2026年06月02日

再審制度改革は検察の勝利に

20260514SS00001.jpg

再審制度改革で自民党はそれなりに頑張ったとは思うものの、最後は検察の判定勝ち(不服申し建権の担保)となった。

永田町に勤務した際、法務関係も勉強する機会を得たが、そこで知ったのは日本の司法制度における圧倒的な検察有利と、司法の独立性・三権分立の未熟だった。

日本の刑事裁判は、ゲームに喩えるなら、検察側がブラフ含めて10枚以上の手札を持って裁判に臨むのに対し、弁護側は1枚(やる気のない弁護士)〜4枚(超やる気のある弁護士)で挑むほかないシステムになっている。
検察側は(警察などが集めた)ありとあらゆる証拠物件を持ったうえで、どの証拠を使うか選別できる(有罪に不利な証拠は使わない)のに対し、弁護側はそこにアクセス権を持たないうえに全部自前で(無罪を主張するための)証拠を集める必要がある。

これを知った時、私は即座に「これは無理ゲー」「刑事弁護とか死にゲー好きしかやらんよ」と思ったものだった。
さらに検察はどの案件を起訴するかの権限を持ち、「起訴しない=起訴猶予」権限で持って被疑者などと裁判前に圧倒的に優位な立場から「交渉」できる(起訴独占・便宜主義)。
「有罪率99%」というのは、検察が「負けることのないゲーム」をしている証であり、日本の司法制度が全体主義のそれであることを示している。

今回の「検察の判定勝ち」も背景には自民党大規模裏金事件を不起訴にして回った検察の「貸し」が大きかったと見ている。この点でも政権交代がないと、巨悪と不正が深刻化していくことを示している。

この点でも挫折を繰り返しながらも検察制度改革を進めている韓国の方が「先進国」と言えるだろう。

補足:「呪術廻戦」における日車弁護士の話はめっちゃ同情してしまったし、「九条の大罪」における弁護士のあり方には「まぁそうなるわな」と思ってしまう。
posted by ケン at 12:00| Comment(3) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年04月29日

「いじめ告発」拡散の本質

「いじめ」の加害者を特定し、氏名や住所、写真などを拡散する動きが拡大しているという。

その背景には「いじめ」の認定が不安定、かつ時間がかかること、そもそも学校側に隠蔽するインセンティブが強いことがある。
また、「いじめ」は犯罪とは見なされないため、加害者を処罰することが難しく、殆どの場合で被害者側が一方的に泣き寝入りしている問題がある。

「いじめ」の本質は少年犯罪である。
その主な構成要素は、暴行罪(蹴る、叩く)、脅迫・強要罪(脅して何かをさせる)、窃盗・強盗罪(物や金銭を取り上げる)、名誉毀損罪(侮蔑の言葉を浴びせる)、不同意わいせつ罪などであろう。

これらの実質的な犯罪要素を、警察行政が犯罪とみなすのではなく、「いじめ」として教育行政が「処分」するという建付けになっており、教育行政側(学校、教育委員会)は起訴権限も裁判権も持たないがゆえに、必ず内部的な行政処分で終わらせることになる。
それも「教育的配慮」が付与されるため、そもそも加害者を処分する根拠がないのだ。
同様に、教員にしてももともと「いじめ」に対処する権限が付与されていないのに、上や保護者からは「いじめをなくせ」と要求される上、そもそも「本来の仕事」ではないのだから、やる気が起きないのも当然だろう。

これを「学校や教育委員会が悪い」と言ってみたところで始まらない。
そもそも法制度の認識や運用が間違っているからだ。

以前から述べている通り、いじめの構成要素は少年犯罪の範疇であり、警察の少年課が対処しつつ、学校側は具体的事例を上げて、「いじめ」ではなく「犯罪」である旨を生徒・学生に教えるべきなのである。
posted by ケン at 12:00| Comment(5) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年03月18日

私大の「4割超」、2040年度に経営破綻の危険性

【私大の「4割超」、2040年度に経営破綻の危険性…18歳人口減で現在の「1割」から悪化見込む】
 2040年度に私立大の約4割で経営破綻の危険性が高くなることが文部科学省の推計で分かった。現在、危険性の高い大学は約1割だが今後、18歳人口の減少が私大経営を急速に悪化させる可能性がある。
 推計では、学生が在学中に経営破綻する「危険性が特に高い」私大の割合は24年度の4%(22校)から40年度には28%(170校)に拡大する。4年以上10年以内に経営破綻する「危険性が高い」私大も24年度の5%(30校)から40年度には14%(87校)になるとした。経営破綻の危険性が高い私大はあわせて40%超に上る。
 健全な経営状況の私大は24年度、全体の74%(443校)だったが、40年度には17%(102校)まで減少するとみられる。
 文科省によると、18歳人口は34年度までは100万人だが、35年度からの6年間で74万人まで急減する見通し。同省は推計にあたり40年度の大学進学者数を46万人と想定し、経営状況を把握する私大601校が定員を維持したまま40年度まで存続した場合の経営状況を予測した。
 文科省は在学生がいる大学の経営破綻を避けるため、経営状態が悪化している100校程度を「改善指導対象校」に指定し、大学運営からの撤退も含めた経営指導に乗り出す方針。
(2月17日、読売新聞)

2040年というのは実は14年後のことであり、遠くない将来の話だ。
私の世代は引退しているものの、下の世代は現役の人もいるかもくらいのレベル。
現在でも10%超の私大が経営破綻に瀕しているとされており、ここから急速に少子化、貧困化が進むだけに、学校経営は急速に厳しさを増していく。

もっとも、文科省の予測は「私大601校が定員を維持したまま40年度まで存続した場合」という条件があるため、私大の再編が早急に進んだ場合は、経営悪化はいくぶんか緩和される見込みだ。
まぁ文科省は「さっさと再編しろ」という圧力もかねてこうした報告を上げているのだろうが。

2000年代初頭に私が大学院に社会人枠で入った際も「教員やるにしても私の世代はギリギリ逃げられる(職務を全うできる)としても、下の世代は無理だろう(失業リスクが高い)」と予測したわけだが、この予測は当たっていたことになる。

また、単純に大学数が減る以上に専門性の問題が深刻化している。
例えば、文学や外国語など人文系で実用性の低いものを中心に優先的に学部学科の廃止が進められている。
同時にポストがなくなり、将来性が無いため、研究を志す若者がいなくなり、文学系のゼミは閑古鳥が鳴き、廃止が加速する流れになっている。
私がロシア史・政治や日本近代史を志向する若者に養子を持ちかけているのは、こうした流れに対抗する意味もある。
基礎研究部分から優先的にそぎ落とされていく現状は、遠からず高等教育そのものの衰退を招くだろう。
言ってしまえば、意味不明な横文字の学部学科ばかりが残り、何をやっているのかよくわからない大学ばかりになるイメージだ。

日本の大学制度は悪くなかっただけに惜しい限りである
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年01月12日

留学生だけ学費値上げ

【「負担大きくなる」東北大の留学生学費値上げに学生が公開質問状】
 東北大が2027年度の入学生から、外国人留学生の授業料を値上げすると決めたことを受け、有志の学生がつくる団体「留学生学費値上げ問題を考える東北大生の会」が12日、大学に公開質問状を出した。1月9日までに書面による回答を求めている。
 東北大は1日、大学ホームページ上で学費の改定を発表した。学部と大学院修士課程の留学生が対象で、国内学生と同じ年53万5800円を、27年度の入学生から約1・7倍の90万円にする。博士課程は据え置く。
 理由について「留学生の受け入れ環境を段階的に整備し、教育・研究・生活の質の向上に努めてきた。世界から選ばれ続けるためにはこうした取り組みを維持し、さらに充実させていくことが不可欠」と説明している。
 「東北大生の会」は12日、冨永悌二(ていじ)総長宛ての公開質問状や、学生などから集めた署名157筆を学務課の職員に手渡した。
 質問状では「学内でも留学生を中心に不安が広がっている」と指摘。そのうえで、理由を具体的に明らかにすること▽どのような算出方法で1・7倍になったのか▽国際卓越研究大学に認定され国際化のために多額の資金が投入されているはず。大学ファンドからの154億円から支出できないのか−−など6項目をただした。
 会の代表で文学部4年の山下森人さん(24)は記者会見で「留学生個人の負担が非常に大きくなる。留学生の意見がきちんと反映されていないのではないか」と述べた。「私自身多くの留学生と交流して一緒に学んできた。彼らとの国際的なつながりが、これからの社会を作るために不可欠のはず。大学には真摯(しんし)に対応してほしい」
 情報学を学ぶ中国出身の男子学生(23)は、英米に比べて生活費や学費が安いという理由で留学先を選んだという。「学費も生活費もアルバイトでまかなっている。留学生は基本的にバイト代が130万円を超えないようにしていると思うので、(学費の90万円を引いた)40万円で1年間生活するのは難しいと思う」と語った。
(12月17日、朝日新聞)

色々筋悪な話。
まず留学生だけ値上げするというのは、いかにも公平性を欠く。
しかも、日本国籍保有者は据え置きで、外国人だけ70%増という格差。
さらに反対しにくい、反対しても政治的影響力を行使できない外国人だけ狙い撃ちにするというのも筋悪。
昨今日本で大流行中の排外主義に便乗する形にすれば、「日本人ファースト」ということで国内的支持も得られるという算段なのだろうが、これがまた筋悪。
大学が排外主義を助長しているのだ。
また、秋入学者などは、入学したとたんに値上げされるわけで、殆ど詐欺も同然である。
秋に入居して「じゃ、1月から家賃5割り増しね」と言われて納得するものはいないだろう。

留学生は寮やサポートなどのサービス経費やインフラ整備が日本人よりもかかるため、多少学費が高くなるのは許容できるとしても、日本人据え置きで外国人だけ7割増しはまずかろう。
そもそも、日本の大学は「他の欧米諸国よりも安価」という理由でアジアの学生に選ばれる傾向があり、その利点を自ら放棄することになる。
どこまでも愚かな話である。
posted by ケン at 12:00| Comment(3) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年08月26日

博士課程学生の生活費支援、日本人に限定へ

【博士課程学生の生活費支援、日本人に限定へ 文科省委で了承】
 文部科学省の人材委員会は30日、大学院博士課程の学生に年間最大290万円を生活費や研究費として支給する制度について、生活費の支援対象を日本人に限定する方針を大筋了承した。早ければ2027年度にも制度を変更する。
 制度は文科省が所管する科学技術振興機構(JST)が21年度に始めた「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」。24年度の支給実績は全体の1万564人のうち、外国人留学生が約4割(4125人)を占めた。このうち中国人が3151人と最多であったことを受け、国会で自民党議員らが批判していた。
 これを受けて文科省は対応を検討。年間最大240万円の生活費の支給を、日本人に限定する方針を取りまとめてこの日の委員会で提示した。研究費の支給は引き続き留学生にも行う。これまで支給対象外だった、安定的な収入を得ている社会人学生にも研究費の支援を広げるという。
 30日には制度見直しについて「学生を国籍で差別しないでください」と反対する署名1万9300筆が文科省に提出され、抗議のデモも行われた。文科省の担当者は「日本人学生の博士課程進学を支援するという元々の事業趣旨を踏まえて制度変更するが、文科省としては留学生の支援は大事だと考えており、別の政策でやっていく」と説明している。
(7月30日、毎日新聞)

なんて愚かなことを。

優秀な外国人に日本(の大学)で研究に従事してもらうことが、何で「外国人優遇」になるんだ?
ただでさえ高度人材の国際間獲得競争が激化しているのに。
日本の政治家や文科官僚は異なる世界線に生きているに違いない。

現状でも大学院生に占める外国人の割合は20~25%割程度で、多いとされる東大でも3分の1程度。
優秀な人が大学院に進学しないのは、日本における就職で修士号・博士号が全く考慮されないためであり、問題は別のところにある。

戦後帝政は自らの首を締めるだけであろう。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年08月25日

高校野球の「不祥事」は年間1千件以上?

20250813SS00001.jpg
日本高野連は各校の不祥事について、各都道府県連盟からの報告書を受けて審査をしているが、報告書は年間1000件以上に上ることもあり、「(審査の方法に)改善の余地はあるのかもしれない。


稼働している高校野球部は全国で約3500校(あるいは3千とも)という。
にもかかわらず、年間1千件以上の「不祥事」事案が発生している。

最近は些細なことでも報告するようにされているものの、「些細」の背景に重大事が潜んでいる可能性は否定できない。
これは構造的な問題であり、一つの学校を「処分」したところで解決しない。学校部活動は例外なく廃止すべきだ。

本質的には明治帝政の統治理念と日本の学校の部活動の理念は同じ世界線上に存在する。
そのため、部活動のみを廃止したところで根本的には解決しない恐れがある。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年08月18日

暴力を許容する日本の学校社会

【広陵高校 野球部員が下級生に暴力 3月に高野連から厳重注意】
 夏の全国高校野球に広島代表として出場する広陵高校は、ことし1月に複数の野球部員がそれぞれ個別に下級生の部員に対し暴力を伴う不適切な行為をしたとして日本高校野球連盟から3月に厳重注意を受けていたと発表しました。
 広陵高校によりますと、ことし1月下旬に寮で禁止されていた行為をした当時1年生の野球部員1人に対し2年生の部員合わせて4人がそれぞれ個別に胸やほおをたたいたり胸ぐらをつかんだりするなど暴力を伴う不適切な行為をしたということです。
 暴行を受けた部員は3月末に転校したということです。
 学校は2月に事実関係を高野連=日本高校野球連盟に報告し、3月上旬に高野連から厳重注意を受けたということです。
 厳重注意の事案は、学生野球憲章に基づく規則で原則として公表しないと定められていて、高野連も学校も公表していませんでしたが、SNSに部内で暴力があったという投稿があり、広陵高校が7日、夏の全国高校野球の初戦に臨むのを前に拡散しているため、発表したということです。
 広陵高校は「被害を受けた生徒ならびに保護者の皆さまには重ねて深くおわびを申し上げます。全校を挙げて再発防止に注力してまいります」などとコメントしています。
(8月7日、NHKより抜粋)

確かに「一部部員の問題であり、対象部員は処罰したから、連帯責任は負わせない」というのは正しい面もある。
しかし、「いじめ」(閉鎖的環境内における立場を利用した恒常的暴力)というのは果たして加害者だけで成立しうるのかという問題もある。
特に学校の学級や部活動での「いじめ」はその他大多数の「見て見ぬふりする協力者」なくして成立しない。

こうした「協力者」を許すのは、特高やシュタージなどの民間協力者を不問とするのと同様であり、本質的には「いじめ」の内在的環境(禍根)を残すことにしかならない。
なぜなら協力者を不問にすることは、「いじめに加担さえしなければOK」であることを認めることになるからだ。
特に部活動の場合、厳しい上下関係が暴力を容認するケースが多く、そうした環境を生みやすい。それだけに、一層厳しく監督、処罰する必要があるのではなかろうか。

件の事件でも被害者が転校(放校?)したことは書かれているが、加害者に対する処罰には触れておらず、そのまま野球部員を続けている(あるいは甲子園に出場している)可能性がある。
ここでも一方的に被害者情報のみが提示され、加害者が保護されていることがわかる。
「暴力行為はあってはならない」はいかにも軽すぎる言葉である。

その後、次々と悪事が露見し、監督が学校理事を務めて隠蔽工作が学校ぐるみで行われていたことも判明。
連盟との共犯性まで指摘されている。
凄まじい「悪の連鎖」である。
posted by ケン at 12:00| Comment(4) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする