2026年06月16日

中東の戦争は終わらない

20260610SS00001.jpg

中東の戦争、定義を拡大すればアメリカによる戦争は終わらない。

第二次世界大戦は、ユダヤ人資産を収奪することで成立していたドイツ景気を維持するために、没収先を拡大するべく侵略先を拡大するほかなかったことで、戦火が拡大した。
ドイツ経済が生産力を低下させることなく1944年まで経済力を維持できたのは、外国資産の没収と外国人奴隷の徴用によるところが大きかった(『ナチス 破壊の経済』など)。

明治帝政は軍事費に全振りする先軍国家(平時でも予算の30~40%)であったため、軍隊を維持するためだけでも侵略し、植民地を増やすほか無かった。
満州事変はその最たるもので、陸軍力を保持することを目的に、ほぼ全陸軍による共同謀議だったが、現実には石原=板垣による陰謀と位置づけられてしまった。
主な侵略先である中国には、米英の利権が多くあり、日本はそれを侵害しつつ侵略を進めたため、米英との対立が避けられなくなった。
対日戦を強く主張したのは実はチャーチルで、ルーズベルトも蒋介石も本音では「今じゃないだろ」と思っていたが、日本側があまりにも強気すぎたこともあり、日中戦争や日米の開戦となった。

最近はまた「明治日本の軍事化は不可避だったか」旨の議論がなされている。が、明治帝政は初期段階で殖産興業を掲げたにも関わらず、日清戦争を皮切りに帝国化(軍事と植民地)に舵を切ってしまった。
ここは別の記事で説明したいが、軍事費を予算の10~15%、せめて20%以下に抑えておけば、残りを殖産興業や社会政策に割り当てられ、国内経済の発展に寄与したはずだった。
が、1894年という早い段階(経済成長が未熟な)で帝国化してしまったため、国内では靴を履いたこともなければ、鉄道に乗ったこともない国民が多数を占めたまま、20世紀、そして一次大戦と二次大戦を迎えてしまった。
例えば、日本では1940年前後でも、入隊するので初めて鉄道に乗ったとか、初めて靴を履いた(履き方から教わる)、まともにコメが食えるといった事例が無数にあったが、アメリカでは「パパ(あるいはママ)が車で兵舎(あるいは駅舎)まで送ってくれた」というレベルにあった。

話を戻すと、アメリカは戦争を続けることで資源価格や資源株・軍事株を高騰させつつ、ドルの価値を維持するほか選択肢がなくなっている。
戦争回避論者だったはずのトランプが戦争を開始したというのは、自分が大統領になってみて他に選択肢がないことに気づいた結果だったと見るべきである。
かといって、イランに陸上侵攻するほどの度胸はない。

イランは戦時下の明治帝政と同様で、ロシアや中国に攻め入られるまでは降伏するつもりなどないだろう。
日本とは異なり、細々ながら継戦能力も維持されるだろう。

一時的な停戦はあるとしても、(石油、ガスが出る限り)中東から戦争がなくなることはないと考えるべきである。
今回停戦したとしても、アメリカは戦争目的(核の排除と体制転換)を達成できず、イスラエルはやる気満々のまま停戦を強要される形となっており、中東における「戦争原因」は丸っ切り残されたままとなるのだから、「これで終わり」なわけはないのである。
posted by ケン at 12:00| Comment(3) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年06月15日

トランプ大統領が250ドル紙幣発行?

20260531SS00001.jpg

高市総統閣下も5万円紙幣とかいかがですかね?

いまどき金貨つくると材料だけで50万円を超えてしまうところが辛いw
posted by ケン at 12:00| Comment(3) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年04月14日

米イ戦争長期化でウクライナは財政破綻?

毎度のことながらウクライナ(キーウ政府)は財政破綻の淵にある。
2026年度で言うと、予算上で歳出の約5割相当分を外部資金に依存しており、その額は430億ユーロ≒8兆円に達する。
ウクライナ財務省の主張では、喫緊に600億ドル≒9.5兆円の外部資金を必要としている。

ウクライナ支援の枠組みは主にEUとアメリカが主導してきたが、トランプ政権の成立でアメリカは実質離脱しており、ウクライナ支援力は半分前後にまで落ちている。
そのため、自分の懐を痛めたくないEUは凍結したロシア資産をそのままウクライナ支援に回そうとしたが、実際に責任を負わされるベルギーなどが強く反対し頓挫している。
そのため4月に至るも、キーウ政府を支援する枠組みが見込みすら立たない状況になっている。

そこに発生したのがアメリカによるイラン攻撃だった。
これによりヨーロッパは深刻なエネルギー、資源不足、インフレに見舞われ、ますますウクライナ支援どころではなくなっている。
同時にこれは欧州諸国にとって、露宇戦争が「スラブ人同士勝手に死ねばラッキー」程度のものであったことを示している。

戦争の長期化によりロシアも相当に厳しくなっているようだが、こちらは今日明日という話ではない。
キーウ政府はいつ倒れてもおかしくない状況に陥りつつあると見てよいだろう。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年04月08日

分断対立進む世界

【イラン、ウクライナの湾岸支援を「茶番」と一蹴 「敵側に回った」】
駐ウクライナ・イラン臨時代理大使のシャフリヤール・アムゼガー氏がこのほど、AFPの独占取材に応じ、ロシアが投入したイラン設計の無人機を撃墜してきた知見を武器に、ウクライナが米国や湾岸諸国へ支援を提供していることは「茶番」に過ぎないと切り捨てた。
イランは、最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害した米イスラエルによるテヘラン空爆への報復として、無人機やミサイルを用いて中東の広範囲を攻撃している。
アムゼガー氏はAFPに対し、「中東での無人機対策に向けたウクライナの動きは、本質的に茶番であり、見せかけのポーズに過ぎないと考えている」と語った。
AFPは、首都キーウのウクライナ大統領府近くにある、一部機能が移転済みのイラン大使館でアムゼガー臨時代理大使を取材した。ウクライナ政府は2022年、イランがロシアに無人機「シャヘド」を供給したことを受け、イラン大使の承認を取り消し、外交使節団の規模を縮小した。
ウクライナは、同様の脅威に直面している湾岸諸国に熟練のドローン専門家を派遣したと発表。アムゼガー氏はこの動きを非難した。
「不運なことに、ウクライナは今や事実上、イランと直接対立する段階に進んだ。つまり、われわれの敵側に自らを置いたということだ」
同氏はまた、ロシアの侵攻に関与していることを否定し、イランはウクライナの領土保全を支持していると主張。ウクライナ政府が「欧米からより多くの支援を引き出すために『イラン・カード』を利用している」と指摘した。
ウクライナは、緊急に必要としている対空ミサイルを入手するため、対無人機技術や知見の取引を模索しており、すでに専門家をカタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビアに派遣し、活動を開始したとしている。
こうした動きに対しアムゼガー氏は「この紛争におけるウクライナの存在は、われわれにとって実際には何の意味も持たない。真剣には捉えていない」と一蹴。「ウクライナ政府の最近の行動を全く恐れていない。われわれにはこれらすべての試みを無効化する新しい技術とイノベーションがある」と付け加えた。
(3月15日、AFP)

世界はますます分断と対立が深刻化する様相。
分断・対立と言っても、それは冷戦期の米ソのように拮抗したものではなく、「アメリカとその追随者に対して、西側陣営に服従しないもの」という形をとる。
その西側にイスラエルやウクライナが含まれるという話である。

今年に入ってから起こっているのは、ベネズエラは大統領を拉致されて表向き服従したが、イランは最高指導者をやられても服従しなかったという話である。
トランプはベネズエラの成功を見て、「ついでにイラン、その次はキューバやって、ノーベル平和賞ゲット!」と考えていたのだろうが、ベネズエラとイランは同じではなかった。
これは、ヒトラーがフランス戦役の成功を見て、「じゃあソ連も一撃だな」と考えた流れとよく似ている。
為政者は楽観的なくらいのほうが上手くいくときもあるが、失敗するときの大半は楽観に足を取られる形となっている。

イランが持ちこたえられるかどうかは、トランプ次第ではあるが、現状の支持率では陸上戦力を投入しての全面戦争の選択をするのは難しそうだ。
とはいえ、プーチンによる全面攻勢も専門家的には「最も蓋然性の低い選択」と見られていただけに、どうなるかはわからない。

いずれにせよ、世界はますます平和から遠ざかるだろう。
posted by ケン at 12:00| Comment(3) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年04月06日

米テロ対策センター所長が辞任

【米テロ対策センター所長が辞任 「イランは喫緊の脅威ではない」】
 米国家テロ対策センター(NCTC)のケント所長は17日、X(ツイッター)で、米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦について「良心に照らして支持できない」として辞任する意向を明らかにした。米ニュースサイト「アクシオス」によると、今回の作戦を巡り米高官が辞任するのは初めて。
 ケント氏は「イランは我が国に対し差し迫った脅威をもたらしていない。我々は、イスラエルとその強力な米国のロビー団体からの圧力によって、この戦争を始めたのは明らかだ」と主張した。
 NCTCはテロ情報の収集や分析を担う機関。ケント氏は陸軍特殊部隊「グリーンベレー」出身で、米中央情報局(CIA)でも勤務した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、ケント氏はギャバード米国家情報長官に近く、抑制的な外交政策を主張していた。
(3月17日、毎日新聞)

この辺がアメリカ(人)の偉いところだろう。
日本ではまずこの手の人は現れない。
そもそも組織内で反対意見を言うこともままならない文化だし。

今回のアメリカによるベネズエラ攻撃にしてもイラン攻撃にしても、客観的根拠が不十分だし、「今やらないといけないタスクなのか?」という疑問が尽きない。
ソ連の場合ならソフィン戦争、中国の場合なら中越戦争がこの類となる。
こうした場合、政治的理由や原因、あるいは指導者の主観に起因するところが大きい。
この場合、指導者=意思決定者が何を根拠にどのように判断したのかを知る必要があるため、ある程度情報が出てくるまでは想像部分が大きくなってしまう。

今回のケースも後世の検証を待つ必要があるが、現場の人間からすると「理解不能」な件が多すぎるという話になる。
殆どの日本人は「言われたとおりにやっていれば良い」と考えるため、指導者の誤った、あるいは非人道的な命令を延々と実行するところとなる。
私が帝政を憎悪する根源でもある。

もっとも、アメリカにおいてもたまに良心的な個人が登場するだけで、全体としては20年前に根拠不十分な理由でアフガニスタンやイラクを攻撃し、イラクに至っては完全にデマだったにもかかわらず、武力行使を正当化し、帝国日本も支持している。
誰も為政者を疑わない日本と、たまに批判的な個人が出てくるアメリカと、どちらが「まとも」なのだろうか。

他方で、親米論者からは「ヤツはカルトだから」旨の「ご説明」が行われており、ますます闇の深さを感じる。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年04月04日

米国人の4割がイラン攻撃を支持

米国民66%「米国が選択した戦争」 米メディア世論調査】
 イランとの軍事衝突を巡り、アメリカ人の66%が「アメリカが自ら選択した戦争」だと回答していることが最新の世論調査で分かりました。
 アメリカのCBSニュースが今月17日から20日にかけて行った世論調査によりますと、イランに対する軍事行動について「支持しない」と答えた人は60%に上り、「支持する」と答えた40%を大きく上回りました。
 今回の軍事衝突について「不可欠な戦争だった」と答えた人が34%にとどまったのに対し、「自らの選択による戦争」と答えた人は66%に上っています。
 また、トランプ政権が軍事行動の目標を「明確に説明しなかった」とする回答は68%に達し、攻撃開始直後に行われた調査と比べ、政権の説明不足を指摘する声はさらに広がっています。
 地上部隊の派遣については53%が「必要ない」と回答しています。
 さらに、ガソリン価格の高騰など経済への悪影響が懸念されるなか、9割以上のアメリカ人が「できるだけ早く終戦させることが重要」としています。
 一方、イランの最高指導者・モジタバ師が率いる現体制を維持したまま終戦することについては、53%が「容認できない」としています。
(テレビ朝日、3月23日)

あんな無根拠な攻撃、侵略を支持するアメリカ市民が4割もいるという点がすごい。
国際法は言うまでもなく、核施設も核兵器開発能力もイラク戦争時よりも確証が無く、米国内部の情報機関も攻撃の必要性を認めていない。
にもかかわらず、半数以上が地上部隊の派兵を望んでおらず、「敵は叩いておきたいが、割の悪い作業はしたくない」感が半端ない。

こうした国民感情の背景にあるのは、全世界の軍事費の4割を占める圧倒的すぎる武力であろう。
「一回全火力でぶっ叩いておけばおとなしくなるに違いない」という驕りを生み出すのは、「自分が叩いても相手は反撃しない、する能力がない」という、これまた驕りである。
日本人が笑えないのは、つい最近、帝国政府や日本国民が中国(国民党)政府に対して抱いていた感覚と全く同じ点である。
もっとも、日華事変に反対した日本人は6割もいなかったであろうが。
これらの故事から得られるのは、強固な軍事力を持つと、政治体制に関係なく武力による解決を選択(支持)する傾向が強まること、そして「あれだけ税金使って軍事力を育成したのだから使わないと損」というコンコルドの誤謬が発生する蓋然性が高まることである。

トランプ的には「結果さえ出せば後はどうにでもなる」という判断だったのだろうが、その「結果」が怪しくなっている。
この点はベネズエラが上手く行き過ぎたところが悪い方向に作用したのだろう。
いずれも確率論なのだから、「ベネズエラが上手くいったからイランも大丈夫」は成り立つはずもないのだが、感覚的にはそう考えてしまうあたりが人間の人間たる所以である。
いずれにしても、トランプや高市が「選ばれている」時点で代議制民主主義の将来は相当に暗いと考えてよい。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年03月26日

フィンランドが核兵器持ち込み可能に

【核兵器持ち込み容認で法改正へ フィンランド、ロシア脅威受け】
 北欧フィンランド国防省は5日、北大西洋条約機構(NATO)の枠組みの中で、核兵器の持ち込みを認めるための法改正に着手すると発表した。フィンランド放送協会(YLE)によると、ハッカネン国防相は記者会見で、隣国ロシアの脅威が高まり、防衛力強化が必要だと話した。最大野党の社会民主党は議会審議で反対すると表明した。
 フィンランドは2023年4月にNATOに加盟したが、核兵器の通過や備蓄は法律で全面的に禁じられている。米国の核兵器を自国の基地に配備する「核共有」やフランスが新たに構想を示した欧州独自の「核の傘」に参加できない状況で、これを可能にする狙いがあるとみられる。
 国防省は法改正の目的について「大半の加盟国のようにNATOの抑止力、防衛力を全て活用し、安全を最大限に確保するためだ」と説明。核兵器の持ち込みを望んでいるわけではないと主張した。DPA通信によると、核兵器の通過を認めることが主な目的という。
 フィンランドでは1987年可決の法律で、核兵器の持ち込みなどが禁止されている。
(3月6日、共同通信)

まさに安全保障のジレンマの典型例であろう。
特にNATOの場合はアメリカに丸投げしてきた側面が強く、そのアメリカが関与を低下させつつある今、不安がジレンマを肥大化させているとみてよい。
(全力でやってないとはいえ)ウクライナすら制圧できないロシアが、どうして全欧州を相手に侵略を始めると思うのか、ナゾすぎるわけだが、人の不安は合理性を排除してしまう。
帝国がロシア、中国、アメリカといずれも自ら殴り掛かってしまった構図と同じであろう(中国の場合はやや複雑だったが)。

しかも近年の国際社会は再び「敵」を悪魔化する傾向が強まっており、この点も戦争の脅威を高め、武力行使のハードルを下げている。
特に自由主義陣営の盟主であるアメリカが、無闇に他国を悪魔化して武力行使を続けているだけに、非西側諸国は内側で西側陣営に対する不信と憎悪を強めており、これがテロを含めた武力行使リスクを高めている。

逆に先進国側はこうした怨嗟に対して過剰な防衛反応を示すところとなる。
フィンランドやフランス(核戦略強化)のケースは、日本でも「核解禁」の議論が高まる可能性を示唆している。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする