2016年08月01日

鳥越氏が負けたワケ

【宇都宮氏が明かす、鳥越氏の応援演説しなかった理由】
 元日弁連会長の宇都宮健児氏と、同氏を支援する「希望のまち東京をつくる会」は31日、文書を発表し、野党統一候補となった鳥越俊太郎氏の応援演説を行わなかった件に関する経緯を明らかにした。文書の冒頭で、双方が数回の調整を行ったものの、結果的に合意に至らなかったとしている。
宇都宮氏と同会は、鳥越氏の陣営から応援要請があったことを受け、7月27日付で鳥越氏宛てに文書を送付した。その中で、築地市場の移転作業を停止し、関係者を入れて計画を見直すことなど、7つの政策の実現に向けて誠実に努力することを求めた。さらに「女性の人権問題について」と題し、「週刊文春」と「週刊新潮」で報じられた女性問題について「鳥越候補自らが記者会見など公開の場で説明責任を果たし、被害者女性への配慮を示すこと」を求めた。文書の中で、宇都宮氏と同会は「鳥越候補は、根拠を述べることなく『事実無根』として、刑事告訴まで行っています。しかし、私たちはこの記事そのものから見て、事実無根と考えることはできません。むしろ、女性とその関係者の証言まで否定することは、被害女性に対するさらなる人権侵害となる可能性があります」と指摘した。加えて、鳥越氏がテレビなどの討論会を欠席していることに対しても「明日(28日)朝以降、候補者間の政策討論等の機会があるならば、欠席しないこと」とも求めた。
 鳥越氏サイドから返答があったことを受け、宇都宮氏と同会は、翌28日に再び鳥越氏宛てに文書を送った。その中で、鳥越氏の女性問題に関する返答に対し「具体的な報道内容を見る限り、これを『事実無根』として退けられる案件とは考えられません。また、『事実無根』だとする説得力ある反証も挙げられていません」「被害を受けたという女性がおられる以上、都知事候補として、どのような事実があったのかを自ら公開の場で説明し、被害女性および都民の納得を得る責任があると考えます」と指摘した。その上で、宇都宮氏は「私はこれまで多くの人権問題に携わってきました。その原則をここで曲げることはできません。鳥越候補がこれまでの対応を撤回せずに説明責任を果たされないとすれば、きわめて遺憾ではありますが、都民に対してあなたを都知事にふさわしい方として推挙することができず、応援に立つことはできません」とつづった。女性問題について説明責任を果たさなかった鳥越氏の姿勢が、宇都宮氏が応援演説に立たなかった、最大の要因だったことが明らかになった。
(8月1日、日刊スポーツ)

都知事選は、小池氏が圧勝、鳥越氏は増田氏にも負けて、小池氏の半分以下の得票に終わった。投票率は59%と、近年では高い方であったにもかかわらず、全650万票のうち自民党の主流派と反主流派で470万票(70%以上)も獲得したことは、他党派や無党派からも小池氏に流れたことを示しており、いよいよ「ワイマール化」「デモクラシーの空洞化」が進んでいる。

小池氏が圧勝したのは、小泉純一郎氏の手法を上手く真似して「自民党と闘う孤高の女戦士」を演出して、保守層のみならず、野党や無党派の支持をも得たことが大きい。今回の選挙では、NK党の支持層からも票が小池氏に流れており、その深刻さが伺われる。
増田氏は、自公の組織票に基盤を置いた手堅い選挙をやったものの、「利権集団の傀儡」という印象を払拭できないまま、自公の支持層も固められずに終わった。
鳥越氏については、先にも指摘した通り、宇都宮氏を辞退させた悪影響が予想以上に大きかったようだ。一部の「意識高い」層が、「反ファッショ統一戦線で鳥越を」と呼び掛けたものの、浸透度は低かった。民進党支持層に至っては、鳥越5割、小池4割という有様で、都議団の中立化が響いた格好だ。「野党共闘」とはいえ、共闘者が内部分裂しているのだから、その効果が半減するのは当然だろう。このことは、十分な合意の無い、トップダウン式の共闘の厳しさを示している。

だが、鳥越氏に関しては、候補選定プロセスや組織上の課題以上に、属人的な条件が悪すぎた。全て上の記事に書かれている通りで、「説明責任」という、有権者が候補者に主権を委任する際の条件(対価)を満たせなかったのだから、マスコミや司法対応でむしろ不信感が高まってしまった観がある。左翼人は「スキャンダル報道で票を減らした」と騒いでいるが、私に言わせれば、危機対応・リスク管理の拙さこそが問題だったのであって、二言目には陰謀論を唱える旧式左翼が支持されないのは当然だろう。

さらに決定的だったのは、選挙中はさすがにほのめかす程度しか書けなかったが、ネトウヨが指摘していた「認知症の疑い」である。鳥越氏が立候補を決めたのは、告示日前日だが、告示されて数日後には、「演説原稿を渡しても覚えられない」「長時間話すと支離滅裂になる」といった話が聞かれるようになり、「日に二、三箇所の街頭演説」「本人が話すのは3分以内」といった事実が傍証となっていた。
どうやら認知症の初期症状のようで、選対本部もそれを隠蔽するのが関の山だったらしい。これで選挙しろというのがムリな話で、そもそも鳥越氏を連れてきた岡田代表は、投票日前日に代表選不出馬を宣言、自らの敗戦責任を認めてしまったが、あまりにも無責任な対応だった。

鳥越氏は「負けるべくして負けた」と言えるが、岡田氏の狙いは裏目に出て、不満と遺恨が強く残る、野党共闘に大きな影を落とす結果となった。知名度頼みの限界とも言えるが、小池氏を見た場合、知名度なくしては当選もおぼつかないとも言えるだけに、大きな選挙における候補の選定がいかに難しいかも示している。

【追記】
「もしケンちゃん(が候補)だったら何を主張した?」と聞かれた。私であれば、「東京五輪返上」のワンイッシューで勝負しただろう。運営費が最低で1兆8千億円、対して収入が最大で4千億円でしかない東京五輪は、それ自体が最大のムダである。また、小池氏は五輪開催のために財産接収の可能性まで言及し、治安維持のためとして公安や公調が急速に肥大化する中、基本的人権を制限しなければ開催できない五輪は、近代国家の基本的価値を侵害するものでしかない、という認識である。世調では、五輪賛成が6割、反対が4割で、賛成票が二分されている以上、反対票をまとめれば十分に勝機があったはずで、むしろ「五輪の是非」に争点を持ち込むことで、相手方の分裂を誘い、対応を難しくさせたはずだった。それ以外には(あえて言うなら)、「海外出張を半分に」「天下り(都外郭)団体を半分に」を主張しただろう。個人的には、巨大な権限を有しながら行使できない知事を補強するために、政治任用ポストを増やすことを提唱したい。知事と議会が対立すると、副知事すら決められないし、都官僚が強大な権限を有して知事を妨害する現状は大いに改善されねばならない。これは諸刃の剣であることも確かなのだが。東京分割論も主張したいけど、これはどうかなぁ。

【追記2】
もっとも、宇都宮氏は宇都宮氏で、「人の話を全く聞こうともしない人」という評価があり、弁護士内ですら必ずしも評判は良くなく、現実にはなかなか難しかったかもしれない。
posted by ケン at 12:43| Comment(2) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月26日

都知事選2016 終盤情勢

鳥越氏が完全に失速。告示日がピークという、稀に見る酷い選挙になっている。
小池氏がほぼ独走状態で、増田氏がやや盛り返すも広がらず、鳥越氏は民進党やNK党支持層すら十分に固められない始末だ。
にもかかわらず、鳥越氏は毎日2、3箇所の視察・街頭演説をこなすだけの「殿様選挙」を続けており、まるでやる気が感じられない。他の主要候補の3分の1程度の活動量と考えて良い。街頭演説に難があるなら、視察箇所を増やせばいいのに、それもやらないというのは、選対の能力か候補の健康に起因するものと見られるが、いずれにせよ有権者から見放されつつある。選対や支援組織も一部を除いて大きく士気を低下させており、敗北ムードが漂っている。

都知事選の場合、当選に必要な票数は、200万票前後と見られるが、この規模になると、完全にメディアと知名度頼みになってしまう。例えば、電話掛け要員を100人集めて千軒ずつ電話させたところで10万軒にしかならず、当選を左右するには至らない。こうした大規模な選挙は、「誰が誰に何を訴えるのか」「誰が誰に何を委任するのか」という、代議制民主主義の根幹部分が薄まってしまうので、本質的には避けるべきなのだろう。やはり東京は分割すべきだ。

増田氏は自公の組織票を固める方向で動いているが、自民票の半数は小池氏になびいており、KM党も天秤をかけようとしている節がある。民進党は、都議を中心に市議・区議が殆ど動いておらず、私のところにも動員要請はおろか、電話の一本も掛かってこない始末。党本部からの要請はあったものの、筋違いもいいところで、政治的良心に従って拒否した。早朝、駅頭に立って鳥越支持を呼び掛けるNK党員も半ば士気粗相している感じだ。

小池氏は、本来核武装と排外主義を訴える極右主義者であるはずだが、メディア出身者らしく上手くイメージ操作しており、スキャンダルも今のところ隠蔽に成功して、独走モードにある。だが、仮に当選しても、自民党内には「小池ごときに五輪は任せられない」との声が非常に強く、スキャンダルのタネも山ほどあるだけに、一、二年以内に再選挙となる可能性が高い。

鳥越氏が大敗した場合、民進党では都連の推薦者を強引に下ろした岡田代表の責任論が浮上するだろうし、野党共闘に否定的な保守派も増長しそうだ。NK党や社民党では宇都宮氏を下ろした責任を追及する声が高まるだろう。
前回の細川氏もそうだったが、知名度頼みの選挙は、勢いのまま勝てれば良いが、一度失速してしまうと、あっという間に人が離れて立て直しが効かなくなってしまう。いくら知名度があると言っても、今日70代後半の人を擁立するのは相当に無理がある。応援に行っても、60代、70代以上の人しかいない選挙はやはり盛り上がらない。その点、宇都宮氏は70近いながらも若年層に根強い支持があり、「サンダース効果」も相まって、広がりを確保できるメドがあった。「勝てば官軍」ではあるが、敗北した場合、「下ろされた側」の怨念が噴出するため、その遺恨は暫く後に引きそうだ。
posted by ケン at 12:11| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月20日

都知事選2016序盤情勢

参院選に続いて、盛り上がりに欠ける都知事選。「外れしか入っていないくじ引き」と言われるくらいで、私も消去法でしか選べず、とても他人に勧められるような候補はいない。「ネトウヨに都知事をやらせるな」とか「参院選の敗北を返上する」などの主張は、ハッキリ言って胸焼けしかしない。

各種情報を総合すると、小池氏が先行して、鳥越氏がすぐ後に付き、その後ろを増田氏が追う展開になっているが、どうやら増田氏は引き離されているようだ。
自民党の内部調査ですら、同党支持層において小池支持が増田支持を上回る結果となっており、すでに首相官邸や党本部は「中立論」に傾きつつあるという。実際、安倍総理は休暇に入り、谷垣幹事長は入院中と、意思決定する気が無いことを示している。

個人的には、「他候補(小池)を支持・応援した党員は、応援した一族郎党含めて厳罰に処す」という自民党都連の通達がどのように処理されるのか、豊臣秀次一族のように妻子全員三条河原で公開処刑されて、そのまま遺体をさらされるのかと、ドキドキしながら待っているのだが(爆)

にもかかわらず、あるいは逆効果となっているのか、増田氏は連合東京の実質的な支援まで受けながらも、全く支持が広がっておらず、自民党支持層ですら約3割程度しか固められておらず、ほとんどKM党頼みになってしまっている。これでは、自民党本部としても小池氏と両天秤に掛けざるを得ないだろう。

一方、民進党は対応が後手後手になっている。鳥越氏を「統一候補」に据えたはいいものの、すったもんだしながらも古賀氏に候補を決めた都連は、岡田代表に上から命令されて取り下げられたことを根に持ち、全くやる気が無い。個々の都議や区議・市議レベルでは、小池氏や増田氏を支援するものが続出し、党本部だけが鳥越氏を支援する形になってしまっている。結果、まともに選対本部も組織できず、普通なら都連や都議団で構成するものを、党本部の職員や国会議員秘書団でやろうとしているが、都知事選については素人も同然なので、殆ど機能していない。そのせいもあって、選挙期間中にもかかわらず、鳥越氏は一日二、三箇所で街頭演説するだけに終わっている。
鳥越陣営で動いているのは、NK党だけという有様で、NK党の自治体議員は毎日駅頭に立って鳥越支援を訴えているが、それ以外の党の議員は見たこともない。まるで関ヶ原合戦当日の西軍(戦ったのは、石田、小西、宇喜田だけ)を見るようだ。そのNK党も、内部的には宇都宮氏を強引に下ろしたことへの不満が強いという。社民党が動かないのも同様の理由らしい。
また、鳥越氏本人も、組織上の問題はあるにしても、一日二、三回しか街頭に立たないというのは、本人にやる気がないか、肉体的に難しいかのどちらかであることを示している。その街頭にしても、演説は短時間な上に声は聞こえず、ゲストの方が長く話す始末で、聞きに行ったものから不満や心配の声が上がっている。これでは、せっかく街頭に立っても票が増えない。ネトウヨを中心に「認知症の疑い」がかけられているが、街頭演説を見る限り、健康不安は否定しようが無い。
さらに言えば、告示日最初の街頭を「新宿バスタ」にしているが、他県行きのターミナルで東京都民など殆どおらず、選対の無能ぶりが伺われる。
つまり、鳥越氏は小池氏の後を追ってはいるものの、全く勢いに欠いており、後半戦で追い上げるような要素は見当たらない。そもそも民進党支持層の3割前後が小池氏に回っていると言われており、鳥越氏への集約が大前提となるが、都議団・自治体議員団が中立化している限り、非常に厳しい。岡田代表は、強権を発動して鳥越氏を候補に据えたのだから、来年の都議選の公認権とカネを盾に、都議団を強制動員すべきだろう。「毒食らわば皿まで」だが、エリートのひ弱さが見て取れる。

小池氏は、自民党層で増田氏より多くの支持を集め、民進党支持層にも大きく食い込んでいる。色々奇抜なところもあるが、少なくともアピール力だけはあり、今後も支持を広げる可能性がある。最終的には小池氏が他候補を引き離して勝利するかもしれない。
だが、小池氏にはすでに山ほど瑕疵があり、よほど自民党(官邸?)に対し従順な姿勢を見せない限り、いつでもスキャンダルが暴露される状態にある。

いずれにせよ、都民にとって「良い選択肢」は無い。政治家のクビなど、すげ替えればすげ替えるほど質を下げてゆくのが、歴史の常であり、都知事も例外では無いということだろう。

【追記】
言いたいことはまだあるのだが、選挙中は控えるべきだろう。だが、暗示だけしておくと、もはや我々はソ連共産党を笑えなくなってしまった。
posted by ケン at 12:42| Comment(3) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月12日

参院選2016の結果を受けて

【民進、改選議席大幅割れ…野党共闘は一定効果】
 民進党は、前回2013年参院選で民主党が獲得した17議席から上積みを果たしたものの、改選議席の45を大幅に下回り、振るわなかった。旧維新の党との合流・党名変更を決断し、選挙戦に臨んだが、与党に改選定数の過半数確保を許す結果となった。一方で、野党共闘には一定の手応えも感じており、次期衆院選での候補者一本化に向けた共産党との協議が進む可能性もある。岡田代表は10日夜、党本部で記者会見し、「(前回選から)かなり増えたことは間違いないが、まだ再建途上だ。政権を担えるところまでもっていかないといけない」と述べた。選挙戦で展開した安全保障関連法の廃止を掲げる市民団体との連携については、「非常に高く評価している。さらに広がっていくことを期待したい」と歓迎した。
 今後の憲法改正論議に関しては、「まず与党が何を変えたいのか明確にしてもらう必要がある」と述べる一方、「安倍首相の立憲主義の解釈が理解できない」と語り、改めて首相の下での改憲論議に消極的な姿勢を示した。民進党では、野党統一候補が善戦した4月の衆院北海道5区補欠選挙を契機に共産党との共闘を容認するムードが高まった。しかし、選挙戦で共産党が自衛隊を「違憲」と明言したことや、藤野保史・共産党政策委員長(当時)が防衛費を「人を殺すための予算」と発言したことで、共闘の危うさを指摘する声も漏れた。
 枝野幹事長は民放番組で、野党共闘について、「一定の効果はあったと思うが、いろいろと課題も浮かび上がった。今回の結果をよく分析したい」と語った。9月に予定される党代表選では、共産党などとの共闘路線のあり方が議論されそうだ。岡田氏は代表選への出馬について、「これからしっかり考えたい」などと明言を避けているが、岡田氏周辺は11日未明、「代表選に出ない理由はない」と語った。党内で責任ラインとみられていた「30議席」を超えたことや、代表として進退をかけた地元・三重選挙区で勝利したことが理由だ。一方で、代表選には、共産党との共闘に冷ややかだった前原誠司元外相や細野豪志元環境相の出馬も取りざたされている。
(7月11日、読売新聞)

参院選の投開票が行われた。いわゆる「改憲勢力」がギリギリ3分の2を獲得したが、自民党の単独過半数は実現しなかった。

【参議院結果(改選121、後者は比例獲得票)】
自民 56:2011万票
民進 32:1175万票
KM 14: 757万票
NK  6: 601万票
維新  7: 515万票
無他  6


以下は、同日選を想定しての5月20日段階の、私の予想。

【参議院予想】
自民 70±5
民進 20±3
KM 11±2
NK  9±2
維新  5±2
無他 10±2


選挙戦開始までに自民党がやや失速し、野党の支持が若干高まったものの、自民党が60台前半、民進は25程度だろうというのが、私や周辺の見立てだった。
つまり、自民党は圧倒的な内閣支持率や政党支持率を活かすことができず、「圧勝のつもりが辛勝」に終わり、選挙指導に疑問符が付けられる。だが、「改憲勢力で3分の2」という大目標は達成したので、責任に問われることはないだろう。
一方、民進党は「NKよりはマシ」という政党支持率でありながら、実戦は予想外に健闘した格好だった。特に比例区で1千万票を超えたことは、全く想定外であり、コミュニストに流れると考えられた票の多くが民進に投じられたと考えられる。
逆にNK党は、躁状態のようにノリノリだった割に、実際には票が伸びず、舌禍事件もあって完全に失速した。とはいえ、特に東京以外の選挙区、例えば大阪、愛知、神奈川で当選させられなかったことは、「勝てるところで勝てなかった」という点で、ゲーム・プレイヤーとして低評価が下されるだろう。
重要な32の一人区では、野党候補が11勝を挙げており、全体の戦況を鑑みれば「大健闘」と言える。その殆どが接戦を制しており、自民党としては「勝てるところで勝てず、少なからず取りこぼしをした」と評価すべきだ。

結果論的には、自民党は衆参同日選を回避したことで、野党共闘と労働組合の組織を効率的に稼働させてしまい、高支持率に緩んだ自民党はタガを締めるのに失敗したと言える。例えば、選挙期間中も衆議院の議員会館には自民党議員の秘書が数多く残っており、「戦力の温存」が見られたことは、「持てる戦力を決勝点に集中させる」という戦術の要諦に反している。
「衆参両院で改憲派が3分の2」を達成したものの、ゲーマーとしては「自民党はもっと勝てたはずだ」と見ずにはいられない。

ただ、野党共闘も一定の成果は認められたものの、自民党の「楽勝ムード」に助けられた部分もあり、全面肯定するには至らなそうだ。特に野党共闘を強く推進したNK党が、むしろ議席を減らす結果に終わっており(13年の8から6へ)、他方で民進党が大躍進していることから、独自路線派が党内攻勢を強めるだろう。
選挙終盤には、シールズや市民連合などの市民団体が、街頭でコミュニストへの投票を呼び掛けたものの、これも確たる成果を挙げなかった。次の衆院選はかなり先送りされそうなので、野党共闘は「今後の協議」ということになりそうだ。「一人区で11勝もした」と判断するか、「11勝しかできなかった」と判断するかがカギとなる。

「3分の2はとらせない!」という民進党の目標は果たせなかったものの、民進党は本来持つ実力や支持率に比して、はるかに好成績を出せたので、岡田代表の責任が問われることはないだろう。だが、その求心力はすでに大きく低下しており、代表選には出馬せずに、枝野幹事長への「禅譲」が目指されるかもしれない。
また、「勝てなかった」とはいえ、一定の成果を挙げた要因について、果たして「改憲反対」を前面に掲げたことが良かったのか、「改憲反対」だからこそ「この程度の結果に終わったのか」については別途吟味する必要がある。少なくとも、投票率の低さは「改憲反対」の主張が、多くの無関心有権者層に伝わらなかったことだけは確かだろう。

いずれにせよ、権威主義勢力が圧倒的な勢力を誇り、政府とマスゴミが同調してプロパガンダを打ち、国民間に諦観と無関心が広まる中、民進党はギリギリのところで踏みとどまり、何とか戦線崩壊を防いだ形だと言える。民進党はまだまだ攻勢に出られる力を有しておらず、ここは地道に自治体議員を増やし、党の基幹部分の再建に注力、敵失を待つのが上策だろう。
posted by ケン at 01:00| Comment(9) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月11日

民進、また都知事候補を決められず

【<都知事選>松沢、古賀氏が浮上 民進都連】
 東京都知事選(14日告示、31日投開票)で民進党都連は8日、前神奈川県知事の松沢成文参院議員(58)と経済産業官僚出身の古賀茂明氏(60)の擁立を目指し、党本部と折衝することを決めた。同日の選挙対策委員会後に都連会長の松原仁衆院議員が明らかにした。松原氏は今後、都連の一任を受けて党本部と協議する。
 同日の選対委で2人を推す声が上がったという。松原氏は松沢氏について「(2012年の)前々回都知事選に立候補している。(かつて旧)民主党の国会議員としても活動した。神奈川県知事として実務的能力も振るった」と説明した。古賀氏に関しては「野党4党の枠組みで戦い得る一人」と述べた。
 都議会民進党の有志は長島昭久元副防衛相(54)を推し、いったんは都連も長島氏を軸に候補者調整を進めることを決めた。しかし松原氏は同日、「野党4党の枠組みとの距離感がある」として、長島氏の擁立は難しいとの見解を示した。長島氏は、安全保障関連法の成立を巡って、旧民主党と共産党が共闘して反対したのを批判したことがある。
 ただ、長島氏は10日の参院選投開票後に態度を決めるとしている。松原氏は「長島氏が11日に判断することを尊重したい」と述べ、長島氏が出馬表明した場合は再調整が必要になると示唆した。
 一方、自民党都連は11日午前に会議を開いて推薦する候補者を正式に決めると明らかにした。10日夜の会議で、都連会長の石原伸晃経済再生担当相が小池百合子元防衛相(63)の出馬表明の経緯を説明した上で、擁立候補についての基本方針を確認する。
(7月8日、毎日新聞)

民進党は先に片山善博氏に立候補を要請しても断られ、某芸能人の自薦は忌避して、身内の中で「ババ」を押しつけ合っている間に「時間切れ」が来そうだ。
記事に上がっている両者も相当に筋が悪く、とても都知事が務まる器では無い。松沢氏は、所属した政党が7つにも及ぶ「政界渡り鳥」で、藤堂高虎並みの節操の無さを誇るが、神奈川県知事としては表現規制以外はまず無難に務めたものの、仕事に飽きて二期で辞めて、自民党から都知事選に出ようとして梯子を外され、戻ることもできずに浪人したという恥ずかしい経歴を持っている。人口の大半が政令市(横浜、川崎、相模原)を占める神奈川なら知事が務まるかもしれないが、中規模国家並みの予算と職員を持つ東京都知事は務まりそうに無い。
古賀氏は、あまりもの変人ぶりで経産省から追放された人物で、これまた大組織のトップが務まるような人物では無い。

もっとも、自民党都議団が担ぐ増田氏も、任期中に放漫財政と緊縮財政を行うという「偉業」をなして、岩手にいられなくなった人物であり、これまた都知事が務まる器では無い。自民党議員からすれば、片っ端から公共事業をやらせることができる「良い器」なのだろう。
「漁夫の利」を得そうな小池女史は、業界用語的に「誰とでも寝る」典型で、権力の臭いをかぎ分ける本能は業界随一かもしれないが、それだけの人物であり、やはり東京の長に相応しくは無い。事前予想では小池氏がダントツだが、いかんせん女性からの嫌われようがハンパ無いので、選挙が始まってみないと分からない。

いずれにせよ、自民も民進も、「次のタマ」を用意する前に舛添氏のクビを取ってしまい、取ってから「候補がいない」と大騒ぎしている。「泥棒を見て縄をなう」という諺を子どもに説明するには最適だが、主権者にとっては最悪の事態となりつつある。
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2016年07月05日

桜井氏固辞は当然だけど惜しい

【自民都連、増田・元総務相を軸に…桜井氏は断念】
 東京都知事選(7月14日告示、31日投開票)を巡り、自民党都連は、前岩手県知事で元総務相の増田寛也氏を軸に候補者を調整する方針を固めた。最有力とされた桜井俊・前総務次官の説得は困難と判断した。党内では、独自に出馬を表明した小池百合子・元防衛相を容認する意見もあるが、都連は、増田氏への要請を優先させる。都連関係者によると、小池氏が出馬表明した6月29日、都連会長の石原経済再生相が、都内で桜井氏と会談したが、桜井氏は出馬を固辞したという。党内では、小池氏が都連に無断で出馬表明したことへの不満がくすぶる。自民党が支援した都知事が2代続けて「政治とカネ」の問題で辞職し、「行政出身者を優先する」との方針もあり、同党はこれまで、独自に実施した世論調査で上位だった桜井氏、増田氏らと水面下で交渉を進めてきた。
(7月1日、読売新聞)

自民党が桜井前総務次官に都知事選候補を要請するも固辞された。これだけ見ても、桜井氏が真っ当な人であることが分かる。そもそも、自民党は自らが推した舛添氏を、オリンピック利権に手を付けた理由で、都官僚と手を組んで追い落としたのだから、平気で背後から銃撃するような連中を信じる方がどうかしている。しかも、次の都知事は衆人環視となり、何をやるにしても五月蠅く追及されることは間違いなく、自分の理念や政策を実現し、政治手腕を発揮する機会など、まず与えられないだろう。実質的に、ただの名誉職である。ただし、大人しく自民党や都官僚の言いなりになれば、相応の見返りも期待できるかもしれないが、すでに国家官僚として頂点に上り詰め、子息も某業界で大成功している桜井氏には興味のない話だろう。

聞くところによれば、桜井氏は「息子の知名度で当選したくは無い」と述べており、なかなかの硬骨漢ぶりを示している。私も国会内で何度かお見かけしたし、総務官僚から人物評を聞く機会もあったが、総じて好評価で、温厚な調整型の能吏というイメージだった。つまり、都知事としては能力的にも人物的にも相応しい人物だと考えられるわけだが、こういう人物ほど「バカバカしい」と考えてしまう状態にしたのが、都議会やマスゴミ・有権者だった。要は自業自得であり、またぞろロクでも無い知事が誕生して、低能な騒擾を延々と繰り返すことになりそうだ。これもデモクラシーの末路かもしれない。
posted by ケン at 12:21| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月30日

民進都議団、片山氏に袖にされる

【ポスト舛添 「今の仕事に残留派」片山善博元鳥取県知事が英国民投票にかけて都知事選出馬を否定】
 片山善博元鳥取県知事は26日のフジテレビ系「新報道2001」で、舛添要一前東京都知事の後任を決める都知事選に関し、EU離脱を決めた英国の国民投票にかけて立候補を否定した。「今の仕事に残留派で、離脱派ではない」と述べた。片山氏は与野党内で有力後継候補の一人に挙げられている。同じくポスト舛添候補として話題の桜井俊前総務事務次官については「総務相をやっていたときに局長をやっていた。非常に温厚で、常識的な人。本当に良い仕事をしてもらった」と高く評価した。桜井氏は人気グループ「嵐」のメンバー、桜井翔さんの父親としても知られる。
(6月26日、産経新聞)

後継候補の当てもなく、この15年というもの独自候補を立てられなかった民主・民進党が、都知事を引き摺り下ろしてどうするんだ?、ハシモトとかになったら目も当てられないぞ!と二人の都議に厳重に申し入れたが、一党員の建策などは当然無視されて、現状に至っている。
そもそも今どき民進党が「推薦するから出馬してくれ」などと頼んでみたところで、自民党の二軍以下の人材しか承知するわけがない。
まったく「バカに付ける薬は無い」とはこのことだろう。
posted by ケン at 13:00| Comment(2) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする