2016年11月24日

ラビリンス拡張セット「覚醒」 第二戦

先週に続き、「ラビリンス 覚醒」の第二戦を行う。今度はK先輩がお相手。これも先週に続いて、アメリカが希望され、私がジハーディストを担当した。みんなマゾなのか?
この日は8時間弱で3プレイ、相変わらずのプレイアビリティである。

まずは基本の2010年シナリオ「アラブの春」。シリアで内戦が起きるも、すぐに国連が仲介して和平が成立し、ジハーディストによるテロ(プロット)は失敗続きだったが、アメリカの援助外交も上手く行かず、穏やかで遅い進行になる。
本セットでは、ジハーディスト側はどうしてもセルが世界各地に分散してしまう傾向があり、資金が足りないと革命が起こしにくい。その分、上手くイベントを使って「反動」マーカーを置き、民主的に原理主義政権をつくるような配慮も必要となる。
アメリカはアメリカで、内戦という要素ができたものの、内戦というだけでは軍事介入の大義名分にはならないため、同国政府と同盟して兵員を送り込む必要がある。とはいえ、イスラム革命は従前通りに起こりうるため、「宿題」ばかり増えて、つい肝心要のイデオロギー戦争(援助外交)が疎かになりがちだ。
米軍が駐留するアフガニスタンで立て続けにテロが起きて、威信が失墜し、さらにイギリスでもテロが起きて、ジハーディストの資金がマックスになると、一気に形勢が傾いてゆく。シリアで革命が起き、ナイジェリアでボコ・ハラムが蜂起、続いてスーダンに連鎖し、イランが選挙で原理主義化する。米国は急ぎシリアとスーダンに軍事介入するも、ジハーディストの勢いは止まらず、アメリカの威信も低下、エジプトでも革命が起きてサドンデスに終わった。

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第一戦終局図

第二戦は、「イラク撤退後」の2012年シナリオをプレイ。シリアで内戦が起き、あっという間にジハーディスト陣営が勝利して原理主義政権ができ、大量破壊兵器(WMD)が流出する。アメリカは、イベントで強硬路線に転じ、シリアに軍事侵攻するも、セルはイラクに逃亡してしまう。革命と武力転覆の「イタチごっご」になるが、アメリカの威信が地に堕ちる一方、ジハーディストの資金は常に満杯で主導権を握り続けた。米国は、なんとか食らいつきながら体制改善を進めるも、いかんせん威信が低い状態では話が進まない。また、イベントで政策転換して穏健路線になってしまい、軍事介入も封印された。最終的には、アフガニスタンとマリに原理主義政権ができ、イランが選挙で原理主義化して、パキスタンに伝播して、サドンデスとなった。ジハーディストは計5個(全6個)のWMDを保有するという結果。

第三戦は、2014年の「ISIL」。最初からシリア〜イラクにイスラム国(カリフ国)がある設定だが、冒頭からアメリカ側のイベントが炸裂し、シリアもイラクもあっという間にアメリカに平定された上、体制改善も早く、すぐに「良好」となる。ジハーディストは、サウジで革命を起こすも、シリアで任務を終えた米軍がそのまま介入して、すぐに潰されてしまう。また、初期評価を行う先々で「適正」ばかりとなり、アメリカの威信は上がりまくりで、ついには最大値をキープするところとなる。ジハーディストは、辛うじてサドンデス敗北を免れる程度のことしかできない。最終的にイエメン革命には成功するも、中東の主要部はすべて「良好」となり、ジハーディストは殆ど手も足も出ないまま、アメリカの勝利となった。このゲームは、基本的にアメリカに厳しいが、稀にこういうことが起きる。米国務省のエリートたちの頭の中では、こんなイメージなのだろうが、現実はこうは行ってない。

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第三戦終局図

やはりアメリカのキモは、イラク、サウジ、湾岸諸国のリソース「3」の国を、どれだけ早く抑えられるかにかかっている。特に湾岸諸国を早急に「良好」にして、残る2つを「同盟」ないしは「適正」にすることが重要だろう。ただでさえ12リソース分の「良好国」という勝利条件は相当に難易度が高く、逆にジハーディストは一国でも抑えればリーチが掛かるだけに、つい「テロリスト掃討」に目が向いてしまうが、ここがポイントなのだと思われる。
posted by ケン at 13:39| Comment(2) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月15日

ラビリンス拡張セット「覚醒」初プレイ

GMT社「ラビリンス−テロ戦争」の拡張セットが発売され、取り急ぎ主要なルールとカードを翻訳してテストプレイにこぎつけた。すでに知っているルールの延長なので、英語が苦手な私でも大きな苦労はなかったが、それでも日常では使われない表現などがあり、疑問を抱くこともあったが、インターネットのおかげで推測しやすくなり、非常に助かった。

「覚醒」は、2010年以降のテロ戦争の様相をシミュレートしており、「アラブの春」に象徴される大衆運動、内戦、イスラム国などの要素を再現する新ルールが追加されている。元のルールがさほど難しくないため、追加ルールが加わってもプレイアビリティが大きく削がれることはなかった。この日は、T後輩(アメリカ)を相手に6時間で2回プレイできたので、ルール確認しながらという点を考えても、良好なプレイアビリティが保たれていると見て良い。

初回は基本の「2010年シナリオ」をプレイ。アメリカはイラクから半ば撤兵しており、アフガニスタンではタリバンとの死闘が続く中、チュニジアで「アラブの春」が始まる、という設定。
開始早々、シリア、イラク、チュニジア、イエメンで内戦が勃発するという激しい展開になり、両プレイヤーとも「どこから手を付けたら良いのか?」と、新カードの内容を吟味しながら進めていった。
内戦が起きた国では、ジハーディスト陣営はノーチェックで募兵できるため、「セル」がわんさかわいてくるが、資金面の制約があり、内戦国のうちいくつかは捨てて、どこかに集中する必要がある。他方、アメリカは同盟国で無ければ軍は送れないし、民兵(政府軍など)はイベントでしか登場しないため、こちらも思うようにはいかない。そもそも、アメリカはオバマ大統領下で穏健路線を採っており、大規模展開が許されない。
お互い手探りしながらも、まずイエメンが「あれよあれよ」とばかりに原理主義化してしまう。さらにアフガニスタンでは、せっかくアメリカが上手く体制改善を進めていたのに、国連が介入してタリバンと強制和解させてしまったため、米軍は撤退を余儀なくされ、イベントを経て民意で(反動マーカー)原理主義政権が誕生した。
また、マリでも内戦が勃発し、中東から聖戦士が集まって、あっという間に原理主義政権が成立した。
いきなり原理主義国が3リソースになってしまい、焦った大統領はなけなしの作戦値3のカード2枚を使って政策転換を試みるも、軍事侵攻を行う前に、イエメンから革命が波及してサウジアラビアでも原理主義政権が成立、ジハーディストのサドンデス勝利に終わった。
確かに、マリにしてもアフガンにしても、辺境地のリソース1国なだけに、6つもの兵員が拘束される軍事侵攻を行うのは、政策転換のコストを考えても躊躇してしまったのだろう。ただ、イエメンはサウジ(リソース3)に接していることからも危険だったと思われる。
今回はイスラム国が誕生しなかったとはいえ、内戦が複数箇所で起こり、政策の焦点を定めにくかったのは確かだ。アメリカが全軍(15兵員)を本土に置いたまま敗北するという、珍しいケースである。

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一局目終局図。「適正」が6カ国あり、決してアメリカ側に不利すぎる状態ではなかった。

2プレイ目は「2014年シナリオ」を選択。イスラム国成立後の展開を追った。最初からシリアとイラクが内戦下にあり、イスラム国が成立している。両国で激しく内戦が戦われるも、決着はつかず、アメリカはトルコを「良好」にし、次いでリビアで起きた内戦にも勝利してVPを3にするが、一時は威信を最低級まで落とすわ、イベントで頻繁に政策転換するわで、手が進まなくなってしまう。最も重要な湾岸諸国の体制改善が進まなかったのが厳しかったが、最終的にはこれも良好にしてVPを6とした(サドンデス勝利は12)。
他方、ジハーディスト陣営は世界各地にセルを散らばせてしまい、戦力を集中できず、アメリカを疲弊させることには成功したものの、ジハーディスト・プレイヤー的にはジリ貧な展開だった(米国側はそうは思えなかっただろうが)。だが、方針を改め、世界に散らばる聖戦士を一旦イラクに集めて、サウジアラビアに革命を輸出すると急に流れが変わる。
運が悪いことに、米大統領選では穏健派の大統領が選出されており、政策転換がなされる前にパキスタンに革命が伝播、イスラム国の「1」と合わせて6VPを獲得し、ジハーディストの勝利に終わった(せっかくWMDも手にしたのだが)。最終的には、イスラム国の版図はシリア、イラク、サウジアラビアと広大な領域になっていた(シリアは陥落寸前だったが)。
アメリカは早めにシリアを「良好」にしておくべきだったが、やはり3リソースの国が原理主義化すると展開が早くなるのは否めない。

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二局目途中。アメリカはシリア、湾岸諸国、パキスタンと同盟状態にあり、決して不利すぎる状況にはなかった。

ルールを読んだ限り、「少しはアメリカが楽になるのか」と思ったのだが、実際には「宿題が増えただけ」という感じもする。確かにこのゲームでは、課された宿題を全てこなす必要はないのだが、宿題が増えた分、本来の課題である「体制改善のための援助外交」が疎かになってしまう危険が増えている。まだ一回目なので、評価するのは早いが、「アメリカが楽になったわけでは無い」とは言えそうだ。
ただ、ジハーディストが内戦に勝利すると原理主義政権ができるのは分かるが、アメリカが勝利すると「良好」な体制ができるというのは、かなりゲーム的な処理で仕方ないとは思うものの、「そうなのか?」という疑問は否めない。

【追記1】
「ラビリンス−覚醒」の翻訳は、遠くない将来にクロノノーツさんで公開されると思いますが、私の私家版で、ソロプレイ部分未訳状態でよろしければお分けしますので、メアドを「kenuchka@ヤフー.co.jp」まで送ってください。

【追記2】
【米、アフガンで戦争犯罪か】国際刑事裁判所のベンスダ主任検察官は14日公表した年次報告で、米軍と中央情報局(CIA)がアフガニスタンで、戦争犯罪に該当する拷問を行ったと信じるに足る「十分な根拠がある」と指摘した。(11/15、時事通信)
−これってまさに例のイベントカードだよなぁ・・・・・・
posted by ケン at 12:36| Comment(2) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月22日

電脳時代に囲碁将棋が職業として成立し得るか

【竜王戦挑戦者を出場停止 将棋連盟、ソフト使用の有無調査】
 日本将棋連盟は十二日、十五日に開幕する第二十九期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)で、挑戦者になっていた三浦弘行九段(42)を十二月三十一日までの出場停止処分とした。三浦九段は対局中に頻繁に離席を繰り返し、将棋ソフトを用いた不正を行った疑念があるとして、連盟から調査を受けていた。三浦九段は、本紙の取材に「自分はやましいことは何もしていない」と語り、処分については「弁護士と相談したい」と述べた。七番勝負は、挑戦者決定戦で三浦九段に敗れた丸山忠久九段(46)が渡辺明竜王(32)と対戦する。タイトル戦の対局者が直前に変更されるのは極めて異例。
 連盟によると、夏ごろから、三浦九段が対局の終盤になって席を立つことが多いと、複数の棋士から不正を疑う声が上がっていた。十一日の常務会で聞き取り調査を行ったところ、三浦九段は「別室で体を休めていた」などと説明。「疑念を持たれたままでは竜王戦で対局できる状態ではない」「休場したい」という趣旨の発言があった。連盟は休場届の提出を求めたが、期限の十二日午後三時までに提出がなく、出場停止処分とした。島朗常務理事は「竜王戦開幕が迫っており、やむを得ない措置だった」と説明した。
 連盟は今月五日、スマートフォンなどで将棋ソフトを用いて有効な指し手を調べる不正を防止するため、対局時に電子機器の持ち込みを禁止する内規を十二月から導入すると発表したばかりだった。渡辺明竜王は本紙の取材に「残念です。(将棋ソフト問題で)疑わしい要素がいくつか出ている状況で、やむを得ない措置ではないかと思う」と話した。
 三浦弘行九段は群馬県高崎市出身。一九九二年にプロ棋士となり、九六年の棋聖戦では当時七冠の羽生善治棋聖を破り、時の人となった。丸山九段は「連盟の決定には個人的には賛同しかねますが、全力を尽くします」などとコメントした。
(10月13日、東京新聞)

ついに来るべきものが来たという感じ。趣味としての囲碁、将棋はなくならないだろうが、プロや競技としては今の形のまま成立しうるか微妙だろう。電脳時代はそこまで来ているのだから。

外部媒体を使う今だからこそ人の目で監視できるが、現状でも8時間とかの持ち時間があるのに、外出禁止にすることがどこまで現実的かという話になるだろう。電脳が飛躍的に向上したことで、トイレに行く時間で「最善手」を見つけることが可能になっているのに、性善説に基づいて「プロがカンニングするわけが無い」で済ませることは、もはや不可能であろう。
問題は、むしろプロ・職業であるが故に、「数秒、数分で自分よりも良い手が見つけられる」将棋ソフトを対局中に使用する誘惑がより大きくなってしまう点にある。アマチュアの、しかも非競技であれば、「ソフトを使って勝っても意味が無い」と思えても、生活や人生が掛かっているとなれば、その誘惑には抗しがたいだろう。
また、プロの対局を見る側にしても、「電脳を使っているかもしれない」という疑惑の目を持ってしまう時点で、「人間同士の知力勝負」の楽しみの半分以上が失われてしまうのではないか。

三浦九段が実際に不正を働いていたかどうかはともかく、「対局中のスマホ使用禁止」は弥縫策に過ぎず、いずれより大きな問題が生じるものと思われる。
posted by ケン at 13:00| Comment(2) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月16日

GMT "Labyrinth: The Awakening 2010"

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GMT"Labyrinth"の拡張キット"The Awakening 2010"が到着。イスラム国、露仏による軍事介入、内戦などの最新要素が加えられている。シナリオも「アラブの春」や「イスラム国」など、2010年以降の情勢を反映したものが用意され、カードは専用カードに置き換えて使う。シリアやリビア、イエメンなどの内戦や民意の表れを反映するルールが新設されたものの、分量的には多くないので、まずは英語で読んでプレイしてみたい。10年後にはこんな苦労もなくなるだろうが。
イランやシリアからも大量破壊兵器が流出する可能性があるみたいで、世界はますます混沌化しているなぁ。
posted by ケン at 01:00| Comment(2) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月14日

ラビリンス第7戦−その他のシナリオも

T後輩とGMT「ラビリンス−テロ戦争」をプレイ。3人を相手に計7回もプレイした作品は、近年では思いつかない。我々的には、GJ「信長最大の危機」以来のヒット作ということになりそうだ。
その魅力は、他に無い対テロ戦争の全容をテーマにしていること、独特のルールで非対称戦争(彼我で戦術や目的が異なる)を表現していること、プレイ・アビリティが高く一日で2、3プレイできること、ゲーム・バランスに優れていること(米国は苦しいが勝てなくは無い)などにある。特異なルールながらも、プレイしてみるとルール自体は簡単で、しかしもの凄く頭を使うところも良い。

この日は8時間超プレイして、3プレイ目の途中まで。3プレイ目は、キャンペーン扱いでカードデッキ2山目に突入していたが、時間切れとなった。T後輩がアメリカ、ケン先生がジハーディストを担当する。

1プレイ目は基本の2001年シナリオ、アメリカはアフガニスタンに侵攻せず、イデオロギー戦争(援助外交)に専念しようとする。早い段階で湾岸諸国が安定化したものの、テロが起きて元通りになってしまう。その後は進展しないうちに(ダイスが悪かった)、イベントで威信が3以下になってしまい、マイナス修正が入るようになって打つ手がなくなってしまった。ジハーディスト側は、イラク、トルコでイスラム革命を起こし、米側は打つ手も無くサドンデス敗北を喫した。

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1プレイ目終局図。アフガン、イラク、トルコに原理主義政権。イランをまたいで非常に近いところにある。

2プレイ目は、2002年シナリオ(イラク侵攻前)を試してみる。米国の国家威信が「8」と、高いところから始まる上(最高12)、「愛国法」も施行されており、しかも原理主義国はゼロという、比較的アメリカに優しい設定。
最初から愛国法が発動しているので、関連イベントが続発し、ジハーディスト側の資金も3以下になってしまい、「ヨーロッパかどっかで派手な花火を打ち上げないと、革命資金が集まらないよ〜」という展開になってしまう。
早々にジハーディスト側の資金が底を尽いてしまったが、ジハーディスト側は、イスラム教国でテロを行っても基本的に1ポイントしか資金が得られず、「稼ぐ」ためには欧州やインドを始めとする非イスラム国でテロを実施する必要があるが、これが上手くいかない。そもそも資金が最低ランクになると、セルが最大5個しか出せないため、行動そのものが大きく制限されるためだ。また、「盤上からセルが一個も無くなるとサドンデス敗北」というルールもあるため、無理も出来ない。
ジハーディスト側は、その5個のセルを中央アジアに「全員集合」させて、乾坤一擲の革命を行い、これに成功。続いて、「核流出」カードでプルトニウム(大量破壊兵器)をゲットした。さらにケン師は、米本土にセルを潜入させ、ニューヨークの地下鉄でダーティ・ボムによる自爆テロを計画するが、すんでのところでFBIに阻止されてしまった。2箇所で計画されたテロの内、一箇所が大量破壊兵器であることは明白で、阻止できるのは一つだけという状況だった。仮にこれが爆発していれば、ジハーディストのサドンデス勝利に終わっていた。
ここでまた流れが変わり、アメリカのイデオロギー戦争が好調となる一方(とはいえ時間は掛かった)、ジハーディスト側は相変わらず資金繰りに苦しむ状態が続き、「Good(安定)」国が12ポイントに達して、米国の勝利に終わった。

3プレイ目は夕6時頃から「できるところまでやってみよう」と始める。2003年シナリオを選択。イラク侵攻後の設定で、アメリカはアフガニスタン、イラクに全面展開し、本国に一兵も余裕の無い状態(過剰展開)から始まる上、国家威信も「3」という最初から外交にマイナス修正が入ってしまっている。他方、ジハーディストも資金「5」と厳しいところから始まるが、初期段階でジハーディストの手札が8枚に対して、アメリカは7枚でしかなく、この点でもやはりアメリカ側が厳しい。
実際のプレイでは、早々にアメリカの威信もジハーディストの資金も底を打ってしまい、お互いに何をやっても上手くいかない状態が延々と続く。時間を掛けてテロやイベントで資金を溜めたジハーディストは、シリアとトルコに原理主義政権を打ち立てる。T大統領は政策転換して穏健路線に転向、アフガニスタンから撤兵した後、再び強硬路線に転換してシリアに侵攻、またイラクを安定化させてフリーになった部隊がトルコに侵攻する。が、ジハーディストは攻撃をすり抜けて、中央アジアで革命を起こし、さらにパキスタンを狙うという、完全な「いたちごっこ」になった状態で時間切れを迎えた。
全体状況的には、「ジハーディストがやや有利」なくらいだったが、「安定」や「適正」国家も増えており、長期的にはジハーディストが苦しくなりそうな展開でもあった。確かにこのシナリオは、2山、3山とプレイしないと終わりそうに無いが、考えてみれば、史実=現状も双方決定打を欠きながら、互いに疲弊してしまっているところがある。

改めて、一体誰が何のためにやっている戦争なのか考えさせられる作品である。
posted by ケン at 12:19| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月01日

GMT Normandy 44を初プレイ

発売から6年が経過しているが、GMT社の「Normandy “44」を初めて並べた。O先輩が独軍、ケン先生は連合軍を担当。
デザイナーはシモニッチ氏で、「Ardennes “44」「France 1940」と同系譜のルールになるが、それぞれ微妙にルールが異なるので、一々細部を確認せねばならず、問題となっている部分がどこに記載されているかも分かりづらいため、かなり時間が掛かってしまった。7時間ほどプレイして、6ターンまでしか進まなかった。
とはいえ、ルールが細かい割には、プレイ自体は難しくなく、プレイアビリティ的にはエポック社「D−Day」よりも高いかもしれない。慣れてしまえば1日で10ターンくらいまで進められるかもしれないが、史実の大嵐が14〜17ターンなだけに今少しプレイアビリティが欲しいところだ。ゲーム時間で1ターン1日なので、「10日じゃ分からないな〜」という印象だ。もっとも、本ゲームでは天候はランダムで、半分の確率で晴天、6分の1で嵐という設定になっている。
なお、1ヘクス3.8km、1ユニットは大隊〜連隊。

第1ターン、空挺降下はかなり順調に進んだものの、オマハ海岸の上陸戦闘で二回連続「1」を振ってしまい、凄惨な「血のオマハ」が現出した。英国軍担当地域はどこもまず順当に前進できた。
2ターン目、英軍はバイユーを落とし、内陸に向けて展開するが、カーン前面は防衛拠点が並び、一つずつ潰す必要がある。米軍は、ユタ方面は順調に進むが、オマハ方面は「血のオマハ」の影響で、独軍の前進防御の前に、後続を待つほかなかった。

本ゲームは最大比率でも3分の1の確率で攻撃側にダメージが入る上、連合軍といえども毎ターン米英各1ポイントの補充しか来ないため、どうしても損害が蓄積してしまう。
また、連合軍側は、英軍で5個ないしは、米軍で7個の3ステップユニットが全滅ないし基幹部隊まで退化してしまうと、サドンデス敗北してしまうルールがあるため、全連隊がステップロスした師団があると後方に下げざるを得なくなる。下手にステップロスした師団を前線に出しておくと、独軍に「奴らもう勝った気でいやがる。教育してやる!」と言わせてしまうからだ。それだけに連合軍側も、想像していたほど攻撃には出られないのだが、かと言って見送り続けると、独軍の防衛線が強化されてゆくだけの話なので、なかなか厳しいジレンマが設定されている。
勝利条件がいささかゲーム的な気はするのだが、プレイヤーの心理に働かせる効果は認められよう。

3ターン目には嵐が来て、艦砲支援も航空支援もなく、増援や補給ポイントも上陸できず、上陸早々に足止めされてしまう。「天候班は全員クビだ!」とケンゼンハウアー最高司令官。その後も含め、1〜6ターンまでに晴れたのはわずか1ターンだけだった。
カーン前面はどうしても防御がガチガチにされてしまうため、英軍は史実よりかなり早くヴィレル・ボカージュを攻撃し、陥落させるも、第12SS装甲師団「ヒトラー・ユーゲント」に反撃され、撤退を余儀なくされた。
ノルマンディの中央部は、防衛線が比較的薄くなりがちなのだが、カーン方面とオマハ方面の両隣がどうしても進まず、攻撃しても後続が届かない。これも史実と同じだ。
米軍もオマハとユタの双方で、まず順調に進めていたが、独軍側に決定的な打撃を与えるには及ばず、6ターン終了段階でカランタンを落として両海岸を貫通するには至らなかった。史実と同じで、カランタン周辺はどうしても独軍の防御が厚く、米軍はかなりの出血を覚悟する必要があるが、上記のルールがあるため、どうしても側面を攻撃したくなってしまう。

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本ゲームは、どんなに戦力を集めても、攻撃・防御側共に「最大18戦力」という縛りがあるため、防御側は10戦力のスタックを作っておけば「1:1」は担保される仕組みになっている。そのため攻撃側は、装甲優位、練度優位、航空・艦砲・砲兵支援などで戦力比を「3:1」以上にする必要があるが、連合軍は天候が悪いといきなり萎えてしまう。しかも、ターンが進むと、ドイツ軍は装甲部隊が増え、練度の低い部隊から消えてゆくため、ますます戦力比を上げるのが難しくなってしまう。まぁ史実的には「こんなもん」だったのかもしれないが、ゲーム的にはいささか微妙な気もする。
ただ、攻撃側はどんどん損害を出すし、防御側は「断固たる防御」に成功することで、退却を無効にしたり、攻撃側に損害を与えたりできるだけに、ドイツ軍側も色々と楽しめる工夫がなされているのは間違いない。

最終的には、序盤シナリオの勝利条件と比較して「連合軍やや不利」くらいの結果に終わったが、航空支援がほとんど無かったことを考えれば、十分以上に健闘したのかもしれない。ゲームバランス的には良いところなのだろう。
エポック社「D−Day」は二人でプレイするには少し重かっただけに、再戦してもう少し先までプレイして再評価してみたいところである。
posted by ケン at 12:00| Comment(5) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月20日

米本土テロ中にラビリンス第六戦

T後輩と20年ぶりくらいにゲームをすることになったが、彼の希望は「ラビリンス−テロ戦争」で、しかも米国側というものだった。それを耳にしたO先輩が「マゾか?」と言うほど、このゲームでアメリカを担当するのは苦しい。私は米国側を持つことが圧倒的に多いが、最近は慣れてきたとはいえ、胃をキリキリさせながらプレイしている感じだ。
しかも、プレイ中は全く気づかなかったが、オンタイムで米本土でテロが発生しており、タイムリーにもほどがあるプレイとなった。

11時に始めてインストールに一時間、そこから7時間超で3ゲームと、相変わらずのプレイアビリティだった。しかも、最後のワンプレイなどは18時から始めて1時間ちょっとで終わってしまった。再セットアップが簡単なのは大きいかもしれない。

シナリオは全て9・11。最初の2回はT後輩がアメリカ、ケン先生がジハーディストを持った。
初回は、まずアメリカがアフガニスタンに侵攻。だが、国際世論の支持は得られず、威信を低下させてしまう。セル(ジハーディスト要員)は、パキスタン、イラン、中央アジアへと散っていった。ジハーディストは、パキスタンで不安定化を図るも、米国は特殊部隊や無人機を投入しつつ、外交支援を強化して対抗した。パキスタンに原理主義政権が樹立すると、大量破壊兵器が流出するので、アメリカが必死になるのは当然だ。隣の湾岸諸国に米軍が駐留しているのも大きい。
そこでケン師は、パキスタンに見切りを付け、イラクに矛先を向ける。アフガニスタンでは、体制改善(民主化)が一向に進まず、セルが続々と登場、イランを経由してイラクに集まり、イスラム革命が起き、原理主義政権が誕生した。その勢いでシリアでもアサド政権が倒されてイスラム国が成立、サドンデス勝利にリーチが掛かった。
T大統領は、苦渋の決断でイラクに侵攻、解放するも、アフガニスタン、サウジアラビア、湾岸諸国を合わせて兵員15個中14個が海外展開するという「過剰展開」状態に陥ってしまう。国家威信(イメージ的には国際世論の支持)は若干回復したものの、外交マイナス修正がゼロになった程度なので、援助外交は一向に進まず、ジハーディスト側のサドンデス勝利をギリギリのところで止めるのが関の山だった。
ケン師もサドンデス勝利を逃し、次なる革命を準備するも時間切れとなり、ジハーディスト側の判定勝ちとなった。判定勝ちとはいえ、ジハーディスト側が一方的に攻め立てる展開で、T大統領には徹頭徹尾、勝ち筋が見えなかったと思われる。

2回目、T大統領は初手のアフガン侵攻をやらずに、援助外交で湾岸諸国、サウジアラビア、パキスタンの体制改善(思想戦、外交援助)に努めるが、ダイス目が悪く一向に進まない。イベントで威信が低下したのも影響した。逆にケン師は「ごっつぁんです」とばかりに、アフガニスタンから雲霞のごとくセルを出し、イラク、インドネシア、フィリピンなどに進出していった。さらにイラクで大蜂起を指示し、イスラム国が樹立してシリアも革命寸前に。さすがにT大統領はやむなくイラクに侵攻するが、サドル一派が蜂起、アルカイダ残党も激しく抵抗し、膠着状態に陥る。対するジハーディスト側は、シリアにイスラム国を樹立して、資金も潤沢、セルにも手札にも困らない状態が続くが、次の革命の輸出先に難儀する。前回の時間切れを踏まえ、ケン師は「世界混沌化」路線を選択、各地で不安定化を進めると同時に、アメリカの威信低下を画策、「米国の威信が1で、かつ18カ国中15カ国が貧困(不安定な体制)」を実現して、山札終了直前にサドンデス勝利を収めた。アルグレイブ監獄における米兵による拷問が暴露されて威信が1まで低下したのは、あまりにも象徴的だった。今回もアメリカ側は無力感を漂わせていた。

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第二プレイ終局時

この時点でちょうど夕6時になっていたが、20年ぶりにゲームする後輩に「勝ち逃げ」してしまうのも何だと思い、攻守所を入れ替えて再戦する。ところが、これがさらに酷い結果になってしまう。
ケン大統領は初手によるアフガン侵攻をせず、湾岸諸国などの体制改善に努め、第1ターン終了時には湾岸諸国を「良好」にしてしまう。2ターン目にはサウジアラビア、3ターン目にはパキスタンを「良好」にしてしまい、T師をして「これ、同じゲームなんですか?自分は体制良好な国なんて見たことも無いんですけど」と言わせる始末だった。これはダイス目もあるが、米国の威信が高止まりして外交修正が常にプラス状態であったことが大きい。
T師はイラクで革命を起こしてイスラム国を樹立するも、ケン大統領は即座に侵攻する。これが国際的支持を得て、アメリカの威信は最高レベルに達してしまう。第4ターンには、イベント効果もあって、イラクもすぐに「良好」になり、返す刀でアフガニスタンにも侵攻。5ターン目には、これもイベントの助けがあってあっという間に「良好」になり、アメリカのサドンデス勝利に終わった。
米国の威信が高く、さらに湾岸諸国かイラクが「良好」であると、相乗効果で外交戦が面白いように成功し、加速度的にアメリカの勝利が近づくわけだが、ここまで「はまる」の初めてだった。最初に対テロ戦争を始めたブッシュ大統領らは、これくらいのキモチで「すぐに終わる」と思っていたのかもしれないが、現実は2回目のゲームくらいな流れになっている。

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第三プレイ終局時

現在の世界を俯瞰すると、「良好」な体制を維持しているのは湾岸諸国くらいなもので、侵攻したアフガニスタンとイラクは「貧困」、あるいは一部が原理主義国化している。さらにシリア、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンなどが内戦状態にある。どう見ても、ジハーディスト側の判定勝ちな情勢だ。
だからこそ、対テロ戦争推進派のヒラリー氏と、戦争放棄・孤立外交路線のトランプ氏が大統領選を戦わせているのだろうが・・・・・・
posted by ケン at 13:05| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする