2020年02月03日

大学で連帯責任を教える日大

【日大ラグビー部、無期限活動停止 部員が大麻所持容疑で逮捕】
 東京都渋谷区の路上で大麻を所持したとして、警視庁原宿署は日本大学ラグビー部員、H容疑者(21)を大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕した。同署への取材で判明した。日大は20日、部の活動を無期限停止にすると発表した。
 同署によると、署員が今月18日、渋谷区の路上で樋口容疑者を職務質問し、大麻を発見した。「自分で使っていた」と容疑を認めており、19日に同法違反容疑で逮捕。20日午前から東京都稲城市にあるラグビー部の寮を捜索し、入手ルートなどを調べている。
 日大ラグビー部は1928年創部で、関東大学リーグ戦1部に所属している。これまでに全国大学選手権に18回出場した。同部はホームページに「部員の不祥事のおわび」とする文章を掲載。平山聡司部長が「このたび、日本大学ラグビー部員が法令違反により逮捕されたことについて、心よりおわび申し上げます。今後の警察の捜査に全面的に協力するとともに、当該部員に対し、捜査の状況を踏まえ厳正に対処いたします」とコメントした。
(1月20日、毎日新聞)

部活動外の個人的行為をもって部の活動そのものを停止させる日大。
本来、連帯責任とは組織犯罪や組織の共同謀議に基づく不法行為を処罰する場合に適用される概念である。
プロスポーツにおけるドーピングについても、「組織的な運用」なのか「個人的行為」なのかによって処罰のあり方が異なってくるため、欧米では厳密な調査が行われ、往々にしてコーチなどが「私は知らなかった、だまされただけ」と答弁している。

日本では、学校部活や校内活動からして連帯責任が非常に幅広く適用されている。
これは、欧米における考え方とは異なり、「個別に責任を負わせない」「綿密な調査を行わない」「組織統制を強化し、管理しやすくする」などの目的から導入されていると考えられる。
本来であれば、むしろ現行の「桜事件」や「公文書廃棄」など、個別に責任を負わせるのが難しく、共同謀議の恐れが強い事件について、内閣や省庁に対して幅広く適用すべきものなのだ。

日本の場合、あまりに幅広く連帯責任が適用されるため、組織的な隠蔽が行われる土壌を形成している。
全員が処罰されるよりも、全員で隠蔽する方が「合理的」だという判断がなされるためだ。
逆に、欧米のように個別責任を徹底的に追及する社会の場合、密告や司法取引のようなことが横行し、社会や共同体の強度を下げやすくするというマイナス面もある。
とはいえ、現代日本では、福島原発事故や桜事件、あるいは数々の学校における生徒自殺事件を見るまでも無く、「誰も責任を負わない」「調査しない」「隠蔽する」といったマイナス面が濃厚に現れ、社会の劣化を加速させているようにも見える。

もっとも、これらの根源には、GHQに指定されたごく一部の「戦犯」のみを処罰して、あとは天皇を頂点として「一億総懺悔」によって、十五年戦争の責任をうやむやにしてしまった昭和帝政の制度的中核が存在する。連帯責任にしておかないと、天皇に責任を負わせることになってしまうためだ。
日本はまたぞろ総懺悔するつもりなのだろうか。
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2020年02月01日

武漢ってどこ?

武漢の位置.jpg

武漢と言っても、具体的な位置をイメージできる日本人は稀じゃないかと。上海からは700km以上離れています。
現代中国ではまさに中央部に当たりますが、古代史的には、長江より南は辺境扱いです。

歴史的には、武昌、漢陽、漢口の三つの街が統合してできたもので、ハンガリーのブダ=ペストと同じ作りです。
武昌は武昌蜂起で知られる辛亥革命の聖地、漢陽は三国志で知られる江夏、漢口は戦時中、日本海軍の航空基地があり、重慶爆撃の拠点となりました。
現在では武漢市だけで人口一千万人、周辺市まで含めると三千万人を超える一大都市で、製造業も盛んですが、教学都市としての方が知られています。ケン先生も中国に行くとき、武漢の大学からも誘いがあり、「セーフ」でした。

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写真(右)は、1940年6月4日、支那方面艦隊参謀長として漢口基地視察した伯父上。
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2020年01月31日

対米依存さらに増す勢い

【双務性追求の努力必要 日米安保条約改定60年・河野前統合幕僚長】
 日米安全保障条約改定から19日で60年。改定は日本が一方的に米軍基地を提供する片務性を解消し、米の対日防衛義務を定めた。しかし、歴代米政権の中でもトランプ大統領は露骨に「日本は米国を守れない」と条約の不平等性を主張し、対価として米軍駐留経費の負担増を迫る。日米同盟の在り方について、自衛隊制服組トップを歴代最長の約4年半にわたり務めた河野克俊・前統合幕僚長(65)に話を聞いた。河野氏は「憲法上の制約はあるが、条約の双務性を高める努力が必要」と語った。
 河野氏は、1960年の安保条約改定時は米の対日防衛義務を定めた5条と日本が基地を提供することを規定した6条で釣り合っていたと指摘。一方で「日本は経済力と防衛力を増し、米国の国力が相対的に落ちたことで、米には条約上の不満がたまっている」と話す。
 米国に日本防衛義務を課した安保条約5条は日本の施政下におけるいずれか一方への武力攻撃に対して日米が対処すると定めている。しかし、日本が米国を防衛する義務は規定されていない。河野氏は沖縄県・尖閣諸島有事が起きた場合を例に挙げ、「自衛隊が当然、正面に立ち、安保条約5条の対日防衛義務の適用対象なので米国は支援するだろう。しかし、米国民は海兵隊の若者を送ることに納得するだろうか」とも話す。
 一方でトランプ大統領が駐留経費の負担増を求めていることには「日本は相当負担している」とも語る。根本的に米の不満を解消するには、憲法9条の制約はあるが、条約を双務性に近づける努力が必要だと強調。その例として、安全保障関連法で米国のような密接な関係にある国への攻撃により、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」に限定的な集団的自衛権行使が認められたことや、平時に米軍艦艇を守れる「米艦防護」を挙げた。
 2017年に初めて実施した米艦防護では「日本は変わった」と米側から感謝されたという。河野氏は「同盟の基本は自衛隊と米軍がリスクを共有して戦うことだ。旧安保条約は敗戦国と戦勝国の条約だったが、時代の変化とともに対等な同盟にしなければならない。これをお金の話にすると同盟としての信頼に寄与しない」とも述べた
(1月19日、時事通信)

中国が強大化し、日露交渉が不調な現在、「中露と対抗」という選択を採るならば、対米依存を深めるほかに選択肢は無い。
「日米同盟の強化」や「対等な同盟関係」というのは、あくまでも修飾語に過ぎない。
アメリカが覇権国家で、日本がその衛星国である以上、「対等な同盟」など存在し得ない。

アメリカにとって中国の強大化は、極東における覇権護持のコストとリスクが高まることを意味する。
トランプ大統領が米朝和解を進め、日本や韓国に対して負担増を要求するのは、コスト増に対する自然な対応である。
逆に日本政府としては、アメリカの極東関与(勢力圏の維持)を少しでも延長させるためには、「アメリカにとっての日本の価値」を高めるしかない。
それは、財政的支援と軍事的支援の両面で果たさざるを得ない。前者は日米貿易交渉であり、後者は中東・アフリカへの自衛隊派遣となって現れる。こうした傾向(対米貢献のさらなる深化)は、中国の強大化に伴ってさらに加速してゆくだろう。

現行の昭和帝政がアメリカの保護を前提として成立している以上、「米軍の撤退」はベルリンの壁と同様に、昭和帝政の瓦解に直結するため、日本政府は血反吐を吐いて倒れるまで、「アメリカに対する貢献」を続けようとするに違いない。

以上の点は、自民党であれ、立民・国民等の連合系野党であれ、基本方針は変わらないので、どちらにしても「アメリカとの縁の切れ目が昭和帝政の終焉」と見て間違いない。
我々は「その後」を見据えて、今度こそ明治帝政の息の根を止めるべく、努力しなければならない。



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2020年01月30日

中国の学生に同情される日本学生

日本式贫困:被助学贷款拖入地狱的18岁们

中国メディアが日本の学生の貧困ぶりを報道する時代。
そして学生が「本当ですか?」「中国の奨学金は返済不要です」と言ってくる始末。
もはや精神的豊かさ=余裕という点では、中国が日本を上回っているのかもしれない。

日本では大学生の5割が有償奨学金(要返済)を受けており、卒業・就職時には負債を負っている。給付型奨学金は非常に少なく、奨学金の中のわずか3%でしかない。つまり、返済不要の奨学金を得られるのは大学生の1%強である。過去5年間で奨学金の返済ができずに自己破産した者は15000人を超え、その負債は保証人になっている親や親戚にまで及んでいる。こうした結果、日本の若年層は留学もできず、車も買えず、結婚もできなくなっている。これが、消費低迷と少子化を加速させ、日本衰退の大きな原因になっている。

本来であれば、これは政治が修正すべき政策課題であるが、高齢者が増えると同時に高齢層が若年層の2倍もの投票率を誇っているため、高齢層対策が優先されて、若年層向けの政策課題は二の次にされている。議会制民主主義の負の側面であろう。

今後は国防費の需要増や社会保障費の肥大化などから、さらに教育予算が削減され、教育現場は荒廃、貧困家庭や貧困学生はさらに増え、貧困の問題はますます深刻になっていくだろうとみられる。

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2020年01月29日

すかいらーくグループが24時間営業を全店廃止

【すかいらーくグループが24時間営業を全店廃止 働き方改革の一環で】
 働き方改革の一環で、すかいらーくグループがすべての店舗で24時間営業をやめることがFNNの取材で分かった。
「ガスト」や「バーミヤン」などを展開する、すかいらーくホールディングスは全国約3200 店舗のうち約150店舗で24時間営業を行っているが、1月から順次営業時間を短縮し、4月までにすべての店舗で廃止する。
また、24時間営業店舗を含む約560店舗で深夜営業時間を短縮する。
 すかいらーくは1972年に24時間営業を始めたが、深夜の利用客が減少したことや従業員の働き方が変化したことなどから、2012年以降営業時間の見直しをはかっていた。すべての店舗で24時間営業を廃止することで、従業員の健康に配慮した職場作りや、女性やシニアなどの雇用の充実につなげたいとしている。24時間営業をめぐっては「ロイヤルホスト」が2017年に全店で廃止しているほか、「デニーズ」も縮小傾向にあるなど、働き方改革や時代のニーズに合わせ、営業時間が短縮している。
(FNN、1月20日)

これは良い傾向。
コンビニの24時間営業が廃止されれば、さらに大きく変化しそうなのだが。
こういうところから着実に変えていくことが望ましい。
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2020年01月28日

この世界の(さらにいくつもの)片隅に



帰国して映画館に駆け込んだくらいの勢いで見た。
気づいてみれば3年前の作品だが、この三年間で世界各国で70以上の賞を受賞したという。
国際的には殆ど評価されなかった『シン・ゴジラ』と違って、普遍的なテーマを描いていると言うことかもしれない。

本作は30分ほどのシーンが追加されて再編集されたものだが、見た印象(感想)はかなり異なる。
本作では、より登場人物の内面描写に焦点が当てられ、私小説的な要素が強まっている。
オリジナル版でも十分に心に刺さっていたが、本作は刺さってさらに染み渡る感じだ。
逆を言えば、オリジナル版でも十分に情緒的だったものが、いささか情緒過剰になったとも言え(感情移入しすぎ)、その辺が評価を分けるところなのだろう。
個人的には、「どちらもあり」で、確実に言えるのは「ただの長尺版ではない」ということだろうか。

平日の昼間に見たが、かなり高齢層の方が多く、幅広い支持があるのだなぁと思った次第。
改めて2010年代の傑作の一つである。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月27日

不登校対策でスマホ禁止?

【スマホやゲームの利用「ルール化を」大阪市長】
 小中学生がスマートフォンやオンラインゲームに依存するのを防ごうと、大阪市の松井一郎市長は15日、スマホの使用時間を条例でルール化することも視野に、実効性ある対策を検討するよう市教委に指示した。
 松井氏は同日市役所で開かれた会議で、不登校の要因の一つがスマホやゲーム依存であるとの実態が紹介されたことを受け、「夜は何時までとか、条例でルール化したらどうか」との考えを示した。
 市内では旭区が平成26年に、スマホやゲーム機を午後9時以降は使用しないなどのルールを決定。校長判断で各校で適用されているが、市教委として統一したルールは定めていない。
 松井氏は、使用制限に強制力を持たせたり罰則をつけたりすることは難しいとの認識を示した上で「理念的なものにはなるが、(大阪市として)ルールを作ったよというのが(不登校を減らすのに)大事なのかもしれない」と述べた。
 スマホやオンラインゲームの使用制限をめぐっては、香川県が子供がインターネットやゲーム依存になるのを防ぐ全国初の条例制定を目指している。今月10日の検討委員会ではスマホやゲームは「平日は1日60分まで」などとする条例素案が示されたが、ネット上でも賛否が分かれるなど物議をかもしている。
(1月16日、産経新聞)

相変わらず頭の悪そうな政策ばかりが提起されている。
正直、スマホ・ゲーム禁止は関ヶ原以西だけにして欲しい(笑)

そもそも、「ゲームで寝不足になって不登校」なのか「不登校で暇だから仕方なくゲーム」なのか、普通に考えれば、後者の方が圧倒的多数を占めると推測できるだろう。
仮にスマホとオンラインゲームが不登校の要因なら、2010年前後を起点に不登校が急増しているはずだ。しかし、現実にはそれ以前から断続的に増えており、スマホ・オンラインゲームとの関連性を証明するのは困難なはずだ。つまり、エビデンスが存在しない。

いじめや体罰などが放置されていたり、教員が多忙すぎて子どもと向き合えなかったり、学校環境そのものの悪化を放置して、どう見ても枝葉に過ぎないゲームをやり玉に挙げるのは、戦争や人種差別で批判の矛先を別の方向に目用とする権力者の常套手段と同じだ。

繰り返すが、不登校は学校環境の問題であり、まずは学校環境を変えなければ、何も変わらない。
仮にゲームを禁止してみたところで、家の中でボーッとしているだけになる可能性が高い。もともと不登校の子どもが「ゲーム禁止されたから学校にでも行くか」と思うだろうか、思うわけ無いだろう。

いじめを減らすのは、実はさほど難しくない。いじめは閉鎖空間における濃密すぎる人間関係のストレスから発生するものであって、まず学級制度を廃止して、全教科を単位制にすることで、一つの教室に同学級の人間が長時間同室する環境を廃する必要がある。
同時に、部活動を全廃して、部活内での閉鎖的人間関係や閉鎖空間、あるいは歪な上下関係を廃止する必要がある。また、部活動を廃止することで、教員の労働時間を約二割削減できる。
さらに空間的には、教室の壁を全て取り払うことで、「死角」空間を限りなく減らしていく努力も必要だろう。権威主義的(上下関係を固定化し、疎外を正当化する)な学校行事や修学旅行も全て廃止した方が良い。

だが、現実には不登校やいじめを減らすための努力は殆どされずに、むしろ不登校やいじめを増やす恐れのある「改革」が進められようとしている。
こうした点でも、日本の未来は絶望的に暗い。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする