2019年09月20日

日韓関係悪化と日本の孤立の後に来るもの−妄想を超えて

今のところ根拠らしい根拠はないので、以下妄想ということで。

韓国は将来的に米日韓同盟を脱して、中露同盟側に付くという戦略方針を採っていると思われる。
そして、長期的には南北統一も視野に入れているだろう。
政権交代によって、一時的に後退することはあっても、完全に取りやめることはないと考えられる。
米朝和解と朝鮮戦争の終結をもって、在韓米軍が撤退するのは時間の問題であり、韓国としてもいつまでも冷戦の最前線を演じてやるつもりも無いだろう。

そもそも北緯38度線の冷戦によって、最大の利益を上げているのは、日本の産業界と保守政界であって、その次に軍事コストを最小限で済ませている日本国民である。その一方、韓国人は巨大なコストばかり負担させられている。
その発想が無いと、「文政権は敵に塩を送っている」などとトンチンカンな話をしてしまうことになる。
韓国人的には、「今まで自分たちが背負ってきた負担を日本人もやってみろ」と、冷戦の最前線を日本海に放り投げる格好なのだ。

とはいえ、現状では北朝鮮の従属下に置かれかねず、韓国政府は「在韓米軍なき後」の防衛力を検討せざるを得ない。そこで最も有力なのは、核武装になるだろう。
韓国が核武装すれば、北と対等の対話が可能になると同時に、日本に対しても大きな軍事的有利を得るところとなる。国際社会の同意云々はこの際、考えないでおこう。あくまで思考実験である。
仮に韓国が核開発を進めたところで、武力介入を主張するのは日本だけであろうし、その日本に対しては「ほらっやっぱり侵略主義だ」と言い返すだけで済むから問題ない。
また、韓国的には「南北統一の暁には廃棄する」と宣言すれば、クリアできるかもしれない。いかんせん「在韓米軍不在の担保」と言ってしまえば、アメリカも強くは出られないだろう。

この場合、激高するのは日本政府と日本人だろう。
日本海が冷戦の最前線となり、南北朝鮮が核武装するとなれば、在日米軍をよほど強化するか、独自の軍事力を極端に拡大するか、という話になる。
この際、日本人の伝統的思考パターンからして、「やられる前にやれ!」となりがちだ。
すると、国内の平和運動家や反核運動家、あるいはリベラリストに対し、徹底的な弾圧が加えられ、「朝鮮に対する先制攻撃」を前提とした大軍拡が進められる可能性がある。
そこまで行かない場合でも、「日本も核武装を」という話になり、世論を強制的に統合するため、やはり国内弾圧が進められる蓋然性が高い。

以上、今のところは妄想で済んでいるが、現行の明治帝政と官僚制を維持するためには、あまり他に選択肢が無いように思われる。
いかがだろうか。
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2019年08月27日

冷戦の最前線は日本海へ

【小野寺前防衛相「北や中国に間違ったメッセージ送りかねない」 韓国GSOMIA破棄】
 自民党の小野寺五典前防衛相は22日夜、韓国が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたことについて「日米韓の同盟関係が揺らいでいることを表に見せるのは、北朝鮮や中国に間違ったメッセージを送ることになりかねない」と懸念を示した。産経新聞の取材に答えた。
 小野寺氏は、日本側からの情報提供も含め、GSOMIAが北朝鮮対応に有効に機能していると強調。「日韓の防衛当局はGSOMIAの重要性を認識しているが、韓国の政治的な思惑で安全保障に影響を及ぼすのは決して好ましいことでない」と批判した。
 今後、日本側の取るべき対応に関しては「韓国側の国内政治の問題が大きい」として、推移を冷静に分析するよう求めた。
(8月22日、産経新聞)

韓国政府が軍事情報包括保護協定の延長・更新を行わないことを決定。同協定は一年おきの自動更新で、一方が終了を通告すると終了する。
これを受けて、河野外相は、韓国側の決定について「現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ない」として「断固として抗議したい」と声明を出し、韓国大使を外務省に呼び出して抗議した。

日本側の反応で興味深いのは、「まさかGSOMIAまで破棄はしないだろう」と思っていた者が非常に多いことと、河野氏の「完全に見誤った対応」や小野寺氏の「北や中国に間違ったメッセージ送りかねない」というもの。
どれも日本にとって都合の良い状況のみを想定して、想定外の事態が起きたので、他国を非難するという間抜けを演じている。
こうした反応は、インドシナに進駐しておいて「まさかアメリカが鉄と原油の禁輸に踏み切るとは思わなかった」と言ってしまう戦前期の軍人、政治家と同レベルの頭脳であることを示している。
その根幹にあるのは、「正しいのは常に自分(日本)であって、悪いのは常に韓国(中国、朝鮮、ロシアなどを含む)だ」という傲慢と増長である。同時に「半導体輸出を止めれば、韓国は屈服するだろう」という見通しが誤っていて、逆に韓国のナショナリズムを刺激して、韓国内の親日派を沈黙させてしまった。この辺は、日中戦争に至る経緯と酷似している。

韓国が日米陣営を脱して中露同盟側に走ることは、少なくとも文政権の既定路線であり、それに従って南北融和と在韓米軍の撤退に舵を切っている。そこを肯定できない日本人は「韓国人がトチ狂った」旨を言ってしまうわけだが、韓国側の判断の是非はともかく、「欧州情勢は複雑怪奇」レベルの認識では、今後の厳しい外交・安保環境を乗り切ることはできないだろう。
言うなれば、ゲームをやっていて、相手プレイヤーに対して「何バカなプレイしているんだ!」とブチ切れるプレイヤーであり、みっともないことこの上ない。

韓国側としては、中露同盟側に付く以上、日米(特に日本)と情報を共有する必要は無く、むしろ情報流出の危険性の方が高くなっている。
日本政府は、本来的には「38度線を維持しつつ、冷戦構造を保持する」ことが至上命題であったにもかかわらず、韓国側をわざわざ向こう側に追いやるような政策ばかり採ってきた。
その結果、冷戦の最前線は遠からず北緯38度線から日本海に移ることになるだろう。
この場合、日本が日米同盟路線を継続する限り、軍備拡張路線に傾かざるを得ず、今後、軍事費を肥大化させてゆくことになりそうだ。

日本側の選択肢的には、歴史問題で韓国に譲歩することで少しでも長く現状の冷戦構造を維持するか、韓国を中露側にやって日本が冷戦の最前線に立つかという、ほぼ二択だったと思われるが、日本は後者を選択したのである。
日本政府的には、別れた恋人を非難するのではなく、「俺の予想通りの展開だ!」「俺の戦いはこれからだ!(中露朝韓と真っ向勝負!)」とマッチョ宣言をすべきところではないか。
posted by ケン at 12:00| Comment(6) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月22日

日露関係はまだ終わってない?

【日ロの平和条約交渉「行き詰まっていない」 ロシア外相】
 ロシアのラブロフ外相は15日、日ロの平和条約交渉について、「行き詰まっているとは思わない」と述べた。また、「第2次大戦の結果を認めようとしない日本側の意思が条約の締結を妨げている」と話し、交渉の進展は日本側の対応次第との見方を示した。
 同日、モスクワ郊外で開かれた若者との交流イベントで話した。ラブロフ氏は、北方領土の歯舞群島と色丹島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言について、「ロシアは旧ソ連が負った全ての義務を履行する用意がある」と指摘。安倍晋三首相とプーチン大統領の指示に基づき、対話を継続する考えを示した。
(8月15日、朝日新聞)

対日強硬派の一人と目されているラブロフ外相の発言は重い。
今年に入ってから(あるいは去年から)、日露交渉は急速に進まなくなったが、それはロシアが「中露同盟の強化」を対日交渉と天秤にかけ、前者を重視した上、中露交渉が順調に進んだためだった。
普通に考えれば、北方領土の共同開発より一帯一路の方がはるかに経済規模が大きく、軍事外交的にもアメリカの衛星国である日本と平和条約を結ぶことの意義はさほど大きくは無い。せいぜい対中関係の保険程度の意味合いしか無いだろう。
ロシアにとって有利な条件を日本が提示したなら、ロシア側の対応も違っていたのだろうが、安倍政権は変に妥協しなかったからこそ、今回の日露交渉は不調に終わったとみて良い。

とはいえ、ロシアからすれば、中露同盟の強化は諸刃の剣であり、ロシアの対中依存度を高め、その交渉力を低下させることになり、長期的には好ましくない面もある。
それだけに対日カードそのものを切ることはしないだろう。その辺は狡猾とも言えるが、日本側の事情も似たようなものだ。
日本は日本で、アメリカからの要求は増えるばかり、日中格差も広がるばかり、北朝鮮からは無視され、日韓関係も悪化の一途で、東アジアでは完全に孤立、「やっぱ対米従属強化で行くしか無い」というのが霞が関の平均的共通認識になっている。
だが、恐らく安倍首相は必ずしも対米従属一本では考えていないため、日露カードを捨てることはないだろう。

ラブロフ外相の発言は初期のプーチン政権以降、ずっと主張してきたもので、真新しいところは無い。
要は北方四島のソ連による占拠を「休戦条約締結前に起こったことであり、四島は(北海道では無く)千島列島であると認めろ」ということであり、その上で「ロシアは日ソ共同宣言を遵守して、平和条約後に二島を引き渡す」というもの。
米軍基地云々の話は「ネタ」に過ぎない。例えば、色丹島に米軍基地ができるのと、知床半島に米軍基地ができるのとでは、さほどに違いはないからだ。つまり、ラブロフ氏の主張の根幹は「ロシアは安保面で妥協するから、日本は歴史認識面で妥協しろ」ということであり、そこは譲れない一線なのだろう。しかし、日本政府はそこ読み切れず(あるいは外務省が妨害して)、ロシアの提案を突っぱねてしまったのが真相のように思われる。
さはされど、プーチン氏もさすがに長期政権に飽きられつつあり、支持率低下が伺える中で、以前ほど日本に対して妥協できなくなっていることも確かだ。

一旦流れが途絶えたものを復活させるのは容易ではなく、消費増税などでレームダック化して行く可能性が高い安倍政権的には、かなり厳しいものになるだろう。
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2019年08月20日

在日米軍が撤退する日

【米軍駐留費、交渉難航か=負担増要求、反論の構え−政府】
 トランプ米政権が、同盟国に米軍駐留経費の大幅負担増を要求してくる可能性があるとして、日本政府内に警戒感が高まってきた。
 日本側は「思いやり予算」で既に十分な負担をしていると反論する構えだが、2020年度末に期限が切れる特別協定改定交渉は難航も予想される。
 岩屋毅防衛相は12日の記者会見で「現在、(駐留経費の)相当な部分を負担している。厳しい財政状況もあり、(米側の)理解をいただくべく、しっかり交渉したい」と述べた。
 問題の発端は米通信社が8日、トランプ政権が日本やドイツなどの同盟国に対し、米軍駐留の恩恵を受けている対価として経費総額に「5割を上乗せした額」を支払うよう要求することを検討していると報じたことだ。これを受け、にわかに駐留経費問題が浮上した。
 日本は1978年度以降、米軍施設で働く労働者の福利費や施設労働者の給与、光熱水費など在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を開始した。2019年度予算案では1974億円に上る。
 04年に米国防総省が発表した米軍駐留各国の経費負担割合によると、日本は74.5%で最大。韓国は40%、ドイツは32.6%だった。日本の負担割合は他に比べて高いとはいえ、「5割上乗せ」となると金額も跳ね上がる。
 思いやり予算を定める特別協定改定に向けた日米交渉は、来年からスタートする見込みだが、来年はトランプ大統領が再選を目指す大統領選が行われる。同盟国に対する駐留経費の負担増要求はトランプ氏の持論。交渉では米側が選挙を意識し、対日強硬姿勢を強める可能性もある。
(3月13日、時事通信)

【大統領の米軍駐留費負担増の要求は「途方もなく愚か」−米下院委員長】
 トランプ米大統領は米軍が駐留する国に駐留経費全額プラス5割の支払いを求める考えだとされているが、米下院軍事委員長はこの案を「途方もなく愚かなアプローチ」だと評した。
 アダム・スミス委員長(民主、ワシントン州)は13日の同委公聴会で、「米国は同盟国に対し、駐留経費全額プラス5割を支払ってほしいと本当に言うのだろうか?」と疑問を投げ掛け、「はっきり言っておくが、これが本当なら途方もなく愚かなアプローチだ」と述べた。
 政権当局者や計画について報告を受けた関係者十数人が明らかにしたところでは、ホワイトハウスの指示の下、トランプ政権はドイツと日本、最終的には米軍が展開する全ての国に対する要求案の策定を進めており、駐留経費全額に加え、米軍の駐留で恩恵を受けている対価としてプラス50%以上の支払いを求める方針だという。この「費用プラス50%」方式により、駐留経費負担として現在米国に支払っている額の5−6倍の拠出を要求される国も出てくる可能性がある。

ちょうどまさに「在日米軍が撤退する日」というテーマで中国の某紙から原稿依頼を受けていたので、絶妙なタイミングとなった。過去ログを参照しながら、再確認したい。

昨年6月12日、トランプ米合衆国大統領と、金正恩朝鮮民主主義人民共和国国務委員長は、シンガポール・セントーサにおいて歴史的な会談を行った。その記者会見においてトランプ大統領は、「戦争ゲームをやめる。膨大な量の金を節約できる」と述べ、米韓軍事演習の停止を宣言、将来的な在韓米軍の縮小、撤退の可能性にも言及した。トランプ大統領の目的は、北朝鮮の核廃棄によって自国の安全を担保しつつ、同時に東アジア全域におけるアメリカの軍事的負担を縮減することにあると考えられる。これは、冷戦期のゴルバチョフソ連共産党書記長が、財政上の理由から、東欧全域よりソ連軍を撤退させた経緯と酷似している。

米中間の敵対関係が望ましくない以上、アメリカにとってアジア諸国にある米軍の存在はリスクでしかなく、そこに重い財政負担が掛かっているのであれば、真っ先にリストラすべき対象なのだ。ビジネスライクに考えれば、なおさら妥当な判断である。その決断が、従来できなかったのは、オバマ氏やヒラリー氏のような米民主党系人脈の方が、軍産複合体と近かったことに起因していると考えられる。なお、在韓米軍は朝鮮戦争に際して介入した国連軍の一部ということで、停戦監視の名目で駐留しているだけに、朝鮮戦争の終結によって駐留の根拠が失われることになる。

極論すれば、南北朝鮮が平和裏に統一を果たすか、安定的な共存体制ができて、中国の影響圏に入って核兵器も中国のコントロール下に置かれるのであれば、実際に朝鮮半島から核兵器が撤去されるかどうかについては、米国の利害には関係ないところとなる。トランプ氏が、いわゆるCVIDにこだわらないのは、実はそこは最重要ではないと考えるのが自然なのだ。

ところが、これが日本(政府)にとっては最悪の状況となる。朝鮮戦争の終結は冷戦構造の変化を意味するもので、冷戦の最前線が北緯38度線から日本海に移ることになる。従来は、韓国を盾となして、米軍が矛となって中朝軍を撃退する戦略が採られており、日本は後方基地の役割をなすだけで良かった。そのため、韓国のような重武装を持つ必要は無く、軍事負担を軽くしたまま国内のインフラ整備と産業振興に予算を回し、高度成長の基礎を築いた。
その後、冷戦構造の変化によって、日本は1990年代より海外派兵能力を持つようになり、2000年代に入ると中国の隆盛を受けて海空戦力の強化に努めるようになった。しかし、いずれの場合も、あくまでも従来の構造を前提としており、朝鮮戦争の終結は想定していなかった。

朝鮮戦争の終結は、在韓米軍の撤退と朝鮮半島の中華圏入りに直結する。韓国は従来、北朝鮮などとの対抗上、日本に戦後補償などについて大きく譲歩してきたが、南北対立が解消した場合、中華圏入りによって日本よりもはるかに大きい市場を獲得できることもあり、日本に遠慮する必要が無くなる。一方、日本は衰退傾向の中で、中国や朝鮮に対する差別意識を一層強めており、日本と朝韓間の対立は今後さらに激化して行くものと見られる。
1980年代まで日本は有効な海軍力を持たないソ連を仮想敵とし、90年代後半から2000年代始めには北朝鮮を仮想敵国と見なし、2000年代後半以降は北朝鮮と中国を仮想敵としていた。しかし、今後、韓国が西側陣営から離脱して中国側に付いた場合、日本は中朝韓と単独で最前線を維持する必要が生じている。だからこそ、安倍政権は必死になってロシアの抱き込みを図っていると見るべきだ。

霞ヶ関と自民党は、冷戦期における東欧諸国の政府と共産党と相似形にあり、宗主国アメリカの庇護がなければ本質的に存続し得ない。彼らの統治者としての正統性は、アメリカによって担保されているに過ぎないからだ。確かに日本では形式的に選挙が行われているものの、投票率は国政選挙で5割、自治体選挙で3割という始末で議会制民主主義の実態が伴っていない。現行体制の支配の正統性の担保は在日米軍であり、その撤退はアジア冷戦構造の終焉と、衛星国日本の体制転換をもたらすだろう。だからこそ、日本政府は国際的に見て圧倒的に高い自己負担率をもって在日米軍を引き留めている。しかし、いまや在日米軍の撤退は時間の問題となっている。

その最大の理由は予算上の問題と費用対効果である。在日米軍駐留経費を見た場合、2016年度の在日米軍駐留経費は約21億ドルで、日本政府はこのうち約18億ドルを「思いやり予算」として負担、負担率は8割に上る。これは韓国の5割、ドイツの3割に比して圧倒的に高い。同時に、駐留規模そのものが大きいため、負担額そのものも大きくなっている。しかし、これはあくまでも駐留経費に過ぎず、アメリカ連邦政府は作戦経費などを含めて、在日米軍に55億ドルの予算を計上している。なお、日本政府による在日米軍経費は、「思いやり予算」を含めて7642億円を計上している(2016年)。

他方、2019年会計年度の米国の国防予算は国外作戦経費を含めて6860億ドル、連邦予算の歳出は4兆4070億ドルで国防費が占める割合は15.6%に上っている。一般的に国家予算に占める軍事費の割合は10%以下に抑えるのが妥当と言われており、20%を超えると破滅的状況とされる。しかも、財政赤字は9840億ドルに達しており、これも危険な状態にある。
1980年代後半におけるソ連の国防費の割合は約16%で(諸説ある)、その負担を減らすために軍縮と東欧諸国やアフガニスタンからの撤兵を進めたことを考えれば、同じ状況にあることが分かるだろう。

特に、アフガニスタン戦争以降、対テロ戦争を推進したことで、国防費が高止まりしていることは傾注されるべきだ。2001年に3160億ドルだった国防費は、2010年に6910億ドルをピークとし、今日に至っている。現行の対テロ戦争を推進するためには、同レベルかそれ以上の予算が必要になるが、果たして投入したコストに見合うだけの費用対効果を得られているのかと言えば、十分に検証されていないのが現状だ。高止まりしている国防費をいかに削減するかは、トランプ氏に限らずアメリカ大統領にとって最大の課題となっている。
米国内では貧困問題が深刻化しており、例えば貧困層向けの食糧配給システムである「フードスタンプ」の利用者はすでに5千万人を超えており、米国の人口のほぼ6人に1人に相当する。また、医療保険未加入者も5千万人近くいるとされている。国内で「食うや食わず」の国民が蔓延しているのに、覇権も国際貢献も支持されないのは当然だ。

在日米軍についても同様で、本来、ソ連と対峙するための前線基地として、日本を機能させてきたわけだが、いまや米国は経済も財政も中国に依存する形で成り立っており、中国と戦争するメリットは何一つ無い。それどころか、中国が米国債を一斉に売り出せば、米国債が暴落して、まともに戦費も賄えない状況に陥るだけに、デメリットしか無い。第二次世界大戦において、日本が敗北を喫した大きな理由の一つに「戦費を自国内で賄うしか無かった」というものがあることを知るべきだ。結果、巨大な軍事基地を日本に置いておくことについて、ますます説明が難しくなっている。

ここで日本の防衛費を見てみると、2018年度の防衛予算は5兆1911億円で、歳出の5.3%を占めるに過ぎない。宗主国のアメリカが、連邦予算の15%を軍事費に投入しているのに、衛星国である日本は同5%という有様であり、これではトランプ大統領に「安全保障のただ乗り」と言われても仕方ないだろう。これは、NATOにも言えることで、NATOの加盟国は少なくともGDPの2%を軍事費に投じなければならないという取り決めがあるにもかかわらず、それを満たしているのは、2013年度でアメリカ、イギリス、ギリシア、エストニアの四カ国に過ぎなかった。つまり、「対ソ・対ロ集団安全保障」と言う割に、その軍事的責務を全うしているのはごく少数で、大多数はアメリカの軍事力に依存して、自国経済を優先していることが分かる。

こうした背景を知らないと、「またトランプがとんでもないことを言い出した」という評価になってしまうが、トランプ氏は改革者として合理的発想に基づいて、あまりにも当然のことを主張しているに過ぎない。
逆に米民主党は、党内大分裂中ではあるが、相も変わらず覇権主義を唱えており、連中こそが軍産複合体の利益代弁者であることを示している。

もう一つは、軍事的視点である。米軍は、中国から先制攻撃された時に、被害を最小限に食い止めるために日本から離れ、十分で安全な距離を保つ必要性がある。これは湾岸戦争以降、アメリカ軍のドクトリンの基礎となっている。敵の第一撃を交わした後、圧倒的な空軍力で航空優勢を確保、その後に陸上兵力を投入するという発想だ。
日本で言えば、1993年の細川内閣の頃からアメリカ側の要請もあって「常時駐留なき日米安保」が議論されてきたが、話題に上るたびに潰されてきた経緯がある。2006年の米軍再編協議の中で、沖縄の米軍海兵隊はその大半を2014年までにグアム島に移転することで合意されたが、その後遅々として進んでいない。これは、中国からの第一撃を受ける可能性がある場所に基地を置くべきではないという、米軍のドクトリンに基づいた合理的判断だったはずだが、政治的判断が優先されて先送りにされている。しかし、その間に中国の海空軍力はますます強化されており、沖縄に基地を置くことで米軍人とその家族を危険にさらす状態になっている。今後、中国の空軍力がさらに強化されれば、沖縄に基地を置いておくことは、軍事的にはなおのこと望ましくない。

また、台湾に親中政権が成立して、中台統合が実現、人民解放軍が台湾に進駐した場合、「東シナ海のシーレーンを守る」という日米の政治的目的も達成不可能になり、台湾の航空基地から直接攻撃を受ける危険も出てくるだろう。この場合は、在日米軍基地そのものが「日本を守る」という政治目的以外の意味を失ってしまうことになる。しかし、米軍はあくまでもアメリカの安全保障に貢献するために存在するもので、アメリカがハワイやグアムを危険にさらしてまでリスクを取るメリットは無いだろう。
「日米安保はもっと強固だろう」という反論はあるかもしれない。だが、F-22を日本に売ろうとした米政府の企図を連邦議会が止めたのは、「中国に技術が流れてしまうリスクがある」という理由からだったことを考えれば、過大視すべきではない。

2月末に行われた米朝首脳ハノイ会談については、日本では「交渉決裂」と報道されているが、米朝交渉の枠組みは存続しており、悲観的に見る必要は無いと考える。米ソ冷戦の終結についても、1986年のレイキャビク会談においてソ連のゴルバチョフ共産党書記長とアメリカのレーガン大統領が会見して「決裂」したものの、1989年のマルタ会談で「冷戦終結」が宣言されている。
一つの会談の結果に囚われすぎることなく、「アメリカ覇権の衰退」「グローバリズムの終焉と地域ブロック化」「日本の衰退と孤立」などの大きい視点から俯瞰しないと、全体像を見失うことになるだろう。

【追記、参考、8月21日】
 米国が南シナ海や東シナ海で中国と軍事衝突した場合に米軍が米領グアムまで一時移動し、沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ軍事戦略上の海上ライン「第1列島線」の防衛を同盟国の日本などに委ねる案が検討されていることが15日分かった。昨年7月に陸上幕僚長を退職した岩田清文氏がワシントンのシンポジウムで明らかにした。
 米軍を中国近海に寄せ付けない中国の「接近拒否戦略」に対応するためで、中国が開発した「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風21D」による空母撃沈を避ける狙いがある。実際にこの案が採用されれば、自衛隊の役割拡大が求められるのは確実だ。
(2017.9.16、共同通信)
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2019年07月05日

一生懸命日米安保の価値を称揚する喜劇

【防衛相、日米安保は片務的でない トランプ米大統領発言で】
 岩屋毅防衛相は2日の記者会見で、日米安全保障条約を「片務的」「不公平な合意」としたトランプ米大統領の指摘は当たらないとの認識を示した。日本は基地を提供していることを踏まえ「両国の義務は同一ではないが、全体として見れば双方の義務のバランスは取れている」と述べた。
 日本による在日米軍駐留経費負担について「米国の同盟国の中では、最も高い割合で負担している」とも語った。
 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画を巡る防衛省調査で不手際が相次いでいる問題を巡り、岩屋氏は配備候補地がある山口県の村岡嗣政知事らと県庁で3日に会談する予定。
(7月2日、共同通信)

政府としては特に対応しないと言いながらも、気になって仕方が無いご様子。
喩えるなら、ソ連軍の撤退を打診された東独のような状態なのだろう。
自民党と霞が関の権力基盤はアメリカにあり、その物理的担保として在日米軍が駐留しているためだ。
ソ連の支援を失った東欧諸国が体制を崩壊させたのと同様、アメリカの支援を失った日本の戦後体制は東欧圏ほど劇的ではないにせよ、瓦解すると見て良い。

政府関係者は日米安保を「日米同盟」と言い換えることによって、その片務性を補ってきた。
日米安保は、もともとアメリカを宗主国とする西側陣営が、極東地域において中ソを封じ込めるためのシステムとして成立した。
アメリカは日本、韓国、台湾を極東の防波堤と見なし、日本に親米政権を樹立して、中ソ封じ込めのための軍事力と親米政権を守護する武力の二重の意味で、在日米軍基地が設置された。これは今となっては理解が難しいが、例えば昭和帝などは自国軍に対する圧倒的不信と武装蜂起を狙う共産党などに対する抑えとして、米軍の駐留を懇願している。
また、日本政府としては在日米軍があることによって、軍事費の支出を抑えられ、国内のインフラや社会保障の整備に回すことができ、高度経済成長の要因にも繋がった。

ところが、1990年代に冷戦体制が瓦解すると、「中ソを抑える」「極左勢力対策」としての在日米軍の価値が急低下した。そのため、日本政府は自衛隊を海外派兵してPKO活動などに従事させることにより、極東地域外における米軍の活動を支援する方策を模索し始めた。いわゆる「思いやり予算」が現在の形になったのは1990年前後のことだった。これらは「日米同盟のコストが上昇した」ことに対する日本政府の対応とみて良い。

今日では、アジア地域における中国の覇権確立は避けられない情勢にあり、アメリカとしてはいつまでも「封じ込め戦略」を続けることは難しくなっている。朝鮮半島の和解と在韓米軍の撤退は、さらに拍車を掛けるだろう。
日本にとっては、「沖縄に在日米軍基地があれば、万が一中国がミサイル攻撃してきた場合でも、アメリカが自動参戦する」メリットがある。これに対し、米国大統領としては中国のミサイル攻撃を受けるような場所に、米軍基地や米兵の家族を住まわせておくこと自体が「非人道的」ということになる。技術革新が進んだ現在、最前線に大規模な米軍を駐留させておく必要は非常に低下しており、デメリットばかりが大きくなっている。

まして米国内では、オフショア・バランシング戦略のように「地域の安全保障は地域の当事者間で担わせ、アメリカはあくまでアドバイザー的役割に徹する」考えが強まっている。つまり、アメリカが主体、日本が従属国として、「中露を封じる」戦略など完全に時代遅れのものとなっている。
この辺のアメリカ側の意図が読み取れない、または故意に無視しようとしているため、日本側の対応は完全に喜劇となってしまっているのである。
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2019年07月02日

【補足】トランプ氏が日米安保破棄の意向?

6月26日の記事「トランプ氏が日米安保破棄の意向?」の補足。
オリジナルの英文記事には、日本語に直されなかった部分が少しある。
その一つがこれだ。
James Carafano, vice president of foreign and defense policy studies at the Heritage Foundation, said he doubts the U.S. will withdraw from the treaty with Japan.

“There’s nothing that says we have to abide by treaties for all eternity,” Carafano said. “I just doubt we will revisit U.S. policy on the U.S.-Japan strategic alliance,” which he also referred to as the “cornerstone” of U.S. foreign policy in Asia.
"Trump Muses Privately About Ending Postwar Japan Defense Pact"(Bloomberg, 2019.06.25)

要するにヘリテージ財団のカラファノ外務・防衛政策担当副理事長は、アメリカが日米安保を破棄する可能性を指摘、「永遠に続く同盟など無い」として、米国の外交政策の基礎をなしている日米同盟についても再検討する時期に来ていると述べている。

同報道後、トランプ大統領は「破棄」とは言わないまでも、「日米同盟」の見直し=根本的修正に堂々と触れるようになった。恐らく、「破棄」とさえ言わなければ、「根本的見直し」程度ならOKと判断したのだろう。
実際、大統領が指摘する「日米同盟の片務性」に対して、日本側は「アメリカに基地を提供している」「思いやり予算を出している」程度の返答を出すに止まっており、トランプ氏の問題提起に対してゼロ回答のまま、「日米同盟は強固である」という空疎な「宣言」を出すだけに終わっている。

こうした日本側の対応は、1945年7月のポツダム宣言に対する「黙殺」と同じ効果しか生まない。
宗主国であるアメリカ側が問題提起を行っているのに、衛星国である日本が「外交問題は存在しない」と突っぱねてしまっては、軋轢が深まるばかりだ。恐らくは、トランプ氏は日本側の反応を見越した上で、「カード」を突きつけているのであって、日本側は術中にはまってしまっている。とはいえ、憲法9条がある状態で、「アメリカの対外戦争に全面協力します」とも言えず、現実の選択肢は非常に少ない。

日本としては、憲法9条を破棄してアメリカと攻守同盟(正規の軍事同盟)を締結するか、対米従属を止めて、中露日などで東アジアにおける新たな安全保障体制を構築するか、選択が迫られているわけだが、現状の自民党と外務省にはハードルが高すぎる話になっている。
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2019年06月26日

トランプ氏が日米安保破棄の意向?

【トランプ大統領、日米安保破棄の考え側近に漏らしていた−関係者】
 トランプ米大統領が最近、日本との安全保障条約を破棄する可能性についての考えを側近に漏らしていたことが分かった。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。トランプ大統領は日米安保条約が米国にとって不公平だと考えている。
 関係者によれば、トランプ氏は同条約について、日本が攻撃されれば米国が援助することを約束しているが、米国が攻撃された場合に日本の自衛隊が支援することは義務付けられていないことから、あまりにも一方的だと感じている。旧条約から数えて60年余り前に調印された安保条約は、第二次世界大戦後の日米同盟の基盤となっている。大統領は条約破棄に向けて実際に措置を取ったわけではなく、政権当局者らもそのような動きは極めてありそうもないことだと話している。トランプ氏の個人的な会話の内容だとして関係者らはいずれも匿名を条件に語った。万が一条約破棄となればアジア太平洋地域の安全保障に役立ってきた日米同盟を危うくする。日本が中国および北朝鮮からの脅威に対して防衛するため別の方法を見つける必要が生じ、新たな核軍備競争につながるリスクもある。
 日本の外務省に安保条約を巡るトランプ大統領の考えについて電子メールで問い合わせたが現時点で返答はない。関係者によれば、トランプ大統領は沖縄の米軍基地を移転させる日本の取り組みについて、土地の収奪だと考えており、米軍移転について金銭的補償を求める考えにも言及したという。また、トランプ氏が日米条約に注目したことは、世界の他の国々との条約においても米国の義務を見直そうという広範な検討の端緒である可能性もあると関係者2人が述べている。
 ホワイトハウスの報道担当者は24日夜、コメントを控えた。大統領はかつて個人的な会話で、日米条約の下での米国の義務を認識していると述べたことがあるが、同時に、他の条約についての立場と同様、より互恵的な関係を望んでいる。大統領が米議会の承認なしにいったん批准された条約を破棄できるかどうか、米国の法律では決着していない。トランプ大統領は5月の訪日時に、横須賀基地で米海軍の強襲揚陸艦「ワスプ」に乗船、乗組員らを前に、「米日の同盟はかつてないほど強固だ」と述べた。同基地について「米海軍の艦隊と同盟国の艦隊が共に司令部を置く世界で唯一の港だ。鉄壁の日米協力関係の証(あか)しだ」と語っていた。
(6月25日、ブルームバーグ)

本ブログの読者なら特に驚くに値しない話だとは思うのだが、中国でも国際関係や安全保障の専門家などに、「日米同盟は遠からず(恐らくこの20年内に)廃棄される、それも米国側からの提案で」と述べているのだが、なかなか本気で受け取ってくれない。
そもそも永遠に続く同盟や従属関係などは存在せず、ある同盟研究の泰斗によれば、歴史的に軍事同盟の平均維持年数はわずか7年に過ぎないという。70年近く続いてしまった日米安保こそ例外中の例外ではあるのだが、それも永遠では無い。
おかげで私が書いた「在日米軍が撤退する日」も、いつまで経っても中国紙に掲載されず、塩漬けされたままになっている。もう我慢できないので、近々若干改変してブログにアップするつもりだ。

専門家というのは、現状を過大評価する傾向が強い。特に技術や軍事部門ではその傾向が強く、例えば戦車勃興期の騎兵科や、空母勃興期の砲術科などは非常に象徴的だ。機関銃ですら、発明当初はイギリスやアメリカでは恐ろしく不評だった。
ソ連の瓦解を最初に予言したのは、ソヴィエト研究者ではなく、歴史学者・人口学者のエマニュエル・トッドだったし、ゴルバチョフが書記長に選ばれるなど、専門家ほど全く予想外だった。

日米関係でいえば、専門家であるほど「日米同盟」のメリットを高く評価し、デメリットを低く評価する傾向が強く、同時に「日米関係以外」の要素を軽んじる傾向がある。
それを否定するために書いたのが「同盟のジレンマと非対称性」(2014年05月29日)だった。
中国脅威論が強まり、アジアでの孤立が深まるほど、日本政府や自民党内で「見捨てられ」の懸念が強まり、「同盟強化」と「国際(実際は対米)貢献」が声高に叫ばれるようになる。ところが、日本が防衛力を強化し、軍事同盟を強化して、海外派兵の兵力や頻度を上げるほど、アジアの緊張が高まってゆく構図に陥っている。だが、アメリカにしてみれば、中国はいまや敵対者ではなく米国債の最大の引き受け手、つまり最大のスポンサーになってしまっており、日中間で緊張が高まれば高まるほど、アメリカにとっての日米同盟の価値が下がる(同盟コスト・リスクが上がる)状態になっている。

東アジア全般的には、中国を盟主とする非対称的同盟の波が広がっている。例えば明示的な同盟関係にはないものの、韓国はすでに米国の勢力圏を脱して自ら中華圏に加わりつつあるが、シュウェラーの言うところの「未来が保証される強国に従う」が適用されるかもしれない。韓国の場合、北朝鮮の暴発を防ぎつつ、日本の軍事大国化に対処せねばならない状態にある上、開発独裁やIMF改革に伴う国内矛盾が頂点に達しつつあり、いまや「遠いアメリカよりも近くの中国」とばかりに中国への従属を強めている。また、東南アジアや中央アジア諸国では「近隣諸国の動向に伴うドミノ効果」で中国の影響圏が拡大しつつある。

4月に米国のオバマ大統領が来日した際には、離日後に韓国、フィリピン、マレーシアと歴訪したものの、このことはアメリカがすでに「面」ではなく「点と線」でしか中国を封じられなくなっていることを示している。同盟国が少なくなれば、残された同盟国に対する(非対称的)要求が増えるのが道理であり、米国で「日米同盟を維持するからには、日本には相応の(増加分)コストを支払ってもらおう」という声が強まるのは必然だった。
但し、他方でアメリカの中には「東シナ海の無人島をめぐる日中紛争に巻き込まれるのはバカバカしい」という意見も浸透しており、「日米同盟のコスト(リスク)が上がりすぎて管理が難しくなっているが、かと言って日本を見捨てればドミノ現象で中華圏に入るか、独自路線で危ない橋を渡りかねない」と同盟自体を厄介視する向きが出ていることも確かだ。

また、トランプ氏が大統領選に勝利する以前、日本では大半の論者がクリントンの勝利を予想していた。しかし、ケン先生はトランプ氏の選出を予想していた。
自称有識者たちは大騒ぎしているが、アメリカ人なら普通トランプ氏かサンダース氏を選ぶだろう。ヒラリー氏の主張は、ソ連共産党におけるゴルバチョフらに対する保守派の批判にそっくりだ。ソ連研究者たちは笑いが止まらないに違いない。
(中略)
日本で「知米派」と目されるジャーナリストや学者がこぞってトランプ氏を非難しているが、これはトランプ氏が大統領になった場合、在日米軍が撤退し、日米安保体制が大幅に変更される可能性があるためだと思われる。
つまり、日本を支配する「安保マフィア」たちからすれば、トランプ氏やサンダース氏は自分たちの傀儡的地位を脅かす「悪魔」でしかない。安倍氏をホーネッカーに喩えれば、トランプ氏はゴルバチョフに相当するだけに、外務省を始めとする霞ヶ関にとっては悪夢なのだ。
ヤンキーならトランプ選びマス」(2016年3月24日)

実のところ専門家の予想ほど当てにならないものはなく、この点、アカデミズムとはつまらないところではある。

現状では、大統領の意向を周囲の者が必死に戒めている様子が窺える。これは、再選を狙うトランプ氏にとっては無視できないものなので、次の大統領選までは表面化することはないだろう。
だが、ト氏が来年の大統領選に再選した場合、周囲に遠慮する必要がなくなるため、「日米安保解体」を本気で進めてくる可能性がある。
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