2016年12月03日

11、12月の読書報告(2016)

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『セカンドハンドの時代―「赤い国」を生きた人びと』 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 岩波書店(2016)
『戦争は女の顔をしていない』のアレクシエーヴィチ女史の新作。今作も延々とインタビューが続くわけだが、ソ連崩壊から四半世紀を経て、市井の人々が「ソ連」をどのように捉えて回想しているか、非常に興味深い。本の紹介は「21世紀に頭をもたげる抑圧的な国家像をとらえた」などと、相も変わらず西側史観丸出しだが、実際にロシアなどで高齢者に話を聞いてみると、驚くほど多くの人がソ連時代を懐かしげに語っている。果たして、実像を知らない外国人が文字情報だけでインタビューを読んで、どこまでソ連という時代を理解できるのかは甚だ疑問だが、まぁ他人事か。

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『黒い巨塔 最高裁判所』 瀬木比呂志 講談社(2016)
最高裁の調査官まで務めるエリートコースを歩んだ元裁判官が描く最高裁の実態。孫崎氏の『外務省』よろしく、小説という形にすることで最高裁判事やその組織のおぞましい姿をえぐりだしている。霞ヶ関よりもさらに密室度が高く、マスコミの監視からも完全に外れているだけに、その暴虐ぶりは凄まじいばかりのようだ。

『ユーゴ内戦−政治リーダーと民族主義』 月村太郎 東京大学出版会(2006)
ユーゴ内戦を「起こるべくして起こった」という視点から見るのでは無く、各共和国や民族派のリーダーが自己の権威を高め、権力を手中に収めるために、いかに民族主義を煽り立てていったか、に焦点を当てている。内戦が最も凄惨だったボスニアでも、直前まで連邦を維持し、民族主義に反対する声が圧倒的多数を占めていたことは、注目に値する。現在の日本を考える上で、非常に示唆に富んでいる。

『国家神道と日本人』 島薗進 岩波新書(2010)
勉強会の課題図書。まだ全然手を付けていないので内容は分からないが、大衆の政治的不満を左派が吸収できなくなっていることが問題なのに、「いかに右派がヤバいか」という勉強ばかりしていて良いのかと思う次第。

『大正天皇』 原武史 朝日文庫(2015)
舞台『治天ノ君』を観て復習することに。単行本が出たときにパラパラとはめくったような気がするのだが、改めて読んでみたいと思う。

『「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年』 加藤聖文 中公新書(2009)
日本本土を始め、帝国内の領土・植民地がどのように敗戦を迎え、対応したのかという珍しいテーマを扱う。在外日本人の安全を保障し、引き上げる作業。突然日本国籍を失い、植民地支配から「解放」されるも、全く先の見通しがなくなってしまう在外領土、ソ連に編入される樺太と千島など、通常の歴史研究が見落としがちなケーススタディをまとめた一冊。
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2016年10月04日

急進化する自動翻訳技術

【話した言葉、すぐに翻訳…五輪へ官民で技術開発】
 政府は2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、話した言葉を瞬時に別の言語に翻訳する自動音声翻訳技術の開発を加速させる。訪日外国人の急増で翻訳の需要が高まっているためだ。15年度からの5年間で計約100億円の予算を投じ、官民を挙げて取り組む。20年頃には自動翻訳機による「おもてなし」が実現する可能性がある。「一列に並んでください」。メガホンを口にあてて日本語で話すと、メガホンのスピーカーからは英語や中国語に翻訳された合成音声が出てきた。パナソニックが開発中のメガホン型の自動翻訳機だ。駅や観光地など不特定多数の外国人が集まる場所で、一斉に案内をするのに効果を発揮する。東京都が今月行った防災訓練でも避難誘導に使われた。
(9月26日、読売新聞)

このネタも繰り返し扱っているが、容赦されたい。

10年前、TG大の大学院である教授から「自動翻訳技術はこの10〜15年で確立する」と言われ、「なるほどそうかも」と思ったものだが、現状はほぼ実現する見込みだ。特にこの数年、「単語の置き換え」からユーザー参加型のディープラーニングに軸足が移ったことで飛躍的に精度が向上している。
まず画像認識と音声認識の精度が向上し、さらにネットワークから得たビッグデータが認識精度を高めている。SNSの普及により、会話とコミュニケーションのデータが無限大に拡大したことも影響している。
今のところ、FBの翻訳機能をみても使える気はしないのだが、ゲーム関係の翻訳はかなり自動化が進んでおり、その精度も日に日に上がっている。使えば使うほど精度が上がるのだから当然だろう。将棋や囲碁のレベルがプロ並みになったのも、ディープラーニングを導入したからであり、古今東西すべての棋譜を収集して学習し最善手を導き出すに至っている。

一方で、人間の学習能力はさほど向上しておらず、様々な環境要因や精神状態に左右されすぎるのは昔と変わらない。外国語教授技術は向上しているものの、だからといって外国語学習が以前に比して飛躍的に効率化したという話は聞いたことは無い。実際、日本における英語教育の水準は以前と変わらず、故に小学校から必修にする方向にあるが、砂漠に水を蒔くような話でしかない。
自動翻訳の技術革新により、殆どの学習者が十年学んでもロクに話せないし、書けないような外国語学習は、間もなく陳腐化するだろう。

「それでも機械翻訳は間違うし、精度も不確かだ」という反論に対しては、「では人間が話す言語は、母語であれ外国語であれ、間違わないのか?」で十分だ。たとえ母語話者同士の会話であれ、100%の意志疎通が図られているということは無く、様々な誤解や認識ギャップを抱えながら、コミュニケーションを交わしている。普段、普通に会話していて「会話が成立していない」と感じることなど、山ほどあるだろう。世の恋人が別れる最大の理由は、コミュニケーションの不成立によるもので、これは意思疎通が不十分だったことに起因する。
つまり、言語に限らず、コミュニケーションに不正確さや認識差は常に存在するものであり、「100%」を求めるのでは無く、「ギャップを受け入れ、楽しむ」くらいの感覚こそが必要なのでは無いか。最近、私は対話型人工知能「罵倒少女」にはまったが、あれはなかなか良かった。来年から本格始動するらしいので、楽しみだ。

AIが自分で意味を理解して翻訳できるようになるためには、もう10年ほどかかるようだが、もはや「すぐそこ」まで来ているのは間違いない。
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2016年09月23日

8、9月の読書報告(2016)

『都知事―権力と都政』 佐々木信夫 中公新書(2011)
都知事が2人連続で辞任、そのどちらも都庁官僚の内部告発に始まっている。中規模国家レベルの予算を持ち、行政権が集中する大統領制であるため、下手をすると同じ国の首相よりも大きな権限を有する東京都知事。だが、その責務と役割についてはあまり知られておらず、解説書も多くない。本書は、東京都の成り立ちから今日に至るまでの行政史と、自治行政における都の役割と都知事の権限機能について概説している。都官僚出身なので、官僚寄りであることは否めないが、必要な情報をコンパクトにまとめており、入門書としては十分だろう。都知事一人に行政権が集中し属人的要素に大きく左右される一方、都議会が立法機関としては十分に機能せず、ただの翼賛機関に成り下がっているという指摘は重い。

『北海道警察 日本で一番悪い奴ら』 織川 隆 だいわ文庫(2016)

『警察と暴力団 癒着の構造』 稲葉 圭昭 双葉新書(2014)
先に紹介した映画『日本で一番悪い奴ら』の原作と、主人公のモデルになった稲葉元警部の書。他の行政機関や市民・議会からのチェック機能が効かない警察組織が、いとも簡単に腐敗し、組織の隅々まで腐敗が拡大しているかがよく分かる。チェックが働かないため、自己改革や浄化のインセンティブが無く、問題が起きてもトカゲの尻尾を切るだけに終わり、腐敗構造そのものは延々と続いている。この辺は旧軍とよく似ている。「○○撲滅週間」のために「ネタ」をとっておくとか、「取り締まりすぎると、その後のノルマ達成が難しくなる」とか、旧ソ連でもよく見られた官僚的習慣が超笑える、いや深刻な問題なんだけど。

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『資本主義の限界』 木下栄蔵 扶桑社(2016)
私が「自由民主主義の終焉」や「TPP情報が開示されないワケ」で記したことの、経済・市場的背景を見事に説明している。アダム・スミスとケインズが正反対の説明がなされる経済学が、「なぜそうなるのか」について、「正の経済と反の経済」という仮説で説明する。これが簡素ながらも、恐ろしく納得度の高いものになっている。需要が低迷する中で、マネーサプライを増やし続けることが何を意味するのか、本書ほど明快な解は見当たらない。ごく薄い本ではあるが、十分な価値がある一冊だろう。

『日露戦争研究の新視点』 日露戦争研究会編 成文社(2005)
先の「日露開戦の代償」を記すに際して参考にした一冊。第一線にある研究者たちの論文集ではあるが、表題の通り新視点に富んでおり、パズルのピースが埋まっていくかのように面白かった。

『シベリア出兵―革命と干渉 1917~1922』 原 暉之 筑摩書房(1989)
「日露戦争の次はシベリア出兵」と考えているが、日露に比べるとかなり資料が少ない。その中でも本書は決定版と呼べる一冊で、まずこれを読まないことには始まらないのだが、なかなかの大部で、十月まで掛かりそう。

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『ナチス第三帝国の崩壊―スターリングラードからベルリンへ』 ワシリー・チュイコフ(著) 小城正(訳) 読売新聞社(1973)
意外と知られていないスターリングラード戦役の英雄チュイコフ将軍の回顧録。とはいえ、1944年半ばからベルリン陥落までの1年ほどの期間限定。ジューコフに批判的で、ロコソフスキー好き、その背景にはスターリン派とフルシチョフ派の色分けがあり、色々と面白い。日本では、とかくドイツ側の視点に偏りがちで、従来の西側研究もそうであるだけに、ソ連側の資料を抑えておくことは重要。ただ、どうやら英語版からの重訳なようで、ネットに上がっている原書を見ると、色々「違くね?」と思われる箇所も多い。ジューコフ回顧録なども、ソ連崩壊後により原文に近い新版が出されており、新訳の刊行が望まれる。「われわれの理性は、言ってみれば血染めの歴史であるこの戦争から得た苦い教訓を深く脳裏に刻みつけておくことを要求している。」
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2016年09月13日

タイトル見ただけで生きた心地しない三冊

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『ペリリュー・沖縄戦記』 ユージン・スレッジ 講談社学術文庫(2008)
太平洋戦争に海兵隊の一兵卒として出征したユージン・スレッジの戦場回顧録。米HBOが制作した『ザ・パシフィック』の原作二本のうちの一冊になる。
個人の戦争体験記はアマチュアであるが故に文章や表現が稚拙だったり、視点が主観的過ぎて読み手の想像力が追い付かなかったりする上、翻訳物は翻訳と表現文化の違いからさらに読みにくくなりがちだが、本作は翻訳物の戦争体験記ながら記述が非常に客観的かつ明快で、読み手の想像力を喚起し戦場の実像に近づかせてくれる。明快ながらも緻密で、表現に無駄が無く、客観的ながらも自分の信条や精神状態については誠実に回顧しており虚飾が無い。一兵卒の戦場記録としては、本作以上の水準のものを私は読んだことが無い。日本や日本兵に対する感情までが客観化されているため、日本の読み手にとっても抵抗が少ないと思われる。以下、詳細はこちら

『ノモンハンとインパール』 辻密男 旺史社(2000)
最近見つけて即買いした一冊。第23歩兵師団所属、熊本野砲6連隊の衛生兵として出征した辻密男の回顧録。ハイラルに赴任すると、いきなりノモンハン事件が起きて、中隊で200名からの戦死者を出し、17名の生存者の一人となった。筆致は淡々としているものの、出だしから生きた心地がしない。一年後にようやく内地に帰還して除隊し、釣具店店主に収まるも、2年半後の昭和18年4月に再招集を受け、同じく熊本野砲6連隊に入隊、今度はビルマに送られる。インパール作戦では、第31歩兵師団(烈)宮ア支隊所属として、最前線となったコヒマ攻略戦に参加している。ノモンハンでもコヒマでも、戦車に対して火炎瓶で攻撃するほか無かった日本軍が、どういうものだったかよく分かる。2度も最悪の激戦区に投入され、しかも生還するという超悪運と超幸運自体、凄まじいとしか言いようが無い。

『最悪の戦場に奇蹟はなかった―ガダルカナル、インパール戦記』 高崎伝 光人社(2007)
ガダルカナルとインパールという15年戦争の中でも二大双璧と言える地獄の両方に投げ込まれ、文字通り万死に一生を得て生還する話なのだが、文章は軽妙洒脱で「兵隊やくざ」的な語り口なので、勝手に想像していた陰惨極まりないというイメージは無く、その点ではいささか拍子抜けさせられた。クドカンが一兵卒として軍に入って回顧録を書いたらこんな感じかもしれないというノリと文才。学歴こそないかもしれないが、500ページ近い大著を一気に読ませるものがある。以下、詳細はこちら
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2016年09月05日

岡田さんが論壇デビュー?!

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本9月5日付けの読売新聞文化面。
我らが同志である岡田一郎氏がついに論壇デビューを果たした。
先に中公新書で刊行された『革新自治体 - 熱狂と挫折に何を学ぶか』の著者である。

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現在では「財政赤字を増やした」と負のイメージばかり語られる、1960〜70年代の革新自治体の実像を再検証した一冊。私が長年住んでいるC市もまさにこの革新自治体の先鋒的存在だっただけに、関心はあったものの、気軽に読める良書が無く、良い機会となった。当時の国政や政党の系譜から、全国の主な革新自治体の始まりから終焉まで扱っているだけに、網羅的になってはいるものの、非常に読みやすく、国政と政党との関係まで含めて分かりやすい構成になっている。詳細は、書評を書くつもりだが、負のイメージを払拭させ、現在に通じる課題を示してくれる貴重な一冊と言える。


若干の補足をしておくと、本書にはなぜか左派の側から「共産党の協力についての記載が少ない」「後世の歴史家視点すぎる」旨の批判が寄せられ、むしろ中間から右派側からの評価の方が高いくらいなのは非常に興味深い。また、確かに当時の革新自治体運動は終焉を迎えたものの、私が住むC市は民共社の連立政権が14年も続いており、隣のK市では最近まで12年間共産党政権だった。確かに全体から見れば少数派だが、決して「失われた」わけではなく、その価値と存在意義は形を変えてもなお健在なのでは無かろうか。
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2016年08月25日

オックスフォードの自分を変える100の教え

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『オックスフォードの自分を変える100の教え』 岡田昭人 PHP研究所(2016)
【目次】
信念の章
学習の章
勇気の章
対話の章
決断の章
愛情の章
運命の章

恩師の新著。ビジネス書というか、自己啓発本であり、正直なところ私の苦手とする分野で、どう評価したら良いのか分からない。そもそも「自分を高めたい」とか「人生で成功したい」などという欲望から程遠いところで生きているので、ムリというものだろう。
かいつまんで言えば、オックスフォードでエリートが身につける思考や行動の習慣について、分かりやすく解説したものだ。色々な教訓がスマートに書かれている。

だが私は、「大切なことはすべて武家とロシアが教えてくれた」を旨としており、本質的には蛮性と親和的であるため、どうにも「スマートなエリート論」に抵抗を覚えてしまう。恐らくは同じ理由から、小さい頃に父に叩き込まれた『論語』が嫌で嫌で仕方なかったのを思い出す。

まぁ今日は恩師の新著の紹介ということで。
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2016年08月04日

6、7月の読書報告(2016)

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『革新自治体 - 熱狂と挫折に何を学ぶか』 岡田一郎 中公新書(2016)
同志の新著。現在では「財政赤字を増やした」と負のイメージばかり語られる、1960〜70年代の革新自治体の実像を再検証した一冊。私が長年住んでいるC市もまさにこの革新自治体の先鋒的存在だっただけに、関心はあったものの、気軽に読める良書が無く、良い機会となった。当時の国政や政党の系譜から、全国の主な革新自治体の始まりから終焉まで扱っているだけに、網羅的になってはいるものの、非常に読みやすく、国政と政党との関係まで含めて分かりやすい構成になっている。詳細は、書評を書くつもりだが、負のイメージを払拭させ、現在に通じる課題を示してくれる貴重な一冊と言える。

『代議制民主主義 - 「民意」と「政治家」を問い直す』 待鳥聡史 中公新書(2015)
デモクラシーに対する不信が高まり、ポピュリズムが蔓延、強権的なリーダーが目立つ中、代議制民主主義とは何か、何を目指す制度なのかを再検証している。直接民主主義が物理的に不可能な中で、有権者は政治家に政策決定や官僚監視を委任し、政治家は官僚に政策実行を委任すると同時に、有権者に対して説明責任を負う。だが、どのようにして政治家を選出し、政治家に何をどこまで委任するかについては、様々な制度が存在している。この委任と責任の関係を、良く整理して明快に説明している。新書としては、非常に濃い内容だが、プロフェショナルとしても考えさせられるところの多い一冊である。

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『タックス・ヘイブン―逃げていく税金』 志賀櫻 岩波新書(2013)
日本では数少ない専門家(故人)が、世界規模の脱税・節税・租税回避のカラクリを解説する。専門的すぎて分かりづらい部分もあるが、基本的には解説書と言うよりもノンフィクション的な感じで、前のめりに読んでしまった。これも一度目を通しておいて損はしない一冊。

『EU騒乱:テロと右傾化の次に来るもの』 広岡裕児 新潮選書(2016)
難民、テロ、財政難、右傾化、そしてこれらに起因する反EUの動きを在仏40年のジャーナリストがレポートする。欧州で起こっていることの全体像を把握するにはちょうど良い一冊かもしれないが、民主主義やEUを肯定するスタンスで書いている上、定型的な西側自由主義史観に基づいているため、「いかにも外務省ご推奨」的な公式見解に陥ってしまっている。

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『ドイツ国防軍兵士たちの100通の手紙』 マリー・ムーティエ他 河出書房新社(2016)
二次大戦中の普通のドイツ軍兵士の手紙を、1万6千通余のアーカイブから厳選したもの。それだけと言えばそれだけなのだが、現実のドイツ兵が戦場で何を考えて戦っていたのかを見る点で貴重な資料となる。映像や将軍の回顧録からは分からない実相がある。

『日本会議 戦前回帰への情念』 山崎雅弘 集英社新書(2016)
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『関白秀次の切腹』 矢部健太郎 KADOKAWA(2016)
既出
posted by ケン at 12:57| Comment(0) | 学問、文学、教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする