2018年08月06日

渡航前にプチ大人買い

一ヶ月後には渡航するというのにゲームを3つも買ってしまった。部屋を整理するに際して、絶対プレイしないものをけっこう処分したので、その反動?もあるだろうが。

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中国でもウォーゲーム・ボードゲーム文化が浸透しつつあり、赴任先にも数十人が所属するゲームサークルがあるという。幸いにして、日本語話者の一人を紹介いただき、すでに直接会って話をしているので、ゲーム環境はクリアしている。
問題はゲームを持参する場合、税関をクリアできるかどうか。中国に関係ないものであれば大丈夫そうなのだが、やはり初回は様子を見るのが無難だろう。持ってゆくにしても、春節の帰国時にするのが吉だ。
で、購入したゲームのラインナップを。

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Legion Wargames『Nemesis』
新興メーカーであるLW社の新作。デザイナーはキム・ケインガー氏。インパール作戦をシミュレートした珍しい作品。これまではMMP社の『Burma』がメジャーだったが、キャンペーンはプレイ不可能な部類に入るため、手が伸びなかった。規模は大隊から連隊、1ターンは約2週間だが、各陣営は4つのフェイズを有する(1944.3〜44.7)。日本では「補給を無視した無謀な攻勢による悲劇」との評価ばかりに焦点が当てられるが、連合国は連合国で「中国軍を教育するスチルウェル、アメリカの影響力を排除したい蒋介石、ビルマに関心が無いチャーチル」と足並みが揃わない中での対応を迫られ、非常に難しい環境にあった。独特なルールはあるようだが、ユニットも文字も大きく、高齢者に親切な設計になっている模様。次の帰国時までに仮訳をつくってプレイしたいところだ。

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GMT『Hitler's Reich』
GMT社の新作で、デザイナーはMark McLaughlin氏。第二次世界大戦の欧州キャンペーンを2時間でプレイできるカードゲーム。この時点で疑問符がついてしまうのだが、一応フルゲームで、コンポーネントも充実している。「ボードゲーム寄りのウォーゲーム」という新たな試みと、カードゲームなのにソロプレイ向きという謎なシステムに惹かれて購入。ただ「ルールは簡単」と謳っていた割に24ページもあり、訳すのは後回しになりそう。

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GMT『Ukraine '43, 2nd Edition』
シモニッチ先生の名作の第二版。かなりルールが変わって、プレイアビリティが上がっているとの話を聞き、購入。基本は『France 40』『Normandy 44』と同じルールだそうなので、細かいところを確認すればプレイできそう。名作の誉れ高いから、同志の誰かが翻訳してくれると信じてる。
posted by ケン at 12:44| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月04日

破綻に向かう日本財政

【17年度の国民年金納付率、実質は40% 低年金課題に】
 厚生労働省が29日に発表した2017年度の国民年金の納付率は66.3%で、6年連続の改善となった。ただ保険料の全額免除者・納付猶予者を含めた実質的な納付率は40.3%にとどまり、ここ数年横ばいが続いている。免除者が低年金になる問題や、都道府県ごとの納付率格差など、国民年金はなお多くの課題を抱えている。
 国民年金は自営業者や農林水産業者などが加入する。17年度の納付率は前の年度と比べて1.3ポイント上昇。最低だった11年度の58.6%から改善傾向が続いている。
 ただこの納付率は低所得などの理由で保険料の納付を全額免除・猶予されている574万人を対象に含まずに算出している。その人数を含めて計算すると、国民年金の加入者のうち6割は保険料を納めていない。
 保険料の免除者は年金額が減る。そのため納付率が低くても年金財政への影響はほとんどないというのが厚労省の立場だ。しかし免除者の多くは低所得者で、老後も低い年金しかもらえない場合は生活保護の受給につながる可能性がある。
 都道府県ごとの納付率のばらつきも解消されていない。最低の沖縄は49.1%と半分に満たず、最高の島根の80.6%とは30ポイント超の開きがある。
(6月29日、日本経済新聞)

年金自体はマクロ経済スライドが導入されているので、給付額が調整されるだけとも言えるが、納付率の低下は納めない分、もらえる額が減ることになるため、結局生活保護の方が良いとなるか、生活保護が得られずに貧困死するか、いずれにしかならない。高齢化と貧困化の同時進行が、ダブルパンチとなって巨大な貧困層を形成する未来が予測される。

より危険なのは医療費で、2015年度の医療費を見た場合、全体の42.3兆円に対し、保険料が20.7兆円、国と地方を合わせた公費が16.5兆円に対し、患者の自己負担分は4.9兆円となっている。医療の高度化と高齢化に伴い、その自然増分は年ごとに1兆円を超えるだけに、制度そのものを見直さない限り、健康な若年層を収奪する結果にしかならない。だが、ただでさえ貧困化が進んでいる若年層からの収奪は、社会の連帯意識を下げ、共同体に対する憎悪を引き起こしかねない。それは、ファシズムの根源でもある。

ペレストロイカとは、つまるところ財政改革で、歳出の30%を占める国防費、20%を占める食糧価格調整金、20%を占める国営企業赤字補填を可能な限り減らして、政策経費を確保することが目的だった。だが、歳出改革に失敗(1990年でもほぼ同レベル)、資源価格の暴落と対東欧貿易の未払いが重なって歳入が急減、行政が機能不全に陥った。

翻って今の日本を見た場合、国債費と地方交付税交付金等を除いた政策経費である2017年度一般歳出58.4兆円に対して、社会保障関係費が32.4兆円で56%、公共事業費が6兆円で10%を占めている。社会保障費は、保険料と窓口負担で賄えない赤字分で、ソ連における食糧価格調整金と同じ類いのものだが、この10年で10兆円以上増えている。

安倍政権で税収が増えたのは、日銀が国債を引き受け、年金で民間株を買い占めたためで、対外的要因で株価が暴落した場合、いきなりサドンデスとなる可能性がある。ソ連学徒的には、2020年の東京五輪は1980年のモスクワ、84年のサラエボ五輪と被って見える。
posted by ケン at 09:11| Comment(2) | 財政、社会保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月02日

中国就労ビザが下りるまで

あれこれあってようやく就労ビザが下りた。
恐らく普通に手続きしていれば、もう3週間くらい早く出たと思うのだが、大学側が手続きに手を抜こうとしたため、いささか話がこじれてしまった。出発の一カ月以上前に出たのだから、よしとすべきではあるのだが。
この際、教員として中国に就職する際の流れを記録しておきたい。

自分の場合、10年パスポートが来夏に期限切れとなるが、就労許可を得るためには一年以上期限を残している必要があり、パスポートの更新から始まった。しかし、パスポートの更新は期限切れから一年以内が原則であり、わずかにオーバーしていた。そこで、勤務予定の大学から英文の採用通知をもらって、それを提出することで、期限外の更新を認めてもらった。
すごいことに、この採用通知は、自分が事務方(国際交流課)に問い合わせたところ、その日の夕方には学部長の印が入った文書がPDFで送られてきた。日本だったら、早くて数日、下手すれば十日くらいかかりそうな話である。

パスポートを更新しつつ、大学院で修士課程の修了証明と学位証明を申請。自分が出た大学院は、日本でもトップ級の外国語大学で、「グローバリゼーション」を強く謳っていたはずだが、証明書の作成には和文で1週間、英文で2週間かかることが判明した。
今時、役所でも住民票も戸籍も申請したその場で受領できる。大学もオンライン化が進んで、書類自体はすぐさまプリントアウトできるはずだが、決済印を押すのにそれだけの時間が掛かるらしい。これでは、諸外国の作業スピードに太刀打ちできるはずもなく、いかに連中が謳っている「グローバル化」が大衆を煽るためだけの文句に過ぎないか、よく分かった。
考えてみれば、戦前も「総力戦」「総動員」などと謳いながら、ロクに実現しなかったわけだから、明治帝政の尻尾に過ぎない今の連中にできるわけもないのかもしれない。グローバリゼーションの特長の一つは、「より早く、より遠くに」「徒歩から鉄道、鉄道から飛行機、飛行機からインターネット」であるが、連中は何一つ理解していないのだ。

・総力戦体制とは何だったのか 

さらに、修了証明などの他に、犯罪履歴証明書(無犯罪証明)を警察(自分の場合は桜田門の警視庁)で申請。自分はそんな証明書があること自体知らなかっただけに興味深い。証明書自体は、簡単な申請書を書けば、無料でもらえるのだが、両手の指紋を全部採取されてしまうので、いわば日本国内におけるプライバシーや人権の喪失を引き替えだった。これは約1週間で出る。

修了・学位証明と無犯罪証明を持って、次は外務省に向かう。外務省では、それらが正規の文書であることを政府として証明する「公印認証」を受ける。これは二日ほどで出て(無料)、各証明書に認証印が押される。

次いで、中国大使館の出張所である東京ビザセンター(東京の場合)に赴き、大使館の認証(中国政府が日本の公文書であることを確認)を受ける。これは中三日ほどでもらえるのだが、証明書ごとに約8千円もかかり、お安くは無い。
これを大学に送って、大学が現地政府に就労許可の申請を行う。事務方は二週間くらいで出ると豪語していたが、三週間ほど掛かってしまう。
発行された就労許可証(中文と英文、PDF)を印刷して、ビザ申請書とともにビザセンターで就労ビザの申請を行う。これも中三日で出て(約8千円)、今に至っている。このビザが貼られたパスポートを画像にして、大学の事務方に送付すれば、一応手続きは終了だ。

ケン先生の場合、永田町に勤務しており、朝一番や昼休みに職場を抜けて手続きに行けるから、非常にスムーズだったが、大半の人は相当に時間が掛かってしまうだろう。大学の証明書も、郵送だったらさらに一週間近くかかっていたはずだ。
ロシアの就労ビザを取った時の方が、もう少し楽だった気もするのだが、あれはあれで、ものすごい時間が掛かった気もする。

いずれにせよ、手続き上は全て終了した。あとは授業準備と中国語である。
posted by ケン at 13:10| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月01日

半休のお知らせ

本ブログをご愛読いただき、ありがとうございます。
このたび円満に永田町から足抜けできましたこと、また無事国外退去が認められましたことを、ご報告申し上げます。

「戦闘教師ケン 激闘永田町編」は7月いっぱいをもって終了、8月は半休とし、9月半ばから始まる「華東大乱編」の準備にあてたいと思います。更新は常の半分以下になりますが、ご理解いただければ幸いです。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

ケン
posted by ケン at 11:46| Comment(6) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月31日

現状維持すら難しい自衛隊

【自衛官採用年齢引き上げへ=30歳上限、人材確保厳しく―防衛省】
 防衛省は21日、主に高卒者を対象とする自衛官候補生などの採用年齢を引き上げる方向で調整に入った。
 現行18〜26歳までの採用年齢について上限を30歳程度とすることを視野に検討する。少子化や景気回復を背景に優秀な人材の確保が厳しさを増していることを踏まえた措置で、陸海空各自衛隊との調整が付けば、2019年度から実施する。
 年齢引き上げは1990年4月に当時24歳だった上限を26歳にして以来、実現すれば約30年ぶり。採用年齢を定めた自衛隊法施行規則などを改正する。
 防衛省が17年度に採用した自衛官1万4090人のうち、自衛官候補生と一般曹候補生が全体の約9割を占める。ただ、近年、応募者数は減少傾向にある。
 特に自衛官候補生の採用数は12年度の9963人をピークに5年連続で減少しており、17年度は7513人にとどまった。同省関係者は「景気回復に伴い、優秀な人材は民間企業に流れている」と危機感を示す。
 今回、年齢引き上げを検討するのは、自衛官候補生と一般曹候補生の2職種。自衛官候補生は任期制で、教育期間を含め陸上自衛隊が2年、海上・航空自衛隊が3年。任期終了後に継続するか否か選択できる。一般曹候補生は終身雇用が原則で、部隊勤務などを経て、自衛隊の中核を担う人材となることが期待されている。
 同省は、高校などを卒業し、いったん民間企業や官公庁に就職した優秀な人材を獲得したい考えだ。担当者は年齢引き上げにより「自衛隊で再チャレンジができるよう門戸を広げたい」と語る。 
(7月21日、時事通信)

このご時世に下士官の定年が53歳という自衛隊に30歳になろうという人が入隊を希望するとすれば、それはかなり高確率で「食いはぐれ」なのではなかろうか。以前海自の方から「現在保有する全艦艇を動かすにもギリギリの人数しか確保されておらず、平時でも事故が増えており、とても長期の戦争などできる態勢にはない」旨の話を聞いた。自民党などが希望する軍拡は、徴兵制にでもしない限り、非常に厳しい情勢にある。
posted by ケン at 12:38| Comment(0) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月30日

衆愚化の果てに永田町を去る

先週末をもって秘書を辞め、累計で15年ほど奉職した永田町を去る。
特段の郷愁、感慨はない。そもそも現在の政界自体がオワコンと判断したことを考えれば、むしろ「清々した」くらいの気持ちかもしれない。
まずは、その辺の事情を記しておこう。
民族・国民国家とデモクラシーが終焉を迎えることの理論的説明は、すでに記事にしているので、そちらを参照して欲しい。

・民族国家とデモクラシーの終焉

なので、今日は職務上の卑近な例を挙げて、議会制民主主義の末路を語りたい。
党職員として4年、秘書として11年勤めたことから感じる最大の問題は、通信手段の変容である。自分が秘書を始めたのは2007年のことだが、その頃すでに携帯電話とメールは普及していたものの、例えば議員が海外に出張したり、飛行機に乗ったりすれば、秘書は上司から「解放」されたものだが、今日では海外からも、しかも時差が考慮されること無く、次々と議員から職務上の指示が降りてきて、下らない話(多くは愚痴)につきあわされる。
これは、民間企業の営業などにも言えることだが、かつては社を出て外回りするついでに、多少の遊びや休憩が可能であったわけだが、今ではスマートフォンで所在を確認され、恒常的に連絡や報告が求められ、実質的に常時監視下に置かれている。議員秘書も、地元勤務者は会社の営業と全く同じことが言える。
かつてなら秘書が外回りしている時は、逆に議員からは「解放」されていたものが、今日では外回りしていても、ひっきりなしに議員から指示や連絡が入る上、事務所や支援者からも連絡が入るため、外回りに専念することもできなくなっている。
また、今日ではラインやSNSで「グループ」が形成されるため、直接自分に関係ない連絡や報告が勝手に「共有」され、「自分は知りませんでした」と言うことすら許されない上、ひっきりなしにスマホが鳴り続ける始末になっている。このストレスは尋常では無い。

だが、より深刻な問題は秘書よりも議員の方にある。携帯電話が無かった時代、つまり1990年代前半くらいまでは、議員は有権者と直接顔を合わせるか、事務所で電話を取る以外に、有権者とのコミュニケーションに費やす機会は無かった。議員が不在の時に事務所に掛かってきた電話は、秘書が「議員に申し伝えます」と言って、報告を受けた議員が必要と判断すれば、かけ直しただけの話だった。
ところが、それから20年もしないうちに、議員は常に携帯電話を持ち歩くようになり、他の議員、支持者、官僚、メディア関係者などから直接電話やメールなどが来るようになり、それに伴って議員から秘書に指示が行くため、その作業量たるや恐ろしく膨大になってしまっている。

携帯でのコミュニケーションが常態化した結果、投票率の低下も相まって、議員はますます厚い支援者との癒着関係を強め、陳情や相談(つまり利益誘導=腐敗)が増えている。「直接連絡できる」ハードルの低さが、ますます陳情のハードルを下げると同時に、秘書や官僚にも携帯で連絡がつけられるため、陳情処理の速度が速まっていることから、ますます陳情が増えるという悪循環に陥っている。一部の陳情が増える一方で、幅広い有権者と接触する機会が減る問題もある。結果、議員と直接的なコネを有するものが、その地域で有利な立場(利権と情報)を得られるため、地縁血縁に基づく縁故政治が跋扈するところとなる。加計・森友問題の背景でもある。

また、ツイッターやフェイスブックなどのSNSの登場によって、ライバル候補との競争が激化、議員本人が情報を発信して自己アピールする必要が生じた。しかも、その発信内容は「専門家」によって「短ければ短いほど良い」と指導されるため、恐ろしく無内容なものか、恐ろしく煽動的なもので溢れるところとなる。政界では古くから「悪名は無名に勝る」と言われており、「炎上歓迎」は当然の流れだった。ケン先生がツイッターをやらないのは、そのためだ。
結果、議員は一日のうちの相当な時間を、スマホでの連絡と無内容な情報発信に費やしている。かつてなら、車や汽車での移動時間は、本や資料を読み、あるいは沈思黙考することで、政治家としての知識と思考を深めた機会が、今日では全て失われ、自ら「哲人」たらんことを放棄して衆愚の穴に身を投じてしまっている。そうしなければ、選挙に当選できないためだ。
同時に、SNSでは支援者ではない者、何の関係もない者、匿名の敵対者からの攻撃や嫌がらせ、無意味な問い合わせなどが膨大に送られてくるため、精神の損耗が激しくなる。
さらに、議員はSNSによって「大衆と繋がっている」幻想を得るため、その歓心を買い続けるべく、一層大衆受けのする発信を行うところとなる。
それらの様は、さながら議員が通信ツールの奴隷と化しているかの如くである。

デモクラシーは、人格高潔で高い知性を有する市民が全員参加の議論を行うことによって、私心を排した最も合理的な合意形成をなすことができる(はずだ)という前提の上に成り立っている。しかし、現実には全員参加の議論が不可能であるため、知性と教養を有する大衆が人格高潔で高い知性を有する代議員を選出、主権者を代表して代議員間で合意形成を行うのが、近代の代議制民主主義の根幹だった。
ところが、通信手段とコミュニケーションの変容によって、プラトンやアリストテレスが指摘した衆愚化が、大衆レベルでも代議員レベルでも加速、互いに衆愚をあおり立てるため、合意形成が困難を増し、強行採決=多数派による意思の強要が横行、少数派の不満は高まる一方になっている。他方、与野党を問わず、投票率の低下から、一部の手厚い支援者を優遇せざるを得ないため、不公正な縁故政治が跋扈するところとなっている。
君主政において、使用人の徳とは愚かさに他ならない。しかし公共の徳は犯罪とされており、唯一の徳は君主による犯罪の従順な道具であるということであり、唯一の名誉は君主と同じくらい悪であるということである。
(マクシミリアン・ロベスピエール)

戦後教育は、愚かで従順な帝国臣民を育成することに成功した一方、デモクラシーの前提となる人格高潔で高い知性を有する市民の涵養には失敗した。文部省が70年かけてばらまいたウィルスが、スマホの普及によって全国的に発症、デモクラシーの内部崩壊を促進しているのである。
posted by ケン at 12:31| Comment(3) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月28日

CMJ111 常徳殲滅作戦

日中戦争ネタのゲームはそもそも非常に少ない。特に作戦級となるとさらに貴重で、日本でプレイできるのは、コマンドマガジンから出た日中戦争三部作がメインとなる。本作は中黒靖氏、あと二作(大陸打通作戦と止江作戦)が瀬戸利春氏のデザインとなる。
本「常徳殲滅作戦」は1943年11月に実施された日本陸軍による「ヨ号作戦」を、1ターン1週間、1ヘクス4.8kmのスケールで再現する。

1943年11月という時点で、すでに日中戦争の末期にあり、「常徳」と言ってもどこにあるかも分からない。そもそも日本軍は1939年の時点で攻勢限界に達しており、限界線を越えての作戦活動は厳しく戒められていた。本作戦は、また例のごとく、中国軍による反転攻勢が始まる前に、相手方の予備戦力を削ぎ、猶予期間を確保しようというもので、常徳を攻めると見せかけて、国府軍の主力を誘因、撃滅するというのが作戦目的だった。
史実では、日本軍が常徳を一時占領するも、中国軍の反撃で予想以上の損害を出して撤退、当初の作戦目的は達成したものの、受けた損害を考慮すると、評価が難しいレベルに終わった。

本作は、ルールこそシンプルながら、日本軍と中国軍では作戦シークエンスが異なる上、中国軍歩兵は司令部の指揮下に無いとZOCが無かったり、「計画的撤退」のような特別ルールがあるため、慣れないと全容が把握しづらい面はある。
全体で5ターンしかなく、フルマップ一枚ながらも、1時間半から2時間でプレイでき、プレイアビリティは高い。

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日本軍は1ターンに3回作戦フェイズがあるものの、各フェイズ移動もしくは戦闘しかできないため、敵を包囲したまま前に進むのか、撃破してから前に進むのか、判断が難しい。
逆に中国軍は1ターンに1回「計画的撤退」ができるので、日本軍が接敵してきたら、司令部を通じて「待避」、次ターンに増援として再配置が可能になっている。あまり無節操に撤退すると、日本軍が三回移動してあっという間に常徳に辿り着いてしまうので、「捨てがまり」要員をどれだけ残すかがポイントとなる。

この日は、O先輩が日本軍、ケン先生が中国軍を持ち、3回プレイするも、3度とも日本軍は豊縣を占領するに止まり、常徳に届きそうに無く断念した。
日本軍は1ターンに3度の作戦フェイズを移動もしくは戦闘するわけだが、基本は移動−戦闘−移動ないしは移動−移動−戦闘となる。だが、中国軍は計画的撤退ができるため、一度の攻撃は回避できる仕組みになっている。結果、たとえ薄くても二重戦線さえ張っていれば、日本側の最初の移動による接敵は計画的撤退で回避できる。この場合、日本軍は第二作戦フェイズで移動して、第三フェイズで攻撃という流れになるが、その次は中国軍フェイズなので、戦線を整理できる。

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(左の日本軍が占領しているのは豊懸、上は名高き洞庭湖、右が常徳)

戦闘結果表が常識的な上、歩兵しか無いため戦闘後前進も1ヘクスだけなので、非常に展開が読みやすく、中国側は戦線を敷く位置を間違えずに、上手く二重戦線を構築できれば、まず破断界を迎えるようなことは無いように思える。
後日、他のリプレイを覗いてみたところ、みな常徳に辿り着くところまでは行っている感じで、「どこかルール解釈を間違えているのか?」と思って、読み返したが、特に問題は無いように思えた。

「強い日本軍」と「逃げるが勝ちの中国軍」の「噛み合わなさ」が良く表現できているとは思うものの、どっちも「俺はやったぜ!」というカタルシスが得られない地味な作品とも言える。決して悪くは無いのだが・・・・・・
posted by ケン at 13:00| Comment(3) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする