2020年02月19日

習主席来日に対する延期論の拡大について

【習近平主席の国賓来日「現時点では予定通り」と茂木外相 衆院予算委】
 茂木敏充外相は17日の衆院予算委員会の集中審議で、4月上旬を軸に調整している中国の習近平国家主席の国賓来日について「現時点で予定通り行いたい」と述べた。国民民主党の岡本充功氏への答弁。茂木氏は、ドイツ南部ミュンヘンで15日に行った王毅外相との会談で、日中両国で国賓来日の準備を進めることで一致したと説明。また、新型コロナウイルスへの対応に関し「中国も感染拡大の防止に向けて懸命に努力している。一日も早い事態の収束に向けて、全力で協力していきたい」と述べた。
(2月17日、毎日新聞)

 新型肺炎の感染拡大を受け、日本国会や霞が関では四月に予定されている習近平国家主席の来日を延期するように求める意見が出ている。すでに日本国内においても感染事例が増加傾向にあり、今後さらに感染が拡大した場合、政府に再考を求める声が高まる可能性がある。
自民党の右派系議員から構成される「日本の尊厳と国益を護る会」の青山繁晴代表幹事・参議院議員らは2月14日、首相官邸を訪問、習主席の来日に反対する声明文を岡田直樹官房副長官に手交した。2002年11月に中国から広まった重症急性呼吸器症候群(SARS)は、世界保健機関(WHO)が流行の終息を宣言するまでに約八ヶ月かかった。自民党内では、4月までに新型肺炎の感染拡大が止まるとする向きは少なくない。
 野党からも否定的な声が上がりつつある。立憲民主党の福山哲郎幹事長は2月12日の記者会見で、「新型コロナウイルスの(感染拡大の)状況を注視しながら判断すべきではないか」と述べ、政府に対して慎重な対応を求めた。NK党の小池晃書記局長は同14日の記者会見で「国民の不安に応える対応が必要ではないか」と慎重論を述べている。
 日本政府内でも慎重論が強まりつつある。外務省はもともと習主席の国賓待遇による来日に反対している。これは対中強硬路線を貫く米国に対する配慮を優先すべきであるとの立場に起因しているが、国民世論や国会議員の中で慎重論が高まりつつあるのを見て、外務省内でもこれを利用して延期に持ち込もうとする勢力(主に親米派)が勢いを増しているという。また、警察は国民の中で今回の新型肺炎の感染源が中国にあることから、反中意識が高まりつつあるという認識を持っており、「このまま(日本)国内で感染が拡大すれば、さらに反中意識が高まり、事態が収束しない中で主席が来日した場合、警備に万全を期すのは難しい。そもそも国内の感染拡大防止の方が重大な課題になるはずだ」(警察関係者)との見解が広がりつつある。
 実際、日本国内では香港問題や新疆問題を理由とした反中意識が強まりつつあり、そこに中国起源の新型肺炎が日本国内でも感染拡大の気配を見せ、SNSを中心に「中国悪玉論」が拡大しつつある。親中派の中国研究者たちですら、「中国国内でも感染拡大が止まらない中、習主席が国賓扱いで来日した場合、国内の反中世論が沸騰する恐れがある」「事態を収束させてから改めて来日していただいた方が日中両国にとって良いはず」「全人代の開催すら延期になっているのだから、日程的に難しいのではないか」などの意見が多数を占めている。
 現在のところ、安倍首相を中心に首相官邸は予定通りの来日を考えている。菅官房長官は2月14日の記者会見で、「習主席の訪日は予定通り行うべく粛々と準備を進めていく考えで、日本から延期を求めることは想定していない」と述べている。自民党内でも安倍首相に近いところは、「こういうタイミングだからこそ、トップ同士で話し合うことが重要」(世耕参院幹事長)、「与党として、実現に向け最大限の努力をしていく」(山口公明党代表)など予定通りの来日を求めている。
 本稿を書いている16日現在では、「予定通りの来日」の政府方針に変わりはないが、上に述べたように日本国内で新型肺炎の感染が拡大した場合、国内世論が反中寄りに大きく傾く可能性が高く、その場合、世論を利用して来日延期を求める声が与党や政府内からも高まる恐れがある。親中派の国会議員や知日派の官僚の中にも、「できれば中国側から来日延期を申し出てくれた方が助かるのだが」という声が聞かれるほどになっている。
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2020年01月31日

対米依存さらに増す勢い

【双務性追求の努力必要 日米安保条約改定60年・河野前統合幕僚長】
 日米安全保障条約改定から19日で60年。改定は日本が一方的に米軍基地を提供する片務性を解消し、米の対日防衛義務を定めた。しかし、歴代米政権の中でもトランプ大統領は露骨に「日本は米国を守れない」と条約の不平等性を主張し、対価として米軍駐留経費の負担増を迫る。日米同盟の在り方について、自衛隊制服組トップを歴代最長の約4年半にわたり務めた河野克俊・前統合幕僚長(65)に話を聞いた。河野氏は「憲法上の制約はあるが、条約の双務性を高める努力が必要」と語った。
 河野氏は、1960年の安保条約改定時は米の対日防衛義務を定めた5条と日本が基地を提供することを規定した6条で釣り合っていたと指摘。一方で「日本は経済力と防衛力を増し、米国の国力が相対的に落ちたことで、米には条約上の不満がたまっている」と話す。
 米国に日本防衛義務を課した安保条約5条は日本の施政下におけるいずれか一方への武力攻撃に対して日米が対処すると定めている。しかし、日本が米国を防衛する義務は規定されていない。河野氏は沖縄県・尖閣諸島有事が起きた場合を例に挙げ、「自衛隊が当然、正面に立ち、安保条約5条の対日防衛義務の適用対象なので米国は支援するだろう。しかし、米国民は海兵隊の若者を送ることに納得するだろうか」とも話す。
 一方でトランプ大統領が駐留経費の負担増を求めていることには「日本は相当負担している」とも語る。根本的に米の不満を解消するには、憲法9条の制約はあるが、条約を双務性に近づける努力が必要だと強調。その例として、安全保障関連法で米国のような密接な関係にある国への攻撃により、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」に限定的な集団的自衛権行使が認められたことや、平時に米軍艦艇を守れる「米艦防護」を挙げた。
 2017年に初めて実施した米艦防護では「日本は変わった」と米側から感謝されたという。河野氏は「同盟の基本は自衛隊と米軍がリスクを共有して戦うことだ。旧安保条約は敗戦国と戦勝国の条約だったが、時代の変化とともに対等な同盟にしなければならない。これをお金の話にすると同盟としての信頼に寄与しない」とも述べた
(1月19日、時事通信)

中国が強大化し、日露交渉が不調な現在、「中露と対抗」という選択を採るならば、対米依存を深めるほかに選択肢は無い。
「日米同盟の強化」や「対等な同盟関係」というのは、あくまでも修飾語に過ぎない。
アメリカが覇権国家で、日本がその衛星国である以上、「対等な同盟」など存在し得ない。

アメリカにとって中国の強大化は、極東における覇権護持のコストとリスクが高まることを意味する。
トランプ大統領が米朝和解を進め、日本や韓国に対して負担増を要求するのは、コスト増に対する自然な対応である。
逆に日本政府としては、アメリカの極東関与(勢力圏の維持)を少しでも延長させるためには、「アメリカにとっての日本の価値」を高めるしかない。
それは、財政的支援と軍事的支援の両面で果たさざるを得ない。前者は日米貿易交渉であり、後者は中東・アフリカへの自衛隊派遣となって現れる。こうした傾向(対米貢献のさらなる深化)は、中国の強大化に伴ってさらに加速してゆくだろう。

現行の昭和帝政がアメリカの保護を前提として成立している以上、「米軍の撤退」はベルリンの壁と同様に、昭和帝政の瓦解に直結するため、日本政府は血反吐を吐いて倒れるまで、「アメリカに対する貢献」を続けようとするに違いない。

以上の点は、自民党であれ、立民・国民等の連合系野党であれ、基本方針は変わらないので、どちらにしても「アメリカとの縁の切れ目が昭和帝政の終焉」と見て間違いない。
我々は「その後」を見据えて、今度こそ明治帝政の息の根を止めるべく、努力しなければならない。



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2020年01月04日

日中の海軍力は逆転へ

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この五年間における1千トン以上の大型巡視船の生産量は、中国96隻に対し日本11隻だった。もはや日中間は太平洋戦争時の日米と同水準の国力差なっている。日本の選択肢は対米従属を強化して中国に対抗するか、あるいは対米従属を脱して中露に接近するか、の二択になりつつある。

代議制民主主義が本来の機能を発揮していれば、日本には「親米反中」「親中反米」「独立独自」の三路線を代表する政党が議会に議席を持って、議論を戦わせなければならないはずだが、ハッキリしているのは政府の「親米反中」と共産党の「独自路線」くらいなもので、後は真面目に議論する気もない感じ。ある意味では、昭和初期より危機感が無いのかもしれない。
「EUの是非」「反ロシアの是非」が議会や選挙のテーマになるヨーロッパは、今のところまだ代議制民主主義の健全性が保たれていると言えよう。方針すら決められないまま、政府=官僚の既定路線(親米反中)に引きずられてしまうところは、昭和の政治家と同レベルかもしれない。

今後日本は欧州におけるポーランドや日清・日露戦争前の朝鮮のような立ち位置に置かれることになるだろう。理論上は中立、親欧州、独自路線も存在するも、戦間期のポーランドやチェコスロヴァキアを見れば、現実政治では成立しがたいことがわかるだろう。
私の見立てでは、親米路線を継続するためには国防費を現在の2倍にする必要がある(USの要求)。独自路線の場合は国防費を3〜4倍にした上で核武装が必要になる。いずれも現在の日本経済には耐え難いだろう。

海保長官は安倍総理に問われて、「それは是非やれと言われれば初め半年や1年の間は随分暴れてご覧に入れる。然しながら、2年3年となれば全く確信は持てぬ」とでも答えているのだろうか。
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2019年11月22日

いよいよ人格破綻する日本政府

【政府、「北方領土と言わないで」 ロシアとのトラブル懸念】
 日本とロシアによる北方領土での共同経済活動のパイロット(試行)事業として10月末〜11月初旬に実施された国後、択捉両島への観光ツアーで、日本政府が委託先の旅行会社を通じ、参加者に「北方領土」という表現を現地で口にしないように注意喚起していたことが16日、分かった。政府は「4島はロシアに実効支配されており、ちょっとした言動がトラブルにつながりかねない。やむを得ない対応だ」(外務省幹部)と理解を求めている。
 関係者によると、政府は出発前に旅行会社の担当者を介し、住民との交流時には北方領土と言わずに「北方四島」と呼ぶよう参加者に協力を求めた。
(11月16日、共同通信)

おいおい、もともと「北方領土」なる用語をつくったのは政府、外務省であって、それを反ソ宣伝の材料として60年間使い続けたあげく、関連機関を創設して天下り先にしてきたのもヤクニンどもだっただろうが!

国会議事録を調べればわかるが、「北方領土」という言葉が初めて出てきたのは、1956年3月3日の衆議院外務委員会においてであり、言葉を発したのは外務省の下田武三外務省条約局長だった。

「御承知のように講和会議では、日本政府の希望するような北方領土の定義は下されませんでした。そのかわり日本政府の希望するような定義は下されませんでしたが、他のいかなる定義も下されなかったのであります。」

これは社会党の森島守人先輩が発した「政府は当初、南千島(現在の北方四島)を含めて権利放棄していたはずなのに、主張を翻して領土要求するのはいかがなものか」旨の質問に対する答弁の一環である。もちろん質問者は一言も「北方領土」などと言っていない。
この時は、この一カ所のみだったが、同年11月24日に行われた衆議院「日ソ共同宣言等特別委員会」において、下田局長は「北方領土」を連発、用語の定着を試みている。

「北方領土を日本の帰属のままに残しておいたのではソ連が桑港会議に出てこないから、そこで取りあえず日本の手から離すという意味で、日本の放棄をきめまして、そこで連合国とソ連との間で日本の北方領土の帰属をできれば一年以内にきめたいという腹が実はあったわけです。ところが、仰せの通り、ソ連が入りませんので、その目的が達成せられなかったわけです。そこで、連合国の立場といたしましては、日本が北方領土を取り返しても決して異議は申さないというのが初めからの大前提であり、むしろ連合国は日本に対する同情者の立場である。」

「北方領土」というのは、いわゆる「ダレスの恫喝」を受けた日本政府が沖縄返還を優先して、「ソ連とは今後一切交渉しない」ことを内外(特に米国)に対して宣言するために用いた方便であり、同時に日本国内の世論を反ソで統一させるための意図もあった。当時、特に北海道では漁業の操業上、「色丹、歯舞の返還で手を打って、早く漁業権を回復してくれ」との要求が根強くあり、これを抑える必要があった。

同時に、それまでは、千島、北千島、南千島などと言ってきたわけだが、「北方四島を意味する南千島という表現を使うと、千島放棄を明記したサンフランシスコ講和条約に反するので具合が悪い」と判断され、「北方領土」という造語がなされた。

日本政府は現在もなお「ロシアによって不法占拠下にある北方領土の主権を確認した後、平和条約を締結する」との主張を撤回しておらず、日露交渉が不調である原因の一つは「ロシアによる北方四島支配は歴史的根拠が無い」とのスタンスを崩していないことにある。
にもかかわらず、政府はまず口頭で「不法占拠」を使わなくなり、今度は「北方領土も使うな」と国民に要求している。その要求をするなら、まず自身の過ちを認めて、主張を撤回するところから始めなければ、主権者たる国民に対して不誠実である。
外交権はあくまでも主権者たる国民に帰するものであって、外務省は主権を代理執行しているだけで、主権の保有者ではなく、まして占有者では無い。だからこそ、政治家が行政を統括して、国民に対する説明責任を果たす必要があるわけで、これが三権分立の基本原則だった。

いかなる説明責任も果たさず、情報と意思決定を占有し、独自の判断で外交権を行使する外務省は、暴走した旧軍と全く同じであり、一日も早く解体する必要がある。

森島守人先輩が草葉の陰で泣いておられよう。先輩の『陰謀・暗殺・軍刀 - 一外交官の回想』は名著です。
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2019年11月21日

USが日本に中距離ミサイルを配備?

【中距離ミサイル沖縄配備、国防総省「現段階で計画ない」 玉城知事が直接確認も否定】
 訪米中の玉城デニー知事は18日、国務省で国防総省国防長官府筆頭部長東アジア担当のメアリー・ベス・モーガン氏と国務省日本部長代行のテッド・シーガー氏、連邦議員らと面談した。玉城知事は本紙が報じた沖縄への中距離弾道ミサイル配備計画についてモーガン氏に直接確認した。同氏は「沖縄への地上発射型の中距離ミサイルの配備は発表も計画もない」と否定したという。
 玉城知事によると、モーガン氏は沖縄への中距離ミサイル配備計画について「開発には時間がかかることが予想されるので、現段階でどこに配備するかというのは発表できない」と発言。
 これに対し、玉城知事は「過去にオスプレイの配備計画が事前に伝えられていたにもかかわらず、日本政府が県に対して通報したのは配置の1カ月前だった」と指摘し、国防総省側に「そのようなことがないよう情報の共有はしっかりと行うべきだ」と申し入れた。
 記者団に計画が伝えられた場合の対応について問われ、「政府からそのような話があった場合はしっかりと対応したい」と述べた。
 一方、辺野古新基地建設の現場でみつかった軟弱地盤や活断層の問題について、玉城知事の説明を受けた議員の数人から「(軟弱地盤や活断層の存在や、維持管理など)示された懸念について調査をしたい」との発言があったという。玉城知事は「無謀な計画を見直すべきだと説明したことをしっかりと受け止めていただいた。手応えはあった」と振り返った。
(10月19日、琉球新報)

日本国内では沖縄メディア以外報じていないし、米国内でもフリージャーナリストのレベルでしか報じていないので、私も全くスルーしてきたが、何故か中国では、「日米の高官が合意済み」みたいな報道がなされ、ちょっとした騒ぎになっている。私のところにまで問い合わせがあり、正直迷惑している。

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米国防省が中距離ミサイルの極東配備を検討しているのは確かで、アメリカによるINF条約破棄を受けて、新たな軍拡競争が遡上に上る中、特に日本と韓国への新配備が検討されているようだ。
防衛省とも意見交換はしているだろうし、報道にもあった10月18日の「会議」はそれを指している模様だが、あまりに政治的に重大な話であり、米軍と自衛隊・防衛省の話し合いで済むものではない。

もし実際に配備するとなれば、日本のどこに配備するのかという問題が生じる。沖縄紙が報じたように、仮に沖縄が配備先となる場合、沖縄県民はただではすまないだろう。そもそも、日本に配備する場合、配備箇所が限定されすぎて、現実に役に立つのか疑問もある。いくら日本国内に米軍基地が山ほどあるとは言っても、実際に配備できる箇所は限られるだろうし、本土となった場合、地元の合意が得られる可能性は非常に低く、「岩国で勝手にやってくれ」と言われるのがオチだろう。
ただでさえ不安定な沖縄の世論に油を注いで火を付けるようなものだ。

それ以上に外交上の影響は大きく、すでにロシア側が激しく反発して、プーチン大統領が極東への中距離ミサイル配備の可能性を述べたように、今でも厳しい日露交渉は完全に頓挫するだろう。また、改善の兆しが見える対中関係も急悪化するなど、外交上の影響が大きすぎて、今ひとつリアリティが感じられない。

普通に考えるなら、米中露が互いにブラフの掛け合いをして、「どこまでならOKか」の探り合いをしているようなイメージなのだが、とはいえ、現実にアメリカ政府から提案、要求された場合、日本政府は断れないだろうから、中国政府が危惧するのもわからなくはない。

しかし、現実的に考えられるのは、ミサイル競争を生じさせることで、日本と中露の関係を緊張させた上で、USが日本政府にミサイル配備を要求、日本が穏便に済ませようとしたところ、「じゃあ、自衛隊が買って配備してくれ」と持って行くパターンだ。
商売という視点で見ると、この辺が現実的なのだが、ミリオタを喜ばせるだけになりそうだ。
今後も注視していきたい。
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2019年11月20日

「思いやり予算」4倍増??

【米軍駐留経費、日本に4倍増の負担額を要求か…7月来日のボルトン氏】
 米誌フォーリン・ポリシー(電子版)は15日、米国のボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)が7月に来日した際、在日米軍駐留経費の日本負担額を現行の4倍に増やすよう求めていたと報じた。
 トランプ大統領は、日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国など同盟国が、米軍駐留経費の負担額を増やすべきだと主張している。記事によると、ボルトン氏は日本の次に訪れた韓国では、米軍駐留経費の負担額を5倍に増やすよう要求したという。
 防衛省によると、在日米軍駐留経費の日本負担額は、2019年度予算の歳出ベースで1974億円に上る。駐留経費の負担に関する日米間の特別協定の期限は21年3月末に切れる。米政府内には日本に大幅な負担増を求めることに慎重な意見もある。
(11月16日、読売新聞)

米誌の報道というだけなので、確証は無いわけだが、出所が出所なだけに無根拠と放置するのも難しい。
実際、トランプ氏は大統領選挙の公約にもしていたくらいの話で、むしろ大統領が言い出すのを周囲が止めているくらいの感覚で見ておいた方が良い。

まず予備知識として入れておくべきは、概算で在日米軍の総経費(作戦費を含む)は約8千億円で、うち2千億円を日本が「思いやり予算」として出しているものの、残りの6千億円は米国が負担している。つまり、「在日米軍駐留経費の日本負担額を現行の4倍」というのは、「在日米軍の経費は全部日本が出せ」というものであり、米側の主張には一定の合理性がある。

こう言うと、「米軍基地はアメリカの国際戦略上不可欠のものであって、日本を守るためだけにあるわけじゃないだろ」と言い出すものがいるだろうし、日本政府もそう主張するだろう。

しかし、例えばNATOはその規約で加盟国に対して「GDP比2%」を自国の軍事費に充てるよう努力義務を課しているが、これを満たしているのは数カ国に過ぎず、逆にアメリカはGDPの3〜4%を軍事費に充てている。
これに対して、アメリカ議会などでは「連中は米軍を当てにして、本来自国防衛力の充実に充てるべき経費を自国の経済力強化に使っている」などとする「安保ただ乗り論」が根強く存在する。トランプ氏は、これまで表に出て来なかった「安保ただ乗り論」を堂々と公約に掲げ、大統領選に勝利したという点でも、これまでに無い大統領なのだ。

この「GDP比2%」を日本にあてた場合、あと5兆円からの防衛費増が不可避となる。中国の強大化と日露交渉の停滞を考えて、これらに対抗すると考えた場合、「GDP比4%」でも足りないくらいだろう。
トランプ氏の視点で言えば、日本は本来自分で出すべき防衛費をケチって、在日米軍に自国防衛を依存、駐留費の4分の1を出すのみで、「大きな顔しやがって」ということになる。
事実、沖縄の在日米軍は先に中国に沖縄を攻撃させて、アメリカに自動参戦させるための「罠」でもあり、日本にとっては2千億円はおろか、たとえ8千億円を支払っても、「おつりが来る」存在なのだ。だからこそ、米側は大きな顔をして要求できるのである。

これを日本政府が拒否した場合、今度は「じゃあ、もっと自衛隊を中東とアフリカに差し出せ」と言うだけの話であり、それをも拒否すれば「じゃあ、俺らはハワイに帰るから、後は自分でやってくれ」と言うだけの話だろう。
いずれにしても、アメリカにとって懐の痛む話では無い。そもそも米中の勢力が拮抗する2030年代半ばまでには、在日米軍の撤退は不可避となるだけに、「話が早いか遅いか」でしかないからだ。

日本政府はあれこれ理屈を付けて「引き延ばし」にかかると思われるが、トランプ氏には通用しないだろう。
ヤクニンどもと親米論者の反応を楽しませてもらうとしよう。
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2019年11月08日

日露協商の目は失われた

【ロシアと中国、軍事同盟検討か】
 ロシアが中国に対し、ミサイル攻撃の早期警戒システムの構築を支援していることが判明、両国が事実上の軍事同盟締結を検討しているとの見方が強まっている。ロシアと中国を敵視する米国が中距離ミサイルのアジア配備を検討する中で、軍事協力強化を急ぐ。両国が同盟関係を結べば北東アジアで日米韓との対立が深まり、日本との関係にも影響が出るのは必至。日ロ平和条約交渉が一層難航するのは避けられない。
 中ロはこれまで「同盟関係」を否定している。しかし、中ロ関係に詳しいロシア国立高等経済学院のマスロフ教授によると、両国指導部は「軍事同盟締結」の方針を決定済みという。
(10月29日、共同通信)

中露同盟をもって日露協商の目は失われるだろう。
日本では報道されていないが、安倍首相は昨年十月の訪中時に中国側から日中協商を打診され、これを黙殺したという(香港メディア)。それ自体は「はい、わかりました」と言えるものではないが、中露同盟の成立という背景を考えれば、中国側の申し出を「無視」したことの意味は大きい。要は「ポツダム宣言の黙殺」と同様、敵対関係を選択したようなものだからだ。

ケン先生は中国に来てまだ一年ちょっとであるが、知日派中国人は概ね日本に対する理解が深く、権威主義的かつ右翼的(南京事件や東京裁判の否定など)な安倍政権に対しても好意的であると同時に、「日中連携こそが両国にとってプラスであり、敵対はマイナスでしかない」という認識を持っている。
だが、知日派以外になると、「日本何するものぞ」「しょせん前世紀の遺物」「衰退の一途を辿る旧帝国」といった意識を持つ者もおり、どうやらこうした層が少しずつ増えているようにも見える。
幸いにして、習近平政権は日本に対して比較的好意的であり、だからこそ裏で日中協商を持ちかけたものと見て良い。

これに対して、日本側は政府、政権党、世論のどのレベルで見ても、いまだに中国を下等視する向きが強い。
例えば、先の夏期休暇に際してケン先生は中国の政府関係者の依頼を受けて、自民党に交流の打診を行ったが、「全く興味ない」という身も蓋もない回答で中国側のメンツを丸潰しにしてしまった。
どこまでも愚かである。

確かに中国と直接連携するのは、日米安保の手前、まず無理なのはわかる。が、「そこはそれ」として裏で伏線を描くのが権力者の務めではないか。冷戦期のハンガリーや大戦期のイタリアを少しは見習っても良さそうなものだ。

現実に日中協商は難しいからこそ、安倍政権が始めたのが日露交渉だったわけだが、ケン先生はかねてより「時間が経つほど交渉は日本に不利になる」と主張していたが、まさにその通りになった。もともと日本は自国とアメリカの衰退もあって中露に「押し込まれる」側にあり、交渉に時間をかける余裕などなかったはずだが、歴史認識(ソ連による千島・南樺太の領有を認める)のような比較的妥協可能な要求すらのまずに強硬姿勢を貫いた結果だった。
まぁゲーム的には、アメリカの広告塔である外務省が万事について妨害する中で、「良くやった」とは言えるものの、敗北は敗北である。

今後、日本政府はさらに対米傾斜を深めていくことになるだろう。つまり、アメリカの対外戦争により積極的に参加し、貿易などの交渉もさらに妥協することになる蓋然性が高い。

【追記】
もっとも、この件について中国側は一切反応を示しておらず、「中露同盟」には触れないようにしている。報道も全くない。ロシアによるプロパガンダ的要素が強いことは確かなのだが、中国側が否定しないということは、黙認していると見て良いだろう。
posted by ケン at 12:00| Comment(4) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする