2019年05月19日

法務省、治外法権内規を勝手に削除

【密約が定着、法務省内規を削除 60年に法相指揮を外す】
 駐留米兵らへの裁判権を日本が放棄した密約を検察内に浸透させるため米軍関係者起訴時の法相指揮を定めた1954年の法務省内規の項目が、60年に削除されていたことが12日、分かった。密約の運用が検察内部で定着したのが理由で、日本側は実際、削除後の3年間で関連事件の9割の裁判権放棄に応じていた。公文書開示請求で入手した内規や専門家が見つけた文書で判明した。日米地位協定は、米軍関係者の公務中の事件は裁判権が米側にあると定める一方、公務外は日本の裁判権を認めている。だが、53年に日本政府が重要事件を除き裁判権を行使しないと伝達し、密約が成立した。
(5月12日、共同通信)

「文書は作るな、残すな、渡すな」

は「霞ヶ関三原則」と言われていたが、非常に伝統のあるものだったようで。
こうやって歴史が闇から闇へと消されてゆく。それは陰謀論の巣窟にもなるわけだが、当人たちは今のことしか考えていない。閣議の議事録も同じだ。
ソ連崩壊によって内部資料が公開されたことで、われわれソ連学徒の研究がどれほど進んだか、話せばきりが無い。
しかし、日本ではそうしたことは起こらない。不都合な資料は全て廃棄されているからだ。

この場合、来たるべき「日本崩壊」後に正確に責任を問う手段がなくなるわけで、もちろんヤクニンどももそれを狙っている。だが、パブリック・サーバントたるものはそれでは許されない。権力を行使する者の場合は、グレーはすべからくブラック(有罪)として処理されるべきである。
ところが、日本では大衆のグレーは有罪として処理され、権力者のグレーは不起訴として処理される。
法務省のスタンスは、この日本型システムを体現していると言えよう。
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2019年05月14日

幼保無償化で増税確定?

【幼保無償化法が成立 消費増税合わせ10月開始】
 幼児教育・保育の無償化を実施する改正子ども・子育て支援法は10日の参院本会議で与党などの賛成多数により可決、成立した。子育て世帯の支援が狙い。無償化は安倍政権の目玉政策で、消費税増税に合わせ10月に始まる。低所得世帯の学生を対象に大学など高等教育機関の無償化を図る新法も参院本会議で成立し、2020年4月に施行される予定。幼児教育・保育の無償化では、国の基準に満たない施設も含まれるため、安全面を中心とする保育の質の確保が課題だ。成立からの準備期間が短く、実務を担う自治体の混乱も懸念される。
(5月10日、共同通信)

幼保と大学の一部無償化にかかる予算は年間1兆5千億円以上と試算されており、消費増税分が充てられることになっている。金額の大きさを考えると、10月に予定されている消費増税の延期は難しいと考えられる。
ただ、住民税非課税世帯を対象とする幼保無償化の利用者は300万人、大学無償化の利用者は70万人以上が見込まれているが、前者はともかく後者は過剰な数値に思える。現在、大学などへの進学者数は年間60万人強であり、4年分とはいえ、対象者の見込みが多すぎるのでは無いか。

先にも述べたが、住民税非課税世帯というのは概ね世帯年収300万円以下を指すが、こうした家に生まれ育った子が、「授業料タダだから」と働かずに大学に進学するというインセンティブを持つのかどうか、かなり疑問が残る。

まぁこれも「やらないよりはマシ」ということなのかもしれないが、「一部無償化」のような制度は徒に「特権化」を誘発し、不公平感と差別を助長、行政コストが過大になる可能性もあるだけに、どうにも「良い手」には思えない。
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2019年05月13日

なんちゃって無償化

【大学無償化法が成立20年度施行 低所得世帯が対象】
 低所得世帯の学生を対象に大学など高等教育機関の無償化を図る新法が10日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。2020年4月に施行される予定で、文部科学省は対象となる学生や大学などの確認作業を急ぐ。
 文科省によると、国や自治体が学生の授業料や入学金を減免するほか、生活費などに充当できる返済不要の「給付型奨学金」を支給する。対象は住民税非課税世帯を基本とし、夫婦と子ども2人(1人が大学生)の家庭の場合、年収270万円未満が目安。年収380万円未満であれば3分の1〜3分の2の額を支援する。高校卒業から2年を過ぎた学生は、対象外となる。
(5月10日、共同通信)

いかにも「ためにする」あるいは「一応やってます」というポーズのための政策。
そもそも世帯年収270万円未満で子どものいる家庭など、生きていくのもままならないレベルであり、高校にすらまともに通えないケースが多いだろう。そこで「学費がタダになるので進学できますよ」(厳密には違うのだが)と言ってみたところで、現実に制度を利用できるものは非常に少ない、恐らくは殆どいないだろう。
さらに言えば、この基準は現行の国公立大学の学費免除基準よりも厳しいと言われ、下手すると今免除されている人が学費を要求されるようになる恐れすらあるとのこと。

2018年の厚労省のデータを基に考えると、世帯平均年収545万円、中央値で426万円だが、これは全世帯のデータ。
標準世帯(子ども二人)を見た場合(2016年)、世帯平均で750万円、中央値で646万円、年収300万円未満は4.7%になっている。年収400万円未満でようやく12.6%になっているところを見ると、「年収380万円未満であれば3分の1〜3分の2の額を支援」の利用者が若干いるかもしれないというレベルだろう。

標準世帯年収で最も多いのが年収500万円台であることを考えれば、年収600万円以下、最悪でも年収500万円以下の世帯が制度の恩恵を受けるような制度設計でないと殆ど実効性が無いと考えられる。
中途半端な制度は行政コストがかさみ、変な不公平感を生むだけであり、止めた方が良い。
これでは一体何のための消費増税なのか、分からないだろう。

一部無償化で試算される予算は7600億円というが、現在9割以上占める学資ローンを半分でも給付型にして、低収入世帯には若干優先的に給付する仕組みにした方が、よほど健全だと思われるが、なぜそうならないのだろうか。
そもそも貧困対策をせずに(世帯年収300万円以下とか存在自体が憲法の生存権に違背している)、こんな泡沫的な「サービス拡大」を図ろうとするあたり、色々末期的なものを感じる次第。
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2019年04月16日

非正規化進む学校現場

【横浜の私立校で大量退職 「非正規教員を使い捨て」】
 元経団連会長の故土光敏夫氏が理事長を務めた学校法人橘学苑(横浜市鶴見区)が運営する中高一貫校で、非正規雇用の教員の雇い止めが相次ぎ、大量の退職者が出ていることが13日、学校関係者への取材で分かった。学苑側は昨年度までの6年間で72人が退職したとしている。一方、複数の学校関係者は退職者は120人近いと訴えている。
 改正労働契約法には、非正規労働者の雇用安定を図るため、有期契約が5年を超えれば無期に移行できる「無期転換ルール」がある。私立校教員も対象。私立の労働問題に詳しい労働組合関係者は「非正規の使い捨てとも呼べる状況」と指摘している。
(4月13日、共同通信)

臨時任用を含む非正規教員の割合は、小中学校ですでに2割近くになっており、私立の割合が高い高校ではさらに高くなるとみられている。
諸経費がかさむ中で、経営層が積極的に人件費削減を進めた結果であろう。労働集約型産業の典型である教育の場合、経営の観点から利益を出すためには、人件費を削減するほか無い。将来的には相当部分がAIにとって代わられ、あるいは学校という閉鎖空間に生徒を集めて教えるという方法自体がなくなるかもしれないが、それはもう少し先の話になりそうだ。それだけに、人件費削減は正規教員の非正規化という形になって現れる。

記事の学校の場合も、いわゆる底辺校ではないが、偏差値が50に届かない程度の学校であり、経営者が企業経営者であるということからも、学校を市場原理と収支の側面から捉える傾向が強かったのだろう。
だが、非正規教員を増やした場合、技術、経験、知識の蓄積が不十分となり、生徒と教員間の信頼関係も低下してゆくことになる。収支面では改善されるとしても、教育の質としては低下は免れず、学校としての評価もさらに下がってゆくところとなる。ただでさえ少子化によって、生徒獲得競争が厳しくなっているだけに、学校の評価は死活問題だが、「背に腹はかえられない」ということかもしれない。
結果、経営層は教員を叩いて精神主義的に「成果」を強要することになるが、もはやバンザイ突撃しか命令しない旧軍指揮官と同じだ。そして、教員の士気も低下、正規教員が辞めると、非正規教員が補充され、ますます士気と質が低下してゆく構造になっている(ようだ)。

これから子どもを学校にやる保護者はそんなことまで考えないといけないのかと思うと、ますます萎えてしまう。
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2019年03月06日

親の責任で子どもを国外追放する「人権大国」

【日本に生まれ育ったイラン国籍少年の強制送還 「無効」認めず 東京地裁】
 日本で生まれ育ったイラン国籍の少年(16)が、父親の不法滞在(オーバーステイ)での逮捕を機に入国管理局に退去強制令書を出されたのは、社会通念に照らして著しく妥当性を欠くとして、国を相手取り無効確認などを求めた訴訟で、東京地裁は28日、原告側の訴えを退ける判決を言い渡した。少年側は「ペルシャ語を話せず、イスラム教徒でもない原告が、イラン社会に適応することは困難」と主張したが、清水知恵子裁判長は少年に責任がないことを認めつつ「客観的にみれば法秩序に違反する」と判断。原告の支援者は「少年の人権を踏みにじる判決」と批判した。
(2月28日、毎日新聞より抜粋)

一方では外国人労働者の受け入れを拡大して、他方では国際会議に出席した外務省幹部が「日本は世界一の人権国」などと叫んで、足下ではこの有様。というか、これが日本の現実。
確かに法秩序には反するだろうが、その責任を子どもに負わせ、生活も人権も保障されない国に追放するのは非人道のなせる業である。
最高裁で非人道な判決が下されるのは「いつものこと」だが、地裁でこれは酷すぎる。まぁ東京地裁というのが運が悪かったとは言えるだろうが。
これからさらに増えるであろう外国人がどのような仕打ちを受けるのか、報道機関はよくよく海外に向けて報じて欲しい。
それにしても、一体何のための三権分立と憲法なのか、全く分からない。
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2019年01月14日

文句があるなら霞が関へいらっしゃい?!

【奨学金、全員から保証料 延滞増加で財務・文科省方針】
 財務省と文部科学省は2020年春にも日本学生支援機構の貸与型奨学金の仕組みを見直す。長期の延滞が増えて制度を圧迫しているため、奨学金を借りるすべての学生から、借入額に応じて一定額を保証料として徴収する方向で検討に入った。保証人を求める制度はなくす。保証料で延滞を補えば制度は安定するが、学生の負担は増えることになる。
(1月9日、日本経済新聞より抜粋)

もう全く意味不明すぎる。
お金を払わないとお金が借りられないシステムを主に青少年に対して導入するとか、もはや子ども相手の高利貸しとか詐欺師に成り下がった観がある。
言うまでもなく、奨学金はもともとお金がないから借りるものだし、返済が延滞するのは返済する経済的余裕が無いことに起因している。中には寸借詐欺的な返せるのに返さない者もいるだろうが、圧倒的に少数であるはずだ。
奨学金の返済を強要して強権を発動したり、「保証金」を納めるようなシステムを導入するくらいなら、最初から返済義務のある教育ローンなどは大幅に縮小して、「貧乏人は大学に行くな!」と言ってやった方がよほど「親切」というものである。
甘言を弄して進学を勧めローンを貸し付けておいて、返済を強要するとか、もはや悪徳高利貸しの域に達しつつある。

「文句があるなら霞が関へいらっしゃい」ということなのだろう。
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2018年10月31日

調査するだけでは解決しない

【いじめ認知41万件に=最多更新、小学低学年で急増―17年度問題行動調査・文科省】
 全国の小中学校などが2017年度に認知した「いじめ」の件数が、前年度比9万1235件増の41万4378件だったことが25日、文部科学省の「問題行動・不登校調査」で分かった。過去最多を更新。特に、小学校の低学年での増加傾向が顕著だった。
 文科省は17年、いじめ防止の基本的方針を改定。けんかやふざけ合いでも調査し、被害性に着目していじめか否かを判断するよう通知した。同省は、件数増について「初期段階も積極的に認知し、解消に向けた取り組みのスタートラインに立っている」と肯定的に評価している。
 認知件数は、小学校が7万9865件増の31万7121件、中学校が9115件増の8万424件、高校は1915件増の1万4789件。小学校1〜4年で各1万4000件以上増えた。
 いじめの内容(複数回答)では「冷やかしやからかい、悪口」の割合が62.3%を占め、最も高かった。「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」が21.0%。インターネット交流サイト(SNS)を含む「パソコンや携帯電話などでの誹謗(ひぼう)、中傷」は3.0%の1万2632件で過去最多となり、高校ではいじめの内容で2番目に多かった。
 小中高校から報告があった児童生徒の自殺は250人で、前年度から5人増。このうち、いじめの問題が要因とされたのは10人だった。
 30日以上欠席した不登校は、小学校が4584人増の3万5032人、中学校が5764人増の10万8999人、高校は1078人増の4万9643人だった。暴力行為の発生件数は、小学校が5474件増の2万8315件だった。今回の調査では、政令市別の結果も公表。文科省は同じ道府県内の他自治体と比較し、特徴的な傾向があるか分析する。 
(10月25日、時事通信)

調査するだけマシになったとはいえ、調査するだけでは解決しない。
イジメのことである。

イジメは、閉鎖的空間に多数の人間を入れて長期間拘束した結果、過大なストレスが生じ、それを解消すると同時に一定の秩序を維持するために行われるもので、いかなる組織でも起こりうる問題である。戦時中、駆逐艦や潜水艦のような小艦艇ほどイジメが少なく、空母や戦艦のような大艦ほど多かったと言われる。

日本型組織でイジメが深刻な問題として生じるのは、他国の組織に比べて様々な拘束が多いためと考えられる。日本の学校は、課される義務が多く、同時に校則も厳しい上、やたらと拘束時間が長いため、どうしてもストレス負荷が過大になりがちだ。会社文化で見ても、欧米の会社は自分の仕事だけしていれば良いが、日本の会社では他人の仕事を手伝わなければならない暗黙の義務があり、社内ルールもやたらと多く、残業は無制限の上、飲み会やら社内イベントも多い。

日本の学校でイジメが多いのは、それだけストレスが多いことを示している。そしてそれは、義務や強制力、あるいはクラス内学校内における同調圧力が極大であることに起因している。
イジメの原因となっているストレス要因は明らかであり、これを除去すれば、イジメは劇的に減少すると考えられる。具体的には、学校ならば、出席義務や校則を緩め、長時間拘束の原因である部活動を廃止すれば良い。学校の場合、学級と担任制が閉鎖空間を生じさせているので、大学のような単位制度を導入して、1つのクラスに何十人という生徒を閉鎖空間に押し込めるのを回避すると同時に、1人の教員が圧倒的権威を持つ担任もなくしてしまえば、イジメを発生させる空間的要因も除去できるだろう。
あるいは物理的に解決するなら、壁のある教室を廃止してオープンスペースにすることで、閉鎖的空間を解体することができる。いじめは、人が見ていないところ、ないしは閉鎖的集団内で起きるものだから、これを取り除けば良いだけだ。こうしたことは50年前には分かっていたことだが、子どもの数が多すぎて実現が難しかった。だが、今それができない理由は無く、要は本気で取り組む気が無いだけだろう。

会社の場合は、残業を禁止し、個々の社員の業務を明確にして「共同の仕事」を極限まで減らすと同時に、飲み会を含む社内イベントを廃止すれば良い(この場合、解雇規制を緩和して、勤務時間内に仕事を終わらせられない従業員、あるいは処理不可能な作業量を要求する管理職を容易に解雇できる仕組みも必要になるが)。
日本型組織では、過大なストレスがイジメを発生させると同時に、学習効率や労働生産性を阻害しているが、これを問題視する主張は殆ど見られず、放置されている。

また、日本型組織は閉鎖性が強いため、第三者や他の部署からのチェックが入りづらく、問題を隠蔽する傾向が強い。学校のイジメの場合、教員にとって、教室内のイジメを解決するメリットは非常に少なく、むしろ手を突っ込んで問題が表面化することで、自分の厄介事が増えるリスクの方が大きい。担任の任期は一年であるため、回避可能な問題は「無かったこと」「見えなかったこと」にしてやり過ごす方が、はるかにコストが安い。

イジメはそもそも発生を抑制させる他なく、発生してしまったイジメを解決するのは非常に難度が高い。それだけに、学校も会社も根本的に組織改編しない限り、イジメを減らすことすら難しいと思われる。
そもそも虐められる子どものことを考えれば、対処療法などそもそも「犯行が起きてから捜査する」のと同じで、教育的にはおそろしく非人道的であることが分かるだろう。
posted by ケン at 12:00| Comment(5) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする