2017年04月29日

S&T “Kaiser's War in the East”

Strategy and Tactics誌第301号の付録ゲーム。日本ではあまり馴染みの無い、第一次世界大戦の東部戦線キャンペーン。確かGJ誌の付録にもあったが、カードドリブン式だったため、様子見したままになっていた。本作は、オーソドックスなシステムを採用している。デザイナーは、「The Soviet-Afghan War」のJ・ミランダ氏。

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1ターン=一カ月(冬期は二カ月)で、ユニットは軍または軍団単位。キャンペーンは、1914年8月から1917年までだが、15年や16年のシナリオもあり、オプションでロシア内戦を含む18年のプレイも可能。プレイ時間に応じてシナリオを調整できる融通さも魅力と言える。
基本システムは、オーソドックスな動員、移動、戦闘を繰り返すものだが、移動力はロシアの軍で「2」、ドイツの軍で「3」とかなり限定的。そして、移動は1回だが、戦闘が立て続けに2回行われるため、結果によっては戦線に大穴が開くこともある。ただ、二次大戦のような機械化移動があるわけではないので、ド派手な展開にはなりづらい。

基本的には一次大戦らしく地味に鈍器で殴り合うイメージではあるが、先に動員したロシア帝国軍が殴りかかり、同盟諸国は何とか耐えながらドイツ軍精鋭の動員を待って反撃に転じるというのが1つの流れになりそうだ。また、1916年8月にはルーマニアが連合国側で参戦、次いでブルガリアが同盟側で参戦するので、一気に戦線が拡大する。ドイツ軍はロシア軍に優位、ロシア軍はオーストリア軍に優位という力関係が、戦略を大きく規定する。

興味深いのは、敵ユニットの除去と戦略重要拠点の占領・維持によって勝利得点を獲得するのだが、そのVPを消費して強行軍や大攻勢に必要な補給拠点や除去された軍・軍団の再編を行うため、チキンゲーム的な要素があり、下手に頑張りすぎるとちょっとした失敗、手違いでいきなりVPがゼロになってサドンデス負けしてしまう恐れがある。
また、ドイツ軍の戦略重点(西部戦線か東部戦線か)によってシークエンスの変化もあるため、いくつかの時点でターンオーバーが起こる仕組みになっており、これを上手く使うことで大突破を図ることも可能になっている。が、この点はいささか熟練が必要となりそうだ。

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この日は3人でGMT「Triumph & Tragedy」をプレイする予定だったが、2人の都合が悪くなって中止。一人で本作を並べるところとなった。寄る年波には勝てぬということか。
15年初夏までプレイしたところでは、地味なイメージは否めないものの、コンパクトなシステムで一次大戦や東部戦線の雰囲気を良く再現しているという感触を得た。
いずれは対人で試したい。
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2017年04月28日

融解する民進東京

【民進、離党届の扱い苦慮=都議選候補、推薦案も】
 7月の東京都議選を前に、民進党が候補者から続々と提出される離党届の扱いに苦慮している。公認内定者36人のうち、既に3分の1を超える13人が離党届を提出したが、党は1件も受理せず、処分も決めていない。蓮舫代表が小池百合子都知事との連携を探る意向を表明したことが対応を難しくさせており、党内では無所属での出馬を容認して推薦を与える案も取り沙汰されている。
 大串博志政調会長は25日の記者会見で、都議選候補の相次ぐ離党について「残念だ」と述べつつ、「都議会で自民党と対峙(たいじ)してきたという意味において、都民ファーストの会とも考えが一致するのではないか」と述べた。
 都議選は、小池氏が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」を軸に展開する見通し。劣勢を危惧して離党を表明した民進党候補のほとんどが、都民ファーストからの立候補を目指している。離党届を受理すれば、さらに離党の動きに拍車が掛かる公算が大きい。
 民進党都連幹部は、その背景として党勢低迷に加え、蓮舫氏が小池氏主宰の政治塾への参加を容認したことがあるとみている。年明けに離党者が出始めた際も「目くじらを立てることではない」(蓮舫氏周辺)と危機感が薄かった。党若手は「対応の遅れが傷口を広げた」と嘆いた。
 ただ、離党を認めず除籍(除名)処分とする選択肢は取りにくい。小池氏の反発を招く恐れがあり、同氏との協調方針とも矛盾しかねない。小池氏への協力姿勢を示している連合とも溝が広がるとみられる。とはいえ、離党届を放置したままでは、蓮舫氏の求心力がさらに低下することは避けられない。
 民進党は都議選で、現有18議席から大幅に減らすことが必至とみられ、「議席ゼロ」の可能性もささやかれている。「民進系都議」を確保するため、離党を円満に認めた上で推薦する「苦肉の策」も浮上しているが、党幹部は「有権者の反発を招く」と懸念している。 
(4月26日、時事通信)

先日(確か都議候補が10人程度離党した段階で)、ボスに「少なくともあと10人は離党する」と報告したばかりだが、「少なくともあと10人」程度では済まされず、「10人残ればマシ」くらいの情勢になっている。敢えて弁明すれば、ボスに報告した後に、私の地元の市議らからヒアリングして、「想像以上」の事態だったことに気づかされたわけだが。私は私で、舛添前知事を追放劇に荷担した都連執行部に抗議して先に離党届を出しているため、表だって情報収集するわけにもいかなかった。

耳にしたところでは、地元の都議も準備を進めており、「あとはタイミングの問題」だという。彼は一般的に脆弱な基盤しか持たない民進党議員の中で「最強級」と言えるくらいの地盤、実績、人気を誇っているだけに、その彼でも「次は民進では当選できない」「ファーストが出たらサドンデス負け」「KM党にも勝てないかもしれない」と考えるほど追い詰められているという。

親分肌で自信家とも言える彼が厳しい立場に追い詰められているのは、個人後援会の中でも「一刻も早く離党してファーストに行った方がいい」との声が日に日に強まっている上、市議団からも「落選して都議ゼロになる状況は避けたいので、離党して無所属で出て、とにかく再選して欲しい」との要望が上がっているところにも起因している。もちろん連合東京からは「ファーストでも推薦する」と言われている。
ここには、民主党・民進党には党員や党組織が存在しないため、後援会や連合の意向が非常に強く、自分の信念だけではどうにもならないという背景がある。つまり、個々の都議からすれば、「そう(離党するな)は言っても、じゃあ党は何をしてくれるんだ?!」という話であり、実際のところ党本部も都連も打つ手が無い。
状況的には、ユーゴスラヴィア崩壊の状況に近いかもしれない。
地元では「(中央の)代表と幹事長を替えろ」という声が聞かれるが、別にレンホーを辞めさせたところで、都議が離党を思いとどまるわけでもないだろう。いずれにしても、都議選の大敗でレンホー体制は終わりそうだが。

最も有利な選挙環境にある彼が離党した場合、定員5人以上の大選挙区を除いて「もはや民進では当選できる見込みが無い」という判断が所与のものとなり、ドミノ現象が始まるだろう。離党されて困るのは党執行部や党本部だけで、個別的には「離党しても、国政選挙や市区選挙は今まで通りやります」と言って回っているだけに、国会議員も市区会議員も「別にいいんじゃね?むしろ当選してくれないと困るし」という話になっているようだ。

一般人からすれば、「今回は離党してファーストでいいかもしれないけど、名古屋や大阪を見れば分かるとおり、その次は分からないのでは」と思うところだが、職業議員というのは常に「次の選挙」のことしか念頭に無いものなのだ。確かに今回の選挙で民進党に操を立てて玉砕したところで、次に民進党で復活できる保証などどこにも無い。むしろ次の選挙までに民進党自体が消えて無くなっている可能性だって考えられる。
その背景には、民主党・民進党が落選者に対して十分な手当をしない、あるいは何の補償もしないため、イデオロギーや政策的共感も無いことから、「政党名なんてただの看板」という認識が一般化していることがある。

いずれにしても、民進東京はかつての東欧諸国の共産党のように溶けて消えてしまう運命を辿りつつあると言えよう。

「ただ生きたいと願う魂を守る。自分の使命はそれだけだ」 by. 仮面ライダー
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2017年04月27日

3、4月の読書(2017)

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『ドイツ空軍全史』 ウィリアムソン マーレイ 朝日ソノラマ(1988)
原著は1980年代、著者は米空軍出の歴史学者。第一次世界大戦の敗北によって航空戦力が全廃され、ヒトラー政権後に一から再生、二次大戦の末期までを描く通史ではあるが、全くムダが無くコンパクトにまとめられており、全体像をつかむには最適の書かもしれない。記述も至って冷静で偏りが無い。このテーマは大昔、小学生か中学生の頃にサンケイ出版の『ドイツ空軍』を読んで以来となるので、非常に刺激的だった。要は近隣諸国との短期決戦のみを想定して、地上支援に最適化し過ぎた結果、想定外の全面、長期戦争になってしまい、方針転換もままならないまま疲弊していった、ということなのだが、それでも英米ソの圧倒的な物量を前に、良くあそこまで戦えたものだ。ただ、かなりの大著を文庫にしてしまったため、注釈や参考文献、あるいは図表が削除されてしまい、非常に惜しいことになっている。朝日ソノラマが無くなった後、2000年代に学研M文庫で再版されたものの、これも絶版になっており、M文庫も廃止された今、戦史ファンとしては心細い状態が続いている。

『スターリン―赤い皇帝と廷臣たち〈下〉』 サイモン・セバーグ・モンテフィオーリ 白水社(2010)
上巻は読んでいたのだが、下巻に入ったところで何らかの理由で中断し、そのままになってしまっていたので、読み終えることにした。モンテフィオーリ卿の最高傑作にして、既存のスターリン伝の中でも最高峰にあると思われるが、いかんせん上下巻で1300ページという恐ろしい大著なので(註が恐ろしく多い)、容易に手を出せないところは否めない。とはいえ、膨大な一次資料を重視すると同時に、生存者へのインタビューも丹念に行って、可能な限り「見たまま」のスターリン像を描き出しているだけに、読み手も苦労する価値があるし、実際にソ連学徒が読んでも半端ないリアル感を覚える。スターリンに限らず、重臣や親族に関する記述も充実しており、多重的に描かれている点が、認識をさらに深めてくれる。次はサーヴィス『トロツキー』に行くか、スナイダー『ブラッドランド』に行くか悩み中。

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『スターリン批判 1953〜56年』 和田春樹 作品社(2016)
御年80になられる御大の新著。500ページ近くあり、とても79歳の仕事とは思えない充実ぶり、業界では毀誉褒貶多いものの、やはり一個の巨人であろう。先生はすでに70年代にスターリン批判の分析をされていたが、90年代以降に公開された新資料や証言をふんだんに駆使して、スターリン批判に至る経緯から周辺国への影響に至るまで歴史の再構築を試みている。上に紹介した『スターリン』の最終盤からスタートする話なだけに、より納得でき、知識の上書きを進めている。和田先生の労作群なくしては本ブログも存在しないとすら言える。

『用兵思想史入門』 田村尚也 作品社(2016)
『各国陸軍の教範を読む』の田村先生の新著。古代メソポタミアから現代アメリカの「エアランド・バトル」に至る用兵思想の歴史を俯瞰する一作。ただし、孫子に代表される東洋のそれは含まれておらず、あくまでも西洋が中心。300ページ強で駆け抜けてしまっている観は否めないものの、一つ一つを切り取らずに継承されてきた思想の連続性に着目し、「なぜそうなったか」を再確認することに意義がある。ゲーマーは一読しておくべきだろう。

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『働く女子の運命』 濱口桂一郎 文春新書(2015)
少子化対策もそうだが、「女性活躍」というスローガンばかりが先行しているものの、現実には女性の社会進出は遅々として進まず、「活躍」からはほど遠いところにある。その理由を、「日本型雇用」というキーワードを用いて戦前の歴史からひもといてゆく。結局のところ「職務、ジョブ」ではなく、人格丸ごと雇用して無制限の職能や勤務(異動)を強いる、世界に類例の無い日本型雇用を女性にもそのまま適用しているのが「日本型男女平等」「(日本型)女性活躍」になってしまっている、ということらしい。労働時間規制に関心の無い労働組合も、加害者の一員ということなのだろう。やはり労働問題を根本的に解決しない限り、個々人の幸福も生産性の向上もあり得ないと再認識させられる。

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『「天皇機関説」事件』 山崎雅弘 集英社新書(2017)
既出。

『新・所得倍増論』 D・アトキンソン 東洋経済新報社(2016)
『新観光立国論』で話題のアトキンソン氏の新著。様々なデータを駆使して、国としては世界第3位のGDPを誇りながら、実は一人あたりのGDPは世界27位(購買力調整後)、一人あたりの輸出額は44位と衝撃的な数字が続出。単に人口規模が大きいため、人海戦術でごまかしているだけの話で、エリートやマスゴミが喧伝するほど優秀でも裕福でも無いことを、淡々と説明している。生産性の低さは昨今強く言われつつあるが、具体的にデータを見ると驚かされる。ただ、「ではどうすればいいの?」となると、途端に曖昧、微妙な表現ばかりで具体性が無い。まぁコンサルなので、具体策が聞きたければ自分を雇えということなのだろうが・・・・・・
posted by ケン at 12:37| Comment(0) | 学問、文学、教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月26日

2017フランス大統領選1次投票

【仏大統領選、決選投票はマクロン氏圧勝の見通し 最新調査】
 23日に公表されたフランス大統領に関する最新の世論調査によると、決選投票では中道系独立候補のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)前経済相(39)が極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首(48)に圧勝する見通しだ。調査会社のイプソス・ソプラ・ステリア(Ipsos Sopra Steria)とハリス・インタラクティブ(Harris Interactive)がそれぞれ実施した世論調査によると、決選投票が23日に行われたとすれば、親欧州連合(EU)のマクロン氏の得票率は62〜64%と、ルペン氏の36〜38%を大幅に上回るという結果が出た。決選投票は5月7日に実施される。
(4月24日、AFP)

左右二大政党の候補がともに一次予選すら通過できない事態に。既存政党に対する有権者の不信が良く表れている。世論調査では「マクロン氏圧勝」となっているが、マスコミの「反ルペン」補正を考えると、そのまま信じるのは危険だろう。例えば、単純に「EUに対するスタンス」で考えれば、ルペン氏とメランション氏が「反EU」、その他が「親EU」ということで、後者がやや勝っている程度になる。

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年齢別の出口調査の結果もあるので見てみよう。これを見る限り、高齢層のフィヨン、中高年のルペン、若年層のメランション、満遍なく得票しているマクロンという感じに分類できる。この点、ネトウヨの中心層が40〜50歳代にある日本と似ているところがあるし、若年層の左翼好きという点ではアメリカに共通する。米国大統領選において、サンダース支持層がクリントン氏では無くトランプ氏に流れたことを考えれば、今後のルペン氏の主張次第では、マクロン氏に肉薄する可能性は十分にある。
地域で大別すると、都市部のマクロン、地方のルペンと振り分けられ、「EUの恩恵を受けず、発展から取り残された地方」とその逆の都市部との断絶ぶりが見て取れる。

決選投票に進む二候補の政策で考えてみよう。マクロン氏は社会党出身ながら今回は単独で立候補しているが、その掲げる政策は専ら新自由主義で、EUの中で民営化と規制緩和を進めることで経済成長を実現するとしている。優遇されている公務員を始め、既得権益層が大きいフランスで、民営化と規制緩和を行えば、激しい抵抗が起こると見られ、国内の不穏がますます高まるだろう。仮に若干の経済成長が実現できたとしても、ドイツとの競争に勝てない限り、国民の不満は高まる一方かもしれない。
そして、親EUと新自由主義路線は経済格差をさらに拡大するため、国内における排外主義を助長し、脱EU論者をさらに増やすものと見られる。今回はマクロン氏が勝つとしても、その施策は近い将来、国民戦線を大きく飛躍させることになるだろう。基本的には、サルコジとオランド路線の焼き直しに過ぎず、反ロシア・反アサド・対外積極策という点でも、従来の政策に懐疑的な層を説得できる可能性は低い。

ルペン氏の場合、脱EUによって自由貿易から保護貿易に転じ、国内の産業育成に努めると同時に雇用を確保する方向になるだろう。だが、これと言って優位な産業があるわけでもなく、独占的な市場を持つわけでもなく、国内には雑多な規制と劣位産業を抱えている中で、経済成長に必要な改革を実行できるのか不安は大きい。この場合、自前で超規模財政出動を行い、需要を創設する必要があるが、それができるかどうか。それができたとしても、EUの代わりとなる供給先が必要となるが、どこに求めるのか(仏露同盟の可能性)、課題は多い。また、自国人優先のため移民排斥が始まった場合、国内不穏が高まるだろう。ただ、欧州における「ドイツの一人勝ち」の中で、外交方針を転換し、仏露同盟によってドイツを抑え込むというのは、ロシア市場を開拓するという点でも歴史的裏付けを持つ合理的判断と言える。不要な対外政策から手を引くという点でも、国内の支持が得られるだろう。

EUが半ば「ドイツ帝国」となっている中で、「比較二位」のフランスは難しい立場に立たされており、「引くも地獄、進むも地獄」という面があり、デモクラシーそのものの危機にも繋がっている。
また、マクロン氏にしてもルペン氏にしても、議会に全く支持基盤を持っておらず、どうしても「弱い大統領」にならざるを得ず、自分が望む改革を実行できるだけの政治的基盤が無い。結果、政治不信と社会不安が助長される恐れがある。この点でもフランスは厳しい時代を迎えるだろう。
posted by ケン at 12:18| Comment(2) | ロシア、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月25日

山崎雅弘 「天皇機関説」事件

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『「天皇機関説」事件』 山崎雅弘 集英社新書(2017)
【目次】
第一章 政治的攻撃の標的となった美濃部達吉
1 貴族院の菊池武夫が口火を切った美濃部攻撃
2 美濃部攻撃の陰の仕掛け人・蓑田胸喜
3 美濃部達吉が述べた「一身上の弁明」
4 当代随一の憲法学者・美濃部達吉
5 国会の内外でエスカレートする「美濃部叩き」

第二章 「天皇機関説」とは何か
1 天皇機関説と天皇主権説(天皇神権説)
2 上杉慎吉と美濃部達吉の「機関説」論争
3 文部省も加わった天皇機関説の排撃運動
4 美濃部擁護の論陣を張った「帝国大学新聞」
5 昭和天皇も認めていた天皇機関説の解釈

第三章 美濃部を憎んだ軍人と右派の政治活動家
1 「陸軍パンフレット」に対する美濃部の批判
2 軍人勢力各派は「機関説問題」にどう反応したか
3 右翼団体による「機関説排撃運動」のエスカレート
4 騒動を岡田内閣打倒に利用しようとした立憲政友会
5 美濃部が『憲法撮要』に記した「統帥権」の意義

第四章 「国体明徴運動」と日本礼賛思想の隆盛
1 次第に追い詰められた岡田啓介首相
2 急激に力を持ち始めた「国体」というマジックワード
3 岡田首相の第一次国体明徴声明の発表
4 さらに激しさを増した美濃部と機関説への糾弾
5 消えかけた火を大きくした美濃部の「第二の弁明」

第五章 「天皇機関説」の排撃で失われたもの
1 窮地に立った岡田内閣と第二次国体明徴声明
2 天皇機関説事件から二・二六事件へと通じた道
3 美濃部の学説と共に排斥された、自由主義と個人主義
4 際限なく称揚される「天皇」「国体」という錦の御旗
5 実質的に機能を停止した日本の「立憲主義」

『戦前回帰』『日本会議 戦前回帰への情念』で軍事史以外の分野でも論壇デビューされた山崎雅弘氏の新著。
1935年春に起きた天皇機関説事件を概観した新書だが、本件を中心に据えた書は1970年の宮澤俊義『天皇機関説事件―史料は語る』以外に殆どなく、約50年を経て新たに光を当てている。

天皇機関説事件は、戦前期に「軍部独裁」が確立してゆく過程に生起し、明治憲法の立憲制や権力分立を否定し、形式上は天皇に権力を集約させつつ、実権は軍部を中心とするエリート官僚が掌握する結果となった。つまり、明治体制なりの分権体制から昭和の権力集中体制に移行する理論的転回の転機となった事件と言える。
1935年2月、貴族院で菊池武夫議員が美濃部達吉議員(東京帝大名誉教授)の天皇機関説を攻撃したことに始まり、「国体を否定するもの」「国賊」「学匪」などといった非難、攻撃が激化、美濃部家には続々と脅迫が届き、本人や家の周囲に不審者がつきまとうようになった。甚だしきは、文部省から「右翼テロに注意するよう」旨の警告に続いて「転向」を求める文書までが来たと言われる。
ところが、実際には美濃部説は当時の学界、官界における通説で、官僚採用のための高等試験も全てこれに基づいていた。しかも、当の貴族院では美濃部が自説を説明したところ、大きな拍手が起きて理解を得たはずだった。にもかかわらず、美濃部は不敬罪で告発され、マスゴミの攻撃にさらされ続け、ついには貴族院議員を辞任、その後右翼テロリストに銃撃されて重傷を負った。その間、政府は「国体明徴声明」を出して美濃部説を否定している。恐ろしいことに、美濃部を負傷させた銃撃犯はついに逮捕されず、同じく銃撃し命中しなかった犯人は懲役3年で済んでいる。
(中略)
昭和のテロリズムは、個々の政治家や財界人や学者を死傷させたことではなく、明治憲法に明文化されていない多元支配の構造(明治末年から大正期にかけて理論化された)を否定し、天皇による一元支配と擬装された軍部支配を実現した点に真の効果がある。同じ意味で、大正期の国際協調主義を否定し、軍国主義を促進させた点も大きい。テロルの副次的効果として、マスコミが便乗して大衆を扇動、リベラル派の知識人が沈黙し、官僚が自らこぞって国家主義・軍国主義に転向していった。また、(左翼)テロに対する警戒を理由に治安維持法などが制定されて恐怖支配が正当化された。
テロルの効用について(2014.10.2)

本件は満州事変や226事件のようなドラマティックな展開があるわけではなく、弾劾された美濃部博士もテロルに遭ったとはいえ、殺害は免れた上、当局に逮捕・収監されたわけでもないため、「悲劇のヒーロー」に祭り上げられることもなく、非常に地味な出来事にされている。だが、ソ連史で言えば、トロツキー追放やブハーリン裁判に匹敵する転機の一つであり、これを無視して戦前史は語れない。

今日的には、パックス・アメリカーナによる国際秩序が瓦解しつつある中にあって、日本の国力も低迷する一方、中国の影響力が急速に拡大、冷戦期の対立構造から脱却できない日本は、非常に大きな緊張下におかれている。国内でも貧困が蔓延し、経済格差が拡大して、社会不安が広がっている。結果、分権的なデモクラシーに対する否定的見解が広まり、自民党と霞ヶ関に権力を集中して「危機」を乗り越えようとする考え方が支持を集めつつある。つまり、戦前期とよく似た政治、国際環境の中で、似たような社会風潮が醸成されつつある。天皇機関説事件を俯瞰する意義はそこにある。

本書は、事件の時系列を正確に追いながら、様々な勢力の様々な思惑が交錯する複雑な背景にも焦点をあて、複合的に解説、事件の前後で何が変わったのか明快に説明している。
宮澤『天皇機関説事件』は、いかんせん当事者の一人(美濃部の弟子にして反逆者)である宮澤が著者であるため信頼性に欠ける上、法律家であるため資料の羅列と訓詁学的解説に終わっている。宮澤の問題は後でまた触れるが、上下二巻を読むのも一苦労な代物なので、山崎氏の新書は大きな意義がある。

ただ、新著という制約もあって、惜しい点もある。天皇機関説事件の意味するところ、経緯、人間関係、勢力図などは端的に説明されているが、「なぜ事件が起きたのか」「なぜ権力の集中が求められたのか」などの背景説明が十分とは言えず、ある程度の前提知識が無いと大局的には理解できないかもしれない。

私なりに補足しておくと、日本は第一次世界大戦で生産力を大きく拡大させたものの、同大戦の終了により需要が急低下して、大正デフレ(慢性不況)が生じる。1920年代は、国際協調路線により、英米圏の市場を利用することで破断界を免れたものの、それも1929年の大恐慌の勃発により頓挫する。国内に目を向けてみると、デフレと緊縮財政と大正軍縮によって、不景気が長期化し、軍人(退役者を含む)を中心として国民の不満が高まっていた。
世界恐慌を受けて英米が自由貿易から保護貿易・ブロック経済に転じる中、日本政府は為すすべを持たず、軍部の暴走が始まる。軍部は世界恐慌から国際緊張が高まると判断し、再度の大戦勃発を念頭に必要な軍事力を担保しつつ、独自の経済圏を確立する方策を模索する。

海軍は、「米英との手切れ」を想定して軍拡が不可欠と考える艦隊派と、「国際協調はまだ可能」と考える条約派に二分していたが、1930年のロンドン会議の時点では条約派がやや優位にあり、民政党浜口内閣と連携して軍縮条約を締結させた。これにより軍拡競争は避けられたものの、艦隊派には強い不満が残り、「統帥権干犯」問題の発端となった。
次いで、陸軍は満州事変(1931.9)を起こす。陸軍としては、米英との連携が難しい以上、単独でソ連の脅威から身を守る総力戦体制を築く必要があり、その経済的基盤として中国を支配下に置いて日本独自のブロック経済を構築しなければならないと考えた。だが、満州事変では、陸軍中央や内閣からの掣肘が入り、必ずしも関東軍(大陸進出派)側の満足する結果にはならなかった。

この二つは密接に関係していて、ロンドン軍縮条約が今で言う政治主導で締結されたのは、憲法の美濃部説(天皇機関説)に基づく権力分立論に依っていた。美濃部説は、軍の編成権は内閣にあるが、統帥権は軍部にあるというものだった。軍縮条約締結を受けて、大陸進出派は「統帥権の範囲ならオレ達で勝手にやっていいんだな」と考え計画したのが満州事変だった。
いざ満州事変を起こしてみると、美濃部の権力分立論が立ちはだかり、陸軍の思うようにはならない。海軍は海軍で、ロンドン軍縮条約の更改が1935年に行われるので、そこに焦点を合わせて艦隊派が挽回を図る。陸海軍は、ともに「次の大戦」を想定して編成権と統帥権の独占的行使が必要と考え、その攻撃の矛先を美濃部へと向けていった。

こうした軍部の思惑を利用したのが政友会だった。満州事変の対応に失敗し、軍部への統制力を発揮できなかった民政党若槻内閣が瓦解すると、政友会の犬養内閣が成立し、満州事変と軍部への協力姿勢を示した。ところが、軍部の若手が暴発して5・15事件を起こし、犬養を殺害してしまう。「政党政治家では軍を抑えられない」との重臣らの判断から、海軍出身の斎藤実、岡田啓介に組閣を命じるが、二人は民政党に近かった。これは「軍に近すぎる政友会は危険」との重臣らの認識に基づいていた。ところが、1932年2月の総選挙では、親軍派の政友会が圧勝、定数466のうち303議席を獲得していた。

議席の3分の2以上を有していたにもかかわらず、政権を担えない政友会は大きなフラストレーションを抱えていた。その任期は1936年2月までであり、政友会としてはゲーム的判断から、「解散させず、絶対多数を保ったまま政権を取る」ことを至上命題とし、具体的には民政党寄りの岡田内閣を徹底攻撃する戦術に出る。そこに降ってわいてきたのが「天皇機関説事件」だった。
事件は政党に関係ない貴族院で勃発するが、政友会は即座に美濃部批判を開始、在郷軍人会と連携して「国体明徴運動」を展開していった。最終的には、岡田内閣を倒すには至らなかったものの、これを屈服させて天皇機関説を撤回させることに成功した。
にもかかわらず、36年2月20日の総選挙では政友会は大敗し、民政党が議席の過半数を獲得してしまう。その6日後に起きたのが2・26事件で、軍部反乱の責任をとって岡田内閣は総辞職し、親軍派の外務官僚である広田弘毅が組閣、1年後の37年2月に総辞職するも、その半年後の37年7月に日華事変が勃発、全面戦争・戦時体制へと突入していった。
何のことは無い、政友会は自分の手で議会政治と政党政治を葬り去ったのだ。

最後になるが、資料集としては価値が認められる『天皇機関説事件―史料は語る』を著した宮澤俊義は、一般的には「八月革命説」をもって現行憲法の正統性を理論づけた法律家として知られるが、もともとは美濃部の教え子で、後継者と目されていた。ところが、事件が起きると学説を曲げ、天皇主権論に転向、師匠の排撃にも一役買った挙げ句、「皇孫降臨の神勅以来、天照大御神の新孫この国に君臨し給ひ、長へにわが国土および人民を統治し給ふべきことの原理が確立」(岩波『憲法略説』1942)とまで述べた。
終戦後も当初は「憲法改正の必要なし」との見解を示していたが、ある日突然(46年4月)「八月革命説」を唱えて憲法改正の必要性と新憲法の正統性を訴えた。八月革命説については「日本国憲法は欽定憲法だった!」を参照のこと。
自らの師匠を追放し、その地位に収まった挙げ句、自説を二転三転させてなお「(現行)憲法の擁護者」のスタンスをとり続けたのが宮澤だった。ほとんどフーシェ並の厚顔無恥ぶりであるが、この手の機会主義者(クズの本懐)どもが作り上げたのが戦後民主主義であることを思えば、容易に瓦解しそうなのも頷けるであろう。

【追記】
事件に際しては、検察から「起訴する」と脅されてやむなく一切の公職から身を引いた美濃部だったが、その胆力というか頑固さは凄まじいものがある。長男・亮吉(経済学者、人民戦線で弾圧、戦後都知事)の回顧によると、戦時中は吉祥寺に住んでいたが、近くに中島飛行機の工場があったため(現ICU)、頻繁に爆撃を受け、そのたびに家鳴り震動して窓ガラスが割れたが、美濃部は頑として座敷から離れようとせず、決して防空壕には入らなかったという。

posted by ケン at 12:56| Comment(2) | 学問、文学、教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月24日

民進党がダメなワケ

【民進・結党以来最低 支持率6・6% 共産にも奪われ 産経・FNN世論調査】
 民進党の支持率低落に歯止めがかからない。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が15、16両日に実施した合同世論調査で、民進党の支持率は6・6%と昨年3月の結党以来、最低を更新。国会で学校法人「森友学園」(大阪市)問題などを追及しても支持には結びつかず、足元では身内が離反する始末で、蓮舫執行部は八方塞がりの状況だ。
 「先週、残念なことが続いたことが、そういう結果になっているのだろうと思う。国民に申し訳ない」
 野田佳彦幹事長は17日の記者会見で低支持率の原因について、長島昭久元防衛副大臣の離党届提出や細野豪志元環境相の代表代行辞任が重なったことを挙げた。「極めて苦しい時期だが、改めて国会対策や選挙対策にしっかりと心して臨んでいきたい」とも語ったが、党勢回復の妙案は見えてこない。
 支持率低迷の最大要因は、旧民主党政権を支えた無党派層の支持が戻らず、一部は共産党にも流れていることだ。今回の調査で「安倍晋三内閣を支持しない」と答えた人に支持する政党を問うと、民進党と共産党が14・5%で並んだ。さらに「支持政党なし」は53%にも上った。
 安倍内閣の支持率59・3%も踏まえると、民進党は政権に反発する数少ない人の支持さえつかんでいない実態が浮かび上がる。
 昨年9月に就任した蓮舫代表には、次期衆院選に向けた「選挙の顔」として無党派層の取り込みが期待された。蓮舫氏は「提案型」の党運営を掲げ、一時は次期衆院選公約に「2030年原発ゼロ」を打ち出せないか模索もした。
 しかし、2030年原発ゼロは党最大の支持団体、連合の反発で表明を断念。前執行部から引き継いだ共産党との共闘路線も「政権担当能力への不安を増幅させ、無党派層への遠心力となった」(党閣僚経験者)面が大きく、支持率は10%前後の低空飛行が続く。
 7月2日投開票の東京都議選をめぐっては、18人いた民進党都議のうち5人が離党届を提出し、さらに1人が提出の意思を固めた。小池百合子都知事が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」に流れる「離党ドミノ」も止まらない。
 党内では、代表のリコールを検討する勢力もあるが、「党の再生を図るより分裂した方が手っ取り早い」(保守系議員)との声すら上がっている。
(4月17日、産経新聞)

サンケイなので悪意剥き出しの記述になっているが、急所は外していない。
民進党の支持率が上がらないのは単純に野党第一党、あるいは政権党の対立軸として認められていないことに起因する。何度も述べていることだが、繰り返したい。

現在のところ民進党の国会議員は大きく三派に分けられる。これは実際に所属する派閥や勉強会とは別に、基本的な政治スタンスで考える。つまり、保守派、中間派、労組派である。
保守派は今回離党した長島氏に象徴されるように、「集団的自衛権」「共謀罪」「原子力発電」「親米外交」「TPP」などの点で自民党と何ら変わらないスタンスを持ちながら、自民党の公認が得られずに民主党から立候補、当選した者たちを指す。多少の温度差はあるものの、党代表の蓮舫氏、党幹事長の野田氏を筆頭に、前原氏や官僚出身者たちの多くもこれに属する。そもそも論でいえば、代表と幹事長を筆頭に保守派が執行部を握っている段階で、自民党との対立軸など打ち出せるはずもない。集団的自衛権にしても、共謀罪にしても、原発再稼働にしても、野田内閣が推進してきた政策であるだけに、反対すれば反対するだけ説得力を失う構造になっている。本来であれば、長島氏が離党するのではなく、野田氏と前原氏が率先して離党して保守新党をつくり、自民党と連携していれば、政界の構図はかなり明快になったはずであり、保守派を除いたメンバーで新たな対立軸をつくることも可能だった。

だが、現実はもっと厳しい。仮に保守派が抜けた場合、党の主導権は連合系が握ることになるが、連合は連合でその政策は現在の民進党よりも自民党に近いからだ。例えば、「集団的自衛権(ゼンセン)」「原発再稼働(電力、電機)」「TPP(自動車)」「リニア新幹線(JR)」などが象徴的だが、実は肝心な労働問題では連合は「同一労働同一賃金」「残業規制」「扶養控除廃止」に反対で、むしろ自民党よりも保守的なスタンスをとっている。それだけに、仮に労組派が主導権を握ったところで、政府・自民党に批判的な大衆の支持を得るような政策を打ち出せる可能性は非常に低い。ちなみにある産別で政党支持のアンケートをとったところ、自民党が3割に対し民進党は2割だったという。

連合はなぜ自民党を支持しないのか 
連合が自民党と合一的である理由について 

中間派は、その場その場のパワーバランスを見て強い方につくだけで、自らの当選、再選しか考えていない連中なので、ここでは考慮する必要は無い。

また政策的には、自民党安倍・麻生の右翼新自由主義路線(緊縮財政、供給者優遇)への対立軸として最も有効だったであろう左翼ポピュリズム路線(積極財政、消費者優遇)を打ち出したのが小沢・鳩山両氏だったわけだが、財務省の影響下に置かれた菅・野田両氏によって全面否定された挙げ句、党を挙げて追放してしまった。その結果、民進党は同じ路線を打ち出せず、かといって代替案も無いまま、ただ「自民党に反対するだけ」になってしまっている。菅や野田氏らを排除しない限り、路線転換もできない状態にある。

まぁ結論としては、サンケイに書かれるまでもなく詰んでいるんだけど。
posted by ケン at 12:06| Comment(4) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月22日

策に溺れて自分の首を絞める連中

【「わが闘争」の教材使用可能=政府答弁書】
 政府は14日の持ち回り閣議で、ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーの自伝的著書「わが闘争」の教材使用について、「教育基本法等の趣旨に従っていること等の留意事項を踏まえた有益適切なものである限り、校長や学校設置者の責任と判断で使用できる」とする答弁書を決定した。民進党の宮崎岳志氏の質問主意書に答えた。答弁書では、「同書の一部を引用した教材を使用して、執筆当時の歴史的な背景を考察させる授業が行われている例がある」と紹介。その上で、「仮に人種に基づく差別を助長させる形で使用するならば、同法等の趣旨に合致せず、不適切であることは明らかだ」と指摘し、そうした指導があった場合は「所轄庁や設置者において厳正に対処すべきものだ」としている。 
(4月14日、時事通信)

こういうの出した本人は「してやったり!」と思っているのだろうし、リベラル派は「やっぱり自公政権はファッショ」と「いいネタもらった」と喜んでいるようだが、実際のところは何のことは無い、全体主義教育のお墨付きを与えてしまっただけの話であり、そのとばっちりを受けるのは一般市民であろう。

何も考えていない、その場のポイントを稼ぎたい国会議員がこの手の質問(主意書)をするたびに「政府許可」の範囲が広がる構図になってしまっている。一度政府が許可してしまえば、政権交代して政策転換しない限り、どのような教材も有効であり続ける。たとえ政権交代しても、霞ヶ関の「国家無謬論」により、一度出した政府答弁書をひっくり返すのは容易ではない。

この間、国会の議論で十分にポイントを上げられない民進党は、質問主意書を山のように出して、官僚の主観的には「ハラスメント攻撃」を仕掛けているが、自民党的には「もっけの幸い」とばかりに「災い転じて福となす」にしてしまっている。
政治的センスの点でも民進党は話にならない。
posted by ケン at 13:00| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする