与野党の選挙準備が加速する可能性もある。
 若狭氏は、小池氏と連携する政治団体「日本ファーストの会」設立を発表した7日の記者会見で「10月22日総選挙の可能性も否定できない」と警戒感をあらわにした。
 内閣支持率急落で「安倍1強」の状況は大きく揺らぐが、野党側の政権批判の受け皿づくりは進んでいない。民進党は共産党との共闘を進めるのか定まらず、若狭氏の新党作りも形は見えない。再編の動きが本格化すれば、野党は選挙の態勢をすぐに整えるのは難しいのが実情だ。
 10月22日は衆院青森4区、愛媛3区両補欠選挙の投開票日。総選挙と同日なら両補選は吸収される。政権側にとって、この日程なら補選の結果を気にする必要がなくなるのも利点とされる。政府関係者は「あるかもしれない」と漏らす。
 公明党の山口那津男代表は衆院選について「自民党総裁選後の来年秋ぐらいという相場観があったが、それにはこだわらず常在戦場の心構えで臨む」と引き締める。民進党幹部も「衆院2補選と同じタイミングになってもおかしくない。来年だと首相は追い込まれた形になる」と指摘する。
 現状では、苦境の首相が解散に踏み切れば、改憲発議に必要な衆参3分の2の改憲勢力を失うだけでなく、自民党が議席を減らし首相の責任論に発展する可能性がある。自民党選対幹部は「50〜60議席は減る。安倍内閣は終わる」と指摘する。
 とはいえ、年内解散の見方が消えるわけではない。そもそも、こうした日程がささやかれるのは、首相が描く憲法改正スケジュールが軌道修正されたからだ。
 来年の通常国会で改憲を発議し、秋に改憲の国民投票を衆院選と同時に実施する―。首相が狙ったこうした強気の日程も、世論の反発を招き封印せざるを得ず、解散時期と改憲日程は、ひとまず切り離された形だ。政権内では、首相は衆院2補選の結果を見極めた上で解散時期を探るとの見方も出ている。
(8月10日、時事通信)

「保守新党が結成される前に解散、総選挙を」という声は、与党内では以前からささやかれていたが、新党の話が具体的になってきたので、解散風も強くなってきたのだろう。確かに戦術論としては、「敵の準備が整う前にやれ」というのは正しいが、現実には今手元にある議席の3分の2をBEDすることになり、現状ではそれを維持、上回せることは難しく、20〜50議席という単位で減らしてしまう恐れの方が強い。

「大敗を避ける」という意味では、十分に検討する余地があるとは思うものの、わざわざ1年の任期と憲法改正の数少ないチャンスを賭けてまで、打って出る可能性は低いと見ている。とはいえ、20〜30%くらいの確率は想定しておくべきだ。

野党を見た場合、民進党は代表選挙を終えて新体制が成立して間もない時期で、仮に新代表が選出されても支持率が伸びなかった場合、新党合流論が浮上し、空中分解する恐れがある。そこですんなり解党あるいは合同して新党が成立すれば問題ないが、内紛、分裂が起きた場合、野党票が割れて、自民党を利して3分の2前後の議席を与えてしまうケースも考えられる。
現状では、安倍内閣の支持率こそ低下しているものの、政党支持率では自民党が他を圧倒しており、だからこそ「今のうちに打って出るべきだ」との声が出る構造になっている。また「改憲勢力で3分の2がとれるなら十分」という考え方もあるようだ。
いずれにせよ、自党の議席を減らしてしまう選挙を自ら宣言するのは、相当にハードル高いのでは無かろうか。
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2017年08月21日

民進党代表選2017の各政策を考える

最後となるかもしれない民進党代表選挙が告示された。正直なところ、毎年株主総会で社長が叩かれまくって辞任している会社って、どうなんだろうと。自分だったら、そんな会社は全く信用できないが。
食指も動かないが、さはされど、各候補の政策くらいは見てやろう。
【前原候補】
・尊厳ある生活保障
・命を守る防災
・自由貿易促進
・現実的な安保政策
・現実的な憲法論議
・2030年代原発ゼロを目標
・身を切る改革

全てにおいて抽象的で実質的には何も言っていないに等しい。最初期から幅広い国会議員に支持された結果、全方位外交となってしまったためだろう。
前原氏が今回のスローガンとした「All For All」は「経済成長至上主義から再分配優先型への転換」を意味するものらしいが、具体的なことは何も言っておらず、意味が無い。しかも、個人のHPを見ると「目指す方針」として、「財政再建」「人口減対策」と書いており、どうも御都合主義の観は否めない。例えば、「自由貿易促進」は「国内産業を保護しない」ことを意味するが、これと「All For All」は矛盾しないのか、「大資本のために小規模生産者が犠牲になるのはやむを得ない」という考えなのか。

「現実的な安保政策」と「現実的な憲法論議」は、明治以降、右派・帝国主義者の常套句で、国際協調主義や平和主義に対抗する用語として使用される。この場合、従来の平和主義憲法に基づく専守防衛を「非現実的」とし、「先制攻撃や対外戦争を可能にする憲法と安保政策」を「現実的」とする考え方を意味する。
「2030年代原発ゼロを目標」というのは、「決定」から「努力目標」への格下げを意味するもので、党内の原発マフィアに対する配慮がうかがわれる。
「身を切る改革」は、民主党以来の連中の大好きな「議員定数削減」を指すが、これはデモクラシーの強度・純度を低下させるもので、彼らがエリートによる少数寡頭政治を志向していることがうかがわれる。

基本的に野田路線の焼き直しでしかなく(増税を含めて)、自民党の対抗軸になり得るとはとても思えない。ケン先生的には労働問題に触れていない時点で、「自民党に行けよ!」と言いたい。
【枝野候補】
・保育、教育、医療、介護分野の賃上げ
・労働時間規制
・非正規雇用割合の引き下げ
・一日も早い原発ゼロの実現
・専守防衛の堅持
・憲法9条改正に反対

ザックリとした政策ではあるが、方向性は明確で非常に社会民主主義寄りだ。私が耳にしたところでは、実質的な政策策定を左派系議員(旧社会党系)に丸投げしたというから、「いかにも」な感じになっている。「一日も早い原発ゼロの実現」は「既存の2030年代原発ゼロの前倒し」を意味するもので、より積極的な姿勢を示している。「専守防衛」「集団的自衛権反対」「9条改憲反対」は、前原候補の言う「非現実的」な政策であり、敢えて前原氏との違いを前面に出したものと思われる。HPには明記されていないが増税先送り論でもある。

ケン先生的には、安保や憲法論では思うところもあるし、そもそもそこを争点にする必要があるのかという疑問もあるのだが(ほとんど社民党の政策)、自民党への対抗軸となると「こっちだよな」ということになる。
だが、現在の民進党内の議員の立ち位置を考えた場合、例えば衆議院議員の8割以上が自民党と大差ない保守思想の持ち主であるだけに、とても党内で支持されるとは思えない。実際、枝野氏は「20人の推薦人すらギリギリ」と言われる始末で、圧倒的多数が前原支持に回っている。
枝野氏的には、最初から議員票は捨てて党員票に絞った格好だが、すでに私のような社会主義者や良心を持ったリベラリストの大半は離党しており、残っているのは連合の役員や自分が党籍を持っていることも知らない無関心層ばかりとなっているため、実際に左にエッジを効かせた政策がどこまで支持されるかは判然としない。

【補足】
出馬を準備していたという井出氏の主な政策は、「身を切る改革・行革」「2030年代に必ず原発ゼロ」「現実的な外交安全保障」となっている。財政均衡主義と外交介入主義は、前原氏に通じるものがあり、原発政策に若干の違いがある程度。やはり民進党の主流はエリート志向(緊縮財政、自由貿易、介入主義、再分配軽視)であって、とうてい大衆的支持など得られそうに無い。

【追記】
二人の政策を比較する限り、民進党議員が強調する「保守対リベラルではない」というのは妥当とは言えない。だが、正確を期すなら「社会自由主義vs社会民主主義」であり、前原陣営がイギリスの自由民主党やフランスの「共和国前進」をイメージしているのに対し、枝野陣営は英労働党や仏社会党を向いているとは言えそうだ。
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2017年08月10日

民進党代表選2017の初期情勢2

【民進・枝野氏、代表選出馬表明 一騎打ちへ】
 民進党の枝野元官房長官は8日、来月の代表選挙に立候補することを正式に表明した。すでに前原元外相が立候補を表明していて、両者の一騎打ちとなる見通し。民進党・枝野元官房長官「自民党とは違うと。その違いを強調、明確にして、あるべき社会の姿を明確に示していく。多様性を認め合い、困った時に寄り添い、お互いさまに支え合う、そんな日本を目指す。この旗を明確に、そして高く掲げて政権を目指す」
 会見で枝野氏は、党が目標としてきた「2030年代原発ゼロ」の前倒しを目指すことや、介護職員や保育士など福祉関係者の賃金底上げなどを訴えた。また、枝野氏は共産党を含む野党共闘について、「今の自民党を止めるために、同じ思いである政党と一致する範囲の中でできることをやる」と述べ、条件つきで進めていく考えを示した。
 枝野氏は党の幹事長を務めていた際は野党共闘を進めていたが、8日は「他の党と連携することで、民進党を応援している人が離れていっては元も子もない」と述べ、これまでよりも慎重な姿勢も示した。
(8月8日、日本テレビ)

民進党代表選挙は前原氏と枝野氏の一騎打ちになる模様。第三の候補はどれも集約できず、20人の議員推薦人を集めることができず断念した。

一騎打ちになったとはいえ、状況は圧倒的に前原氏に有利で、聞くところでは枝野氏は20人の推薦人を集めることすらギリギリで、党重鎮級の名が並ぶことになりそうだという。一般的には、重鎮の名はこうした推薦人名簿にはのせず、若手を中心に並べて「若手が推して、みんなで頑張ります」という雰囲気を前面に出す傾向があるが、枝野氏の場合、「推薦人辞退」が続出しているという。これは、枝野氏の支援母体と考えられた党内リベラル派からも嫌われている、ないしは「負け戦に荷担したくない」という空気が広がっていることを示している。ビラを配布する秘書にすら事欠くというのだから、話にならない。つまり、戦う前から負けている。
枝野側は「党員票で前原氏を圧倒できる」と考えているようだが、現実には「やや上回る」程度に終わるのでは無いか。

枝野氏は、何と言っても菅政権の官房長官を務め、党内で3度幹事長を担うという他には無い業績を有していながら、共に剣を取ってくれるものもいないらしい。
治承・寿永の乱(いわゆる源平合戦)において、最初に挙兵した源頼政が、摂津源氏当主(清和源氏嫡流)として以仁王を擁しながら、わずか150騎しか動員できなかった故事が思い出される。

一方、前原氏はすでに何年もかけて代表選出馬を準備しており、旧維新残党と懇意にし、仇敵だった小沢氏とすら和解、井手英策氏のようなリベラル派の学者をも取り込んで、輪を広げてきた。そこに、保守新党への合流を熱望する若手議員や、NK党との共闘を憎悪する同盟系労組議員などが加わり、すでに国会議員の3分の2以上の支持を得るに至っている。
では、前原選対が盛り上がっているかと言えば、そういうことでも無いらしく、消極的に前原氏が選ばれている、ないしは「保守新党合流には前原の方が都合が良い」という理由から支持されているに過ぎず、選対自体は盛り上がっていないという。
とはいえ、個人としては枝野氏が優秀だとしても、政治家としては前原氏が経験値を積んでレベルアップしていたことは間違いない。

「いかに党を活かすか」ではなく「いかに党を葬るか」を選ぶ選挙では、盛り下がるのも当然だろう。

【追記】
党内の議員たちはしきりに「今回の代表選はリベラル対保守の構図では無い」旨を強調しているが、彼らがそう言えば言うほど、「対立軸が無いのになぜ選挙やるんだ?」「要は理念もイデオロギーも無いということ」「なんだお山の大将になりたいだけか」と思われるだけの話だろう。実際のところ、信念もイデオロギーも無い連中の集まりだから仕方ないのだが(爆)
posted by ケン at 13:00| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月01日

民進党代表選2017の初期情勢

【<民進代表選>動き活発化 江田氏に出馬促す声】
 蓮舫代表の辞意表明に伴う民進党代表選で、前原誠司元外相と枝野幸男前幹事長は31日、それぞれ党重鎮と会って立候補への環境整備を進めるなど動きが活発化した。党内の一部には「第三の候補」を探る動きもあり、江田憲司代表代行に近い議員が「旧民主党のイメージ払拭(ふっしょく)が必要だ」として江田氏に出馬を促した。
 前原氏は31日、国会内で川端達夫衆院副議長と会談。枝野氏は野田佳彦幹事長と会ったほか、リベラル系議員で構成する赤松広隆元農相のグループが会合を開いた。
 「第三の候補」を巡り、江田氏ら約10人が同日、東京都内で会合して対応を協議した。一方、昨年9月の代表選に立候補した玉木雄一郎幹事長代理は同日、記者団に「幹事長や代表を支える立場だった自分が出るのは筋ではない。現時点では白紙だ」と述べるにとどめた。
 野田氏は同日の記者会見で、前原氏と枝野氏について「あえて厳しい局面でリーダーになろうとする方がいることに敬意を表する。働き盛りで素晴らしいリーダー候補だ」と語った。
 民進党は8月1日に常任幹事会を開き、代表選で党員・サポーター投票を実施するかや選挙日程を決める。ただ、党内では「代表選をやっている場合か」などの不満もあり、国会議員だけの投票による早期の新代表選出や、候補者一本化による無投票を求める声も出ている。
(8月1日、毎日新聞)

下っ端としては、毎年代表選挙をやるのは本当に勘弁して欲しい。去年の岡田氏にしても、今回の蓮舫氏にしても、やる気満々の姿勢を見せておきながら、突然意味不明な理由で辞任して他者に丸投げするとか、殆ど昭和前期の総理大臣である。
党代表の座が1年と務まらないのは、それだけ党の統制がままならず、何かと言えば下から足を引っ張る向きが強いことを示しており、同時に足を引っ張る者を抑えつけられない代表の弱さの表れでもある。つまり、岡田氏にしても蓮舫氏にしても、党内に強い基盤が無く、自前の戦力を持たないことが祟っている。言うなれば、関ヶ原戦役における石田三成で、当時三成が100万石、4万人の兵力を持って戦役に臨んでいたら、異なる結末もあっただろう。言い方を代えれば、小さい元手で賭博に臨むような話で、そもそも勝ち目が薄かった。カネを持っていない博打打ちは、ほぼほぼ負けるものなのだ。
民主党政権前の小沢・鳩山路線が安定していたのは、二大派閥が強い同盟関係にあったためだった。

今回の代表選挙は、現在のところ枝野氏と前原氏が出馬の意向を示し、第三勢力が候補擁立を模索しているが、20人の推薦人を集めるには至っていない。一部では、「推薦人20人はハードルが高すぎる」との批判があるが、仮に推薦人を10人しか集められなかったものが、選挙の妙で代表の座に就いたとしても、岡田氏や蓮舫氏と同様、党の統制に失敗する可能性が高い。推薦人は、いわば保証人のようなもので、20人の保証人も集められない者が、150人からの国会議員をまとめられるだろうか、という話である。

まだ2人が立候補意志を表明したばかりだが、党内の下馬評は「前原圧勝」である。上の喩えと同様、枝野氏はどこまでも一匹狼で、旧社会党系やリベラル派に依存しているが、前原氏は弱体化したとはいえ党内保守派の「顔」だからだ。しかも、党内の国会議員を始め、総支部長(議員候補)から自治体議員まで「もはや民進党のままでは戦えない」という認識が共有されつつあり、「前原代表の下で解党して小池新党に合流、保守新党の結成をめざそう」という流れが強まっている。
例えば、東京の場合、衆議院25選挙区の総支部長(空白あり)と参議院議員が2人いるが、このうち枝野氏に投票するのは5人いるかいないかだとされている。これは、先ごろ行われた都議選の大敗を受けて、「一刻も早く小池新党に合流すべき」という気運が高まっているためだ。また、愛知の場合、15人の総支部長と3人の参議院議員がいて、このうち枝野氏に投票するのは3、4人と見られている。こちらは、連合内の特に同盟系が強い選挙区で、連合が保守新党に舵を切ったことを受けての流れになっている。他も程度の差はあれど、似たようなものだろう。

結果、「前原圧勝」が明白であるため、前原支援の流れが加速する一方、リベラル派はすでに戦意を喪失、「何とか話し合いにして選挙は避けるべき」という不戦論(敗北主義)が蔓延している。下手をすると、枝野氏は20人の推薦人すら集められなくなるかもしれないほどだ。選挙をやる前から左派は自壊、選挙そのものが成立しない可能性もでてきている。

【追記】
一般論として「いま代表選をやっても党内に亀裂が残るだけ」というのは理解できるが、それはあくまでも身内にしか通用しない論理であり、公党である以上は、代表選挙を行うのが筋で、それを否定したらデモクラシーの正統性が揺らいでしまう。また、戦う意志すら見せないものに敵が妥協する必要もないわけで、民進党のリベラル派と言われる連中が政治家ではないことを示している。他方で毎年代表選挙が行われることで、党員・サポーターの士気や信頼は急低下しており、これも党崩壊への遠心力になっている。組織の統制という点では、蓮舫氏が辞任した場合、残りの任期は代表代行が代行すべきで、そうでなければ「代行」の意味が無い。民進党は組織としても非常に脆弱だと言える。

【追記2】
2人の主要候補については、一人はカク丸、もう一人はパソNA疑惑があり、暴露合戦に陥る恐れもある。
posted by ケン at 12:15| Comment(7) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする