2018年08月27日

加速する大学生の読書離れ

【大学生の読書離れが浮き彫りに 「1日の読書時間0分」過半数に出版社も危機感】
 全国大学生活協同組合連合会は2月26日、全国の大学生の生活実態調査を発表した。53.1%が1日の読書時間を「0分」と回答し、大学生の読書離れの加速が浮き彫りとなった。過半数が「0分」と回答するのは読書時間を問うようになった2004年以降初めて。
  1日の読書時間の平均は23.6分(前年から0.8分減)と3年連続の減少。一方で、1日に120分以上と長時間読書する層は引き続き存在しており、読む人の平均は51.1分と、前年から2.5分長くなっている。「読む人」と「読まない人」の二極化が進んでいるともいえそうだ。
 読書時間減少の原因として、スマートフォンの影響を挙げる声もあるが、同会によると「調査年ごとの読書・スマホ・勉強時間の推移を算出し、読書との関係の有無をみたところ、読書時間減少にはスマホ時間による直接的な強い効果はみられない(効果があるといっても極めて弱い)」という。
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 では何が大きな要因となっているのか。同会は「14年を頂点として読書習慣のある学生は年々減ってきており、1年ごとに読まなくなってきていることが確認された」と分析し、大学生の高校までの読書習慣が全体的に下がっていることが影響を与えているとしている。
 アルバイトによる収入は自宅生・下宿生ともに増加。月の教養娯楽費や貯金額も増えている。その一方で月の書籍費は自宅生1340円(支出に占める構成比2.1%)、下宿生1510円(同1.3%)と、金額・構成比ともに1970年以降最低となった。
 出版関係者は「本は本来安価なメディアであったはずが、映像やゲームなどのより安価なエンタメが増えていることで、相対的に『コスパが悪い』と思われるようになっているのでは。横断的な雑誌読み放題サービス『dマガジン』や『コミックDAYS』のようなサブスクリプション(月額定額制)モデルが1つのカギになってくるだろう」と語る。
 また「これまでは読書好きに対しての施策を多く打ってきていたが、本気で新規開拓に向き合う施策を打っていかなくてはならない」と危機感をあらわにした。
(2018年2月27日、ITmedia ビジネスオンライン)

2017年全国大学生活協同組合連合会「全国大学生の生活実態調査」、大学生の53.1%が1日の読書時間0分。確かにニッポンはスゴいデス。
スマホが原因とは認められず、そもそも高校時代から読書習慣が無いと。
まぁ永田町でもロクに本読んでない人が多かったけどね。日本の失墜は単純に「知性と教養の喪失」と言い換えることも可能かもしれない。

近代化とは、技術革新に伴う工業化によって全人類が幸福に至るという考え方である。そのためには全人類の知的向上が不可欠であるため、義務教育が誕生した。これに対して、「単に工業化しただけでは、経済格差が広がるばかりで、むしろ人類は不幸になる」と考えたのが、初期社会主義者たちだった。

世界の多くの国で工業化が実現し、少なくない国で社会主義思想に基づく社会保障制度の整備が進んだことで、いわゆる先進国では前近代的な「不幸=不条理」は激減したものの、「幸福」が十分に実現したとは言えない。
工業化が実現したところで、反知性主義が蔓延し、若年層において知性の放棄が進んでいることは、果たしてどのような意味があり、今後どのような影響をもたらすのか、今後も注視してゆきたい。

posted by ケン at 12:00| Comment(6) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月25日

止むこと無き自由修正主義史観

【プラハの春「侵攻は正しい」 ロシア世論調査で3分の1】
 50年前の1968年8月に当時のチェコスロバキアにソ連軍などが侵攻し、「プラハの春」と呼ばれた民主改革を圧殺した事件について、ロシアの独立系世論調査機関「レバダ・センター」は21日、ロシアの回答者の3分の1が「侵攻は正しかった」とした調査結果を発表した。当時のチェコスロバキアの民主改革を「反ソ分子による政変」「西側による策動」と否定的にとらえる回答は計44%にも及んだ。
 「プラハの春」ではチェコスロバキアの共産党政権が自ら民主化を進め、「人間の顔をした社会主義」を目指した。しかし、ソ連など社会主義諸国からなるワルシャワ条約機構軍は68年8月20日深夜にプラハに侵攻。抵抗した多数の市民が犠牲になり、後に東欧革命が起きた89年にはソ連も当時の侵攻を誤りと認めた。
(8月21日、朝日新聞より抜粋)


これも意図的に事実を単純化、矮小化して報道する印象操作。ソ連、東欧側の内部文書が公開されて、日本でもそれなりに研究が進んでいるのに、いまだ50年前と変わらない自由主義史観に基づく報道は害悪でしかない。
ロシア駐在員にはソ連学を必修とすべきだ。

史実的には、「脱スターリン化」が進まなかったチェコスロバキア共産党が遅ればせながら改革を始めたところ、保守派、改革派、スロヴァキア独立派の三派に分かれて対立を深め、統制不能の事態に陥り、ソ連側の交渉にも殆ど応じなかったことに起因している。ソ連側はソ連側で同盟国からの介入要請を抑えながら、チェコ側とアメリカの反応を注視しつつ、非常に慎重な判断を下している。
「チェコスロヴァキアの民主化をソ連が軍事力で打倒した」などというのは、「日本の軍部が暴走して勝手に侵略戦争を始めた」というのと同じくらい有害な暴論である。

興味のある方は、私の研究を参照されると良い。

・「プラハの春」とカーダールの苦悩

・「プラハの春」−ソ連の対応と誤算 
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2018年08月24日

ストロングホールド第四戦

この日は別のゲームをしようと考えていたところ、キャンセルが出て二人になってしまい、急遽「ストロングホールド」に決まった。
前回から一年半近く経ってしまっているが、なかなかの佳作である。説明を再掲しておこう。

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本ゲームは、城塞戦に特化しており、一方が城塞を守る人間側、他方がゴブリン、オーク、トロールを率いる攻城側を担当する。全7ターン内に一箇所でも城壁を突破すればモンスター側が勝利し、守り切れば人間側が勝利する。
攻城側は、毎ターン14個ものモンスターユニットが配備されるが、それを消費することで、資材を確保、攻城兵器をつくり、装備・技術・儀式を駆使して戦闘準備しなければならない。また、攻めかかれる城壁・城門は8箇所あるのだが、各所に配備できるモンスターには限りがある上(スタック制限)、一箇所だけ攻撃しようとしても守りが固められるだけなので、攻める時は複数箇所で同時攻撃する必要がある。

城塞(防御)側は、モンスターが消費したコストが「手持ち時間」として渡され、それを消費することで、移動、城壁修理、罠配置、大砲設置、兵士訓練などのアクションを行う。つまり、攻城側がたくさんアクションを行えば行うほど、城塞側も守りを固められるシステムになっている。但し、城塞側は初期配置分の兵力しかないため、兵力が失われるとジリ貧になってくる。

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特徴としては、ランダム要素が少ないことが挙げられる。攻城側のアクションは最初に20枚中12枚がランダムで引かれて使用される。また、興味深いのは、バリスタやカタパルトなどの攻城兵器は、当初命中カード2枚と「はずれ」4枚の計6枚の「命中判定デッキ」が組まれるが、命中判定を行う時に「はずれ」が出ると除外されて、次の判定は「命中2、はずれ3」となるため、ゲーム終盤に近づくにつれて命中精度が上がってゆくことにある。さらに攻城側は、「砲兵観測」を行うことで「はずれ」カードを1枚除外することができる。このシステムはなかなかリアリティがあって、かつ防御側にかかるプレッシャーはハンパ無い。

シークエンス的には、攻防両者が様々なアクションを繰り返した後、モンスターと人間側が移動を行い、最後に襲撃(攻城戦)が判定され、ターン終了となる。そのため、城塞側は、攻城側の戦力をかなり高確度で予測でき、その上で防衛戦力の配置が決められる。つまり、基本的には城塞側が有利なのだが、それは「計算違いをしない」という条件付きなので、「運のせいに出来ない」という点でプレッシャーが大きい。逆に攻城側は数少ないランダム要素やブラフを駆使して、城塞側に「計算違い」を誘発させるテクニックが求められる。

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この日はT後輩と二回プレイ。T後輩が攻城側(モンスター)、ケン先生が籠城側(人間)を担当。
一度目は4ターン目の攻撃でアッサリと城壁を突破され、「あれ、こんなゲームだっけ?特に間違って手を指したとは思えないんだけど」とルールを確認したところ、弓兵の処理に誤りがあったことが発覚、ルールを確認しながら再プレイ。

二度目は、私がウンウンうなりながらの長考が続く。T後輩は、余計な動きを抑え、最小限度の行動に絞っており、その結果、防衛側の時間が足らず、必要な行動がとれず、「何が最善手か」を導き出すのが大変だった。このゲームほど、籠城側の苦しさを見事にシミュレートした作品は他にあるまい。ランダム要素が非常に少ないため、全て自分の思考にかかっていることも、高齢者には辛いかもしれない。
最終的には、最終ターンまで持ちこたえて、人間側が勝利したものの、ほんのわずかの差、一手番ないしは運の差だった。最後の攻撃で、約二分の一の命中率を有する3つの攻城兵器のうち、2つが命中していたら、城壁が瓦解していたのだが、命中が一つに留まったため、防御側の勝利となった。恐ろしいまでの僅差である。

前回までは、籠城側が圧倒的に有利と思っていたが、攻撃側が手数を絞ると非常に厳しい展開になることが分かった。今後の指針としたい。
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2018年08月23日

日本型組織の終焉

今年の6月に起きた大阪北部地震に際して、交通機関が麻痺、出勤が困難になる中、ある会社の上司が「何がなんでも出てこい」と部下に指示。それに対し「非常時に社員を守ろうとしない会社は嫌だ」と新入社員7人が連名で退職届を出した、という話がある。都市伝説の類いだが、似たような話はあってもおかしくない。

この手の上司しか出世できず、自分の生命や家族を顧みずに出社する社員が評価され、実際のビジネス能力は殆ど問われない組織文化、評価制度の問題。本来この手の上司や会社は競争の中で淘汰されてしかるべきだが、上司や会社の99%がこれなのだから、淘汰されない。

高校野球を見れば分かるとおり、初中等教育期から洗脳されるため、誰も疑問に思わないが、あくまでも日本国内でしか通用しない。結果、疑問を覚える感覚の持ち主から外資系に移るか、日本そのものを見限ることになる。

私のよく知る者の話だが、日本企業にいた時、ボーナス支給時に会社幹部が居並ぶ場に呼び出され、延々と「これだけボーナス出すのだから、一層忠誠を尽くせ」と訓示をたられたことに憤慨、「結果を出しただけなのに、何故説教されなきゃならんのか!」と辞表をたたきつけている。

また、サントリー系ジャバンビバレッジのある支店長が「クイズに全問正解したら有給(休暇)チャンス」なるメールを部下に送りつけ、そもそも回答困難な質問だった上に、「不正回答は永久追放します。まずは降格」なる文言も添付されていたという。言うまでも無いことだが、労基法第39条の「有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」に反している時点でコンプライアンスの問題であって、人事制度以前の話。
しかし、このケースでは当該支店長は「厳重注意」で済まされている。本来、職権乱用で懲戒解雇してしかるべきだが、日本型組織はどこまでも身内に甘い。

能力主義ではなく、組織に対する忠誠心が人事評価の基準であるため、上に行けば行くほど無能ばかりとなる。そして、降格制度がないため、無能な人間が延々と指揮を執り続ける。戦後日本が高度成長を実現できたのは、公職追放と財閥解体によって既得権益層と無能なトップを一時的に追放できたからだが、それは占領軍によって初めて実現できた。
日本の悲劇は、外圧無しでは改革できないところにあるが、自由に海外に行ける時代なのだから、日本に留まる理由は無いだろう。
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2018年08月21日

演劇と言語教育

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言語教育と演劇は密接な関係を持つ。
現代人が素のままでコミュニケーションをとるシーンというのは実は少なくて、相対的に多いのは「学生として先生に相談する」「社員として上司に意見を求める」「営業員として顧客に売り込む」など身分や立場に即してたコミュニケーションとなる。その場合、狭義の言語運用能力以外のスキルが求められるわけで、広義の演技力を無視した言語教育は実践で十分に機能しない、という考え方だ。
また、言語学習の教科書では殆どが一対一の対話しか想定していないが、現実には3人以上が集まって話すケースが非常に多い。少なくとも多人数コミュニケーションを仮想体験する場を用意しておくべきだろう。

その意味では、TRPGも原理は同じなのだが、こちらは言語依存度が高い点が課題となる。
演劇の優れているところは身体を駆使する点。人間がコミュニケーションを行う上で、言語が支配するのは2〜3割程度でしかなく、実はその他の身体、場、社会的要素などに依存するところが非常に大きいからだ。
ケン先生が仮にロシア語でD&Dをやっても、ストーリーを理解するのが精一杯で、自分から積極的に参加するのは難しいだろう。

今回「日本語表現法」を担当するので、演劇要素を組み込もうと考えているが、まだ具体的なプランには至っていない。
また、学部時代にロシア語劇をやっていた者としては、将来的に学生の日本語劇ユニットを立ち上げることも視野においている。
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2018年08月20日

パラドックス定数「5 seconds」

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東京裁判、226事件、731部隊、グリコ森永事件など昭和史の闇を舞台化し続けている野木萌葱氏が主宰する劇団パラドックス定数の公演。
渡航前最後の観劇となる。

「機長やめてください!」「逆噴射」で知られる羽田沖日航機350便墜落事故がテーマ。
精神疾患の疑いで病院(史実では松沢病院)に収容された機長と接見する弁護士の二人が、4幕(暗転するだけ)100分間、延々と会話するだけの舞台。音楽すら無い。演劇初心者にはかなりハードルが高そうだが、十分に見応えあった。

滑走路まで500メートルのところで逆噴射を行って、機体を垂直に墜落させた機長は業務上過失致死罪等で起訴される。
刑法39条を駆使して無罪を勝ち取ろうとする弁護士が、統合失調症の疑いがある機長から有用な情報を得ようと悪戦苦闘するが、どこまでも話がかみ合わない。

2人の会話だけで100分間もたせなければならず、コメディー要素もないだけに、純粋に脚本と役者の演技力が問われる。
面白くしようとすれば、「スターリンの葬送行進曲」のようにコメディ化すれば良いのだろうが、奇をてらうこと無く真正面から取り組む野木の真骨頂と言える。

気づいてみれば36年前のことで、演じている二人も事件を知らなかったという。
爺になるわけですな。

posted by ケン at 09:30| Comment(2) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月18日

GMT A Distant Plain 第四戦

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日本でゲームする機会もいよいよ少なくなってきた。TRPGは別にして多人数でプレイするのはこれが最後かもしれない。
そこで?ラストを飾ったのはGMT「A Distant Plain」、米軍侵攻後のアフガニスタン内戦・非対称戦争を描く作品。

K先輩がタリバン、O先輩が政府軍、T後輩が多国籍軍、ケン先生が軍閥という構成。
シナリオは「オバマの戦争」、オバマ政権が成立して米軍の増派が行われたところからスタートする。

K先輩のタリバンは非常に慎重で、パキスタン国境のいわゆるトライバル地域から一歩出たところで固めてしまう。
そのため政府軍と多国籍軍の矛先が軍閥に向かい、人口の多い地域から追い出され、ケシ畑が焼かれてしまう。
政府軍は順調に版図を広げつつ、私腹(パトロネージ)を肥やし順調に得点を重ねる。
それに対し、多国籍軍の腐敗撲滅は追いつかず、政府に得点をくれてやっているような状況。
タリバンは殆ど一人プレイ状態だが、地道に地方に基地をつくり、反政府エリアを増やし、これはこれで順調。
自分の軍閥は、必死にケシを植え、政府兵を買収してゲリラを増やすも、自転車操業で勝利からはほど遠い。

そうこうしているうちに地味な展開のまま政府軍が逃げ切ってしまうが、タリバンも同時に勝利条件を達成、得点で政府軍が一位、タリバンが二位、その他が敗北で終わった。
政府とタリバンが比較的勝ちやすいのは知っていたが、「それにしても」と思っていたところ、「政府軍による統治行為(賄賂収集)」は多国籍軍の基地があるエリアでは行えないことが判明、「こんなにやりたい放題はできなかった」として後日の再戦となった。
あぁ、来年か。。。





posted by ケン at 12:00| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする