2019年10月21日

効率と形式主義

【室温設定25度で 職員の8割強「効率上がった」】
 兵庫県姫路市は7日、市役所本庁舎で冷房時の室内温度を25度に設定した7〜8月、総残業時間が14・3%減少したと発表した。清元秀泰市長が定例会見で明らかにした。職員アンケートでも85%が「業務効率が向上した」と回答。働き方改革への効果があったとして来夏も実証実験を続けるという。
 環境省は冷房時の室温目安を28度とし、全国の自治体も準じている。姫路市は「室温が25度から28度に上がると作業効率が6%低下する」との専門家の分析を基に、7月16日〜8月31日、室温を25度にして職員の労働環境への影響を調べた。
 同市人事課によると、前年7〜8月との比較で職員1人当たりの月平均残業時間が21・6時間から18・7時間に減った。業務効率を選択肢で尋ねたアンケートでも、「とても向上した」と「少し向上した」とで計85%を占めた。
 光熱費は前年から約7万円増えたが、残業時間減少で人件費は約4千万円削減された。清元市長は「経済効率が高いことも裏付けられた」とする。温室効果ガスの排出量も微増にとどまったという。
 同市は、気候や業務量の変動を踏まえ、来夏も実証実験として継続し、データを積み重ねる方針。出張所や衛生センターなどの出先機関にも対象施設を広げるという。
(10月8日、神戸新聞)

これこそ真の効率化であろう。
もともと「室温28度設定」は、労働安全衛生法「事務所衛生基準規則」第5条第3項の、
事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が17度以上28度以下及び相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない。

を根拠に、環境省が「目安」として挙げてしまったことに由来している。
この他に、クールビズ導入時における調査で、オフィスの平均気温が26度という結果が出て、「ネクタイを外せば、あと2度は上げても体感温度的に耐えられる(だろう)」という判断もあったという。

その結果、「目安」であるはずの環境省指針は金科玉条となって、日本全体を席巻、特に自治体では「御上の指令」とばかりに強制的にエアコンの室温設定を28度にしてしまった。その後、さらに悪化して、定時になると自動的にエアコンを切るといったことまで横行して、今日に至っている。

エアコンの件はほんの一例に過ぎず、日本社会全体がこうした硬直的な上意下達の仕組みに支配され、個々の判断が許されなくなってきている。これも日本社会が衰退する大きな要因と言えよう。
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2019年10月17日

外国人奴隷契約が明るみに

【技能実習生、失踪したら賠償金 日本の監理団体が裏契約】
 外国人の技能実習制度をめぐり、受け入れを担う日本側の監理団体がベトナムの送り出し機関との間で、実習生が失踪したら賠償金を支払わせるなどの裏契約を交わしていたことが法務省関係者への取材でわかった。出入国在留管理庁と厚生労働省は、不適切な報酬の受け取りを禁じる技能実習適正化法に違反したとして、千葉、埼玉両県の二つの監理団体の運営許可を近く取り消す。
 入管庁は、賠償金などの原資は実習生が応募する際に送り出し機関に支払う費用に上乗せされる仕組みだったとみている。監理団体は9月末時点で全国に2700ある。今回の不正は実習生の入国前に発覚したが、同庁はこうした不正が横行している可能性があるとみて調査する。
 関係者によると、千葉県の監理団体は昨年7月、ベトナムの送り出し機関と契約を締結。同時に「覚書」とした裏契約を交わし、実習生が1年目に失踪したら30万円、2年目以降は20万円の賠償金を受け取れるとした。正規の契約では、実習生1人あたり1万5千円を送り出し機関に支払うことになっていた講習委託の手数料も、無料とする取り決めもしていた。
(10月8日、朝日新聞)

外国人実習生の受け入れ団体と海外にある送り出し機関が談合して奴隷契約を結んでいるという話は昔からあったが、国が認めた例は覚えが無い。

「奴隷が逃亡したら、奴隷商人が賠償金を払う」

など、完全に奴隷売買でしか無い。
霞が関幹部に言わせると、「日本は世界一の人権大国」らしいが、「奴隷には人権が無い」という前提なのだろう。いっそ霞が関官僚を「輸出」してしまえば良いのでは無かろうか。

何度も言っていることだが、外国人実習制度は地方に行くほど、「地方産業の保護」を名目に、地場産業と県会議員と警察や司法機関が結託して、存在の隠蔽を図るため、どのような不正が起こってもまず明るみに出ることは無い暗黒なのだ。
旧民主党ですら、県会議員や市会議員を通じて「外国人奴隷を買いたいのだが」旨の相談が来るくらいなのだから、その感染力たるや、野党にまで及んでいる。

制度そのものが邪悪なのであり、「不正」を前提とした制度設計なのだから、「不正」などと言うこと自体が妄言なのである。
外国人奴隷制度は即時廃止しかない。
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2019年09月30日

「税収減るからカジノを」なる錯誤と亡国

【4地域がカジノ誘致へ=検討中も6自治体−時事通信調査】
 カジノを含む統合型リゾート(IR)について、時事通信が47都道府県と20政令市にアンケートしたところ、横浜市、大阪府・市、和歌山県、長崎県の4地域が誘致の意向を示した。
 この他にも6自治体が検討していると回答。国が認めるIRは最大3カ所で、激しい誘致合戦となりそうだ。
 アンケートは8月上旬から9月上旬にかけて電子メールで実施し、全自治体から回答を得た。IR整備法によると、誘致を希望する都道府県・政令市は国に認定を申請しなければならない。4地域の他、北海道と東京都、千葉、川崎、浜松、名古屋の4市は「検討中」だ。
 大阪府・市は共同で誘致活動を展開。市内の夢洲地区への整備に向け、施設の配置やギャンブル依存症対策などを盛り込んだコンセプト案を募った結果、三つのIR事業者から提示を受けた。和歌山県は和歌山市の人工島「和歌山マリーナシティ」を想定し、2024年度中の開設を目指す。
 長崎県は佐世保市内のテーマパーク「ハウステンボス」の一部を候補地とし、今秋にもIR事業者からコンセプト案の募集を始める計画だ。横浜市は8月下旬、横浜港の山下埠頭(ふとう)への誘致を表明。関連経費を盛り込んだ補正予算が可決され、本格的に動きだした。
 検討中の6自治体では、北海道が釧路市、苫小牧市、留寿都村の候補の中から、苫小牧市を「優先すべき候補地」と整理している。千葉市は今月、誘致の是非を検討するため、事業コンセプト案の募集を始めた。
 東京都や、川崎、浜松両市は情報収集を行いながら是非の検討を進めている。名古屋市は「河村たかし市長としては、名古屋地域での大規模施設を目指して前向きに検討中」と回答した。
 その他、検討の有無は明示しなかったものの、愛知県は「国の動向を注視したい」、北九州市は「未定」と答えた。 
(9月23日、時事通信)

これは横浜市の職員の話の又聞きになってしまうが、横浜市は2019年、つまり今年をピークに人口減少に転じると考えられており、特に南部、西部での人口減が著しいという。隣の川崎ではいまだに人口が増えている中、横浜は「住みたい街」のトップ3にありながら、一足早く人口減少を加速させている。そのため、税収減は避けられず、税収減の穴埋めと観光等収入増を目指して、「カジノ誘致は必要」との判断に至ったのだという。どうも林市長は、最初からそのつもりではあったらしい。

この発想も非常に官僚的であると同時に日本的でもある。
そもそも1941年の対米開戦も、「このままでは重油の備蓄が尽きてジリ貧になってしまうから、その前に一発かましてやれ!」というところから始まったし、1931年の満州事変も「中国国民党やソ連に取られる前に占領してしまえ」という発想だった。

さらに言えば、西南戦争も武士階層が半数近くを占めた薩摩の特殊な環境の中で、「士族特権が完全に剥奪される前にやれ!」という意識が強く共有されていた。現実には長州、肥前、薩摩などで暴動、蜂起が起きたものの、士族層の大半は隠忍自重を保っていた。
その士族層も、秩禄処分に伴って下された公債を元手に商売などを始めたものの殆どは失敗したとされる。

「このままではジリ貧だ」という認識は正しくても、「だから一発花火を上げよう」という発想に至るには大きな飛躍がある。しかも、この「花火」は殆どの場合、本来必要な知識も十分な資本もないまま打ち上げられてしまうため、失敗に終わってしまう。
実際、バブル崩壊前後に進められた第三セクターや地方創生事業の大半が大赤字を抱えて終わっているが、それは自治体にノウハウがなく、ブローカーに食い物にされたからだ。

シミュレーションゲームでも、「このままではジリ貧だから、一大反撃して突破口を開こう」などと考えるものは、大半が失敗する。

今回の「カジノ狂騒」も、結局は住民に何らの益ももたらさずに、負債ばかり抱えて終わる蓋然性が高い。
戦況が不利な時は、戦線を縮小しつつ、時間稼ぎして、状況が変化するのを待つ方が、一般的にはよりよい結果を生むのである。
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2019年09月11日

日本企業の現金準備が過去最高

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ブルームバーグの記事によれば、
最新の届け出に基づく日本の上場企業の手元現金は506兆4000億円と、ブルームバーグのデータによれば過去最高。安倍晋三首相が企業の現金保有を減らすと公約し第2次政権を発足させた数カ月後の2013年3月に比べ、3倍余りに膨らんでいる。

ジェフリーズ証券の調査責任者、ズヘール・カーン氏は、企業が利益の70%を株主に還元できるところを、実際には40%しか還元していないと言い

ゼロ金利の世界で巨額現金を手元に置くことは、株主資本利益率(ROE)低下につながると指摘するのは、クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部CIOジャパンの松本聡一郎氏だ。
今後は投資家還元が少ない企業を標的とする物言う株主が増える中、日本企業ももっと変わっていくかもしれない。しかし、利益から株主に回る部分は緩やかにしか増えず、企業の手元現金は増え続けると大半が予想している。

資本側が常に主張していた「内部留保は換金可能なものとは限らない」が「ウソではないが、事実でもない」ものだったことが判明している。

安倍政権が法人税を実質的に下げて、企業優遇を進めたのは、企業に(特に国内への)投資を促すためだったが、現実には全くそうならず、利益の一部は株主に還元しているものの、それはステークホルダーが株を買い戻して自分たちの中で利益を回しているに過ぎない。それ自体は、通常の企業活動の範疇ではあるが、問題は投資が進まないことにある。

企業が国内投資に消極的なのは、少子高齢化と過疎化・都市集中によって投資効果が大きく減退している点にある。投資するとすれば、いまだ人口が増加し続けている首都圏であるが、東京都ですら2025年には人口減少が始まるとされており、投資欲がわかないのは当然だろう。
さらに言えば、政府の宣伝とは真逆に一部の大企業を除いて大半の労働者は実質的に収入を減らしつつあり、10月からは消費増税もあって、今後はさらに購買力が低下してゆく蓋然性が高い。

これは少なくとも従来型の投資(生産力増強)は殆ど成算が無いことを意味しており、投資するとすれば、将来性のある未開拓分野に対する新規投資であるわけだが、体力のある大企業ほど「日本型組織=日本型経営」にどっぷりはまっており、リスクを取るような決断ができなくなっている。

企業が自己防衛に走る場合、借入金をできるだけ減らし、人員と固定経費を抑えつつ、現金を貯め込むことになるわけだが、これは現金の価値が高いデフレだからできることであって、同時にデフレを促進してしまう(皆で現金の価値を高めるから)。
日本の場合、最低保障年金が非常に低いため、金融庁が(間違ってらしいが)「老後に最低二千万円必要」と言うほど老後の資金が必要とされる。高齢化率が二割を超え、三割に迫る場合、ますます高齢層の現金需要(貯め込み)が高まって、消費はますます減退するだろう。

ソ連学徒的には、「みんな現金はジャブジャブあるけど、誰も使わない」状態は1980年代のソ連を思わせる。
当時のソ連も、西側の宣伝とは異なり、それなりに豊かだったが(技術レベルやサービスは劣悪だったが)、市民の目からすると、突然大インフレが襲ってきて、一夜にして貯金がパーになり、全員頓死してしまった観がある。
意外と日本もそれに近い形で頓死しそうなイメージだ。
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2019年08月31日

全受労への対応に見るNHKの悪逆非道

【NHK受信契約員の労組が救済申し立て N国の影響も】
 NHKから受信契約の業務などを受託する地域スタッフらでつくる労働組合の一つが21日、不当労働行為の救済を東京都労働委員会に申し立てた。NHKがスタッフの業績評価基準を変える際、団体交渉で差別を受けたなどと主張している。
 この労組は「全日本放送受信料労働組合」。約60人が所属し、うち地域スタッフは約50人という。
 同労組によると、NHKは地域スタッフに対し、受信契約の取次数などの目標を設定している。達成率が低いと、口頭や書面での注意といった「特別指導」を受け、指導実施中も目標に届かないと、受託を打ち切られることもあるという。
 NHKは、この目標の基準を今年10月から変更する案について、組合員が多い別の労組と交渉して合意した。しかし、全日本放送受信料労働組合に対しては、変更内容を3月に通告するだけで済ませ、その後抗議を受けても無視したという。同労組は、NHK側の対応が不当労働行為にあたると主張している。
 NHKによると、地域スタッフは昨年10月時点で全国に約1200人いる。地域スタッフや外部法人への委託を通じて受信料の徴収を強化しており、2018年度の受信料収入は過去最高の7122億円になった。同労組によると、地域スタッフの取次数は全体の2割弱を占めるという。
 同労組は21日に都内で開いた記者会見で、7月の参院選で議席を得た「NHKから国民を守る党」が話題になっていることに触れ、受信料の不払いや契約拒否が増えている、というスタッフの声があることを明らかにした。勝木吐夢(とむ)書記長は「徴収の困難度が増している中で新しい基準が運用されると、地域スタッフの収入が減り、制度の維持が難しくなる」と話した。
 一方、NHK広報局は「申し立ての内容について確認しているところであり、現時点ではお答えできない」としている。
(8月21日、朝日新聞)

全日本放送受信料労働組合(全受労)はNHKの集金、契約に従事する労働者から構成される労働組合で、全労連系。

NHKは委託労働者(通称「地域スタッフ」)を法律上の労働者と認めず、従って全受労もまた正規の労働組合ではないとの主張を繰り返している。結果、NHKは団体交渉を拒否して、司法闘争に発展、東京地裁などで不当労働行為が認められたものの、NHKは控訴を続けている。
こうした労働問題があること自体、大手メディアも民主党系の野党なども一切触れず、(残念ながら)NK党とその機関紙のみが取り上げてきた。

NHKは国民に法律によって契約を強制し(近代司法の原理に反する)、一方的に収奪している「受信料」で経営を成り立たせている「殿様商売」をしているくせに、その契約と料金徴収に携わる労働者を「法律上の労働者ではない」と言い放つ反社会勢力である。
それもこれも、N国のような奇抜な政党が100万票を集めて注目され、話題になることで社会的に露見するという始末。
圧倒的な情報収集力に恐怖する既存政党、その政治家に対する影響力をもって総務省と共依存の関係にあること、民放に対する圧倒的な資本力などNHKの独占的地位のなせる業だった。

そのNHKは、いまや「インターネットに接続するものは全て受信料を払え」とまで言い出している。
NHKは一日も早く廃止、ないし分割(国営と民営に)しなければ、近い将来、大きな災いの原因となるであろう。
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2019年08月16日

安倍政権が支持される理由・続

安倍政権が支持される理由」の補足。
安倍政権は伝統的な自民党の統治手法に則っている側面がある。
それは「野党の政策を先取りする」だ。
55年体制下で社会党が政権奪取できなかったことの一因は、自民党が社会党の政策を先に実行したことがある。
特に岸内閣における国民健康保険と国民年金制度は、与党内に強い反発があったにもかかわらず、岸信介のイニシアチブによって強行された。結果、日米安保改正問題で大騒動が起こったにもかかわらず、岸内閣は総辞職するのみに終わり、続く総選挙では自民党が勝利している。これは「日米安保を除けば、自民党で良い」と国民が判断したためだった。

では、現在の安倍政権はどうか。
アベノミクスをまず見た場合、「大胆な金融緩和」によって倒産寸前にある零細企業や地方企業を救済し、雇用を守っている(だから経済成長しないのだが)。同時に物価も安定している(これも経済成長しない理由だが)。
「機動的な財政政策」で公共事業が復活(日銀が建設国債を購入)、伝統的な自民党支持層は一応潤っている。
「成長戦略」もバラマキに近いが、法人税を引き下げ、外国人労働者を緩和し、企業的には万々歳で内部留保だけは増えている(つまり投資先が無い)。

これらの政策は名称とは逆に競争と成長の可能性を犠牲にして、既存の資本と雇用を維持することに重点を置いていることが分かる。となれば、現状維持を優先したいものにとっては安倍政権を支持しない理由が無い。
さらに言えば、今後日本経済が悪化する以外にほぼほぼ可能性が無い以上は、「現状維持を至上とする」霞が関の方針に反対する方がリスクがあると言える。
ゲーム的に言えば、1D6を振って「1」が出れば成長軌道に乗るが、それ以外の場合はすぐに悪化するという選択肢と、「とりあえず現状維持」であるなら、後者を選ぶのが人情だろう。
その意味で、安倍政権は非常に「保守的」なのだ。

雇用については少なくとも数字上は改善しており、2012年の4.4%から2019年の2.4%まで劇的に改善している。
これは基本的には少子高齢化と非正規職の増加による「統計上の失業者の減少」という側面はあるものの、安倍政権を全否定する理由にはならず、全般的にはむしろ評価されているとみるべきだ。
また、今更ではあるが、就職氷河期世代への配慮や中途採用の拡大なども主張しており、本来野党が主張すべき政策を先取りしている。
野党からはダメ出しされつつも、最低賃金を上げる方向で財界に働きかけており、平均的な自民党総理よりはよほど「労働者にやさしい」側面がある。

社会保障についても、野党はこぞって批判しているが、安倍首相は基本的には祖父君の遺訓を受け継いで社会保障の維持に努めているように見える。
少子高齢化が進行する中で、制度そのものを維持するためには支出の抑制が不可欠であり、NK党や社民党が主張する「充実」を行った場合、税による補填が増えるだけで、すぐにも財政破綻するだろう。
日本の場合、例えば健康保険の適用範囲が非常に広く、薬も出し放題で、かなり放漫財政になっている。制度の持続性を考えた場合、保険適用範囲の限定は避けられないはずだ。この点、安倍政権でも進めておらず、安倍政権が本質的には社会保障制度に親和的であることを示している。同制度の大幅な縮小でも主張しない限り、自民党と野党の対立軸は決定的なモノになりにくいだろう。
幼児教育、保育の無償化も同じで、野党の政策であるべきものを先んじて実行している。

全般的に見た場合、2009年の民主党が「いま大手術すれば、日本は復活できる!」と大見得切って、国民の7割以上の支持を受けて政権交代を実現させたものの、蓋を開けてみれば、「何をどう手術して、日本をどう再生させるのか」について全く絵図面を持っていなかったことが判明した。挙げ句の果てに公約破りの増税を自民党と談合して決め、東日本大震災などの不幸があったとはいえ、失業率を悪化させて、わずか3年で自民党に支持が戻ってしまった。
自民党にはその反省があるため(悪夢の民主党政権)、安倍政権は「手術」路線を封印、現状維持=延命路線へと舵を切った。これは言うなれば、「ペレストロイカをやらないソ連」路線であり、いくばくか余命をつなぐことはできるかもしれないが、「それだけ」なのだ。故に、国内の貧困は見えないところで深刻化し、少子化も止まることが無い。
しかし、「手術するよりはマシ」というのが国民の大多数の判断であり、少数派のリベラル派を中心とした潜在的不満の高まりに対し、権威主義と警察権力をもって対処しようというのが安倍政権の本質なのだろう。言うなれば、岸信介の国家社会主義路線のソフト&劣化版と言えそうだ。

ケン先生的には「ペレストロイカをやらないソ連」の末路がどうなるのか、興味深く見守るつもりだ。
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2019年08月01日

関東軍化するNHK

【NHK、受信契約巡りサイトに警告文「違法行為に対処」】
 NHKは30日、受信設備があるのに受信契約をしないのは違法だと警告する文書を公式サイトに掲載した。今月の参院選では「NHKから国民を守る党」(N国)が、受信料を払った人だけがNHKを視聴できるようにするスクランブル放送の実現を訴え、議席を得ている。NHKは文書とN国との直接の関連を否定し、掲載の理由を「最近、誤った理解を広めるような発言が頻繁に聞かれるため」としている。
 文書は「受信料と公共放送についてご理解いただくために」というタイトルで、「『NHKを見なければ受信契約はしなくていい、受信料は支払わなくてもいい』と発言する人たち」を問題視。「『受信料を支払わなくてもいい』と公然と言うことは、法律違反を勧めること」と主張し、「誤った認識を広めるような行為や発言」にはきちんと対応し、「明らかな違法行為」には厳しく対処するとしている。
(7月30日、朝日新聞)

N国の政党化などを受けて、NHK批判が加速する中、NHKが視聴者に対して法を盾に恫喝を始めている。
これは「戦争に協力しないのは法律違反(国家総動員法)だ」という旧軍の主張と何ら変わらない。

NHKは民法に比して過大な資金と人脈を有し、霞が関との繋がりも深いため(東大卒が多い)、放送法やNHK予算などについて大きな影響力を行使し、自分たちに都合の良い制度をつくってきた。
形式上は国会で審議されるため、一見公平な制度に見えるかもしれないが、国会議員は日本最大級のメディアであるNHKを敵に回すと不利になることが多すぎるため、国民の利益が反映されることは殆ど無く、ほぼほぼNHKの要求通りに実現してきた。事実、NHKの予算案などが否決されたことは一度も無く、これは議会の監督機能が機能していないことの証左である。NHKの受信料と放送法の関係について質問しているのは、ケン先生が質問をつくってやってもらった前ボスくらいなものである。
現在では、NHKは一方的にネット配信してネットに繋がるもの全てから料金を徴収しようと画策しているが、これに反対する勢力は国会に無い。
野党は「消費税減税・廃止」よりも「NHK民営化」(年間2万5千円、地上波のみなら1万5千円)を訴えるべきだろう。

放送法と国家によって守られているNHKは本来視聴者であり、購入者である国民に対して謙虚でなければならない。
NHKは民放と異なり、法律によって実質的に料金を強制徴収でき、経営努力の必要が殆どないためだ。
「契約は双方の意思の合致によってのみ成立する」(契約の自由)という近代私法(日本国憲法)の根幹に反してまで、放送法第64条「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と規定させたのは、旧軍同様の影響力を有するNHKの権威と、「公正中立な放送をあまねく全国民に提供する」建前だった。
だが、昨今の報道を見れば分かるとおり、「公正中立な放送」は既に死文化、いまや大本営発表を垂れ流す一機関となっている上、コンテンツの多様化から「生活に不可欠な放送」でもなくなっている。
にもかかわらず、いや恐らくは「であるからこそ」、NHKは権威主義と不適切な(時代にそぐわなくなっている)法律を盾に国民を恫喝するほかなくなっているのだろう。

本来であれば、NHKの民営化と放送法の廃止を視野において法改正の議論を進めるべきところだが、NHKと癒着する総務官僚や「NHK討論に出られないと困る」「NHKに弱み(スキャンダル)を握られている」政治家によって、放送法やNHK改革に関する議論は完全に封じられている。
これも議会制民主主義の機能不全(政官業の癒着)の表れであろう。

【参考】
NHK受信料をめぐる決定的課題
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする