2017年06月03日

三十年戦争で甲越戦争を妄想する

今回「三十年戦争」をプレイして改めて思ったのは、このシステムこそが日本の戦国期の戦争をシミュレートするに相応しいのではないか、ということである。そして、ゲームにしやすそうなのは、「川中島の戦い」に象徴される甲越戦争であろう。

繰り返しになるが、「三十年戦争」の最大の特徴は、毎ターン軍を維持するのに金がかかるだけでなく、その資金は外国からの援助を得るためにカードをプレイする必要があり、そして未払いの部隊は勝手に掠奪を始めたり解散してしまったりする。さらに、移動に際しては部隊規模に応じて進撃途上で掠奪していくことがルール化されており、すでに掠奪されている土地ではさらなる掠奪や募兵ができないというシステムになっていて、非常に中世の殺伐とした雰囲気が再現されている点にある。

近年の研究を読む限り、戦国期の出兵は農閑期に行われるほか、夏の麦や秋の稲の収穫期に他国に侵攻して苅田を行うケースが非常に多かったことが判明している。同時に、時季外れに「青田刈り」を行うことで他国の収穫を妨害することも行っていた。ところが、従来のゲームデザインには殆どこうした史的研究が反映されておらず、「シミュレーション」というよりは、「仮想ゲーム」に近いものになってしまっている。
戦国期の戦争が、季節の影響を受けにくくなるのは、織田信長や豊臣秀吉が兵站システムを充実させるようになってからのことで、つまり戦国最末期のことだった。

かと言って、「武田軍はターン終了時に甲府に再配置」では、それはそれで現実味が無く、面白くも無い。すると、「武田軍は甲斐国内では自動支払いを受けるが、国外では軍費を払うか、掠奪ダイスを振らなければならない」とする方が、より史実に近い形にできるだろう。

また、従来のゲームでは、どちらか一方が敵を一方的に叩く感じの戦闘システムが多かったが、これも「三十年戦争」同様にファイアーパワー・システムを採用することで、双方が相応の損害を受けることにすれば、勝ち続ける限り、一方が他方を一方的に攻撃し続けるパターンがなくなり、史実同様の長期化が再現される。史実では、武田晴信による信濃攻略は、1542年の諏訪侵攻から同57年の信濃守護職補任まで15年もかけている。

構想としては、1542年の武田氏による諏訪侵攻から同64年の第五次川中島合戦(史実では対峙しただけ)まで、1ターン=2年で11ターン、あるいは12ターンくらいの構成になるだろうか。
勝利条件は、武田方は一定の条件を満たした上で信濃守護職補任されること、反武田連合はそれを阻止すること。

武田方は、黒川金山の収入等で強化された精兵を率いて諏訪に侵攻。これに伊奈の高遠頼継が呼応する。対する反武田方は、諏訪の諏訪頼重、長窪(小県)の大井貞隆、佐久の笠原清繁が個別に蜂起する構図。

戦略カードは「序盤戦」と「全面戦争」の2つのデッキ。
反武田の序盤戦デッキには、「村上氏参戦」と「小笠原氏参戦」があり、二者の参戦をもって武田方と対等になる。村上義清の戦術値は高めに設定する必要があろう。
金山と甲駿貿易による豊富な資金に裏付けられ、家臣団の団結の強い武田方と、国人衆の支持と高い戦術性を有しながら、連合軍ゆえの指揮統制の弱さのある反武田方の対立。
武田方は、埴科ないし更級を支配した上で、一定のVPを有すると信濃守護職を申請できるようになるが、朝廷工作も必要。
問題は、「長尾氏参戦」のタイミング、長尾氏参戦後の「全面戦争」の構図、関東情勢をどう処理するかがカギだ。

妄想ばかり広がるが・・・・・・
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2017年06月02日

Thirty Years Warでカトリック万歳

T後輩にGMT「Thirty Years War」をインストール。
何と言っても来年は「三十年戦争開戦400周年」であるし、大西先生の『乙女戦争』8巻刊行記念でもある。まぁフス戦争や三十年戦争に熱を上げている日本人が果たして何人いるのか心許ないのは確かだが。

一応作品のおさらいをしておこう。
本作は、ドイツ三十年戦争をテーマとし、1618年のボヘミア反乱から同48年のウェストファリア条約締結までを再現する(ゲーム的には1620年より)。プレイヤーは、カトリック派とプロテスタント派に分かれて、それぞれの派に属する複数の国家や諸侯の軍を指揮して、自派の勝利を目指す。
マップはドイツ全域、オーストリア帝国の一部、オランダからフランスの一部までを含む。
本作が最も興味深いのは、毎ターン軍を維持するのに金がかかるだけでなく、その資金は外国からの援助に依拠、未払いの部隊は勝手に掠奪を始めたり解散してしまったりする。さらに、移動に際しては部隊規模に応じて進撃途上で掠奪していくことがルール化されており、すでに掠奪されている土地ではさらなる掠奪や募兵ができないというシステムになっていて、非常に中世の殺伐とした雰囲気が再現されている。

プレイに先立って後輩に「どっちをやる?」と聞いたところ、「どっちが難しいですか?」と返してきた。史実は、本ゲームで言うところの「ゲーム終了時点でプロテスタント勝利」に終わっているが、実際には1620年にカトリックとプロテスタントの両軍が先端を開いてから、プロテスタント側は負けに負け続け、最初に戦場で勝利を得たのは1631年のことだった。つまり、全15ターンのうち(1ターン=2年)、プロテスタント側は前半部はひたすら押し込まれることを覚悟する必要があり、下手すると押し切られてしまう恐れがある。カトリック側は当初、装備も指揮官も圧倒的に優位に立っており、プロテスタントを圧倒すれば良いが、これに対してプロテスタント側は戦力や指揮官を維持しつつ、「どこまでカトリックの攻勢(暴虐)を耐えて我慢するか」を見極める必要がある。つまり、プロテスタント側は「戦争マネージメント」が難しい。
などと説明したにもかかわらず、後輩はプロテスタントを選択。私は、購入から10年以上を経て初めてカトリックを持つところとなった。

この日は11時過ぎから始めて21時近くまでプレイし、1回目は14ターン、2回目は7ターンまで終えた。一人は初心者であることを考慮しても、この規模のゲームながら良好なプレイ・アビリティである。

1回目は、プロテスタント側が「リシュリュー卿、フランス宰相に就任」を作戦カードに使ってしまい、フランスからの資金援助が滞った上、スウェーデン参戦の前提条件が満たせなくなってしまった。通常の流れであれば、「序盤戦」のカードはもともと12枚しか無いので、一度見送っても3ターン目か4ターン目には手元に戻る計算なのだが、カトリック側が順調に「オランダ攻略」「選帝侯位をバイエルン侯に移行」「回復令」を進めた結果、あっという間に30VPを確保して「介入期」カードが加えられ、「リシュリュー卿」が遠ざかってしまった。とはいえ、カトリック側もサドンデス勝利(50VP)を目指せるほど圧倒的では無く、ティリーは早々に死んでしまったものの、インファンテ卿率いるスペイン軍が猛威を振るい、40VPを維持するのが関の山だった。スウェーデン参戦は13ターンになってしまい、帝国軍(神聖ローマ、オーストリア帝国)はヴァレンシュタインを始め健在であり、「15ターン終了時に30VP以上」というカトリック側の勝利は堅いものと判断されるに至った。むしろ、スウェーデン軍無しでよくここまで持ったという評価が正しいかもしれない。

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下プファルツ=ロートリンゲンを暴れ回るスペイン軍。5ユニットで20火力とか「何言っちゃってるの?」みたいに強い。

二回目、プロテスタントは最初から「ガンガンいこうぜ」を選択、バイエルン軍に襲いかかって消耗戦を強いる。確かにバイエルン軍は消耗してしまい、数ターンにわたってボヘミアもプファルツもプロテスタント側が維持し続けたものの、その代償としてプロテスタント側は指揮官が次々と死亡、対するティリーは健在だった。結果、5ターンまで20VP台が維持されたものの、6ターンにはカトリック側の大攻勢によってプロテスタント側の補給源が全て抑えられ、プロテスタント側は軍に支払いが行えなくなり、勝手に解散し始め、そこをカトリック軍が襲いかかり、ほぼ壊滅。7ターンにはハンブルグを包囲しているデンマーク軍を残すのみとなり、無人のドイツをカトリック軍が蹂躙、全選帝侯を抑え、回復令を発し、50VPを突破して、サドンデス勝利に終わった。

本作はとにかく「終わらないゲーム」で、20VP後半から30VP前半をひたすら行き来するイメージだっただけに、まさかサドンデスになるとは自分でも想像できなかった。つーか、せっかく史実を説明したのに、何で一枚看板のマンスフェルトで戦うかなぁ。プロテスタントは「スウェーデン軍が来るまでどうやってお茶を濁すか」がカギなのに。さらに言えば、グスタフ=アドルフとティリーまたはワレンシュタインを相打ちにして、フランス軍でVPを回収するというのが、プロテスタント軍の「定石」だと思うのだが。
ちなみに二回ともまともに戦っていたのは、バイエルン軍とスペイン軍だけで、特にスペイン軍の最強ぶりが際立ったプレイとなった。「スペイン最強」なんてゲームは、本作以外に知らない。

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ペンペン草一本生えない中欧の図。

結論、まだまだ教育が足りないようだ。
仮想世界のこととはいえ、中高大と10年もお世話になったカトリック教会に恩返しできたと思うことにしたい。
なお、後輩氏に「プロテスタント軍のマーカーはなぜ鶏なんですか?」と問われ、分からなかったので後から調べたところ、どうやら主イエスに「今夜あなたは、鶏が鳴く前に三度わたしを知らないと言うだろう」と言われた使徒ペトロの故事に由来するらしい。深い。
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2017年05月27日

GMT Stalin’s War

これも興味ありながら塩漬けにしてしまっていた作品の1つ。「パスグロ」のテッド・レイサー先生による二次大戦東部戦線キャンペーン。
問題は、「パスグロ」などのカードドリブンと従来型ヘクスの混合デザインということで、いかにも「足して二で割った」観があり、ついつい先送りしてしまっていた。実際、ルールを読み始めても先入観に対する確信が深まるばかりだったのだが、今回ソロプレイしてみた限り、「意外とイケるかも?」と評価を変えざるを得なかった。

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マップも、高齢ゲーマー向けなのか、表の類いが妙に大きく、それ対して実際にプレイするマップは相対的にかなり小さい。にもかかわらず、ドイツ本国から西はウラル山脈、南はバクーまで地図が広がっており、「これ実際に使うのマップの半分くらいじゃね?大丈夫かよ?」との印象は否めない。

従来のカードドリブン式の場合、作戦値が割り振られなかったユニットは、ゲーム中一回も動かないようなケースが続出し、激しく動くところと放置されるところの二極分化がハンパ無かった。これに対し、本作では、攻撃やZOC離脱の際に作戦値が必要となる以外、基本的に移動と防御はできるため、無視されるユニットはいなくなった。また、ドイツの装甲軍団は「突破」に成功すると、ソ連軍ZOCを無視して3ヘクスも走ってくるため、そこかしこで包囲ができる。ただ、ファイアーパワー・システムで互いにダメージを入れてくるため、ドイツ軍戦車もどんどんダメージが蓄積してゆく。ダメージが溜まると、回復が追いつかず、火力も減少してくるので、ソ連軍が盛り返してくる・・・・・・はずなのだが・・・・・・

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ルールを確認しながら42年冬(初冬)までプレイ。ドイツ軍は、装甲兵力を温存気味にした結果、秋ターンでもスモレンスクはおろかリガすら落とせず、南部もドニエプル川の手前までしか進めず、「42年冬終了時にパウルス・ラインの東側に枢軸軍が1ユニットもいない」というソ連軍のサドンデス勝利が目前に来ていた。やはり、攻撃するたびに戦車にダメージが入るドイツ軍というのは、なかなか厳しいものがある。だが、サドンデス敗北を避けるために、冬のペナルティを無視して全面攻勢に転じたところ、独軍の装甲はボロボロになってしまったものの、ソ連軍のLCU(方面軍)は北方を除いて壊滅、ロストフからツーラにかけてソ連軍の戦線はスッカラカンになってしまった。モスクワには1個軍(SCU)とスターリンが置かれているのみだったが、独軍は「タイフーン」カードを作戦値に使ってしまい、モスクワ・ヘクスを攻撃できないという有様に終わった。

確かに従来のヘクス・ゲームは両軍が交互にプレイするので予測が立てやすかったが、カードドリブンなので、作戦かイベントか補充か何をしてくるか分からず、攻撃箇所にも作戦値の制限があると同時に、突破効果が非常に大きいため、非常にバラツキが大きく、予測の立てにくいシステムになっている。
確かにゲームとしては大味なものの、面白そうではあるのだが、「タイフーンを発動しないとモスクワが攻撃できない」(イベントが発動するだけで、そのカードで作戦はできない)とか一体何をシミュレートしているのか微妙だろう。
「Barbarossa to Berlin」はマップが広すぎて全体像をつかみづらかっただけに、この折衷案と言える作品は、良くも悪くもプレイ・アビリティが向上しているものの、その代償として突然破断界を迎えるような振れ幅の大きさが生じているような気がする。
何はともあれ、まずは対戦相手を確保しよう。
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2017年05月20日

信長最大の好機?

またもマスターのドタキャンと欠席者続出によりRPG会が流れ、急遽3人で「信長最大の危機」(GJ)をプレイすることに。「信長の忍び」アニメ化記念でもある。
(ゲーマーとして)リハビリ途上にあるT後輩を「教育」するとして、織田を持ってもらい、O先輩が浅井・朝倉と武田・上杉を、ケン先生が本願寺、反織田中小、毛利を持った。

序盤、織田のチットの出具合も行軍ダイスも順調で、ゆるゆると金ヶ崎から撤退した後、六角氏を一撃で屠り、返す刀で浅井領の横山まで進撃、横山城も一撃で陥落させた。
ただ、反織田方も順調で、三好勢が石山に入り、替わって雑賀・本願寺勢が信貴山、大和郡山城を強襲、それぞれ一撃で落とし、松永久秀と筒井順慶を血祭りに上げた。

信長はさらに兵を進め、浅井氏の本城小谷を包囲、強襲するが、これも一撃で陥落。考えられる限り、最速で「宿題」を片付け、近江兵を配下に入れた。
本願寺も負けじと勝竜寺城に兵を進め、これも一撃で陥落、京の手前まで迫った。
織田方は、朝倉との決戦を諦めて、京に引き返し、本願寺が動く前に野戦に持ち込み、一方的に叩いた上、雑賀孫一まで討ち取ってしまう。ケン先生的には、「雑賀率いる2万4千の本願寺(12ユニット)が一撃で全滅?」というコンスコン司令官のキモチだった。

こうなってしまうと、反織田方は何もできることがなくなってしまい、朝倉は越前に引き上げてゲリラ戦の構えを示し、本願寺は石山に立て籠もるほかない。武田が参戦するも、「聞いてた話と全然違うじゃねぇか」という感じだ。
武田は、順調に掛川城と二股城を落とし、長篠を調略して、浜松に迫る。

織田勢は、今度は東海道を走って伊勢長島を強襲、ここでも一撃で4ユニットの本願寺勢を除去して陥落させた。凄まじいダイスである。
武田としては、さすがに打つ手が無く、「毛利が出てくるまでお茶を濁すしかないか」と考えていたところ、いきなり信玄が死亡してしまう(毎ターン終了時に2D振って3以下で死亡)。武田方がパラライズしている間に、織田軍が走ってきて二股で野戦となり、第一ラウンドは勝頼が主導権をとって一方的に織田を攻撃するも、ダイスが振るわず、二ラウンド目で織田が主導権をとって武田軍を壊滅させてしまった。鎧袖一触である。

毛利が出陣するまでまだ3ターンもあり、反織田方は投了。先輩の面目丸つぶれであるが、「信長公記でもここまで一方的じゃねぇよ、牛一もビックリ」であることは間違いない。
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2017年05月13日

Triumph and Tragedy (GMT)

「三人ゲームの名作」と名高いGMT社「Triumph and Tragedy」を初プレイ。寄る年波に勝てず、2度も延期になっていただけに待ちかねたくらいだった。
第二次世界大戦の全容を、英独ソの3人で、開戦前の1936年からプレイする「マジか?」という規模の作品。この規模になると、ほぼほぼプレイ不可能なビッグゲームになるか、アッサリしすぎて「独軍のダイス目次第」になるかのどちらかなのだが、本作は従来の超戦略級とはひと味違うらしい。しかも、懐かしさを感じる積木ゲームというところも良い。
ケン先生は何故かこの手の超戦略級が好きで、あれこれ試してみるのだが、毎回「やっぱりダメだな」を繰り返している。道楽者である。

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本作は、各陣営が有する生産力を使って、軍備(積木)、外交カード、技術開発カードを購入する。開戦前は、外交戦をやったり、工場を建てたり、技術を開発したりするが、一度開戦すると、作戦カードを兼ねる外交カードを使って軍を動かし、攻撃する。
軍備、外交・作戦行動、技術開発はトレードオフの関係にあり、どれを重視するかはプレイヤー次第となるし、他者の行動を見て自分の行動を変える必要も生じる。

「生産力その他で25VPにする」「自陣営外の首都級都市を2つ占領する」「核開発を4レベルにする」という、3つある勝利条件のうち一つを達成すればサドンデスに終わる。

全てにおいて自由度の高さが(史実再現性よりも)優先されており、ドイツが一切宣戦布告せずに済ませることも可能なら、ソ連が南下政策を実行して連合国に宣戦布告してインドになだれ込むことも可能なのだ。
とはいえ、システム的に、前段階の外交戦が飽和しても勝利が得られないとなると、他陣営に宣戦布告してVPをゲットするかという話になるため、あまり突飛な選択はやはりしづらい気もする。
この日は11時から始めて7時までに2プレイ(2回目は途中講和)できたが、初回ということを考えても、相当にプレイ・アビリティは高い。

初回、ケン先生は連合国(イギリス)を担当。O先輩がドイツ、T後輩がソ連を持った。連合国もソ連も自国の生産力拡張を優先して、ドイツ外交を半ば放置していた結果、1940年くらいまでの中欧や北欧は真っ黒に染まり、「平和の配当」(前ターンに戦争行為をしていない)と核開発(1段階につき1VP)で25VPを達成し、平和状態のまま41年冒頭にドイツの勝利宣言がなされサドンデスに終わった。
「平和の配当」はランダムのチットで0〜2VP(平均で0.6)あるが、平均をはるかに上回る6VPを得て、核開発の1VPを含めて7VP、経済力(人工と工業力)の18VPを足して25VPとなったわけだが、3時間程度で終わってしまい、「あれ、もう終わり?」という拍子抜けの観は否めなかった。

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2回目は、ソ連と連合国が入れ替わる。前回の反省を込めて、ソ連も軍備と外交にそれなりに注力するが、衛星国化できたのはペルシア、ギリシア、オランダなどで今ひとつ。ドイツは今度は外交では無く、軍事力で中欧諸国の併合を進めるが、むしろ外交よりも時間がかかり、「平和の配当」が得られない分だけ不利な印象。ポーランドをドイツに併合されてしまったので、ソ連がバルト三国とフィンランドに侵攻したのは「お約束」な観がある。
中立国侵攻では、必ず中小国要塞が先制攻撃してくるので、なかなかノーダメージでは併合できず、さらに中立国の大きさによって数枚の外交カードが他の2国に配られる(国際情勢への影響)ため、少なくともお得感は無い。
最終的には、今回も中欧が真っ黒に染まるも、微妙にソ連が邪魔している形となる。ただ、ソ連もドイツも互いに攻め込むには戦力的優位を持たず、「先にやったものが負け」なイメージ。
連合国はどこまでも非力で、アメリカが陣営に加わって初めて二陣営に対抗できるイメージ。初期工業力が低い割に守るべき場所が多すぎて、「欧州大戦なにそれ?俺を巻き込まないでよ」みたいな感じ。
最終的には、1940年冬まで開戦せず、三すくみの状態のまま時間切れ終了。VP的には、ドイツ21、英ソ19で拮抗していた。三人プレイで、ドイツがやや強いものの、それなりに拮抗しているので、二者が戦争に突入すると、残る一者が得するだけの構造になるため、どうしても「戦争始めたものが負け」という印象がある。

総評としては、シンプルなルールとシステムながら、プレイ順の決め方を始めプレイが単調・一方的にならないための処理が非常に巧みで、三陣営のバランスやマップの作り方も見事だ。
だが、いざプレイしてみると、どう見ても防御側有利で、始めから軍事的勝利を目指さない限り、軍事力で一方を屈服させるのは難しい。例えば、本ゲームでドイツがフランスに侵攻した場合、ソ連としてはドイツの背後を襲いかかるか、一緒に連合国に宣戦布告してインドに侵攻するか、二つの選択肢があるが、どう見てもソ連が得るものの方が大きい印象がある。「三人用ゲーム」の常ではあるが、「戦争始めた者が不利」であるため、よほどのことが無い限り、他陣営に宣戦布告するのはリスクが大きい。

また、平時の処理は非常に良くできているが、肝心の軍事については、例えば空軍が陸軍部隊に対して「D6で1のみ」でしかダメージを与えられないとか、歩兵が「3以下」なのに対して戦車が「2以下」でしかダメージを与えられない(先制権はある)とか、「歩兵だけでいいんじゃね?」と思わせてしまうところがあり、ウォーゲームとしては微妙なところがある。とはいえ、この点は今回結局大国間同士の戦争が起きなかったため、どうなるのか分からず、判断は保留すべきだろう。

欧州大戦の全容をシミュレートし、かつプレイ・アビリティに優れ、展開も無数の可能性があり、この規模のゲームでは私としては初めて「アリ」と思わせてくれる作品に仕上がっているが、「このゲームは戦争したら負けなんじゃね?」という根本的な疑問が残り続けている。プレイヤーや組み合わせを変えて、もう一度検討したいものだ。
そういえば、やはり15年くらい前に同社の「Europe engulfed」という戦争に特化した欧州大戦の積木作品を買って、一度並べただけで納戸にしまい込んでいるので、いずれ引っ張り出して比較してみたいところである。
posted by ケン at 09:00| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月08日

15年ぶり?GMT “Paths of Glory”

連休初日はK先輩にGMT 「Paths of Glory」の相手をしていただいた。何と言ってもロシア革命100周年であり、「幼女戦記」アニメ化記念でもある。
キューブリック先生の名画のタイトルにもなっている通り、第一次世界大戦の全容をカードドリブン化した作品で、名作の誉れも高く、制作から20年近く経った今でもそれなりにプレイされているようだ。通称は「パスグロ」。
とはいえ、アニメほどでは無いにせよ、それなりに新作が出ている中でなかなか手が回らないのが現実。こんな腐敗した業界の汚れ稼業なんぞ、さっさと足を洗って引退し、ゲーム三昧の日を過ごしたいと思うのだが、それにはまだ20年以上働く必要がありそうで、とてもそこまで生き延びられる気もせず、考えると憂鬱になりそうだ。

ケン先生も購入した当初に2回程度はプレイしたと思うのだが、それから15年近く経っているような気がする。今回確認したのも2001版のルールだったので、最新バージョンを読み直した。本ブログで紹介していないことを考えても、やはり最後にプレイしたのは2002年とか03年のことかもしれない。
第一次世界大戦のキャンペーンゲームは、日本でこそマイナーなものの、欧米では需要が高いようで色々選択肢がある。だが、やはりヘクスものにしてしまうとプレイ・アビリティが下がるようで、概ねプレイ可能性の疑わしいビッグゲームになっている。その点、本作は、エリア方式、「Point to Point」式、カードドリブンなどを組み合わせることで、「頑張れば丸一日でプレイ可能」なプレイ・アビリティを実現し、一種のデザイン革命を起こした作品でもある。
ただ古い記憶を辿ると、同社の「三十年戦争」と同じ、あるいは史実同様、「とにかく決着がつかず、ダラダラ続くゲーム」という印象は否めない。

今回初めての先輩が連合国、ケン先生が同盟国を担当。私の記憶では、連合国側は無難に対応していれば酷いことにはならないが、同盟国は勝ちに行くのが難しいというイメージだった。

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ドイツ軍は、「八月の砲声」イベントでリエージュを落とした後、その勢いでセダンも落とし、カンブレーの仏軍も排除するも、兵力不足で後が続かない。ブリュッセルも早々に陥落させ、英大陸派遣軍を撃滅するも、早くも戦線が延び延びになってしまう。
フランス軍は敢えて反撃せず、増援と戦力回復に努め、同時にロシア軍の動員や戦時体制の向上に努める。
ドイツ軍の初動は順調だったものの、やや動員が遅れ、戦時体制の移行も進まず、この点は連合国に後れを取ってしまう。
連合国は1915年に入ると、ルーマニア、続いてイタリアを参戦させるが、同盟国側のブルガリアの参戦は遅れ、南欧戦線の手当に戦力を割いたところ、ロシア軍にオーストリアを攻撃され、危険な状態に陥るが、ロシア軍も後が続かず、ドイツ軍の援軍によって押し返される。
15年の後半には互いに消耗戦モードに入って、ダラダラと殴り合いを続けてしまうが、同盟国側は、シナリオ毎の勝利条件的には「ギリギリ負けない」程度のVPを維持していたに過ぎなかった。1916年後半までプレイしたものの、同盟側は「戦線を維持しているだけ」の状態に陥り、時間の都合もあって投了した。

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同盟としては、西部戦線で大ナタを振るった後、返す刀で東部戦線のロシア軍を殴って大打撃を与えるというのが、一つの定石だと思うのだが、今回は独軍の動員が不十分だったことや、ルーマニア・イタリアの連合側参戦が早かったこともあって、思うようにはできなかった。とはいえ、イタリア参戦のタイミングで、イタリア軍を撃破して、半島のVP群を奪取してサドンデスに追い込むという手段もあったわけで、「一体全体、どのタイミングのどれが悪手だったのか」考え込んでしまう。

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やはり本作の同盟は難易度が高そうだ。もう少し研究して今年中にもう一回は再戦したいところである。
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2017年04月29日

S&T “Kaiser's War in the East”

Strategy and Tactics誌第301号の付録ゲーム。日本ではあまり馴染みの無い、第一次世界大戦の東部戦線キャンペーン。確かGJ誌の付録にもあったが、カードドリブン式だったため、様子見したままになっていた。本作は、オーソドックスなシステムを採用している。デザイナーは、「The Soviet-Afghan War」のJ・ミランダ氏。

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1ターン=一カ月(冬期は二カ月)で、ユニットは軍または軍団単位。キャンペーンは、1914年8月から1917年までだが、15年や16年のシナリオもあり、オプションでロシア内戦を含む18年のプレイも可能。プレイ時間に応じてシナリオを調整できる融通さも魅力と言える。
基本システムは、オーソドックスな動員、移動、戦闘を繰り返すものだが、移動力はロシアの軍で「2」、ドイツの軍で「3」とかなり限定的。そして、移動は1回だが、戦闘が立て続けに2回行われるため、結果によっては戦線に大穴が開くこともある。ただ、二次大戦のような機械化移動があるわけではないので、ド派手な展開にはなりづらい。

基本的には一次大戦らしく地味に鈍器で殴り合うイメージではあるが、先に動員したロシア帝国軍が殴りかかり、同盟諸国は何とか耐えながらドイツ軍精鋭の動員を待って反撃に転じるというのが1つの流れになりそうだ。また、1916年8月にはルーマニアが連合国側で参戦、次いでブルガリアが同盟側で参戦するので、一気に戦線が拡大する。ドイツ軍はロシア軍に優位、ロシア軍はオーストリア軍に優位という力関係が、戦略を大きく規定する。

興味深いのは、敵ユニットの除去と戦略重要拠点の占領・維持によって勝利得点を獲得するのだが、そのVPを消費して強行軍や大攻勢に必要な補給拠点や除去された軍・軍団の再編を行うため、チキンゲーム的な要素があり、下手に頑張りすぎるとちょっとした失敗、手違いでいきなりVPがゼロになってサドンデス負けしてしまう恐れがある。
また、ドイツ軍の戦略重点(西部戦線か東部戦線か)によってシークエンスの変化もあるため、いくつかの時点でターンオーバーが起こる仕組みになっており、これを上手く使うことで大突破を図ることも可能になっている。が、この点はいささか熟練が必要となりそうだ。

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この日は3人でGMT「Triumph & Tragedy」をプレイする予定だったが、2人の都合が悪くなって中止。一人で本作を並べるところとなった。寄る年波には勝てぬということか。
15年初夏までプレイしたところでは、地味なイメージは否めないものの、コンパクトなシステムで一次大戦や東部戦線の雰囲気を良く再現しているという感触を得た。
いずれは対人で試したい。
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