2019年11月08日

日露協商の目は失われた

【ロシアと中国、軍事同盟検討か】
 ロシアが中国に対し、ミサイル攻撃の早期警戒システムの構築を支援していることが判明、両国が事実上の軍事同盟締結を検討しているとの見方が強まっている。ロシアと中国を敵視する米国が中距離ミサイルのアジア配備を検討する中で、軍事協力強化を急ぐ。両国が同盟関係を結べば北東アジアで日米韓との対立が深まり、日本との関係にも影響が出るのは必至。日ロ平和条約交渉が一層難航するのは避けられない。
 中ロはこれまで「同盟関係」を否定している。しかし、中ロ関係に詳しいロシア国立高等経済学院のマスロフ教授によると、両国指導部は「軍事同盟締結」の方針を決定済みという。
(10月29日、共同通信)

中露同盟をもって日露協商の目は失われるだろう。
日本では報道されていないが、安倍首相は昨年十月の訪中時に中国側から日中協商を打診され、これを黙殺したという(香港メディア)。それ自体は「はい、わかりました」と言えるものではないが、中露同盟の成立という背景を考えれば、中国側の申し出を「無視」したことの意味は大きい。要は「ポツダム宣言の黙殺」と同様、敵対関係を選択したようなものだからだ。

ケン先生は中国に来てまだ一年ちょっとであるが、知日派中国人は概ね日本に対する理解が深く、権威主義的かつ右翼的(南京事件や東京裁判の否定など)な安倍政権に対しても好意的であると同時に、「日中連携こそが両国にとってプラスであり、敵対はマイナスでしかない」という認識を持っている。
だが、知日派以外になると、「日本何するものぞ」「しょせん前世紀の遺物」「衰退の一途を辿る旧帝国」といった意識を持つ者もおり、どうやらこうした層が少しずつ増えているようにも見える。
幸いにして、習近平政権は日本に対して比較的好意的であり、だからこそ裏で日中協商を持ちかけたものと見て良い。

これに対して、日本側は政府、政権党、世論のどのレベルで見ても、いまだに中国を下等視する向きが強い。
例えば、先の夏期休暇に際してケン先生は中国の政府関係者の依頼を受けて、自民党に交流の打診を行ったが、「全く興味ない」という身も蓋もない回答で中国側のメンツを丸潰しにしてしまった。
どこまでも愚かである。

確かに中国と直接連携するのは、日米安保の手前、まず無理なのはわかる。が、「そこはそれ」として裏で伏線を描くのが権力者の務めではないか。冷戦期のハンガリーや大戦期のイタリアを少しは見習っても良さそうなものだ。

現実に日中協商は難しいからこそ、安倍政権が始めたのが日露交渉だったわけだが、ケン先生はかねてより「時間が経つほど交渉は日本に不利になる」と主張していたが、まさにその通りになった。もともと日本は自国とアメリカの衰退もあって中露に「押し込まれる」側にあり、交渉に時間をかける余裕などなかったはずだが、歴史認識(ソ連による千島・南樺太の領有を認める)のような比較的妥協可能な要求すらのまずに強硬姿勢を貫いた結果だった。
まぁゲーム的には、アメリカの広告塔である外務省が万事について妨害する中で、「良くやった」とは言えるものの、敗北は敗北である。

今後、日本政府はさらに対米傾斜を深めていくことになるだろう。つまり、アメリカの対外戦争により積極的に参加し、貿易などの交渉もさらに妥協することになる蓋然性が高い。

【追記】
もっとも、この件について中国側は一切反応を示しておらず、「中露同盟」には触れないようにしている。報道も全くない。ロシアによるプロパガンダ的要素が強いことは確かなのだが、中国側が否定しないということは、黙認していると見て良いだろう。
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2019年11月06日

「誇り持てる自衛隊」は適切か

【河野防衛相「誇り持てる自衛隊を作りたい」】
 河野太郎防衛相は28日、都内で開いた自身の政治資金パーティーで、甚大な被害をもたらした台風19号などの対応に当たる自衛隊員に対し「尊敬され、感謝され、彼らも誇りを持って『私は自衛隊の一員だ』といえるような防衛省・自衛隊を作っていきたい」と述べた。
 河野氏は「私は地元で雨男といわれ、防衛相になってすでに台風が3つ(来た)」と語った上で「そのたびに自衛隊員が出てくれている」と説明。「あらゆるところで自衛隊に頑張ってもらっている。隊員の処遇改善をきちんとやらなければならない」とした。
(10月28日、産経新聞)

自衛隊は今程度のスルー感でちょうどいいくらいじゃないかと。
そもそも「誇り持てる自衛隊」という感覚が、1960年〜80年代くらいの「制服を着て外には出られない」「子どもがいじめられる」などの時代感覚をそのまま残したものであり、若い人はそんな時代があったことすら知らないだろう。
変に誇りを持ちすぎると、「この地方人が!!」と市民に暴力を振るった戦時期みたいになってしまうし、市民が軍人に平伏する社会とか、どこの封建国家だよと。

戦前の日本でも大正軍縮の時代には、軍人が制服着て市電に乗っていると「この税金ドロボーが!」などと罵倒されたというが、その反動が「統帥権干犯」問題に発展し、さらには満州事変のような「じゃ、軍費は自分で稼いでやる!」的な行動に発展していったわけで、そもそも暴力装置なだけに過度に抑圧するのもまずい。

特に現代日本の場合、デモクラシーやリベラリズムが大した根拠の無いところに強制されて成立しているだけに、官僚も自衛隊員もイデオロギー教育がなされておらず、果たして自衛隊幹部がシヴィリアン・コントロールを理解しているかも怪しい。特に空自の教育内容は相当に怪しい感じだ。

歴史的にも自衛隊はもともと「米軍が来援するまで」の補助戦力として成立したものが、今では「基本的に自分のことは自分でやれ」と言われて、世界第6〜8位の軍事力を保有するに至っており、設立当初の理念が成立しがたくなっている側面もある。もちろん、憲法九条との齟齬もある。
それだけに、自衛隊の再定義は不可避となっているわけだが、どう再定義すべきかの議論は全く進まず、だからこそ「誇りの持てる」といった抽象的な議論が噴出し、一部のミリタリー・マニアを熱狂させてしまう事態が生じているのではないか。

河野大臣の発言は「シヴィリアンの代表者」のそれではなく、「自衛隊の代弁者」になってしまっているという点で危うさを覚える次第。
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2019年11月04日

公開した外交資料を非開示にして廃棄を進める外務省

【外務省、公開済み内容を「不開示」に 沖縄返還文書など】
 外務省が情報公開請求に対して不開示とした文書と同じ内容が、すでに公開されていることがわかった。朝日新聞が日米関連の文書の開示請求をしたが、安全保障などを理由に開示していなかった。公文書をめぐる問題が続く中、文書のずさんな扱いが情報公開範囲を不当に狭める実態が浮かび上がった。
 問題の文書の一つは、1968年7月15日付の「沖縄返還問題の進め方について」。72年に実現する沖縄返還に向け外務省の東郷文彦アメリカ局長が対米交渉方針を5枚にまとめ、作成当時は極秘とされた。
 朝日新聞は、70年前後の日米安保協議を検証するため当時の文書を2017年に情報公開法に基づき開示請求し、外務省が一部を開示。この文書が含まれていたが、表題がある1枚目を除きほぼ墨塗りがされた。
 外務省は30年経った文書の原則公開を規則で定めるが、この文書の不開示部分に関し、明かせば「国の安全が害される」「米国等との信頼関係を損なう」などのおそれがあると主張。朝日新聞が総務省の情報公開・個人情報保護審査会への審査を求めた結果、開示すべきだと判断され、外務省は今年8月に開示した。
 新たに開示された部分は、沖縄返還交渉の焦点だった緊急時の米側の核持ち込みをめぐる記述だった。朝日新聞が研究者に確認取材をしたところ、これと同じ内容の文書を外務省が10年から公開していることがわかった。民主党政権下であった過去の日米両政府間の密約調査を機に開示されたものだった。
(10月27日、朝日新聞)

「あれは民主党政権が勝手にやったことだから」といったん公開した資料を再び不開示にする外務省。
エリツィン政権が公開したソ連の資料を、プーチン政権が非開示にしてしまった事例とよく似ている。また同時に、沖縄密約の闇の深さと日本政府の後ろめたさを示している。
沖縄問題は明治帝政、戦後帝政のいずれにとっても深い闇を持つ。
明治帝政では、琉球王国の武力併合(同意無き併合)と清国との帰属問題。さらに大戦末期における「近衛和平案」(沖縄放棄はやむを得ないとした)。戦後帝政では、「ダレスの恫喝」に象徴される北方領土問題の起源となる日米関係、そして核密約と駐留米軍の問題がある。
個別に興味のある方は過去ログを読んでもらいたい。一部再掲しておこう。
第二次世界大戦以降については、カイロ会談の前後に蒋介石が、米ルーズベルト大統領から琉球・沖縄の帰属について相談を持ちかけられている。だが、中華民国政府・国民党内では議論が分かれ、「中米共同管理案」や「非軍事化を条件に日本帰属を認める」などの案が上がったものの、戦後の対日関係と対共産党戦など総合的に考えて、ルーズベルトの提案には乗らなかったようだ。この辺のことも未解明のことが多く、今後の研究に期待したい。
だが、国共内戦を経て国民党は後悔したらしく、1953年の奄美群島返還と同71年の沖縄返還に際して、国民党政府は抗議声明を出している。とはいえ、サンフランシスコ講和条約に参加しなかった(呼ばれなかった)同政府は、1952年に日華平和条約を締結するも、その際日本政府に沖縄帰属問題を持ち出すことはなかったため、「後の祭り」と化している。ただ、そうは言っても、中華民国政府が琉球の日本帰属を認めたことは一度も無い。そもそも、米国からして、日本に返還したのは沖縄の施政権のみであって、その帰属と領有権について正式に表明しているのか定かでは無い(少なくとも私は確認できなかった)。
また、中国共産党については、正式な文書で沖縄の帰属を確認したことはないものの、毛沢東が沖縄の日本帰属を認めた経緯もあって、現政府が急に沖縄の領有権を主張するということは無さそうだ。ただ、民間レベルでは、中台の関係が深まり、琉球帰属問題への意識が高まってくる可能性があり、そうなると日中関係次第でどちらに転ぶか分からない。
琉球帰属問題が表面化する日

(1945年)7月8日、東郷外相は軽井沢に滞在中の近衛元首相を訪ね、和平交渉の対ソ特使を依頼、内諾を取り付ける。9日には、昭和天皇が鈴木首相にソ連仲介による和平交渉の促進を督促。翌10日夜、最高戦争指導会議構成員会が開催され、「遣ソ使節派遣の件」が決定された。
12日には近衛が宮中に呼ばれ、天皇から直々に対ソ特使の要請がなされた。軍の反発を想定した鈴木首相と木戸内府による画策だった。
近衛はその日のうちに側近とも言える酒井鎬次中将を呼び出し、近衛を交えて数人で和平交渉案を作成した。交渉案は「要綱」と「解説」の二部からなり、前者は天皇に奏上して御璽を受け、後者は木戸の了解を得て印をもらう予定だった。

その和平案の条件は、第一に「国体の護持は絶対にして、一歩も譲らざること」とし、第二は「国土に就いては、なるべく他日の再起に便なることにつとむるも、やむを得ざれば固有本土を以て満足す」であった。
「解説」によれば、「国体の解釈については皇統を確保し天皇政治を行ふを主眼とす」とあり、但し最悪の場合は昭和帝の退位もやむを得ないとしながらも、それでも「自発の形式をと」るとした。
さらに領土について、「固有本土の解釈については、最下限沖縄、小笠原原島、樺太を捨て、千島は南半分を保有する程度とすること」と説明している。

この条件は、つまり天皇制と皇統の存続が認められない限り和平はあり得ず、本土決戦まで覚悟していたことと同時に、沖縄は日本の「固有本土」ではなく、和平条件として「捨て」うる存在であったことを意味している。
連合軍に占領された地域の返還を和平条件に入れることは、当事者の立場に立つならば現実的ではなかったのだろうが、少なくとも意識の上では沖縄は帝国の本土ではなく、あくまでも明治維新後の帝国主義戦争によって獲得した「帝国領外地」の一つに過ぎなかったことを示唆している。だからこそ和平条件の一つにすることができたのだ。
和平条件としての沖縄と「固有本土」

国民主権の憲法を否定し、米国が公開している50年以上前の情報を非開示し続ける外務省は、存在自体がデモクラシーとリベラリズムを否定するものであり、即刻廃止すべきである。

【参考】
琉球帰属問題が表面化する日
和平条件としての沖縄と「固有本土」
ダレスの呪縛
「核密約」をどう考えるか
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2019年10月16日

日本海で北朝鮮が挑発?

【小銃で威嚇の北朝鮮公船 大和堆で「領海」主張し退去要求】
 日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)にある「大和堆(やまとたい)」周辺で先月、海上保安庁の巡視船が北朝鮮公船とみられる船舶に小銃で威嚇される直前、北朝鮮側が日本側に無線で「領海から即退去せよ」と要求していたことが26日、政府関係者への取材で分かった。こうした発信は極めて異例で、政府は日本海の海洋権益をめぐり、北朝鮮側が先鋭化した恐れもあるとみて警戒を強めている。
 8月23日午前9時半ごろ、石川県の能登半島沖約378キロの日本のEEZで違法操業を監視していた水産庁の漁業取締船が、北朝鮮海軍のような旗を掲げた小型高速ボートに接近された。海保によると取締船の通報で巡視船が駆けつけた後の同日午後1時ごろ、北朝鮮側が英語で「領海」を意味する「territorial water(テリトリアル・ウォーター)」という用語を使い「即時退去」を要求してきた。
 付近には北朝鮮国旗を塗装した大型貨物船も航行し、いずれかが無線発信したとみられるが、国籍や所属などは名乗らなかった。翌24日朝には同じボートが巡視船の約30メートルまで接近し、乗組員が小銃で威嚇してきた。現場は日本のEEZで、本土から12カイリ(約22キロ)内の北朝鮮領海からも遠く離れている。
 政府関係者によると、日本のEEZでは、北朝鮮当局が自国船の操業状況を監視する形で日本の主権を侵害している疑いも指摘されている。北朝鮮は、海洋水産業を「戦闘」として国策で推進。今回の日本政府の厳重抗議に対し「専属経済水域への不法侵犯を自衛的措置で追い払った」などと反論している。8月23、24両日はボートや貨物船周辺で北朝鮮漁船は操業しておらず、北朝鮮側が軍旗や国旗を明示した上で、日本側の主権行使に対抗する姿勢を明確にした可能性がある。
(9月26日、産経新聞)

SLBMを含め北朝鮮側は激しく蠢動しているが、いかんせん日本側は国交が無いだけに、良くも悪くも米朝交渉頼みとなっている。
霞が関、自民党としては、米朝交渉が決裂し、米軍が北朝鮮に侵攻するケースが望ましいと考えているようで、実際に水面下では何度も米側に要請しているという。
だが、これは二次大戦末期の「ソ連の仲介」みたいな話で、アメリカにとってリスクが大きいばかりでメリットは殆ど無い。百歩譲っても、中国と協同歩調を取らなければ無理だろう。

これまでは最前線が北緯38度線にあり、1991年以降はソ連の脅威もなくなって、中国・北朝鮮は有効な海軍力を持っておらず、昭和帝政日本にとって「最も安全な時代」を過ごせたわけだが、いまや海軍力において中国に追い越され、米海軍に依存する形となっている上、冷戦の最前線が日本海に移行しつつある。
今後、韓国との関係がさらに悪化した場合、韓国への対応も必要になってくるだろう。

海上自衛隊は人員不足で現有艦艇を運用するのもギリギリ、本来退役する艦艇の寿命を延長している有様で、外交で対処するか、軍拡するかという選択が迫られている。
そこで、「せめて日露平和条約だけでも」というのが安倍政権の目論見だったが、ロシア側は二島返還だけでは認めず、日本側は歴史問題で譲歩しないため、交渉は難航している。
国内は消費税を上げたばかりである上、「痛税感緩和」と称して増税分をばらまく有様にある上、景気の動向も不安定で、当面はさらなる増税は難しいだろう。

また右派メディアや論者を中心に北朝鮮の脅威を煽り立てる風潮も出てきているが、左翼・リベラル陣営は有効な対抗策を掲げることができず、今後はさらに辛い展開となりそうだ。
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2019年10月02日

日朝首脳の「無条件」会談はウソ?

【日朝首脳の「無条件」会談は矛盾 北朝鮮大使、接触を否定】
 北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使は18日、無条件で金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談を目指すとの安倍晋三首相の方針について、実際は拉致問題などを取り上げる立場であり「矛盾している」と述べ、懐疑的な見解を示した。首相が同方針を前面に打ち出した5月以降、日本政府との接触はないとも明言した。
 訪朝して宋氏と懇談した故金丸信・元自民党副総裁の次男、金丸信吾氏が19日、北京国際空港で記者団に明らかにした。
 金丸氏によると、宋氏は18日夜に開かれた懇談の場で「核、ミサイル、拉致問題を必ず話すと言っている。条件付きとしか思えない」と指摘した。
(9月19日、共同通信)

「無条件で会談をめざす」というのが「方針」だけで、実際にやるつもりも、外交ルートも無いことが暴露されてしまった。
敢えて推測するなら、外務省は全くやる気がないし、官邸主導でやろうとしても、交渉ルートが無いということかもしれない。
とはいえ、この金丸ルートや総連ルートもあれば、猪木ルートもあるわけで、「交渉ルートが無い」というのは嘘としか思えない。やはり、やる気が無いのだろう。

しかし金丸訪朝団も60人規模とのことで、金丸家(武田一門)の威光の大きさを伺わせるし、父君の悲願「日朝国交回復」に向けて、人から嫌われる活動を続ける信吾氏には敬意を表したい。信吾氏的には、父親が逮捕された途端に、手のひらを返してきた自民党に対して思うところが多いのだろうとは推察するが。。。

何はともあれ、こうした非公式の外交ルートを上手く使いこなせない、あるいはそもそも毛嫌いする日本の外務省そのものがガンであることは間違いない。
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2019年09月20日

日韓関係悪化と日本の孤立の後に来るもの−妄想を超えて

今のところ根拠らしい根拠はないので、以下妄想ということで。

韓国は将来的に米日韓同盟を脱して、中露同盟側に付くという戦略方針を採っていると思われる。
そして、長期的には南北統一も視野に入れているだろう。
政権交代によって、一時的に後退することはあっても、完全に取りやめることはないと考えられる。
米朝和解と朝鮮戦争の終結をもって、在韓米軍が撤退するのは時間の問題であり、韓国としてもいつまでも冷戦の最前線を演じてやるつもりも無いだろう。

そもそも北緯38度線の冷戦によって、最大の利益を上げているのは、日本の産業界と保守政界であって、その次に軍事コストを最小限で済ませている日本国民である。その一方、韓国人は巨大なコストばかり負担させられている。
その発想が無いと、「文政権は敵に塩を送っている」などとトンチンカンな話をしてしまうことになる。
韓国人的には、「今まで自分たちが背負ってきた負担を日本人もやってみろ」と、冷戦の最前線を日本海に放り投げる格好なのだ。

とはいえ、現状では北朝鮮の従属下に置かれかねず、韓国政府は「在韓米軍なき後」の防衛力を検討せざるを得ない。そこで最も有力なのは、核武装になるだろう。
韓国が核武装すれば、北と対等の対話が可能になると同時に、日本に対しても大きな軍事的有利を得るところとなる。国際社会の同意云々はこの際、考えないでおこう。あくまで思考実験である。
仮に韓国が核開発を進めたところで、武力介入を主張するのは日本だけであろうし、その日本に対しては「ほらっやっぱり侵略主義だ」と言い返すだけで済むから問題ない。
また、韓国的には「南北統一の暁には廃棄する」と宣言すれば、クリアできるかもしれない。いかんせん「在韓米軍不在の担保」と言ってしまえば、アメリカも強くは出られないだろう。

この場合、激高するのは日本政府と日本人だろう。
日本海が冷戦の最前線となり、南北朝鮮が核武装するとなれば、在日米軍をよほど強化するか、独自の軍事力を極端に拡大するか、という話になる。
この際、日本人の伝統的思考パターンからして、「やられる前にやれ!」となりがちだ。
すると、国内の平和運動家や反核運動家、あるいはリベラリストに対し、徹底的な弾圧が加えられ、「朝鮮に対する先制攻撃」を前提とした大軍拡が進められる可能性がある。
そこまで行かない場合でも、「日本も核武装を」という話になり、世論を強制的に統合するため、やはり国内弾圧が進められる蓋然性が高い。

以上、今のところは妄想で済んでいるが、現行の明治帝政と官僚制を維持するためには、あまり他に選択肢が無いように思われる。
いかがだろうか。
posted by ケン at 12:00| Comment(7) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月27日

冷戦の最前線は日本海へ

【小野寺前防衛相「北や中国に間違ったメッセージ送りかねない」 韓国GSOMIA破棄】
 自民党の小野寺五典前防衛相は22日夜、韓国が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたことについて「日米韓の同盟関係が揺らいでいることを表に見せるのは、北朝鮮や中国に間違ったメッセージを送ることになりかねない」と懸念を示した。産経新聞の取材に答えた。
 小野寺氏は、日本側からの情報提供も含め、GSOMIAが北朝鮮対応に有効に機能していると強調。「日韓の防衛当局はGSOMIAの重要性を認識しているが、韓国の政治的な思惑で安全保障に影響を及ぼすのは決して好ましいことでない」と批判した。
 今後、日本側の取るべき対応に関しては「韓国側の国内政治の問題が大きい」として、推移を冷静に分析するよう求めた。
(8月22日、産経新聞)

韓国政府が軍事情報包括保護協定の延長・更新を行わないことを決定。同協定は一年おきの自動更新で、一方が終了を通告すると終了する。
これを受けて、河野外相は、韓国側の決定について「現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ない」として「断固として抗議したい」と声明を出し、韓国大使を外務省に呼び出して抗議した。

日本側の反応で興味深いのは、「まさかGSOMIAまで破棄はしないだろう」と思っていた者が非常に多いことと、河野氏の「完全に見誤った対応」や小野寺氏の「北や中国に間違ったメッセージ送りかねない」というもの。
どれも日本にとって都合の良い状況のみを想定して、想定外の事態が起きたので、他国を非難するという間抜けを演じている。
こうした反応は、インドシナに進駐しておいて「まさかアメリカが鉄と原油の禁輸に踏み切るとは思わなかった」と言ってしまう戦前期の軍人、政治家と同レベルの頭脳であることを示している。
その根幹にあるのは、「正しいのは常に自分(日本)であって、悪いのは常に韓国(中国、朝鮮、ロシアなどを含む)だ」という傲慢と増長である。同時に「半導体輸出を止めれば、韓国は屈服するだろう」という見通しが誤っていて、逆に韓国のナショナリズムを刺激して、韓国内の親日派を沈黙させてしまった。この辺は、日中戦争に至る経緯と酷似している。

韓国が日米陣営を脱して中露同盟側に走ることは、少なくとも文政権の既定路線であり、それに従って南北融和と在韓米軍の撤退に舵を切っている。そこを肯定できない日本人は「韓国人がトチ狂った」旨を言ってしまうわけだが、韓国側の判断の是非はともかく、「欧州情勢は複雑怪奇」レベルの認識では、今後の厳しい外交・安保環境を乗り切ることはできないだろう。
言うなれば、ゲームをやっていて、相手プレイヤーに対して「何バカなプレイしているんだ!」とブチ切れるプレイヤーであり、みっともないことこの上ない。

韓国側としては、中露同盟側に付く以上、日米(特に日本)と情報を共有する必要は無く、むしろ情報流出の危険性の方が高くなっている。
日本政府は、本来的には「38度線を維持しつつ、冷戦構造を保持する」ことが至上命題であったにもかかわらず、韓国側をわざわざ向こう側に追いやるような政策ばかり採ってきた。
その結果、冷戦の最前線は遠からず北緯38度線から日本海に移ることになるだろう。
この場合、日本が日米同盟路線を継続する限り、軍備拡張路線に傾かざるを得ず、今後、軍事費を肥大化させてゆくことになりそうだ。

日本側の選択肢的には、歴史問題で韓国に譲歩することで少しでも長く現状の冷戦構造を維持するか、韓国を中露側にやって日本が冷戦の最前線に立つかという、ほぼ二択だったと思われるが、日本は後者を選択したのである。
日本政府的には、別れた恋人を非難するのではなく、「俺の予想通りの展開だ!」「俺の戦いはこれからだ!(中露朝韓と真っ向勝負!)」とマッチョ宣言をすべきところではないか。
posted by ケン at 12:00| Comment(6) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする