2020年12月29日

「敵基地攻撃能力」結論先送り

【「敵基地攻撃能力」結論先送り 政府、イージス代替は2隻増艦】
 政府は18日午前、年内にまとめるとしてきた敵基地攻撃能力を含む「ミサイル阻止」に向けた方策に関して「抑止力の強化について、引き続き政府において検討を行う」とする方針を閣議決定した。検討の期限は示さなかった。地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア(地上イージス)」の代替策としてイージス艦2隻を増艦する方針も決めた。
 閣議決定では地上イージスの配備断念を受けて「イージス・システム搭載艦2隻を整備する」と明記。イージス艦は海上自衛隊が運用するとし、具体的な装備は引き続き検討を行う考えを示した。防衛省は令和3年度予算案に関連経費を計上する。
 また、閣議決定では12式地対艦誘導弾の射程を伸ばし、離島防衛に活用するとした。12式は改良により現行の射程200キロから1千キロ近くまでになるとみられる。現在は地上配備型ミサイルとして陸上自衛隊が運用しているが、航空機や艦艇からも発射可能とする。
 政府は12式を「脅威圏の外から対処を行うためのスタンドオフ防衛能力」と位置づけ、敵基地攻撃能力ではないとしている。敵基地攻撃能力に関しては、安倍晋三前首相が首相談話で言及した「ミサイル阻止」の文言も記載しなかった。
 安倍氏は退任前の6月の記者会見で敵基地攻撃能力の取得を検討する考えを表明した。9月の首相談話で「ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針」について与党との協議を経て、年末までに「あるべき方策」を示すとした。
 だが、連立与党の公明党は当初から敵基地攻撃能力に否定的な姿勢を示していた。9月に発足した菅義偉(すが・よしひで)政権は公明党の主張に配慮する形で年内の結論とりまとめを見送り、検討の期限も示していない。
(12月18日、産経新聞)

今回は選挙が近いので、KM党に配慮した形となった。
しかし、米国で軍産複合体が支持するバイデン氏が大統領に選出されたこともあり、今後も導入の議論は止まらないだろう。

とはいえ、現実には偵察と諜報を米国に依存し、憲法第9条の縛りが強い日本が保有しても、「宝の持ち腐れ」にしかならないのだが。

【参考】
【メモ】基地攻撃能力保有に関する議論の現状
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2020年12月14日

バイデン「日米安保条約第5条の尖閣諸島適用」は実は無かった?

「安保の尖閣適用宣言はただの年中行事」の続き。

米民主党のジョー・バイデン候補が11月7日に勝利宣言したことを受けて、菅義偉首相は12日に同候補と10分程度の電話会談を行った。会談の中で、バイデンは「日米安保条約第5条の尖閣諸島適用」に言及し、菅首相は会談後のマスコミ発表においてこの点を強調している。この内容は外務省が、事前にバイデン陣営と調整したもので、外務省は「大きな成果」と自画自賛していた。

ところが、バイデン政権移行チームによるメディア発表は、“underscored his deep commitment to the defense of Japan and U.S. commitments under Article V.”というもので、そこには「尖閣」の文字は無い。実際の電話会談の内容を確認できない以上、真偽を確かめるのは困難だが、日本側が恣意的に「尖閣」を入れて、バイデン側はそれを黙認している可能性がある。現実問題として、日米安保の適用は「日本の施政権下」を条件としているため、一度他国に占領された箇所については適用されず、実質的な意味は無い。しかし、「アメリカの対日関与」と「日米同盟」の価値を訴える上で、必要な政治的意味があると考えられている。
当然ながら、悪意をもって見るなら、外務省がバイデン陣営を騙して、上記の言質をとった上で、菅総理に翻訳する際は「尖閣」の文字を入れた陰謀と見ることも可能だ。

いずれにせよ、外務省は自国民に対してどこまでも不誠実な存在であることは間違いない。
以下、参考。
【Suga says he got Biden's backing on Senkakus in first phone talks】
Prime Minister Yoshihide Suga spoke with U.S. President-elect Joe Biden on Thursday morning for the first time since the latter won the U.S. presidential election, with Tokyo saying that the soon-to-be-inaugurated leader reassured Suga that his administration will commit to protecting the Senkaku Islands under their security alliance.

Speaking to reporters after the roughly 15-minute teleconference, the prime minister said the president-elect made clear that Article 5 of the U.S.-Japan Treaty of Mutual Cooperation would apply to the Senkaku Islands, which China claims and calls the Diaoyu Islands. The article states that the U.S. would defend the territories under Japan’s administration in the event of an armed attack.

The apparent affirmation by Biden on the Senkaku Islands, which was previously re-emphasized by President Barack Obama around the time Chinese vessels began entering waters near them, brings a sigh of relief for Tokyo officials as they monitor Biden’s approach to China with a mix of expectation and trepidation.

However, the Biden transition team’s readout did not mention the islands by name but stated that Biden “underscored his deep commitment to the defense of Japan and U.S. commitments under Article V.” A senior Japanese government official who was present during the talks said Biden brought up Article 5 in response to Suga’s remark on shoring up the security alliance and it was Tokyo’s understanding that the Senkaku Islands would be covered. They did not discuss the island’s dominium, according to the official.

As one of the first Asian leaders to speak with President Donald Trump’s successor, Suga said he congratulated Biden and his running mate Kamala Harris for their victory. Both sides, Suga said, agreed to work together on global issues such as climate change and the novel coronavirus pandemic. They also agreed to enhance cooperation to maintain stability in the Indo-Pacific region, a matter that directly impacts Japan’s national security as well as regional security.
(11/12、The Japan Timesより抜粋)
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2020年11月23日

安保の尖閣適用宣言はただの年中行事

【米の尖閣防衛義務を批判 中国外務省】
 米大統領選で当選が確実となったバイデン前副大統領が菅義偉首相との会談で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)が日米安全保障条約の適用範囲だとの見解を示したことについて、中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は12日の記者会見で「釣魚島とその付属島嶼(尖閣諸島の中国側名称)は中国固有の領土だ」と反発した。汪氏は日米安保条約について「冷戦の産物だ。第三者の利益を損なったり、地域の平和と安定を脅かしたりすべきではない」と主張した。
(11月12日、産経新聞)

バイデン氏の発言と中国からの反発を受けて、外務官僚どもは小躍りして喜んでいる。
しかし、尖閣が日米安保の適用対象であることは、アメリカの歴代政権が表明していることで、真新しいことではない。
要は、一年間の有期雇用に過ぎない町方同心が、年末に奉行所に伺候して「来年もよろしく頼む」と言われて喜んでいるようなものだろう(わかりにくい?)。
この問題も本ブログで何度も触れているが、おさらいしておこう。日米ガイドラインは、
2.日本に対する武力攻撃が発生した場合
b.作戦構想
C.陸上攻撃に対処するための作戦

自衛隊及び米軍は、日本に対する陸上攻撃に対処するため、陸、海、空又は水陸両用部隊を用いて、共同作戦を実施する。

自衛隊は、島嶼に対するものを含む陸上攻撃を阻止し、排除するための作戦を主体的に実施する。必要が生じた場合、自衛隊は島嶼を奪回するための作戦を実施する。このため、自衛隊は、着上陸侵攻を阻止し排除するための作戦、水陸両用作戦及び迅速な部隊展開を含むが、これに限られない必要な行動をとる。

自衛隊はまた、関係機関と協力しつつ、潜入を伴うものを含め、日本における特殊作戦部隊による攻撃等の不正規型の攻撃を主体的に撃破する。

米軍は、自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する。

と書かれている。
つまり、日本の防衛は島嶼であろうと本土であろうと、自衛隊が担うものであり、米軍は自衛隊の作戦を「支援」するだけでしかないことが明確に規定されている。

そして、日米安保第5条。
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

このキモは「日本の施政権下にある領域」にある。北方四島に対して日米安保が適用されないのは、「施政権下に無い」からで、このことは従来政府も認めている。
問題は、島嶼の場合、敵国が占領してしまった場合、一時的であれ日本は施政権を失ってしまうため、「施政権下にある領域」でなくなってしまう点にある。少なくとも、米国側はそういう主張ができるので、仮に尖閣が他国に占領された場合、米政府が手のひらを返して「もうそこは日本の施政権下に無いから安保の適用外」と主張を一変させたところで、日本政府としては返す言葉も無い。

マスゴミどもは、官邸や外務省のプロパガンダを流しているだけで、どこまでも有害でしかない。
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2020年11月13日

バイデン政権が核の先制不使用を検討も、日本反発

【安倍首相、オバマ氏「核先制不使用」に反対意向伝達 米紙報道】
 15日付の米紙ワシントン・ポストは、オバマ米大統領が核兵器を最初に使わない先制不使用宣言を検討していることについて、安倍晋三首相がハリス米太平洋軍司令官に反対の意向を伝えたと報じた。北朝鮮などへの抑止力が低下し、紛争リスクが高まる懸念があると伝達したとしている。
 米政府関係者の話として報じた。オバマ氏は広島訪問で改めて発信した「核兵器なき世界」の段階的実現に向け、核攻撃への反撃を除いて核兵器を使わない政策を検討している。核実験を禁止する国連安全保障理事会決議を採択する構想もあるという。
 ただ、先制不使用宣言は核抑止力に影響を与えるとして日本や韓国、英国、フランスなどの同盟国が反対しているほか、閣僚や外交官など政府内からも慎重論が出ているという。このため実現は不透明な情勢だ。
(2016年8月16日、日本経済新聞)

興味深い話を聞いた。バイデン氏は、今年3月、「Foreign Affairs」に投稿した論文で、オバマ政権で検討された「核先制不使用」方針の再検討に触れている。これは、2016年夏にオバマ政権でかなり本気で検討されたものの、日英韓などから強い反対を受け、当時のオバマ大統領が「任期中には間に合わないし、任期切れ直前での同盟国との関係悪化は選挙にも影響を及ぼす」として打ち切りを決断したものだった。

バイデン氏の当選が確実視される中で、日本の外交関係者はいかにして、次期政権に対して、対中強硬路線の維持と「核先制不使用」路線の放棄を求めるか、検討に入ったという。
菅首相との電話会談で、バイデン氏に尖閣への日米安保適用を言わせたことで、外務官僚たちは戦争に勝ったかのように小躍りしているが、これも「先手を打つ」一環なのだろう。

衛星国が宗主国よりタカ派であることは冷戦期ではよく見られた傾向です。東側で言えば、1968年の「プラハの春」でも、81年の「ポーランド動乱」でも、軍事介入を強く主張したのは、東独、ブルガリア、ポーランド/チェコスロヴァキアなどの同盟諸国で、ソ連は慎重姿勢をとった。プラハはチェコ側の対応が酷く、介入となったが。
西側で言えば、スエズ紛争やフォークランド紛争が挙げられる。先制使用の件で言えば、衛星国は米国の核の傘の下で安定的かつチープな安全保障環境が得られているため、それを敢えて弱体化させる選択肢を採っては欲しくないという考え方だ。この思考過程は、上記の介入に際してのものと酷似している。

日本の昭和帝政、霞ヶ関、自民党が日米安保とアメリカの核を基盤に成立しており、それが崩壊すれば、存立基盤を失って、東欧の共産党体制と同様に瓦解する公算が高いからこそ、強く反発しているのだ。
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2020年10月30日

菅首相の初外遊

【菅首相、初の外国訪問から帰国】
 総理大臣としての初めての外国訪問でベトナムとインドネシアを訪れた菅総理は、一連の外交日程を終え、21日夜、帰国しました。
 「日本は南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも反対をします。すべての当事者が、力や威圧によるのではなく、国際法に基づき、紛争の平和的解決に向けて努力することの重要性を改めて強調をいたします」(菅義偉首相)
 ベトナムとインドネシアを訪問した菅総理は21日、会見で中国の南シナ海への進出を念頭にASEAN諸国と協力し、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に取り組む考えを示しました。
 また、徴用工訴訟をめぐり、韓国側が差し押さえた日本企業の資産の現金化に向け準備を進めていることについては、“現金化されれば日韓関係に極めて深刻な状況を招く、絶対に避けなければならない”と牽制しました。
 一連の外交日程を終えた菅総理は21日午後10時ごろ、政府専用機で帰国しました。初外遊の成果については、来週26日から始まる臨時国会でも議論されることになります。
(10月22日、TBS)

結局のところ、米中どちらに行ってもカドが立つということで、東南アジアに初外遊という選択。
まぁ「決められない人間の常套手段」と言える。
とはいえ、これは安倍路線の継承であり、外務省の意向(親米)とは異なるので、そこは評価すべきだろう。
アメリカが大統領選の真っ最中で、誰も相手にしてくれないという事情も幸いしたと言える。

「対中包囲網を作る」という外務省の狙いも的中せず、インドネシアには500億円を提供しただけに終わったように見える。
対インドネシアODAは累計で6兆円に達しようとしており、すでに対中国の3.6兆円を大きく上回る。
ところが、インドネシア外交は中国と日本がBEDを続けているような有様にあり、すでに日本に勝ち目はなくなっている。

ベトナムにしても、「反中同盟」の提案に易々と乗るようなマネはしない。
ベトナム自体は歴史的に反中国であり、対モンゴル戦に象徴されるように、日本と利害が一致することは少なくないが、あちらは陸続きであり、正面から中国と敵対するリスクは日本の比ではない。
また、ベトナム経済も中国市場なくしては成り立たず、安保と経済は両にらみで行くほか無い。

まぁ結局のところ、やはり「やった感」を見せただけというところなのではなかろうか。
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2020年10月09日

菅総理の日露外交は?

【菅首相「2島引き渡し」軸に交渉 プーチン大統領と初の電話会談】
 菅義偉首相は29日夜、ロシアのプーチン大統領と初めて電話会談し、1956年の日ソ共同宣言を基礎とした平和条約締結交渉を進める方針で一致した。日本政府関係者が明らかにした。2018年11月に当時の安倍晋三首相とプーチン氏が合意した方針を再確認した形。安倍政権の路線を継承し、北方領土の色丹、歯舞の「2島引き渡し」を軸に交渉する姿勢が鮮明になった。両首脳は近く直接会談することで合意した。電話会談で首相は「日ロ関係全体を発展させたい。北方領土問題を次の世代に先送りせず、終止符を打ちたい」と表明。プーチン氏は「2国間のあらゆる問題について対話したい」と語った。
(9月29日、共同通信)

「エリカちゃん」も外務省の職員もこぞって四島返還論に回帰する中、菅総理は厳しい交渉を強いられそうだ。
古来、「外交は外交そのものよりも内交の方が難しい」と言われるように、外交は非常に難しい。

日本では、明治憲法下において外務省が天皇の外交権を代行していたことから、軍部同様に国会の統制を受けることなく、最終的には暴走、日中戦争と対米英戦に突入した。戦後、軍部は解体されるが、外務省は全ての責任を軍部に押しつける形で存続、今日に至っている。
自衛隊よりもタチが悪いのは、侵略と植民地政策に対する反省がないまま、明治体制を存続させている点にある。
そのため、今日でも最も政治統制、国会による統制、民主的統制から最もほど遠い省庁になっている。

安倍氏はそれを承知していたが故に、内閣人事局を創設することで霞が関に対する統制を強化しつつ、対露外交の主導権を奪って、官邸主導とした。
自民党史の中で、最大の権力を有したと思われる安倍氏ですら、対露外交は「対話を進めた」程度に終わり、日露平和条約も内容の交渉には及ばなかった。

菅氏は、安倍氏よりも権力基盤がはるかに弱い上、高齢のため長期政権は期待できず、外交の経験値も持たないため、日露外交は「ほぼ無理」な印象がある。
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2020年09月26日

今後の日露交渉は?

【"領土引き渡し禁止"盛り込んだロシア新憲法 大統領側近「読めば答えわかる」北方領土問題は難航必至に】
 辞意を表明した安倍首相に北方領土問題を巡り「残念ながら解決には近づかなかった」と厳しい評価を口にしたロシアの大統領側近が、「新憲法を読めば明確な答えがわかる」と、四島を日本に返還する気がないことを改めて強調しました。
 ロシアのプーチン大統領側近のペスコフ大統領報道官は9月10日、ロシアメディアに「島についての答えは非常に簡単だ。新憲法を読めば、明確な答えが分かる」と話しました。
 ロシアの通信社が行った会見で、「新しい日本の首相が任命された後、クリール諸島(北方領土と千島列島)に何が起こるか」との質問に答えました。
 ロシアで7月に成立した新しい憲法には「領土の引き渡しの禁止」が明文化されていて、ペスコフ報道官の発言は、ロシアが北方領土を返す気がないことを、改めて強調した形です。
 ペスコフ大統領報道官は9日、辞意を表明した安倍首相の対ロシア政策について「残念ながら(領土問題や平和条約締結交渉の)解決には近づかなかったと認めざるを得ない」と厳しい評価を口にしていました。
 日本側はロシアの新しい憲法に「領土の引き渡しの禁止」が盛り込まれたことについて、「領土問題を解決して平和条約を締結する基本方針のもと、引き続き粘り強く交渉に取り組んでいきたい」(茂木敏充外相、7月)としています。
(9月11日、北海道文化放送)

ロシア駐在経験者も含めて、「ロシアは憲法改正して、領土引き渡しを禁止したから、ロシアとの北方領土交渉はもう不可能」旨の認識を平気で掲げている。これは、連中がロシア語の原典に当たらず、英文の西側報道をそのまま日本語に直して流しているためだ。

現実には、憲法改正(ロシア的には修正)によって確かに「領土引き渡しの禁止」条項が入れられたものの、「国境画定作業に伴うものは除外」旨の規定も入れられている。
これを言うと、多少ロシア語が読めるものは、「7月16日にロシア外務省が『日露平和条約交渉は国境画定とは何の関係もない』と発表した」と反論してくるわけだが、これは日ソ共同宣言に記載されていない択捉と国後の日本側領土要求を指していると見るのが妥当だ。
歯舞、色丹については、「平和条約締結後の引き渡し」が国際条約に明記されており、これこそがまさに「国境画定作業に伴うもの」であるからだ。
この例外規定は、わざわざプーチン大統領が求めて加筆されたものであることを考えても、それが妥当だろう。

しかし一方で、ロシアが日ソ共同宣言を確実に遵守するとは限らないわけで、そこをキッチリ交渉するのが、日本側の手腕ということになる。
ところが、右派もリベラル派も「ロシアとはもう交渉不可能」とばかりに最初から敵視することしか考えておらず、北方領土についても日本政府のプロパガンダ(四島返還論)を相変わらず信じている。
平素二言目には「ファクトチェックガー」などと言うリベラル派も、対ロシア・対中国については原典をあたろうとしないのは、連中の二枚舌ぶりを示している。

いずれにせよ、日本が長期的に勢力を減退させ、中国との勢力比が拡大の一途を辿る中、ロシア、北朝鮮、さらに韓国とも敵対するという選択肢が「アリ」と思っている連中ばかりが増えており、自分の都合しか考えない昭和初期の軍人、政治家と同レベルの思考回路に陥りつつあることを示している。
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