2018年02月15日

さらなる労働地獄へ2

【契約社員も裁量労働に−「適用可能」と政府答弁書】
 政府は6日の閣議で、今国会に提出予定の働き方改革関連法案に盛り込まれる裁量労働制について、雇用形態や年収に関する要件はなく「契約社員や最低賃金で働く労働者にも適用が可能だ」とする答弁書を決定した。
 裁量労働制は実際に働いた時間にかかわらず、事前に労使で取り決めた分だけ働いたと見なす。指示を受けずに仕事の進め方を決めることができる人を対象としているが、長時間労働を助長するとの批判もある。実際に裁量がない人にも拡大される恐れがあるとして、野党は反発している。
 政府はこの制度のうち、事業運営の企画などを担う「企画業務型」の対象業種拡大を法案に明記する考えだ。
(2月6日、共同通信)

これは政府的には冷静に現状認識を述べただけで特段の意図があるわけではないのだろう。現状でも、条件さえ適合すれば、契約社員などに裁量労働を適用することは可能であり、今回の「働き方改革」では裁量労働の適用範囲が超拡大されるという話に過ぎない。

ただ、現実問題として契約社員や超低賃金で働かされている正社員が、職務上の裁量を持ち得ているのかという話はある。だが、今回の改革で雇用形態や職務にかかわらず適用可能となるため、際限なく適用される恐れが強まっている。準備されている案では、「労使合意」が必要とあるが、現状の三六協定が全く労働時間規制に寄与していないことを考えれば、何の担保にもならないことは明白だ。まして、日本の労働組合は単なる大企業正社員の互助会に過ぎず、契約社員などの非正規社員のために機能することは殆ど無い。

日本の労働地獄はさらに過酷になって行きそうだ。マルクス主義が再評価される日は遠くないかもしれない。
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2018年02月06日

時給3ドルの「先進国」

【学生寮の警備「時給378円」 会社に残業代支払い命令】
 学生寮の警備員として仮眠も取れずに勤務したのに残業代が支払われなかったとして、富士保安警備(東京)の元従業員2人が未払い賃金計約1200万円の支払いを求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。井出正弘裁判官は「悪質な事例で元従業員の不利益も大きい」として、制裁金にあたる「付加金」も含め計約1200万円の支払いを同社に命じた。
 判決によると、2人は日本語学校の外国人寮や大学の学生寮などの警備員として働いていたが、2015年に体調を崩すなどしていずれも退社した。夜勤の際は2時間おきに巡回。仮眠時間も狭い守衛室を離れられず、深夜でも騒音に対する近隣住民の苦情電話が頻繁にかかってきて、対応に追われた。
 同社は「仮眠は労働時間ではない」などと主張したが、井出裁判官は「多数の留学生が生活する寮ではトラブルも多く、仮眠時間でも労働から解放されていたとは言えない」と指摘。2人の労働時間を時給で換算したところ、最も低賃金のシフトでは時給378円となり、「東京都の最低賃金を大きく下回る」と認めた。
(1月30日、朝日新聞)

1917年5月にロシア・ロスラヴリ市でストライキを決行した女性帽子職人組合が要求したのは、「一日八時間労働」「賃金50%アップ」「週休2日」「有給休暇」等だった。

2018年の日本を見ると、「一日平均十時間労働」「一日平均一時間二十分の無給残業」「有休取得率50%(うち約20%は有休労働か、会社のイベント動員)」「通勤二時間以上」という具合。
時給3ドルの「先進国」、なにをかいわんや。

日本政府は現在に至ってもなお、ILOの国際労働条約第1号「8時間(週48時間)労働制の導入」(1919年)を批准していない。1920年、日本で初めて開催された本格的メーデー(労働組合が主催)で掲げられたアピールは、「8時間労働制」「失業の防止」「最低賃金の導入」であり、少なくとも8時間労働制はいまだ実現できていないことを、政府自身が認めている。

立憲民主党は、、「一日八時間労働」「賃金50%アップ」「通勤時間を労働時間に加算」「有給休暇の100%取得」を求めるべきだろう。
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2018年02月03日

14ノットしか出ない巡視船−いつの時代?

【巡視船発注したら…重すぎて速度出ず 納品断念 川崎】
 川崎市は25日、老朽化した市の巡視船「つばめ」(約28トン)の後継船が完成したものの、船体が重すぎて市の求める速度が出ないため、業者との建造契約を解除すると発表した。当面、「つばめ」を使い続けるという。
 市によると、「つばめ」は1974年建造。湾岸部の工場地帯を海上から巡視してきた。老朽化したため市は30トン級の船の新造を決め、入札を経て2016年春、横浜市の造船会社と契約を結んだ。建造費は約2億7200万円。就航予定は17年4月で、名称も「かもめ」と決まっていた。
 同社は17年3月、市から求められた「19ノット以上」の速度が出るか試験運航をしたところ約14ノットしか出なかった。重さは30トンの計画だったが45トンあった。軽量化を試みたが昨夏の試験でも14ノット止まり。今月に入り、市に「納品断念」の連絡をしてきたという。
 同社は「建造時、重量の管理をきちんとしていなかった」と説明しているという。市が建造費を負担することはないといい、賠償金のほか、運航が続く「つばめ」の使用・維持管理の費用も同社が払うという。市の担当者は「こんな事態は聞いたことがない」と驚き、「新たな船を極力早く造る」と話している。
(1月28日、朝日新聞)

「市から求められた「19ノット以上」の速度が出るか試験運航をしたところ約14ノットしか出なかった。重さは30トンの計画だったが45トンあった。」

おいおい、いつの時代だよ、「昭和」17年かよ。
当該企業のHPを見る限り、本来は鉄鋼屋で、船舶修理や作業船の建造は行っているようだが、高速船の実績は無さそうだ。とはいえ、

「ゼネコンの船舶・機械部門から独立した技術と経験を活かし、自航・非航を問わず作業船の建造・改造は得意の分野」

と宣伝しており、非常に痛々しい。
現実的には入札の不備と、「とにかく何でも良いから仕事を拾ってこい」という昨今の企業文化の賜物なのだろうが、「技術大国日本」の凋落と行政の劣化を示すものになっている。
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2018年01月22日

無いところに仕事をつくる観光庁

【若者はもっと海外旅行を!=促進策を検討−観光庁】
観光庁は、若者の海外旅行離れを食い止めるため、促進策を探る有識者検討会を設置して議論に着手した。海外での経験は視野を広げることにつながるほか、外国人観光客の受け入れ体制を整備する際役立つ。同庁は、若者が海外旅行をしやすくする取り組みの方向性を今年度末までにまとめ、2019年度予算概算要求に関連施策を盛り込む方針だ。
 1996年の日本人の出国者数は1669万人で、うち20代は463万人。2016年は全体が1712万人とほぼ横ばいだが、20代は39%減の282万人だった。主な減少理由として、若者がショッピングセンターや温浴施設など近場で休日を過ごす傾向にあることや、スマートフォンのゲームなど室内での趣味が増えたことなどが考えられる。
 有識者検討会では、若者が海外に行く動機付けなどをテーマに議論。課題を洗い出した上で、旅行の促進につながるような関連省庁の事業や旅行業界による取り組みを示す。外務省や文部科学省も議論に参加しており、両省の施策も検討する。
 若者の旅行促進では、観光庁が13年2月から旅の素晴らしさをテーマとする出前授業「若旅授業」を実施。海外経験の豊富な有識者らを講師に招き、高校や大学などで昨年12月までに54回開催している。
(1月10日、時事通信)

日本のヤクニンがいかに頭が悪いか、あるいは確信犯的に満州事変を起こそうとする悪人であるかを物語るエピソード。

こんなものは、「若者が海外に行かなくなった」ではなく、単に若年人口が減っただけの話だ。20代人口を見た場合、1967年から76年に生まれたものは1953万人に対し、1987年から96年生まれの現在の20代は1238万人で約37%の減少。20代の海外旅行者の減少は39%というのだから、ほぼほぼ人口比と変わらない。

日本の所得水準が20年前と変わらないのに対し、世界全体の物価が上昇していることを考えれば、相対的に貧困化する中で、かなり無理して海外旅行に行っているのでは無いかと想像されるくらいだ。その意味では、アメリカやヨーロッパからアジアにシフトしていることは十分に考えられるが、「近場で過ごすようになった」「室内の趣味が増えた」は無関係だろう。
この統計の示すところは、中高年層が自らの貧困化や将来不安を考慮せずに海外旅行に行っている姿であるが、この辺も海外旅行の内容や金額について精査しなければ何とも言えないはずだ。
しかも、20代の年収は20年前に比して2〜4%減少している上、現在では20代の約6割が貯蓄ゼロになっている。大学生の約半数は借金して通学しているくらいだ。若年層の海外旅行など30年前か40年前くらいの贅沢になってしまっている。

以前にも「海外留学する大学生が減りつつある」と文科省や大学関係者が騒いだことがあったが、この時も若年人口の減少や貧困化を考慮せずに、「若者の内向き志向が進んでいる」などと決めつけていた。

こうした統計を読んで現実を把握することもできない連中が政策決定を行っているのだから、誤った政策が実施されて何の効果も発揮しないのは当然だろう。この辺は、エリート層が社会から完全に遊離しつつあることを示すもので、危険な兆候と言える。
エリートは若者イジメなどする前に、賃上げと労働時間を減らす方策に専念していれば良い。それができないからこそ、若者イジメに走っているのかもしれないが。
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2018年01月20日

ウナギはいよいよ絶滅か

【ウナギ稚魚、極度の不漁=過去最低更新の恐れ】
 絶滅の恐れがあるニホンウナギの稚魚シラスウナギが極度の不漁となっている。 水産庁によると、昨年12月の国内漁獲量は約0.2トンで、前年同月実績を大幅に下回ったようだ。今後も不漁が続けば、2018年漁期(17年12月〜18年4月)は過去最低の5.2トンだった13年漁期を下回る恐れがあり、養殖業者らは危機感を強めている。国内のシラスウナギ漁は鹿児島、宮崎、静岡など24都府県で行われている。鹿児島では18年漁が解禁された昨年12月10日以降の15日間で0.5キロと前年同期の1%程度しか取れず、「1月に入ってもかなり少ない状況」(県資源管理課)という。 
(1月17日、時事通信)

この記事からして突っ込みどころ満載。
「絶滅の恐れ」のあるウナギが「極度の不漁」とか、そもそも何言っちゃってるの?
これまでも散々絶滅する恐れが指摘されてきたにもかかわらず、漁獲制限を設けてこなかった結果であり、絶滅の危機に瀕してからもなお採り続けたのだから、当然の帰結では無いか。
一々コメントする気も失せるが、「バカに付ける薬は無い」とはまさにこのことだろう。やはり一回滅びないとダメなのかもしれない。
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2018年01月11日

立民いっちまったな:またも公務員給与削減

公務員の労働基本権を回復し、労働条件を交渉で決める仕組みを構築するとともに、職員団体などとの協議・合意を前提として、人件費削減を目指します。
(1月8日、立憲民主党公式ツイッターより)

国家公務員の給与水準は20年前の1990年代後半とほぼ同水準にある。2000年初頭に向上したものの、同後半から低下、大震災で切り下げられて、ようやく元の水準に戻された感じ。20年間も給与水準が上がらないこと自体、日本の経済成長が低迷し、労働生産性が向上していないことを示している。もっとも、民間の給与水準は同年比で9割に低下しているので、「民間に比べれば優遇されている」との批判は的を射てはいるが、経済成長が無い中で低い方に合わせたら、水はより低きに流れることだろう。

これを言った場合、恐らく党からの反論は「公務員の給与を減らすのでは無い。業務を効率化させて、人件費を抑制するのだ」というものが考えられるが、それを行った結果、低賃金の非正規公務員が溢れかえり、むしろ貧富と身分の相対的格差を助長させると同時に、行政サービスの質的低下を促進してしまった。
しかも、労働基本権を認めるのに、人件費を下げるということは、労使交渉で妥協するつもりは全く無いことを宣言してしまっている。

つまり、立憲民主党の「公務員人件費削減」は、さらなる非正規化とサービスの質的低下を促進する宣言でもある。本音は「連合の支持は欠かせないが、公務員叩きの世論にも応えたい」というところなのだろう。
通常国会すら始まってないのにオワコンだな。
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2018年01月06日

労働生産性の低さが意味するもの

【日本の労働生産性 OECD35カ国中で20位】
 日本生産性本部は20日、2016年の労働生産性の国際比較を発表した。時間当たりの労働生産性(就業1時間あたりの付加価値)は、日本が前年比1.2%上昇の46ドルだった。国内総生産(GDP)が拡大した一方、1人当たりの労働時間が減少したためで、増加は7年連続となった。
 しかし経済協力開発機構(OECD)平均の51.9ドルは下回っており、加盟35カ国中の順位は20位で昨年と同じだった。先進7カ国(G7)でも最下位が続いている。
 1人当たりの年間の労働生産性は8万1777ドルで、OECDでの順位は昨年と同じ21位。3位の米国(12万2986ドル)の3分の2の水準にとどまっている。
 同本部では化学や機械などの分野で米国の生産性を上回るなど、製造業では競争力があるが、小売業や運輸業などサービス産業で米国の半分程度しかないことが日本の生産性全体を低くしているとしている。
 今回の結果について東洋大学の滝澤美帆教授は「日本の生産性がG7で最下位なのは極めて深刻だ。能率改善などの取り組みよりも、日本の稼ぐ力を強化することでの生産性向上が重要だ」と強調する。
(12月20日、産経新聞)

労働生産性が低いのは、「生産力が上がらない」「労働力の投入量が多すぎる」ことに起因する。GDPが上がらないのは、低収益の企業が倒産せずに温存されているためだが、それは補助金や公的金融機関が充実していることと、労働基準法が機能していないことに起因している。そして、低収益企業は低収益をカバーするために、人件費を抑制しつつ、長時間労働を強いるため、さらに労働生産性が低下する構造になっている。他方、高収益の企業はAI/ロボット化を進めるため、労働生産性の格差が拡大する一方なのだが、日本では外国人技能実習制度に象徴されるように、政府・自治体と銀行と企業が一体となって低収益企業を温存、負のスパイラルに陥っている。

マクロで見た場合、日本のGDPは1996年が525兆円(名目)、450兆円(実質)で、2016年は537兆円(名目)、521兆円(実質)で、20年間で2%(名目)、15.7%(実質)の成長となっている。これに対し、アメリカは229%(名目)、158%(実質)に成長している。
一方、労働力の投入量を見た場合、日本は1996年の就業人口が6486万人、2006年で6465万人。総実労働時間は1996年が年間1912時間に対し、2014年で1729時間。ただ、労働時間は就業者全体の数字であり、正社員に限ると2000時間に達する上、サービス残業や自主的休日出勤は数えられていない。
これに対してアメリカは、就業人口が1996年で1億2672万人で、2016年が1億5144万人。総実労働時間は約1800時間のままで推移している。
結果、日本の労働生産性はOECD諸国で20位に対し、アメリカは3位となっている。
公的融資機関、政策減税、各種補助金が、市場の自由競争を阻害し、本来退出すべき不採算企業をゾンビ化させて生き残らせ、経済成長を低迷させている。この点、倒産の無い国営企業群が経済成長を阻害した社会主義国と似ており、公的融資機関、政策減税、各種補助金の縮小、廃止は不可欠だろう。実際、「福祉国家」と言われながら、いまも経済成長を続けているスウェーデンには、この類いのものは存在しないという。
そして、政治家が企業と官僚を仲介し、官僚が減税・補助金を出し、企業が官僚の天下りを受けつつ政治家に献金する、という「腐敗のトライアングル」が日本の成長を阻害して社会をむしばんでいる。旧民主党は、その初期にその打倒と改革を謳っていたはずだが、今では完全に取り込まれてしまって、見る影も無い。

低収益・不採算の企業が生き残るということは、市場適性の低い、無能な経営者がトップに居座り続けることをも意味する。アメリカの場合、トップが天文学的報酬を得る一方で、要求される水準を満たせなければ即クビにされる。日本の場合は、企業の存続を揺るがすほどの事態でも起きない限り、経営者の責任が問われることは無い(核惨事ですら責任は問われなかった)。そのため、企業内の昇進も、能力では無く、派閥や政治力学で行われる。その結果、東電、東芝、シャープなどを見れば分かるとおり、無能な執行部が適切な対応を打てずに、延々と責任回避に終始する始末になっている。

また、日本のサービス業に象徴される通り、低価格・低収益の飲食店や小売店が乱立しているため、供給過剰となって低価格化に拍車が掛かると同時に、労働力不足が常態化している。そして、低収益であるが故に収益を上げるためには「薄利多売」する他なく、さらに出店を増やし、長時間労働を強要、低価格化と労働力不足を加速してしまっている。その労働力不足を解消するために、政府は外国人「留学生」と「技能研修生」を動員しているが、本来市場から退出すべき低収益事業を存続させ、低価格化を加速させ、労働市場の劣化(賃金低下と長時間労働)を招くだけに終わっている。
日本型ペレストロイカに必要なもの、そして失敗する理由

これを解決するためには、低収益・不採算企業の市場退出を促進させつつ、労基法の適用を強化したり、三六協定を廃止して残業を原則禁止するなどして、長時間労働や休日出勤あるいはボランティア労働を抑止する必要がある。
例えば、東京マラソンの場合、約1万人のボランティアが運営を担っているが、そのうち自発的に応じたボランティアは半分程度で、残りの半分はスポンサー企業などからの勤労動員による「ボランティア」で賄われている。つまり、公募で足りない要員を、スポンサー企業が社員に強制的に有給休暇を取らせてボランティアに応じさせているのが実情で、低生産性の象徴的事例と言える。

「なすべきこと」は明確なのに何もしないのは、政治の怠慢でしかない。
posted by ケン at 00:00| Comment(4) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする