2017年11月30日

総理様の有り難い賃上げ要請

【首相、賃上げ「来春は3%実現を期待」 経団連会長「前向きに検討」】
 安倍晋三首相は26日夕の経済財政諮問会議で、来年の春季労使交渉について「(賃上げの)流れを持続的なものにしなければならない。3%の賃上げを実現するよう期待する」と述べた。
 安倍首相は「賃上げはもはや企業に対する社会的要請だ」と指摘したうえで「企業収益を賃上げや設備投資に向かわせるため、予算・税制、規制改革などあらゆる手段・政策を総動員する」と語った。賃上げへの環境整備を進め、年末に策定する経済政策パッケージに反映する考えだ。
 一方、同会議に出席した経団連の榊原定征会長は会議終了後、記者団に対し「経済界はこれまで相当高い水準の賃上げを行ってきた」と前置きしつつ「企業が過去最高の収益をあげるなか、社会的要請としてより高い水準の賃上げを求める声は認識している」と述べた。そのうえで「生産性革命を進めながら賃金水準の引き上げについて前向きに検討していく」との考えを示した。
 榊原会長は「賃上げは一律ではなく、消費性向の高い世帯への重点配分なども考慮する必要がある」とも指摘。政府には「所得拡大促進税制など一段の政策支援をお願いしたい」と求めた。
(10月26日、日本経済新聞)

一国の総理大臣が民間企業に賃上げを要請するとか、開発独裁国丸出しだな(爆)
すでに何度か述べていることだが、敢えて繰り返したい。
経済学の常識だが、賃上げは労働生産性の向上に対する報酬としてなされるもので、生産性の向上が無いところに賃上げだけ強行すれば、人件費負担が増えるだけで経営悪化を加速することになる。これを国家規模で行って失敗したのがソ連だった。

「生産量至上主義」に凝り固まっていたソ連政府は、ひたすらに生産における量的拡大にのみ腐心していた。そのため、各企業はリスクを伴う技術革新よりも、工場の拡大と労働者の囲い込みに走った。上から命令された「ノルマ(生産量)」さえ達成すればよく、生産物の「質」は問われなかったからだ。
工場の拡大は、市場の需要ではなく、「党の指令」によって行われる。党もまたノルマの達成のために、工場の拡大を安易に許可した。結果、工場ばかりが増え続け、労働力は慢性的に不足するという事態が生じた。ソ連、あるいは今のロシアを見ても分かるが、廃墟となった工場の多さは、こうした「計画経済」の遺物でもある。
慢性的な労働力不足は、自然、賃金を上昇させていった。
賃金の上昇と慢性的な物不足は、市場に貨幣を滞留させる結果となる。市場経済の場合なら、余った金を貯蓄に回すことによって、銀行が市場に再投資する機能を有する。が、ソ連の場合、「不労所得は悪」というイデオロギーから、預金金利は無きに等しい状態に置かれ、政府・国家に対する歴史的不信も災いして、余った貨幣の大部分が「タンス預金」として家庭に留め置かれることとなった。
また、市場経済であれば、この状態ではインフレーションが起こるのだが、統制経済下では価格は政府によって公定される。その結果、「行列」と「闇市場」が顕在化してくる。
(ソ連の「インフレーション」)

ペレストロイカは、指導層の掛け声や、西側社会からの評価に比して、全く進んでいなかった。具体例を挙げると、1989年時点で企業の民営化率は1%、90年時点で商品の自由価格率は1割に遠く及ばなかった。1990年予算で歳出に占める食糧価格調整金(補助金)の割合は20%、コルホーズを始めとする国営企業補助金が20%、軍事費が15%超という有様だった。
ミクロで見ても、1954年から90年に至るまでパンの公定価格は一切変わらなかった(70コペイカから1ルーブル)にもかかわらず、独立採算制の導入や政治的理由から労働賃金を上げ続けた結果、貨幣の過剰滞留現象が起き、潜在的インフレーションを表面化させていった。また、生産価格を無視した公定価格を維持するために、国庫から際限なく補助金が出された結果、歳出に占める食料価格調整金の割合は20%にも達していた。このことは、ゴルバチョフ政権が食糧の公定価格制度に全く手を付けられなかったことを示している。大御所が指摘するところの「社会主義離れ」とは裏腹に、現実は全く「社会主義離れ」ができなかったのだ。
ペレストロイカを再検証する

生産性の向上や技術革新を伴わずに賃上げのみを進めた結果、市場には「買いたい物が無いのに現金だけ有り余る」状況が、企業群は「売れない物や安い物を大量生産して赤字が増大するも、国からの補填で賄う」状況が現出、これらの問題を修正することができずに、市場と国家の崩壊を招いてしまった。
いわゆる「ソ連崩壊」は、西側の論者の大半が曰うような「ソ連人が自由を求めた結果」起こったものではなく、マルクス経済学からも説明できる基本的な経済失政を国家規模で修復不可能なまで強行したことに起因する。

日本の場合は、やや事情が異なるため、症状も異なるわけだが、経済学の基本から説明できることに変わりは無い。

国内需要が縮小再生産のスパイラルに陥っているのに、設備投資して人件費を増やすインセンティブなどどこにも無いのは当然だろう。需要が増える展望が無いのだから、経営側としては人件費を増やせるワケが無い。
ゼロ金利である今は、とにかく負債を減らすのが企業側として合理的な選択となる。需要が無いのだから、設備も人も増やせず、結果、内部留保ばかりが増えてゆく。この内部留保を、国債で持つか、現金で持つか、株で持つか、という程度の選択肢しか無い。
さらに日本の場合、労働法制や労働組合が機能せず、超長時間労働やサービス残業が容認されているため、企業側としては社員数や賃金を増やさずに「必要なだけ」労働を要求できるだけに、労働生産性を上げるインセンティブが全く働かない。
本来賃上げというのは、労働生産性の向上に対する対価として行われるべきものであるため、この点でも経営側は賃上げする理由が無い。
また、労働組合側も、総需要の低下を受け「現在の(正社員の)雇用を守ること」が最優先事項となり、資本への従属を強めており、労働時間削減や賃上げを求めなくなってしまい、結果的に労働生産性の向上を阻害してしまっている。労働者が資本家に協力するのは、生産性を高めることで労働価値を高め、その代償として賃上げを要求するためだが、そのサイクルが失われて久しい。
保守政権が賃上げを求める愚

日本政府・自民党は長時間労働を容認、拡大する政策を採っている。裁量労働制の拡大はその象徴だ。国内需要の拡大が見込めない中、低賃金で長時間の労働を強要できるのだから、企業としては生産性を向上させるインセンティブが機能しない。また、企業内の正社員組合は、自らの雇用を確保しつつ、低賃金を補うために残業する必要があることから、長時間労働を容認するため、労働組合にも生産性を向上させるインセンティブが働かない。
低賃金と長時間労働が容認される一方、政府による公的融資や補助金制度が充実しているため、生産性の低い不採算企業が存続でき、市場から退出しないため、労働力も資本も不採算企業が保持してしまい、市場淘汰が進まず、成長が抑制される構造になっている。

また、日本では戦後60年にわたって権威主義的な自民党政権が続いたため、社会や学校が権威主義に染まっており、技術革新に必要な創造的人材を輩出できなくなっている。「生徒が就職できるように黒髪を強制する」などという高校とそれを求める企業では、自由な発想のできる人間は育たない。

日本が「崩壊」を回避するためには、全て逆の政策を行う必要がある。政府は公的融資制度、補助金、政策減税を廃止、労働組合が主導して長時間労働を抑制することで、不採算企業の退出を促進させつつ、生産性の向上を図る。優良企業が増え、生産性の向上が実現されれば、賃金は自然に上昇するだろう。
同時に、中央統制の強い権威主義的な教育制度を自由主義に改め、生徒の身体的・精神的拘束を最小限度に止めることで、「自由な発想のできる子ども」の育成に主眼を置く。これにより、技術革新の基盤を広げることができるだろう。

ソ連学徒のケン先生から見れば、今の日本は70年代末か80年代初めのソ連とかぶるところが多い。おそらく東京五輪は日本の「モスクワ五輪」になるのだろう。
posted by ケン at 13:00| Comment(0) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月29日

弥生美術館『はいからさんが通る』展

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「はいからさんが通る」展〜大正♡乙女らいふ×大和和紀ワールド!〜 弥生美術館にて12月24日まで

弥生美術館『はいからさんが通る』展に行く。
同美術館は閉館が早いので、土日に行くしかなく、どうしてもチャンスが限られる。今回は、新宿に用があったので、大江戸線に乗って本郷三丁目で下りて、東大を通り抜けて弥生門から出る。美術館は同門の目の前にある。カメラを持って行かなかったことが悔やまれる。東大はまさに秋真っ盛りという感じで、古き良き大学の名残がそのまま残されている。
大きなリボンを頭に結び、矢絣の着物に袴、編み上げブーツで颯爽と自転車に乗る少女たち…卒業式の定番として愛される華やかでキュートな袴スタイルは、明治〜大正時代の女学生の装いです。女学生の袴姿は、和装から洋装へと移り変わる過渡期に現れた一瞬のきらめきでした。1975年に漫画家・大和和紀が描いた「はいからさんが通る」の大ブームによって袴姿の女学生は再び脚光を浴び、本作は第1回講談社漫画賞を受賞しました。
 本展では「はいからさんが通る」の原画とともに大正〜昭和初期の女学生や職業婦人などの女性文化を当時の資料からご紹介します。さらに大和和紀の画業を「あさきゆめみし」「ヨコハマ物語」「イシュタルの娘〜小野於通伝〜」などの代表作や貴重な初期作品も含む、原画約200点からご覧いただきます。

『はいからさんが通る』は、妹が読んでいた関係で自分も読んだが、アニメは部分的にしか見ていない。大和和紀先生の作品は、他に『あさきゆめみし』を読んだだけ。これも受験用に『源氏物語』の内容を確認するための実用的?な目的が強かったが、いかんせん「誰が誰だか分からない(顔の判別が付かない)」という印象ばかり強かった。

昨年末の山岸凉子展の時は、妙齢の御婦人ばかりでアウェイ感たっぷりだったが、今回は意外と男性も多く、2〜3割くらいは男性だった。
今回も原画の魅力は相変わらずだが、山岸凉子展の時の「ほとばしるパワー」までは感じなかった。だが、その軽快なコメディー・タッチは、まさに70年代の少女漫画そのもので、懐かしさ満載だった。連載は『週刊少女フレンド』なのだから、当然だろう。

大正期の女学生などの風俗資料がなかなか興味深く、平塚らいてうが創刊した『青鞜』の実物も初めて見た。
『はいからさんが通る』の影響で、「女学生=袴姿」の印象が確立しているものの、現実には女学生が袴を制服にしていた期間は短く、大正後期にはセーラー服やブレザーなどに移行していたという。確かに私の祖母の場合は昭和初期だが、古い写真は全てセーラー服だった。

小さい美術館なので、サラッと見終わってしまうが、その割りに毎回満足度が高いのだから、良いセンスの学芸員がいるのだろう。
posted by ケン at 12:28| Comment(2) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月28日

オランダのポピュリズム政治

勉強会にてオランダのポピュリズムについて報告を聞く。

オランダは、今年3月に行われた総選挙で小党分立が進んでしまい、連立交渉が難航、オランダ史上初の4党連立(自由民主、キリスト教民主勢力、民主66、キリスト教連合)で新政権が発足したのは先月のことだった。下院定数150に対し、第一党の自由民主人民党が33議席、第二党の自由党(日本では極右扱い)が20議席、第三党の民主66とキリスト教民主勢力が19議席ずつあり、第二党を除外しての連立交渉が難航するのは当然の帰結だった。しかも、4党連立でも議席数は76と、半数を一議席上回るだけで、造反者が2人も出れば何も成立しない綱渡り状態にある。

さらに言えば、第一党の自由民主は総選挙において、自由党票を取り込むため、主張を中道右派からさらに右転回させたが、そこに連立のためとはいえ、中道左派でリベラル色の濃い民主66を加えた結果、移民政策、海外派兵問題、安楽死、同性婚、麻薬使用の拡大など様々な価値観で大きな開きが生じている。

日本の報道では、欧州の右派新興政党を指して「極右政党」と呼ぶケースが多いが、「フランスにおける既存政党の難しさについて」でフランスの国民戦線の政策を見てみたことがあり、日本の自民党や維新と比較して「より右」とは言えないことが判明している。

・移民の制限(排斥では無く、フランスの価値を尊重する移住者は認める)
・フランス国内におけるモスク建設の規制
・死刑復活
・公務員の削減
・減税
・同性パートナーシップ制度の廃止
・国籍の血統主義化
・補助金制度の見直し
・農村社会の重視


主張を見ている限り、日本の自民党と維新を足して二で割ったようなイメージであり、これを極右としてしまうと、日本では極右政党が議会の3分の2以上を占めていることになる。ただし、重農主義を唱えている点で、国民戦線は自民党よりも「伝統重視」と言える。
フランスにおける既存政党の難しさについて

オランダの自由党も概ねこれに近い主張で、基本にあるのは「EU懐疑主義」と「反イスラム」の二つ。EU懐疑論は、EU官僚による経済・財政支配からオランダの自律性と独立性を取り戻すことを目的としており、中央統制に対する反発をもって極右とは言えない。また、「反イスラム」は、イスラム原理主義がオランダ伝統の自由と寛容を阻害し、既存のコミュニティと融和を破壊するものとして反対しているのであり、彼らの主観では「自由と寛容を守る」という意味での保守なのだ。これも単純に極右とは言えないだろう。

オランダの国の成り立ちを考えた場合、その原点は三十年戦争(1618〜1648)あるいはそれ以前において、カトリックによる信教の強要とカルヴァン派の弾圧から、信教の自由と多様性を認めるために、スペインと長い戦争を経て独立を勝ち取ったところに起因している。故に、長いことオランダは政治亡命者を率先して受け入れてきた。出版・印刷業が発展したのは、他国で出版できない内容の本でもオランダでは可能だったからだ。
それだけに、伝統的な「自由と寛容」を守るために、それに否定的なイスラム原理主義を排除するのは、「積極的自由主義」「闘う自由主義」とも言える。

翻って、日本における日本会議や安倍政権が主張する「保守」は、明治帝政に成り立ちの起源を求め、戦後民主主義を否定し、帝権による権威主義を追及するものであって、オランダの自由党やフランスの国民戦線が求める価値とは大きく異なる。

もっとも、オランダ自由党の場合、党首ウィルデルス一人に全権限が集中しており、そもそも党員が党首一人で、候補者は党首の面接で選別され、議員ですら「スタッフ」という括りで党員ですらないという。だが、興味深いことに、候補選定の際には極右思想や他党での活動歴のある者は排除されるともいう。確かに独裁政党ではあるのだが、どこか小池百合子氏に似たところがある。

選挙制度においてもオランダのデモクラシーは際立っている。政党名簿式比例代表制だが、立候補者を出す政党に求められるのは、150万円ほどの保証金と20ある選挙区毎に30人の同意人、計600人の署名だけだという。日本では候補者一人分の供託金にすら足りない。政党は予め順位を振った候補名簿を発表し、投票の二週間前には全有権者に候補者一覧の入った投票用紙が送られ、投票者は好きな候補者にチェックを入れて投票する。名簿順が下位でも得票が一定数以上あると優先的に当選枠に入れられるシステムで、拘束式と非拘束式の中間的なシステムになっている。

日本では、氏名を投票用紙に正確に記すことが求められるが、世界的には候補一覧を見て、投票したい候補の頭にチェックを入れるだけのシステムが圧倒的だ。これは各国の識字率の問題もあるが、高齢者や障がい者などの事情を考慮したものでもある。日本でも、90年代の政治制度改革に際して細川政権がマークシートの導入を決めたものの、自社さ政権下で自民党の主導で記名式に戻された経緯がある。
この点からも、街頭で10日間ほどワアワア騒いだだけで投票所で候補者の氏名を書かせるだけの現行制度が、いかに既存の知名度に依存した体制側に有利な制度であるか分かるだろう。
posted by ケン at 12:23| Comment(0) | ロシア、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月27日

三分裂の後始末・続

【民進東北、中ぶらりん 野党再編見通し立たず各県連に焦燥感】
 民進党を取り巻く野党再編の見通しが立たず、東北の各県連に焦燥感が漂っている。地方組織の存続は決まったが、希望の党や立憲民主党、無所属議員との連携は宙に浮いたまま。2019年の統一地方選や今後の国政選挙に向けた足場固めに不安を募らせる。
 「希望が現れ、戦いは混迷を深めた。小池百合子代表でなければ勝てた」。13日、山形市であった非自民系の無所属参院議員の政治資金パーティー。民進山形県連の吉村和武幹事長は小池氏を痛烈に批判した。
 10月の衆院選で、希望から立候補した山形2区の前議員近藤洋介氏が議席を失い、県内は民進系衆院議員が不在となった。近藤氏の処遇は党本部の決定待ち。吉村氏は「既存の組織を強化するしかない」と話す。
 青森は1〜3区に希望から立った全員が落選した。民進県連内には復党を促す声があるものの、奈良祥孝幹事長は「希望で戦った候補がすぐ民進に戻るのは有権者に説明がつかない」と苦しい胸の内を明かす。
 田名部定男代表は総支部長の擁立を探るが、「今の民進に新たな候補が来る保障はない。希望との合流でイメージは悪化し、人材が奪われた」と漏らす。
 秋田県連は10月末、沼谷純代表が離党する意向を表明。「選挙結果が思わしくないから党を存続すると言っても理解は得られない。筋を通したい」と言う。
 希望で比例復活した緑川貴士氏は、月内にも地盤の大館市に支部を設置する構えだ。民進の秋田市議は「希望との対立は避けたい」と戸惑いを見せる。
 「どのような形で総支部を立て直せばいいか分からない」と吐露するのは、岩手県連の佐々木朋和幹事長。3日の常任幹事会は岩手1区から希望で5選した前県連副代表階猛氏の穴埋め人事を先送りした。希望、立民との連携の在り方を示すガイドラインの策定を党本部に求める。
 福島県連は今月上旬、無所属で9選した玄葉光一郎氏(福島3区)が代表辞任を表明。県連は24日の会合で後任人事を協議する。亀岡義尚幹事長は「地方議員を中心とした体制の在り方を含め、話し合いを進める」と述べ、希望、無所属議員との連携も模索する。
 宮城は東北で唯一、立民から立候補した岡本章子氏が比例復活した。地方組織発足の見通しが立たず、民進仙台市議の事務所を間借りする状態が続く。
 民進県連の地方議員は共同歩調を取る考えを確認しているが、立民への合流を探る動きもある。村上一彦幹事長は「一人でも飛び出すと組織が崩壊する。行動を共にすることを優先したい」とけん制する。
(11月20日、河北新報)

民進党が四分五裂した状況を良く伝える良記事。
参議院民進党と無所属化した民進党籍の衆議院議員が「進むも地獄、引くも地獄」になってしまった上、連合から「民進党を残せ」という強い圧力がかかって、「何も選択しない」現状維持を決したことが、何を引き起こしているか、よく分かるだろう。

今回の総選挙で、連合は総評系が立憲、同盟系が希望を支援する傾向が見えたものの、同じ総評・同盟系でも立憲と希望の両候補を支援したケースも散見された。結果、労組が推薦した候補が立憲、希望、民進の三箇所に分かれてしまい、一箇所に戦力を集中できなくなっている。
また、同盟系労組は「希望は次の選挙をまともに戦えない」とは思うものの、かといって「改憲反対、原発ゼロ、安保・治安法制反対、TPP反対」の立憲を支持するという選択肢はなく、「立憲を潰した上で、民進と希望を合流させる」方針を採るものと見られる。
総評系組合もアジール(避難所)的に立憲民主党をつくったものの、総評系単独で維持できるはずもなく、緊急避難的には「仕方ない」としても、将来の展望があるわけでもなかった。

立憲は先手をうって、地方組織をつくり、一般党員や次期選挙の立候補希望者の入党を進めることが肝要だが、連合・希望・民進残存者などがこぞって妨害しているのが現状だ。希望・連合・民進からすれば、「立憲の一人勝ち」を阻止するのが勝利条件であるため、あらゆる手を打って妨害するのが、「ゲーム的には正しい」選択となる。

立憲はとにかく財政難で、衆院の落選者に活動費を出したり、統一自治体選挙や参院選の候補者に公認料を出したりすることすらままならない状況にあり、兵糧攻めされると、どこまで持ちこたえられるか分からない。
posted by ケン at 13:40| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月25日

マンションオブマッドネス第二版を初プレイ

昨年末に発売されて売り切れになっていた『マンションオブマッドネス第二版』(アークライト)が、10月に再販されて即買いしたものの、選挙中はいかんともしがたく、選挙が終わってもメンバーの調整に難航、一カ月後にようやく初プレイが実現した。
そもそも1万4千円のボードゲームってどうよ、とは思うのだが、そこは大人買いあるのみである。

マンションオブマッドネスは、ラヴクラフトのホラー小説『クトゥルフの呼び声』を基にしたTRPG『クトゥルフ』をボードゲーム化した作品。同様の作品に『エルドリッチ・ホラー』があるが、これは全世界を旅して古の謎を解き、カルト教団や魔術師の陰謀を打ち砕くことを目的としている。これに対して、マンションオブマッドネスは、TRPGさながらに、プレイヤーが協力して閉じられた空間の謎を解き、生き残って脱出することを目的とする。
アーカムの薄汚れた路地と、そこにそびえ立つ大邸宅は、異様な力、恐るべき秘密、そして名状しがたき怪物を隠している。これら古代の建物の中で、わめきたてる狂人とカルト信者が、エンシェントワンを呼び起こそうとしている。そして生けるものには知られていない獣が、半月を僅かに過ぎた月の下で蠢く。
今夜、数人の勇敢な探索者たちが、内部に潜む狂気に立ち向かうため、閉ざされた扉を開く……。

TRPGはシナリオをつくり、マスターするのが大きな負担で(同時に面白いのだが)、中年(古の定義では初老)にもなると、なかなか難しい。本作は、セミ・デジタルで、アプリが進行を務め、プレイヤーは全員プレイヤーとして参加できる。アプリがマスター役を務めるといっても、ダイスはプレイヤーが振るし、カードもランダムで、ほどよくTRPG要素が残されている感じ。

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もっともクトゥルフはホラーゲームで、普通のTRPGでもキャラクターが続々と狂ってしまうシナリオばかりなので、その辺の演技(ロールプレイ)ができないと、雰囲気は出ない。
惜しいのは、基本セットに4つしかシナリオがなく、今後のシナリオの日本語化や拡張セットの販売が待たれる点にある。とはいえ、個々のシナリオもアプリがランダム性を加味する上、選んだキャラクターや人数などによって変化するので、同じシナリオでも楽しめるだろう。

ただ、アプリが必要なため、ノートPCかタブレット、そしてネット環境が不可欠となる。ただでさえ箱が大きくて重いのに、ノートもとなると大荷物だ。持ち歩くのは結構大変。

この日は2つのシナリオを3人でプレイし、2勝1敗。敗北は、勝利条件を満たせず、古代神の復活を許してしまうパターンや、死亡者や狂い死にが出たりしたケースを指す。基本的には非常にハードルの高いゲームなので、2勝1敗はかなり良い勝率だが、2勝目の時などは、3人のうち2人が負傷、同じく3人全員が発狂しており、「これで勝ったと言えるのか?」という状況だった。
アプリが様々なパズルの解読を要求してくるので、皆でワイワイやりながら解くのもなかなか面白かった。アプリが読み上げるイントロダクションもなかなか良い雰囲気で場を盛り上げてくれた。

シナリオの内容を書いてしまうとネタバレになってしまうので、今回はゲーム紹介に止めておく。
クトゥルフっぽさが非常に良く表されていて、閉じられた空間の閉塞感もなかなか良い感じだ。その一方で、既成のキャラクターでアプリが進行するという点で、ゲームブックのような「やらされている感」があることも否めない。この辺は好き嫌いが分かれるところだろうが、私的には十二分に楽しめた。
posted by ケン at 13:00| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月24日

人手不足では倒産しません!

【人手不足で倒産増 外国人就労拡大を要請へ】
 人手不足で企業の経営が回らなくなり倒産が増える中、日本商工会議所は、政府に外国人の就労受け入れ拡大の検討を求めることを決めた。日商の調査では、会員の中小企業のうち6割が人手不足としている。そのため、政府に外国人の就労条件見直しを求める意見書を提出する。
 現在、日本では、外国人の就労は原則、専門的・技術的分野などに限定し、大卒や10年以上の実務経験などを条件としている。しかし、日商は条件が厳しすぎるとしている。また、建設現場や運送などを念頭に、今は認められていない単純労働の分野の受け入れも検討を求めている。
 一方で、外国人の就労条件をゆるめることは治安の面などから反対の声もあり、受け入れの基準をどうするのか議論を呼びそうだ。
(11月16日、日テレ)

企業は人手不足で廃業することはあっても、倒産することはない。
連中が欲しいのは、低賃金で長時間・長期間働く「労働力」であり、だからこそ期間固定で労基法も適用されず、人権も認められない外国人技能実習制度がもてはやされ、制度拡充が続けられている。

本来であれば、労働力不足が生じた場合、賃金が上昇し、競争力が無い企業は廃業するか、生産性を高めて危機を乗り越えることで、市場の淘汰がなされ、成長が持続するのが、資本主義社会の基本構造である。
ソ連型社会主義が崩壊したのは、賃金ばかり上昇するのに、競争力の無い企業も国家補助で生き残るため、生産性の向上がなされず、「カネはあるのにモノが無い」が常態化してしまったことが一つの大きな要因になっている。

現代日本の場合、人手不足が生じても低賃金、長時間労働が認められていることもあって、賃金が上昇しない。同時に、同じ理由から経営を効率化して、生産性を向上させるインセンティブが働かない。
また、様々な補助金制度や税制優遇、公的融資が整っているため、競争力の無い企業がゾンビ化したまま存続し、資本と労働力の流動性が非常に低くなっている。

記事にある「6割の人手不足企業」は、要は賃金を上げるだけの資本も生産も無く、生産性を向上させることもできない不良企業であって、本来淘汰されるべき存在なのだ。こうしたゾンビ企業を生き残らせるために、低賃金・長時間労働を可能にする外国人労働者などを認めれば、市場はますます成長基盤を失って、衰退してゆくだろう。

経済学の基本である。
posted by ケン at 13:00| Comment(2) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月23日

ピリオドゲームズ「国防軍の夜」テスト

ピリオドゲームズ「国防軍の夜」−第二次世界大戦におけるドイツ陸軍内の派閥抗争をしみゅれーとした同人作品。

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「我らが伍長閣下は、今度はギリシアだってよ」
「どうせ2VPだし、カイテル一派にでもやらせておけ、失敗したらそこはそれさ」
「この国賊がー!!!」

現実の政治や党内派閥もこんな感じですわ。
二人プレイではさすがに微妙だったけど、超楽しそうなのは分かったので、いずれ4人くらいでプレイしたい。
posted by ケン at 20:52| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする