2019年04月14日

迷走するふるさと納税

【ふるさと納税 都市部では税の“流出”深刻に】
 ふるさと納税制度をめぐっては、寄付者が住民税を控除され、都市部から地方へ税収が“流出”しているとの見方もある。都市部の自治体からは「このままでは行政サービスの低下につながる」との声が上がる。
 総務省によると、平成30年度にふるさと納税で控除される住民税は全国で約2448億円(前年度比約1・3倍増)。都道府県別では、東京都の約645億円を筆頭に、神奈川県(約250億円)、大阪府(約210億円)、愛知県(約180億円)が続き、都市部での減収が目立つ。
 住民税の控除額が急激に伸びる川崎市。27年度に2億円だったが減収分は、ふるさと納税などの影響で、29年度には30億円に。31年度は49億円に達する見込みだ。本来、減収分の75%は交付税で補(ほ)填(てん)されるが、同市は独自の税収で財政運営ができるとして、交付されない。減収分はそのまま歳入減につながり、市の危機感は強い。
 同じく不交付団体の東京都杉並区も、直近5年間の減収分は計約40億円に上り、学校1校分の改築費に相当するといい、同区は「この状態が長く続けば、行政サービスの低下につながりかねない」と危惧している。
 関西の都市部でも税の流出傾向が顕著。神戸市では26年度まで寄付額が控除額を上回る“黒字状態”だったが、27年度から逆転。29年度の差額は約26億円に及んだ。大阪市でも30年度、約8万人がふるさと納税を行い、約55億円が減収している。
(4月11日、産経新聞)

記事にもあるとおり、本来の住民がふるさと納税することによって減る税収分は、その75%が国庫から補填されるものの、地方交付税の対象外の自治体には交付されないため、そのまま減収となる。特に大都市部は不交付のところが少なくないため、多くの自治体で減収となっている。実のところ、これこそが国の狙いなのかもしれない。

しかし、ふるさと納税によって得られた増収分は、20〜30%が「返礼品」として消費されてしまうので、実際に地方自治体が得られるのは残り分ということになる。これは、本来受領するはずのない「税収」(寄付金)であるため、それ自体困ることはないわけだが、それだけに「返礼品競争するな!」という国側の主張は、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものだろう。

現実にふるさと納税によって地方が整備され、人口減の抑制や地方再生に効果が認められるのであれば、財政難の折、やむを得ないところもあるだろう。しかし、現状ではそれだけの効果は認められない。制度創設から10年以上経つのだから、検証すべきだ。

以前の主張の繰り返しになってしまうが、住民税は本来居住地における社会的インフラを負担するための税であり、非居住地に「住民税分を寄付する」するというのは、税本来の意味から外れてしまう。返礼品競争の本質的原因も、「非居住者からの寄付の奪い合い」にあると見るべきだ。
それだけに、一時的な起爆剤としては一考の余地があるとしても、ふるさと納税(実は税じゃない)を常態化させるのは、国家運営の本質を損なうところとなるだけに、もはや廃止を検討すべき時に来ていると考える。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 財政、社会保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月12日

紙幣刷新をめぐるあれこれ

【渋沢栄一の新1万円札 韓国で批判的報道】
 新たな1万円札の肖像に日本経済の近代化に貢献した実業家の渋沢栄一が採用されたことについて、韓国メディアでは、「渋沢は、日本が戦前に朝鮮半島の経済を奪い取った象徴的な存在だ」などと批判的な報道が相次いでいる。
 5年後をメドに刷新される日本の紙幣のうち、1万円札の肖像に渋沢栄一が採用されたことを受け、韓国・聯合ニュースは「渋沢は日本が戦前に朝鮮半島の経済を奪い取った象徴的な存在だ」と伝えた。報道では、渋沢が設立した銀行が1900年代のはじめ、朝鮮半島で日本の軍事的な圧力を背景に渋沢の肖像が描かれた紙幣を流通させ、「恥をかかせた」と指摘している。
 また、保守系の大手紙・朝鮮日報は「過去の歴史を否定する安倍政権の基調が反映されたとの解釈もある」とした上で、「日韓の摩擦を激化させるとの見方も出ている」と伝えている。
(4月10日、日本テレビ系)

新帝即位に合わせて様々なプロパガンダが仕組まれている。世界各国で階級対立や民族対立などが先鋭化する中で、デモクラシーの伝統がない国では政治的求心力と国民統合を維持するために権威主義化が進んでいる。日本もその一つである。
今回の紙幣刷新もその流れの中にあるわけだが、どうにもセンスが悪いし、発想が古すぎる。
まず韓国や北朝鮮の国民感情に油を注ぐような選択肢を故意に選んでいることだ。財務官僚や日銀官僚が「知りませんでした」では済まされず、政治統制を担う自民党の意向も踏まえて、「敢えて渋沢を選んだ」と考えるべきだろう。逆をいえば、「渋沢でなければならない」理由はなく、この点でも恣意性しか感じられない。ただでさえ日韓関係が史上最悪と呼べるまでに悪化しつつある中で、敢えて火に油を注ぐ理由が分からない。一体誰が得するのだろうか。

国内的にも、渋沢は日本初の労働者保護法であった「工場法」の制定に反対した急先鋒であり、その主張は「工場法なんぞ制定されたらオレたち経営なんてできない!」というものだった。同法は小工場は適用除外だった上、今読むとスカスカな内容に思われる代物だが、そんな法律にも徹頭徹尾反対した悪徳ブルジョワの典型だった。つまり、渋沢は階級弾圧の急先鋒だったわけで、戦後日本が志向した「階級和解体制」の象徴としては最も不適当なものであることを意味している。論を一歩進めるなら、この渋沢を日本銀行券の象徴に据えることは、階級和解の破棄を内外に示す意図があると見なすべきなのだ。
にもかかわらず、NK党や社民党からそうした批判が出てこないのは、連中もまた階級意識を喪失していることを意味しており、戦後和解体制に取り込まれて階級政党あるいは階級代表としての役割を忘れ果てていることを示している。

現行の福沢諭吉もまた「侵略主義者の側面」を持っていたことは確かだが、同時に「アジア革命の支援者」としての側面も持っており、何よりも基本的には教育者であったことから、まだ「議論の対象」で済まされたわけだが、渋沢については議論の余地はない。
一部では渋沢の「道徳経済合一論」を支持する向きもあるが、これはこれで現代日本のブラック企業に蔓延する「家族型経営」などの論拠になっており、安易に評価すべきではない。

こうした「近代の偉人」を銀行券のデザインに据えることは、どうしても政治的問題と切り離せない。それだけに、時の権力者(政権党や官僚)の主観が入りやすく、国民的評価が分かれやすい人物は、国民統合の維持という観点から除外すべきだ。
個人的には、どなたかが主張しておられたが、世界的英雄である三船敏郎や高倉健などではダメなのだろうか。三船敏郎にすれば、世界中のファンが収集してくれるだろう。なんと言ってもカッコイイことが肝心である。
歴史人物も悪くはないのだが、聖徳太子は存在自体が否定される始末だし、足利尊氏の肖像画も否定されてしまって、現在では採用が難しくなっている。

さて、もう一点は「今さら紙幣かよ?」というものである。
中国で現金を使わない生活を送っているケン先生からすると、今さら紙幣にこだわる日本の統治者の頭の古さに疑いを覚える。日本政府が進めるべきは、非現金決済の導入加速であり、その方がはるかに効率的だ。
この話を始めると、また長くなってしまいそうなので今回は止めておくが、紙幣に固執する財務省、日銀の旧弊こそ、日本の衰退と時代不適合を示すものとなっている。

そういえば、私が「インフレ進めたいなら、まず五万円券や十万円券を導入して、一円玉を廃止すべきでは」と提案して、若い財務官僚に鼻で笑われたのはもう十年以上前になる。何というか、どこまでも愚かな連中である。

【追記、04/13】
ある方が教えてくれたが、2000年代のある時期に財務省内で10万円札の発行がひそかに検討されたことがあったとのこと。つまり、私の見立てはそう外してはいなかったのであって、改めて高慢ちきなヤクニンどもに対する憎悪がわいてきてしまう。
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2019年02月15日

カネも無いのに無償化?

【政府が幼保無償化法案を閣議決定 10月実施へ早期成立目指す】
 政府は12日、今年10月から幼児教育・保育の無償化を実施するための「子ども・子育て支援法改正案」を閣議決定した。3〜5歳児は原則全世帯、0〜2歳児は住民税非課税の低所得世帯を対象に認可保育所や認定こども園、幼稚園の利用料を無料とするのが柱。認可外保育施設などは一定の上限額を設けて費用を補助する。政府・与党は今国会の重要法案と位置づけ、早期成立を目指す方針だ。
 宮腰光寛少子化対策担当相は12日午前の記者会見で「少子高齢化という国難に正面から取り組むため、子育て世代や子供たちに大胆に政策資源を投入する」と述べた。幼保無償化は、安倍晋三首相が平成29年の衆院選で公約に掲げた。財源に消費税増税に伴う増収分の一部を活用する。子育て世帯の負担感を和らげ、少子化対策につなげるのが狙いだ。
 3〜5歳児は原則無償化だが、私立幼稚園の一部は月2万5700円、認可外施設やベビーシッター、病児保育などのサービスは月3万7千円が上限。0〜2歳児は月4万2千円まで補助する。認可外保育所は基準外でも5年間は経過措置として無償化の対象となるが、基準を満たさない朝鮮学校幼稚部などは対象とはならない。また、政府は同日、低所得世帯の学生を対象に大学や短大など高等教育機関の授業料や入学金を減免するほか、返済不要の給付型奨学金を支給するための法案も閣議決定した。
(2月12日、産経新聞)

ポピュリズム的な支持は得られるかもしれないが、ツケを将来に回すだけの筋悪が過ぎる。
年金も医療も国庫負担が増える一方にある中で、政府・自民党は軍拡をも掲げており、消費増税の2%(3〜4兆円)でどうかなる話では無い。
そもそも社会保障費の赤字分(保険料で賄えない分)は毎年1兆円以上増えており、消費増税分など2〜3年で埋まってしまう。
社会保障が保険料で賄えない構造は、いわば底に穴のあいたバケツに水を注ぎ続けるようなもので、そのバケツの中身すら最近では偽装されていたことが判明している。
「10月実施に向けて早期成立」という辺りも、いかにも参院選向けのパフォーマンス的な意味合いを感じさせる。

現実には、幼保無償化はただでさえ困窮を極めている地方自治体にさらなる出費を強要するだけに、地方財政の赤字を加速、インフラの更新を遅らせ、老朽化を進めてしまう恐れがある。そもそも地方に一方的に財政負担を強要する霞ヶ関の手法は、地方自治の原理に反するものでもある。
また、無償化は幼保の質をさらに悪化させる恐れが強い。ただでさえ特に保育分野は恒常的に人手が足らず、保育士などの待遇も改善が進んでいないため、資格を取って就職しても、1〜3年で辞めてしまうケースが非常に多い。そのため、資格を持たないものや高齢者が雇われるケースが増えている。
無償化は、さらなる需要増を生み、幼保の粗製濫造が進み、労働環境が悪化、保育・教育の質が急低下するという流れを生むだろう。

全く愚かしい話である。
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2019年01月07日

だから軽減税率はダメよって言ったのに〜〜

【安倍政権、消費増税対策で5種類の税率が混在…国民生活はパニックで多大な負担】
 消費増税対策の迷走が止まらない。
 政府は11月22日、消費増税対策の基本方針を公表した。その目玉が「キャッシュレスレジ決済時のポイント還元を5%にする」というものだった。還元期間は、増税が始まる2019年10月から東京オリンピック開催前の20年6月までの9カ月間。
 対象商品は税率10%の商品だけでなく、軽減税率(8%)の対象となる飲食料品も含まれ、対象事業者はキャッシュレス決済ができる中小小売店や中小飲食店など。コンビニエンスストアやファストフードなどのチェーン店では、個人が経営するフランチャイズ店は中小事業者なので還元対象だが、大手企業である本社が運営する直営店は対象外となる。つまり、個人経営のフランチャイズ店が混在する小売店や飲食店では、5%還元分の費用について、フランチャイズ店は国が負担するが、直営店は企業が負担してほしいというものだった。
 しかし、「いくら大手企業の直営店とはいえ、9カ月間も5%の値引きを負担するのは厳しい」「5%も還元すると、買い物がコンビニや飲食チェーン店に集中する」という批判が高まった。そこで12月11日、コンビニや飲食店などのチェーン店は「5%ではなく2%の還元にする」という方針に変わった。
 ただし、2%還元分の費用は、中小事業者であるフランチャイズ店は国が負担するが、大手事業者である直営店は国ではなく事業者が負担する。
 この方式を採用すると、消費税率は、商品(飲食料品と非飲食料品)や売り方(テイクアウトかイートインか)、店の形態(中小事業者かチェーン店かそれ以外の大手か)によって、3%、5%、6%、8%、10%の5種類に分かれることになる(文末の表参照)。
 しかも、チェーン店といっても、コンビニやファストフードのように、フランチャイズ店が多い形態と、ドラッグストア、家電量販店、ホームセンターのようにフランチャイズが少ない形態がある。
(12月16日、ビジネスジャーナルより抜粋)


こんな問題ははるか以前に指摘している。
事務負担の大きさが挙げられる。すでに家賃、教科書、医療・介護、埋葬関連などが非課税となっているが、これに軽減税率が加わると3つの税率が存在することになる。企業や行政の事務コストが急騰するほか、軽減税率で仕入れた商品を通常税率で仕入れたことにしたり、同税率で販売したりといった脱税が横行する危険性がある。それを回避するためには、インボイス方式を導入する必要があるが、これも企業と税務当局の負担を大きくするものでしかない。ただ、消費税の滞納額は全税の50%を超えており、ここでは説明しないがその背景を考えるとインボイスの導入自体は反対するものではない。
(改めて軽減税率に反対する理由、2015.02.04)

欠点は、管理コストが大幅に上昇する点。品目ごとに税率が異なると、直接の納税申告者である小売店の負担が非常に重くなる。そして、納税の正確さを期すためにはインボイスの導入が不可欠となり、さらに負担が重くなる。
そして、あくまでも「軽減税率」であり非課税ではないため、肝心の逆進性緩和という点で、十分な効果が得られるのか疑問が残る。
(軽減税率か給付付き税額控除か、2012.06.06)

たとえ一時的なものであれ、いやむしろ一時的なものだからこそ混乱を助長させると見るべきだろう。
こんなモンスタークレームのような軽減税率や非課税の要求こそ、強権を発動して拒否あるいは弾圧すべきであり、これでは何のための総理集権、あるいは一党優位体制なのか分からない。
あるいは、軽減税率の対象を拡大しないと、業界の支持が維持できないという政府・自民党の弱気の現れなのかもしれないが。ちょっと無理筋だろう。やはり、軽減税率が利権化していると見るほうが自然だ。

いずれにしても、この辺りにも政治の激しい劣化ぶりが見て取れる。
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2018年11月22日

相次ぐ統計改竄とデータ操作が意味するもの

【政府統計、信頼に揺らぎ GDPなど日銀が不信感】
 日本の現状を映す統計を巡り、内閣府と日銀が綱引きしている。国内総生産(GDP)など基幹統計の信頼性に日銀が不信を募らせ、独自に算出しようと元データの提供を迫っているのだ。内閣府は業務負担などを理由に一部拒否しているが、統計の精度をどう高めるかは、日本経済の行く末にも響きかねない大きな問題をはらんでいる。
(11月13日、日本経済新聞から抜粋)

【雇用と企業収益の指標に「水膨れ」疑惑、揺らぐGDPの信認】
 個人消費に影響を与える「雇用者報酬」と設備投資に関連のある「企業収益」に関し、データ水膨れの疑念が民間エコノミストから浮上している。統計データが実態と乖離したまま「一人歩き」すれば、合理的な政策判断ができず、誤った方向に対策が実行されかねないとの危惧も出ている。
 消費と設備投資という国内総生産(GDP)を構成する大きな要素について、関連性の高い「雇用者報酬」と「企業収益」がともに過大積算されているということになれば、安倍晋三首相が目指すGDP600兆円へと近づいても、その信ぴょう性に「疑義」が生じかねない。
(9月26日、ロイターから抜粋)


ここに来て政府統計の改竄疑惑が次々と表面化している。
特に内閣府による雇用者報酬の大幅水増し問題については、大手マスコミが一度報道した後、早々にネット上の記事を削除しており、「誤報のお詫び」もないことから、政府による情報統制が掛けられていると見るのが妥当だろう。

経済統計というのは、殆どの場合、元となるデータが有る上、いくつもの指標があるので、一つの統計値だけが突出している場合、他の統計から「その数字はおかしいんじゃね?」という判断が容易に下せる。例えば、雇用者報酬について、内閣府の出した数字だけ突出して高い場合、その数値が明らかに異常であることは、研究者からすれば一目瞭然なのだ。
これがある企業が持つ特殊な研究データであれば、内部の限られたものにしか分からないかもしれないが、政府が出す統計の多くは、他から類推できるものが多く、統計数字の大幅な改ざんなどはすぐに明らかになってしまうものなのだ。

にもかかわらず、統計の改竄(一回だけならともかく、これだけ複数箇所で「ミス」は起こらない)が行われるのは、通常の方法で正当な統計値を出してその数字が「望ましくないもの」である場合、「政治・政権党側から圧力がかかる」「国家の威信と責任問題に関わることなので、官僚が自主的に隠蔽する」のどちらかになる。
例えば、戦時中の戦果や経済統計が隠蔽され、虚偽発表がなされたのは、後者が理由だった。

現在、ドイツのフォルクスワーゲンを始め、自動車業界でも数値の改竄が横行しているが、これらは経営側(政治)の要求に対して、技術者が正当な方法では応じられないため、数字を改ざんする他なくなったことに起因しているケースが多いようだ。

つまり、政治側からは「政権を維持するための数字」が要求され、官僚内部にあっては「敗戦の責任を隠蔽する」意図から、「特段の命令なき数値改竄」が横行しているものと推測される。

かつてゴルバチョフがソ連共産党書記長に就任した際、それまで農業関係以外の統計を見たことがなかったことに加え、彼のイメージでは国防費・国防関連費がどう見ても過剰だったことから、国家予算全体のレクチャーを受けたところ、18〜20%との説明だった。しかし、ミーシャはこれに満足すること無く、ごく一部の側近を集めて政府統計を自ら精査したところ、30〜35%にも達することが判明、「ソ連には一日の猶予もない」ことを悟ったという。
もはや日本は末期状態に陥りつつあると見てよいだろう。

【追記】
ちょうど思い出したので補足しておきたい。日米開戦の直前、日本海軍では対米戦で利用される輸送船舶の損害をシミュレートした。すると、予想外に大きな損害を蒙り、開戦後数年で継戦能力が途絶する恐れがあることが判明したため、上層部から「これでは陛下に説明できない」「決定事項である開戦に支障が生じる」と現場チームに圧力がかかり、数字(シミュレート)の恣意的操作が行われた。その結果、「開戦後三年間は毎年約80万トン前後の損失が予想される」という報告になった。現実には開戦二年目には160万トン、三年目には380万トンが失われ、四年目には継戦能力が完全に途絶する事態となった。

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2018年10月17日

エダノ、いい加減なこと言うなよ!

【立憲・枝野氏「安倍さん、日本を社会主義化させている」】
 枝野幸男・立憲民主党代表(発言録)
 (金融政策で)日銀まで株を買い、皆さんの年金の金で株を買っているのはご承知の通りだと思いますけれど、株を政府が買い支えをしている。値段をつり上げている。
 その結果、日本における最大の機関投資家は、日銀まで含めれば政府です。政府が最大の株主である国って、社会主義じゃないですか。安倍さん、日本を中国にしたいんじゃないかと思います。社会主義化をさせているとしか思えない。
 それで株は高いんだから、景気がいいという幻想を国民に描いている。必ず、大きなしっぺ返しを受けます。一日も早くそうした状況から脱却できる状況をつくりたい。
 税金を納めていただいて、再分配されて、所得の低い人たちの所得の押し上げに使われ、安心感につながれば、結果的に消費が増えてまたもうかる、ということを説明をしながら、税制を抜本的に変えていく方向に進めていきたい。(新潟市での講演で)

よく知らないことを適当に言わないほうが良い。
「社会主義」を掲げる中国が今どうなっているか、である。
中国人の殆どは自国が「社会主義」であるなどと思ってもいない。
実情を見てみよう。

若干古いが、2012年の社会科学院の国有と民有の比較推計を見ると、資産では五分五分だが、GDPでは3対7、雇用では1対4、つまり雇用の75%は民間企業が担っている。資産が移譲されないところに改革の遅延を見ることはできるものの、これは国有企業が超大企業ばかりであることに起因している。それでも経済全体に占める国有の割合は3割前後に過ぎず、現在はさらに下がっていると見て良い。
2013年以降の経済改革における主眼の一つは、「国有企業の証券化率を70%以上にすること」であり、この点、年金基金で民間企業の株を買いあさって株価を支えている日本は現代中国にすら逆行していると言える。
この結果、中国で起きているのは過当競争と経済格差の拡大であり、この問題の深刻さは日本の比では無いが、今のところ成長が止まっていないため、問題が表面化していないだけの話である。

日本の場合、税収が歳出の半分しか無く、政策経費が減り行く一方にある中で、かろうじて年金基金を投入して株価を支えることで最低限の税収を確保しているという、いわば自転車操業どころか自分の生き血を吸って生き延びているだけの状態にある。実のところ、年金で買い支えた株を売り払った途端に、株式市場が瓦解、税収が激減して政府機能が停止するかもしれないくらいの状態かもしれないのだ。

社会保障で考えた場合、現役層が急減する一方で、高齢層が増え、医療費だけで毎年一兆円以上増える状態にあり、保険料負担を増やせば、現役層の消費に大影響が生じるし、窓口負担を増やせば、選挙に勝てなくなるという「どうにもならない」状態にある。この点、消費増税は年齢層に関係なく徴収できるだけに「まだマシ」ということなのだが、それも2%増税したところで、3〜4年しか維持できないほど高齢化が苦しい状態にある。
この期に及んで消費増税に反対するということは、現役が納める保険料を増額するか、社会保障の給付水準を下げるしか対応策は無いはずだが、それを言わずにただ反対するのは無責任の極みである。

以上の点からも、立民は公党として信用するに値しないだろう。
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2018年09月05日

膨張する予算と財政危機

【概算要求、102兆円台後半に=企業は設備投資増額を―麻生財務相】
 麻生太郎財務相は4日の閣議後の記者会見で、2019年度予算の概算要求総額が102兆円台後半になるとの見通しを明らかにした。また、来年10月に予定される10%への消費税増税を念頭に、「予算編成の段階から(消費税が)2%上がった分で起きるであろうことを予想して対策を取る」と述べ、19年度予算編成で需要反動減対策を講じる考えを改めて示した。
 財務省が3日発表した法人企業統計調査で、17年度末の内部留保が過去最高を更新したことについては、「収益が上がっているのはいいこと」と強調。その上で、「利益の使い方がさらに先の設備投資にいかないと具合が悪い。賃金が上がらないと消費につながらない」と述べ、企業に設備投資の増額や賃上げを求めた。
(9月4日、時事通信)


先に述べたことだが、国債費と地方交付税交付金等を除いた政策経費である2017年度一般歳出58.4兆円に対して、社会保障関係費が32.4兆円で56%、公共事業費が6兆円で10%を占めている。社会保障費は、保険料と窓口負担で賄えない赤字分で、ソ連における食糧価格調整金と同じ類いのものだが、この10年で10兆円以上増えている。
保険料や窓口負担で賄えきれない社会保障分の税による立て替え負担は以前より急増しており、その額は10年前に年5千億円を超え、今では1兆円を超えてさらに増える見込みになっている。社会保障制度の底に大穴が開いて、税金で補填しているものの、全く間に合わず、逐次投入している状態にある。国家予算一般歳出における社会保障費を除く政策経費は、2008年の25.5兆円に対し、3%の消費増税を経ても、同17年で26兆円にしかなっていない。つまり、増税は赤字を補填する程度の効果しか無い。

安倍政権が財政を維持できているのは、税収が増えたことによる。しかし、これは日銀が国債を引き受け、年金で民間株を買い占めたためで、対外的要因で株価が暴落した場合、いきなりサドンデスとなる可能性がある。
例えば、2018年の税収はバブル期並みの58兆円を越える見通しだが、これが2010年の38兆円に激減した場合、政策経費が完全に足りなくなることを意味している。日銀が金融緩和を止められない理由の一つであろう。

ペレストロイカとは、つまるところ財政改革で、歳出の30%を占める国防費、20%を占める食糧価格調整金、20%を占める国営企業赤字補填を可能な限り減らして、政策経費を確保することが目的だった。だが、歳出改革に失敗(1990年でもほぼ同レベル)、資源価格の暴落と対東欧貿易の未払いが重なって歳入が急減、行政が機能不全に陥った。

現代日本もまた同じ道を辿る蓋然性が高い。戦争の場合は歳出増による財政破綻の流れだが、戦争がなくとも、何らかの理由で税収が激減した場合、政府機能が停止、公務員の給与が払われなくなって、行政が麻痺するケースである。具体的には、行政府や学校の閉鎖、治安の急悪化、政情不安、独裁への道という流れだろう。
ソ連やユーゴスラヴィアのケースから考えた場合、東京五輪から10年、つまり2030年前後が戦後体制・昭和帝政の終焉を迎えると推測される。
posted by ケン at 01:00| Comment(0) | 財政、社会保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする