一部の報道によると、政府は時限的消費減税を行った後、段階的に消費税を12%にまで上げる構想を有しているという。
恐らくは財務省あたりが上げた観測気球、あるいはアンカーと考えられるが、実際のところどれほど現実的なのだろうか。
今回の総選挙で高市首相は減税を明言しなかったものの、周囲と調整することなく2年間の消費減税(食品免税)の検討を掲げた。
他の野党は恒久的な食品免税や根本的な消費減税を掲げている。
一つの争点と化している以上、これを覆していきなり消費増税を行うのはリスクが高すぎる。自民党が衆議院で大勝したとしても、参議院では自民・維新で過半数に足りず、増税法案は通らないだろう。
つまり、次の参院選(2028年夏)まではほぼ無理と考えてよい。
可能性があるとしたら、日中開戦・紛争のリスクが高まり、「国防強化のために消費増税を!」と盛り上がるケースくらいだろう。
だが、2030年に近づくと、日本の財政はいよいよ厳しくなる。特に社会保障費の肥大化が原因だ。
現状、社会保障費の肥大化は関係各所の努力によってかなり抑えられているものの、それでも年間5000億円規模で肥大化が続いている。
国民医療費は年間1兆円規模で拡大しているだけに、社会保障費はかなり無理して抑え込んでいるのが実情だ。
しかし、2030年前後には高齢化率は30%を超え、国債を発行して軍事費を拡大すれば、債務残高対GDP比は200%に近づいていくと考えられる。
国債価格や長期金利を考えた場合、2030年以前に増税しないと小規模な破断界を招く恐れがあるのだ。
現実には2028年夏に参院選があり、衆院任期が2030年1月末となると、どのタイミングで消費増税を打ち出すのか非常に難しいことがわかる。
財務省的には「28年夏の参院選後には増税不可避」と考えるだろう。
消費増税に代わる代替案としては金融所得課税の強化も考えられるが、消費税は1%の課税で2兆円になるのに対し、金融所得課税は20%を30%にしても6〜8千億円にしかならず、そのために自民党支持層の大半が離反するリスクは取れないに違いない。
このことは、今回の総選挙の結果いかんにかかわらず、2030年以前に小規模な政治的危機が発生する可能性があることを示している。
同様にこの政治的危機を回避するために国境紛争や外交的危機が演出される可能性があるのだ。
対外強硬路線と軍事費増は国民の選択(特に若年層)の結果であるが、全く迷惑極まりない話である。
帝国に三度目の収奪(戊辰政変、ア太戦の敗戦)をされないように何かできるか考えておく必要がある。